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ミステリの祭典

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三重殺

作家 奥田哲也
出版日1991年01月
平均点5.25点
書評数4人

No.4 5点 nukkam
(2023/05/17 03:09登録)
(ネタバレなしです) 1991年発表の本格派推理小説です。同一人物が3回も殺された?、という謎がユニークではありますがこの謎が謎として完成するのは中盤を過ぎてからです。バラバラ死体を宅配便で発送していたことから送り主は何者か、受取人は何者かを丹念に追跡する最初の事件の捜査展開はF・W・クロフツの「樽」(1920年)や鮎川哲也の「黒いトランク」(1956年)を連想しました。読みやすさを心がけたのか主人公の刑事の性格描写はかなりくだけた雰囲気にしていますが、度重なる推理議論が机上の空論にしか感じられず全体としてはわかりにくい作品でした。それは容疑者の大半が生身の人間として登場することがないという設定も影響したように感じます。「本格派は人間が描けていない」としばしば揶揄されますが、本書はその究極型の一つと言ってもいいかも。

No.3 4点 ドクターマッコい
(2013/05/23 08:11登録)
三回殺される設定は面白いものの話が複雑になりすぎ途中で読むのが嫌になりました。

No.2 6点 E-BANKER
(2010/01/07 23:06登録)
埋もれた作家? 奥田哲也(英朗ではありません)の作品。
「同じ名前の人物が3回殺された」というのが本作の大きな謎です。
事件関係者も主に3名しか出てこないため、この3人がどういう組み合わせで加害者と被害者になっていったのかがポイントになります。
ただ、仮説がいろいろと検討されるため、読んでる途中でだんだんこんがらがってきます。
面白いプロットなのですが、設定にムリヤリ感があるため、ロジックだけの解決は無理で、「偶然」に頼っている部分が大きいのがちょっと残念ですね。
”名なしの刑事”キャラは、なかなか味があって良いです。

No.1 6点 Tetchy
(2008/03/26 16:03登録)
バラバラ死体の被害者は矢萩利幸のものと思われた。
第2の焼死体も矢萩利幸と名乗っていた。
第3の転落した車の運転手も矢萩利幸だった。
矢萩利幸は3度殺された?

というのが内容。
こういう本格風味の内容を、ちょっと捻くれたワイズクラックを取り混ぜた文体で語るのはちょっと最初は戸惑ったものの、慣れてくるとなかなか面白かった。
3人というかなり少ない関係者を相手に3度の殺人事件を解き明かすといういっぱしの本格ミステリ作家でも困難を極める設定を肩肘張らず、足取り軽く書いているのが、実は無名の天才なのかとも思った。
でも読後の評価は上のような点数。ふつーに読め、それなりに楽しめるミステリだ。

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