home

ミステリの祭典

login
屍蝶の沼

作家 司凍季
出版日1998年05月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 メルカトル
(2020/01/10 22:30登録)
中国地方の山里・羽室町で発見された美少女の死体。焼けただれた惨殺死体には、犯人の猟奇的な刻印が残されていた。しかも発見場所の通称“幽霊沼”には、昔から奇妙が噂が…。町のミニコミ誌記者・稲葉菜月は事件を追うため、かつての恋人でフリーライターの高野舜を呼ぶが、町に残る因習に阻まれ、事件は闇のまま。しかし、新たな惨殺死体の発見を契機に、二十年前に隠蔽された“謎”が浮上。驚愕の真実を追う高野は、さらなる恐怖のなかにのみ込まれていく!流麗な筆致で描かれた、美しくもおぞましい未体験の恐怖!ホラーと社会推理を融合させた意欲作、登場。
『BOOK』データベースより。

さて登録登録♪と思ったら、まさかの登録済み。しかも書評まであるとは、恐るべし『ミステリの祭典』。見る限り司凍季の全作が登録済みのようですね。しかもこんなマイナーな作品までとは驚きました。

大して面白くもないのに何故か読みたくなる司凍季。でも本作は出来が良い方です。ホラーなのかサスペンスなのか本格ミステリなのか、しかし最後は島荘ばりの社会派に大変身します。この豹変ぶりには流石に吃驚でした。司凍季は島田荘司の影響を強く受け、特に『奇想、天を動かす』に深い感銘を受けた作家で、この作品にもそれが顕著に現れています。改題前のタイトルは『去勢された蝶たちの森』、ちょっと意味が解らない感じがしますけど。

印象としてはプロットが散漫で話があちこちに飛び過ぎな感が否めません。そして文章が相変わらず下手。もう少し纏まりがあってそれなりの文章力を持っていれば、本作は凄い作品になったかも知れません。
あと、背の低い人々が沼に次々と飛び込む件が最後まではっきりせず、謎解きも何の伏線もなく解かれていく様はかなり残念でした。動機も曖昧。ただ事件の奥に隠された真実には意表を突かれましたね。

No.1 6点 Tetchy
(2008/04/02 15:04登録)
今まで読んだ司作品の中で、ベストの1冊。
文体も今までの作品に比べていい。

今まで推理ゲームのコマのように書かれていた登場人物もそれぞれにエピソードを含ませて、深みをもたらしている。
ホラーと推理小説の融合を目指したようだが、その試みはクリアしている。

ただ最後の結末は駆け足で過ぎていった。
ページ制限があったんだろうか?
なんとも呆気なかった。
勿体無い。

2レコード表示中です 書評