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ミステリの祭典

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たかだいさんの登録情報
平均点:5.05点 書評数:198件

プロフィール| 書評

No.138 5点 葡萄街道の殺人
平岩弓枝
(2025/03/09 21:28登録)
ドイツにおける葡萄栽培やワイン醸造が盛んな地方「葡萄街道(ワインロード)」を巡る旅の最中、粗暴な弟とその妻が殺され、犯人と思しき人物は服毒自殺を遂げた
作品のおよそ半分くらいのページ数を費やして被害者へのヘイトを稼いだ後に一気に4人もの人が同日に死亡する急転直下、事件は一応解決するも不審点が残る中盤から後半に掛けてのサスペンス性、クライマックスにおけるちゃぶ台返しの如き真相が明るみになっての、引きのラスト…
特別なトリックが仕掛けられている訳でもなく、わりと地味めな作品です。ですが、その地味な内容を丁寧に描く事で読後に満足感を得られるだけの力もあるお話かと思います
また、事件が起きてからの後半は前述のようにまさに怒涛で、一気にラストまで引き込む展開のスピーディさも当作の魅力だと思います


No.137 2点 特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来
南原詠
(2025/03/08 23:08登録)
主人公が(言い方は悪いけど)元は特許を盾に金をむしり取る側から一転して防衛する側へと転身した弁理士という設定、そこに昨今では群雄割拠に乱立しているVtuberを絡め、特許権を巡る企みが描かれる
とりあえず、設定に関して言えば新しく、そこは面白いと思います
また、堅苦しいイメージが浮かぶ特許権侵害だとかライセンス契約といった題材をVtuberを絡めて非常にライトに書いている点も評価に値すると思っています
しかしながら、「(作品として)面白かったか?」「楽しめたか?」と問われると個人的には否と言わざるを得ない
終始盛り上がりに欠ける展開で、敵対者との最後の攻防も淡々としていた感があり、キャラクター自体もあまり好感が持てなかったので、はっきり言って私としては設定だけが良い作品と化していました
さらに言うなら、作中を通してのVtuberの捉え方にも違和感というか引っ掛かりを覚えてしまったのも印象としてマイナスでした、とVtuber好きとして付け加えておきたい


No.136 6点 金雀枝荘の殺人
今邑彩
(2025/03/08 05:48登録)
かつて大量殺人が行われた惨劇の現場「金雀枝荘」。時を経てこの山荘を訪れた者達による推理合戦の末に辿り着いた驚愕の真実とは
なかなかキャッチーな導入で、(読んだのが大分前なので記憶違いだったら赤面ものだが)かの島田荘司の名作「占星術殺人事件」を思い起こさせる
肝心の内容についても、過去に行われた犯行が時に大胆に、時に慎重に行われた様が詳らかにされていき、現在においても傲岸不遜な不審者が乱入して場を盛り上げる
かなり盛っている印象ながら、王道のクローズドサークル物にして館物として手堅くまとまっていると感じ、オカルトはオカルトとして否定せずに作中に暗示している辺りも今邑彩らしくて好感が持てた


No.135 3点 ゴールデンスランバー
伊坂幸太郎
(2025/03/08 00:21登録)
一度日本で映画化された後、韓国でもリメイクされ計2度も映画化の機会を得たサスペンス大作
今以上の情報監視社会となった仙台を舞台に、首相暗殺の犯人として追われる身の上となった男の緊迫感溢れる逃避行が描かれます
…と、こうしてストーリーの上辺を見る分には伊坂幸太郎らしさも感じられ、クセが強い傾向にある伊坂作品の中でも一番に推すファンが結構居る印象なのだが、個人的にはいまいち入り込めなかったというのが正直な感想
いわゆる『敵』の正体が掴めないのはサスペンス作品としてはプラス要素だと思われますが、一方で話が壮大な割に全体的に淡白なストーリー展開だったように感じられ、結果、単調というか持ち味を生かし切る前に終わった感が強く残った
ただ、やはり映像化には向く作品だろうとは思います


No.134 7点 天使の耳
東野圭吾
(2025/03/07 21:48登録)
殺人事件に遭うよりも余程身近な危険である交通事故に焦点を当てた東野圭吾の短編ミステリー集
信号無視、駐車違反、煽り運転といった違反行為から派生する謎解き要素が結末のどんでん返しも含めて面白く、また、目の付け所が良いなと感心した所でもあります
話としては、盲目の女性が音を頼りに同乗車が信号無視をしたという無実を証明してみせる表題作『天使の耳』が一番面白かった一方、(幾つかのお話で言われているように)例えば当て逃げのような人死もなく加害者が見つかる見込みも薄い事故では警察も形式的な対応以上の事はしてくれないという泣き寝入りの現実も一緒に書かれているのが印象に残りましたかね


No.133 4点 メビウスの殺人
我孫子武丸
(2025/03/06 00:42登録)
ハンマー男と絞殺魔。謎の殺人鬼による連続殺人に速水兄妹が挑むシリーズ第3作
内容としては被害者に隠されたミッシング・リンクを探るのがメインで、現場に遺された数字のメモが謎に拍車を掛けるーーそんな構成になっており、作中に色々な方面からのダミーが入り混じる為、一定の緊張感を保って物語が終始していた印象があります
また、犯人視点と捜査陣視点が交互する都合上、明確な犯人当てが必要ない分、サスペンスとして十分楽しめました
ただ、このシリーズはいわゆるユーモアミステリーの類かと思われますが、キャラの掛け合い部分があまり好みではなかったです。特に主役である三兄妹の長男で刑事の恭三の性格が個人的には好きになれず、刑事の勘を重視するというか思い込みが激しいというか、昭和の堅物な刑事像を見せられるようで正直辟易しました


No.132 6点 クロスファイア
宮部みゆき
(2025/03/02 23:35登録)
念じるだけであらゆる物を炎上させるパイロキネシスの能力を持つ女が法から逃れた無法者を私刑にしていくサスペンス物で、そこに秘密組織から来た軽薄そうなあんちゃんや、その辺りの事情は知らないまでも正攻法から徐々に女の存在を知り超能力の存在にも気付いていく刑事らが加わって物語に深みを与えている印象
話の主軸としては、凶悪犯罪者を処刑する事に自己を見出し、自らを「(弾が)装填された銃」と嘯き、あえて孤独を選んだ(もしくは選ばざるを得なかった)女が、とある出会いから『人間』になるも、時既に遅過ぎたという救われない話
能力を生まれ持ったが故に歪んでしまったとも言える女の(作品を通して描かれる)生涯は悲劇的ですが、精緻もしくは繊細な描写のお陰か壊れていながらも人間味のあるキャラに仕上がっている辺り、宮部みゆきらしい作品だと思わされた
正直、上下巻で中々読もうという気にならなかった作品だったのですが、事の他スラスラ読めた印象で、内容そのものも悪くなかったです。スティーブン・キングの某作品を読んでいるとまた違った感想を抱くのかもしれませんが、そちらを未読の私的には意外と面白い作品でした


No.131 6点 行動審理捜査官・楯岡絵麻VSミステリー作家・佐藤青南
佐藤青南
(2025/03/01 21:12登録)
相手の微細な反応から嘘を見抜いて真実を暴き出す「行動心理捜査官・楯岡絵麻」シリーズの一つで、著者と同じ名前を与えられたミステリー作家「佐藤青南」との対決を描いた長編作品
天性の才能によって人身を掌握して一種のカルトを築き上げた一方、基本的に自身を認めさせる事以外には興味がなく、批判者や後輩には苛烈な攻撃を加えるサイコパスとしての「佐藤青南」は、ミステリーの悪役として結構好きでした
心理学を学び自身を取り繕う事も出来る佐藤と絵麻の(取り調べ室での)対決は特に熾烈で、佐藤が仕掛けた(というか実行した)非常に気の長い狂気染みた犯行に戦慄しつつ、普段はソリが合わない現場組との二人三脚で辛うじて絵麻が佐藤に対して突破口をこじ開ける様は読んでいてスカッとするものがあります
あからさまに続きがあると匂わせる終わり方をしているので続きが気になりつつ、(「サイレント・ヴォイス」で感じた個人的な危惧はあるものの)シリーズの他作品も徐々に読み進めようと思います


No.130 5点 八甲田山殺人事件
吉村達也
(2025/02/28 00:02登録)
温泉好きの志垣&和久井コンビが活躍する「温泉殺人事件シリーズ」の一つで、読後にやるせなさが残る作品
大量の氷と共に湯船に浸かって凍死した女性、女性が死んでいた部屋の借主が真っ先に疑われるも、その男も青森・八甲田山の山中で顔面を殴り潰されて死んでいた…
かなり猟奇的な事件で真相が気になる導入であるが、この作品に大掛かりな仕掛けやトリックのようなミステリー的に面白いギミックはない(少なくとも私としては無かったと思う)
だが、決して詰まらないとは感じなかった
ただ、読み終えて「何で…」とは思わずに居られない『真相』に少なからず胸が痛む。確かに一般的に見て誠実では無かっただろう。身も蓋もない言い方をするなら損な性格だっただけ。故に行き違いが生じて誤解が誤解を生んだ。が、命を払う程の罪か?と問われれば、ほとんどの人はNOと答える。ドミノ倒しのように、悪い方へ悪い方へ歯車が噛み合ったが故の悲劇
ミステリーは好きで色々読んでいるつもりだが、こういったタイプにはまだ出会った事が無かった気がする。とびきり良いとまで言わないまでも、比較的読み易い事もあって悪くなかったです


No.129 4点 サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻
佐藤青南
(2025/02/27 20:58登録)
人が無意識のうちに出してしまう反射的な微細行動を見極めて相手の嘘を見抜く事が出来る刑事・楯岡絵麻が活躍するミステリーシリーズの(おそらく)1作目
短編形式となっており、取調室を舞台に、取り調べを受ける被疑者の嘘を見抜き、その先に隠された真実を暴き出すトリッキーな警察小説
相手の油断を誘う言動で侮らせ、不意を突いて嘘を一つ一つ潰しながら追い詰めるというのが大まかな流れとして確立している作品であり、一転して被疑者の嘘を封殺していく様は結構気持ちいいです
フィクションとは言え、相手の反応だけで(被疑者自身は一切触れてないにも関わらず)秘密の場所の特定までしてのけるのは実際の所「どうなんだろ?」とか「やりすぎじゃない?」みたいに野暮な事を思ってしまったり、何より前述のように大体の流れが出来上がっているので若干飽きるというかワンパターン気味な印象を受けました


No.128 4点 札幌駅殺人事件
西村京太郎
(2025/02/25 17:05登録)
西村京太郎作品でお馴染みの「十津川警部シリーズ」であり、特定の駅に注目した「駅シリーズ」とも分類されるシリーズ物の一つ
札幌駅を舞台に、自身を裏切った弟分を殺害して札幌へ逃亡した男を十津川警部らいつものメンバーが追い掛ける普遍的な話かと思いきや、駅内のコインロッカーを悪用した麻薬取引、拳銃を持った殺し屋も現れ、それらが同時進行で事件を起こす事で事態が混迷していくてんこ盛りな作品となってます
上記のように複数の事件が同時に起こる事でボリュームを持たせていると言える作品であり、ある意味では飽きのこない仕上がりになっていますが、ミステリーとして捉えるとちょい薄っぺらい
事態がひたすらにとっ散らかった印象で、盛り過ぎで薄味になってしまっていると感じました


No.127 6点 隣はシリアルキラー
中山七里
(2025/02/25 12:11登録)
些細な事でも一度気にしてしまうと非常に気になって仕方ない、そんな心理状態が疑心を掻き立てる話の流れが面白いと感じた作品です
また、猟奇殺人を繰り返すサイコパスを扱ったサスペンス作品は数多ありますが、そこに、いわゆるどんでん返しとは若干趣きが異なる真実を設ける事で独自の立ち位置を確立している作品でもあるように思います
読む前に半ば想定していた「騙された」というような快感はないのに、前述した身近な心理状態で共感し易い事も手伝って(いい意味で)不思議と満足度はありました


No.126 5点 女が死んでいる
貫井徳郎
(2025/02/25 11:37登録)
著者としては数少ない短編集の一つで、バラエティに富んだ8編が収録されてます
文庫の解説によると既に2〜3冊の短編集が出せるくらいには様々な形で短編を書いているらしく、著者の拘り故に短編集自体の冊数は少ないのだという
この辺りの事情を知ると「なるほど」と思わせる所は確かにあって、総じて収録された短編の質が高い、もしくは一定の水準を満たしているというのはあると思います(話の好みはさて置いといて)
多かれ少なかれどんでん返しの要素がある上で本格、社会派、誘拐物、果てはライトな作風のミステリーまでミステリーの方向性がバラエティに富んでいながら、あからさまに詰まらないと感じる作品が無かったのは流石だと思う。著者の拘りで収録作品を厳選した結果なのだとしたら納得です(解説を読んでの推測なので事実かどうかは分かりませんが)
あと、個人的には表題作の「女が死んでいる」が収録作の中では一番読み応えがあって好きで、「殺人は難しい」に関しては作品そのものよりも世に出た経緯というか初出先が面白いなと思いましたね


No.125 6点 鑑定人 氏家京太郎
中山七里
(2025/02/24 16:44登録)
元科捜研研究員という経歴を有する鑑定人・氏家京太郎と仲間達が事件の物証から真実を暴き出すサスペンス作品
残忍な手口で女性を手に掛け逮捕されたシリアルキラーが、2人の殺害はすんなり認めながら3人目については自分ではないと否認。誰もが極刑を免れる為の悪足掻きと思う中、先入観のない鑑定を心掛ける氏家達にも危険が迫り…と言った内容で、わりとスラスラ読めて面白かったです
また、裁判の進行だとか鑑定手順だとか、普通あまり知る機会がないような舞台裏というか裏事情が丁寧に書かれているので、そう言った点でも興味深かった作品になります
各々のキャラクターが重きを置く理と情、拘りや柵、あとは因縁といったモノでの対立関係も強調されて描かれていた印象で、最新技術を用いた科学捜査(DNA鑑定など)で判明する事実に基づき事件の真実が解明されていくという意味では警察小説にも近しい作風かと思います


No.124 5点 四捨五入殺人事件
井上ひさし
(2025/02/24 01:33登録)
読み終えてみるとタイトルにある四捨五入というワードが実に意味深で、ある種の問題提起というか社会風刺的な側面もある作品
割と早い段階で(それはそれで割りかし意外性のある)全容解明と思わせ、いや実はーとして変則的真相が明かされる流れは結構面白かったです
とは言え、それならそれで「アレは意味なかったんじゃ?」とか、「だとしてもやり過ぎでは?」と思わなくはない真相でしたので、個人的には若干モヤモヤが残ったわけですが…
あと、この作品が書かれた年代としては普通だったのか知らないですが、ちょいちょい度を越したセクハラ発言をするキャラが居て、別に引くとまでは言いませんがなんか寒いな…とは思いましたかね


No.123 6点 犬を盗む
佐藤青南
(2025/02/20 14:58登録)
犬の視点も挿入される、犬を巡る殺人事件を描いたミステリー作品
気難しい性格で知られる老婆が殺害され、一方で急にアパートで犬を飼い始める男が登場し、その男が連れた犬に見覚えのある女も現れる
関係が見え隠れする朧げな線が徐々に繋がると共に、それに伴う(犬に関する)人間のエゴも浮き彫りになる作品です
個人的に話の流れは割と好きで比較的ライトなミステリーとして楽しめたのと、とある女の末路には若干の同情とそれ以上に胸がスカッとしたというのが正直な感想です


No.122 6点 迷路荘の惨劇
横溝正史
(2025/02/19 17:22登録)
「金田一耕助」シリーズは相当久しぶりでしたが、相変わらずの怖々しい雰囲気でむしろ安心感があった
天然の洞窟が張り巡らされた元名家の邸宅・名琅荘。前述の洞窟やからくり仕掛けの数々から「迷路荘」と揶揄される屋敷を舞台に、片腕の男が暗躍する連続殺人が描かれます
一筋縄ではいかない人間関係や、この作品の目玉とも言える洞窟探索がなかなか面白く、密室トリックについてはさらっとしてますがある意味で現実味がある辺りに恐さを感じなくもない丁度良い塩梅
敢えて難を挙げるなら書かれた年代上、仕方ないとは思いますが文章が分かりにくい。本筋とは関わりない慣用句や表現に「?」が浮かぶ箇所が少なからず有りました(その辺は私の知識不足かも知れませんが…)


No.121 5点 迷路館の殺人
綾辻行人
(2025/02/17 19:52登録)
高校の時に読んだ筈だが内容をまるで思い出せない、という事で図書館から借りて改めて読了
読み終えてまず、なんとなく覚えていなかった理由が分かった気がした…話が地味なんだと
門扉に閉ざされ地下に広がる迷路で構成された異質な邸宅ー迷路館という事で、そのらしさを活かした誘導トリックは面白い。次いで、真犯人が分かったと思わせてのどんでん返しは様式美のようだが「やられた」という驚きをもたらしてくれた
ミステリー小説としてもシリーズ物としても、面白い作品なのは間違いない
ただ、手堅くまとまっている分、印象・記憶には残り辛い作品でもあるようです(実際、私は文庫本のあらすじを読んでも内容が思い出せないくらいには印象に残っていなかった…)
あと、相変わらず探偵役のキャラが薄い…


No.120 3点 びっくり館の殺人
綾辻行人
(2025/02/17 10:12登録)
「館」シリーズの一つに数えられていますが、同時に低年齢層向けに書かれたミステリー作品という事も念頭に置くべき作品です
そうは分かっていても、シリーズ好きというかタイトルを揃えるならきっちりして欲しい派の私からするとせめて文庫本などへの再録ではタイトルを「吃驚館の殺人」にして欲しかったなと益体もなく思ったりします
肝心の内容ですが、前作(「暗黒館の殺人」)のようなオカルティズムは控えめながら人間の狂気はそれなりに描写されていた印象で、その辺りにも掛かってくる本作のトリックもありきたりに感じたもののある意味言葉が出ない光景だろうなと驚きと呆れに畏怖が混ざった奇妙な感想を抱いた覚えがあります
正直あまり面白いとは思いませんでしたが、本来のターゲットである子供たちが本作を手に取って、それをきっかけに他の「館」シリーズだとかミステリー作品に触れる契機になってくれれば良いなとは思います


No.119 8点 時計館の殺人
綾辻行人
(2025/02/17 09:25登録)
綾辻行人が手掛ける「館」シリーズで、個人的には「十角館の殺人」よりもこちらの方が好きな作品です
スケールの大きなメイントリックや、その伏線の貼り方が秀逸で、なんとか閉じ込められた地下の館から這い出た者(のちに口封じされる)のパニックに等しい驚愕のリアクションだとか、食事シーンでカップ麺が美味く感じないなんてさり気ない所まで、トリックが分かると「なるほど」と唸る部分が多分に含まれ、館シリーズとしてもミステリー作品としてもレベルが高いと感じてます
反面、キャラクターに関しては非常に曖昧で、一応、「奇面館の殺人」以外のシリーズは全て読破済みにも関わらず、メインとなる2人のキャラがイマイチ思い浮かばない。奇人変人なら良いってものではありませんが、キャラ付けに改良の余地がある気はしてます

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