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ミステリの祭典

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閻魔堂沙羅の推理奇譚
閻魔堂沙羅

作家 木元哉多
出版日2018年03月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2018/04/19 22:35登録)
確かにメフィスト賞受賞作にしては大人し過ぎる感じがします。ありきたりというか、意表を突いたところがどこにもなくて、正直新味という点においてもそれ程とは思えません。死亡した人間自身が己を死に追いやった犯人を推理するという趣向に新たなパターンを盛り込んだに過ぎず、特に沙羅が出てくるまでがかなり退屈な感は否めません。肝心の推理もまあごく普通の人間がおこなうわけであって、それほど複雑なトリックなども存在しません。しかし、10分で謎を解かなければならないという縛りの割には、スムースに解決してしまうのは、やや不自然というか無理があるようにも思います。

BLOWさんのご書評通り、完璧なるワンパターンで、しかも完全な予定調和でもあります。その為安心して読めるのは良いですが、意外性は全くありません。そこが残念ですね。ただ沙羅のキャラはなかなか魅力的だとは思います。シリーズ化されるのも分からないではないですが、安易に過ぎるのではないかという気もします。はっきり言って、本格ミステリをこよなく愛する読者にはかなり物足りないのではないかと思います。

第二弾に期待したいところですが、次はもう少し捻りを加えた本格的な謎解き、それもシリアスなのを一つくらい加えていただけると良いのではないでしょうか。例えば刑事や探偵が死者となって推理するとか。でないと、すぐに飽きられますよ。そして『奇譚』の名が泣きます。

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