グラスバードは還らない マリア・ソールズベリー&九条漣 |
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作家 | 市川憂人 |
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出版日 | 2018年09月 |
平均点 | 5.40点 |
書評数 | 10人 |
No.10 | 5点 | mozart | |
(2023/07/23 17:53登録) う~ん、ストーリーは悪くないと思うのですが、伏線は張ってあるのかも知れないけれど、ちょっとアレは……。 |
No.9 | 7点 | みりん | |
(2023/06/30 01:39登録) 不評なアレが気にならないほど良かったです。 【ネタバレがあります】 燃え盛る摩天楼に取り残されたマリア救出劇も見所が多いし、屈折率可変や透過率可変という土台を元に構成された動機やトリックにも関わってくる緻密なプロット、利益を最大化したような犯人の当初の計画などなどたくさんあるが、やはり一番驚嘆したのはグラスバードをめぐるドラマですね。 「ジェリーフィッシュ」「ブルーローズ」そして「グラスバード」 このシリーズは理知的なトリックと動機のバランスが素晴らしいと思います。 |
No.8 | 6点 | E-BANKER | |
(2022/10/29 12:20登録) 「ジェリーフィッシュ」「ブルーローズ」に続く、マリア&漣シリーズの第三弾。 『硝子鳥』=グラスバードの正体とは?NYの摩天楼のど真ん中で起こるど派手な超高層ビル崩落と連続殺人事件。二人が事件に関係するとき、事件は思わぬ方向に進んでしまう。 2018年の発表。 ~マリアと漣は大規模な希少生物密売ルートの捜査中、取引先に不動産王ヒューがいることを掴む。彼には所有する高層ビル最上階の邸宅で秘蔵の硝子鳥や希少動物を飼っているという噂があった。ビルを訪れた二人だったが、そこで爆破テロに巻き込まれてしまう。同じ頃、ヒューの所有するガラス製造会社の関係者四人は、知らぬ間に軟禁されたことに気付く。「答えはお前たちが知っているはずだ」という伝言に怯えて過ごしていると、突然壁が透明に変わり、血だまりに倒れている男の姿が!~ なるほど。他の方々が指摘されている点・・・確かにアンフェアなのかもしれない。 ただ、個人的にそこはあまり気にならなかった。というより、気付かなかった。トリックとは関係ないけど、ジェリーフィッシュだって架空の技術&存在だしな・・・ 過去三作の中ではやや評価が落ちるようだけど、決してそんなことはないと思う。相変わらずデカイ規模で作者の企みは炸裂しているしね。 本作の謎は大きく三つ。(作中でマリア&漣も指摘してます) ①犯人の正体と動機、➁犯人の侵入経路と脱出経路、③超高層ビルが爆破された理由 まぁ前二作を読んでいる身としては、場〇に関する仕掛けはなんとなく察することができたし、それが分かればある程度真相に手が届くことにはなっている。➁についても、隔絶された超高層ビルの最上階というとびっきりの密室なんだけど、その解法は本シリーズならではのもの(当然アレだよね。伏線は十分あったし) ただ、爆破というのは正直必要性は薄いし、それがせいで〇れ〇〇りを疑われる結果を招いてしまっている。 あと、真犯人が企図したシナリオに偶然アレが重なったというのは、本格ミステリーのプロットとしてはやむを得ないとフォローしておく。 あとはグラスバードの正体だが、これも自明とまではいわないけど、それほど複雑なものではない。作者もそこを掘り下げてはいないので、なんとなくスッキリしないところはあるのだが・・・ これでシリーズ三作を読破したわけだが、ミステリーとしてのレベルは高いと思う。プロットは割と同系列なんだけど、見せ方が旨いというか、本格ファンの心の「くすぐり方」を熟知しているという感じだ。 今のところ、あと一作短編集が出ているようだが、できるだけ続けてほしいシリーズ。 |
No.7 | 5点 | 八二一 | |
(2022/01/17 20:26登録) トリックが暴かれたその瞬間、鮮明に浮かび上がる人間の感情に胸を衝かれる。 |
No.6 | 5点 | ボナンザ | |
(2021/08/15 12:59登録) 例のトリック?というよりも新技術は確かに微妙。 |
No.5 | 6点 | じきる | |
(2021/03/28 23:32登録) ストーリーや大枠の構成部分は楽しめたが、流石にこのトリックは許容したくない気持ちになってしまう。伏線は一応張ってあるんだけどねぇ…。 |
No.4 | 6点 | まさむね | |
(2019/05/06 21:52登録) 「ジェリーフィッシュは凍らない」、「ブルーローズは眠らない」に続く、マリア&漣シリーズ第三弾。はっすーさんのおっしゃるとおり、評価が分かれそうな作品ですね。 謎は魅力的ですし、緊張感もある引き締まった展開なのですが、トリックの一つは如何なものかという印象は拭えません。「ソレを許容しちゃったら、何でもアリになってしまうのでは?」といった感じ。 時間軸を過去に設定しつつ、現在でもあり得ない架空の科学技術を持ち込むスタイルは作者の十八番だし、このシリーズの特長でもあります。そして、伏線も張られてはいるのです。しかし、ソレを舞台設定というよりも直接的なトリックに使ってしまうのはどうなのだろう。 とはいえ、楽しめたことも事実だし、三作連続で独創的で上質な作品を発表し続ける作者の実力と意気込みは素直に評価させていただきたく、この採点で。 |
No.3 | 4点 | HORNET | |
(2019/02/03 16:11登録) 世に名を馳せる不動産王、ヒュー・サンドフォードには法を犯した秘密がある。それは、自身の城である72階建て「サンドフォードタワー」最上階の邸宅で、輸出入禁止の希少動物を飼っているということだった。ヒューのごく近しい人間にのみ、その秘蔵コレクションを開陳しているのだが、その中で特に目を惹き、心を奪うのが「硝子鳥(グラスバード)」だった。 一方、マリアと漣は、偶然にも希少動物密輸湯の捜査の線上にヒューが現れたことをつかむ。だが政財界に強いコネクションを持つ相手であることから、上層部の圧力により捜査は打ち切りに。例のごとくそんな命令を無視してタワーを訪れた二人だったが、あろうことかタワー内の爆破テロに巻き込まれてしまう…。 同じ頃、ヒューの所有するガラス製造会社の社員とその関係者四人が、知らぬ間に拘束され、迷路のような密室に閉じ込められていた。状況がつかめずにうろたえる中、突然すべての壁が透明になり、一人が死体となって横たわっているのを発見する…。 1980年代という過去を舞台にしながら、現在ですらあり得ない空想的な科学技術がふんだんに盛り込まれる一方、携帯電話等がないなど、当年代なりの技術水準も踏まえられているという、一風変わったSFミステリだと思う。こんな複雑な構想、よく考えるなぁ、と作者の創作力には感心するものの、ミステリとしては前書評の”はっすー”さんにほとんど同意。一番の謎を、その「SF」で解決しちゃってはねぇ… 真犯人も、登場した時点で怪しいと感じてしまう出方で、解決編を読んでも「やっぱりね」と思ってしまった。事件の不可解な様相を生んだからくりには「なるほど」と納得がいったところがあるが、肝になる部分について反則の感があったのは、ぬぐうことができなかった。 独創的な創作力のある作家さんであることは間違いないので、今後の作品に期待したい。 |
No.2 | 3点 | はっすー | |
(2018/10/22 19:28登録) これは賛否が分かれる作品だと思います 自分は残念ながら否定側です ここからネタバレ 犯人の目的とトラブルによる事件全体の構図の変化などは面白かったもののメインのトリックがいただけない… 伏線を張っているとはいえ透明人間が謎なのに透明マントを使ってしまうのは禁じ手であり今後のシリーズ作品にも悪影響を与えてしまうのでは? そもそも国内の某短編作品で前例があるのもマイナスポイント 短編でさえガッカリしたトリックを長篇でやられてしまうとは… グラスバードの正体もあそこまで強調されて書き続けられてしまうと流石に鳥ではないぐらいのことは感いて人間では?と気がつく人も少なくない気がします 一応パラパラと読み返して見たものの作者が読者を騙そうと必死になりフェアとは言い難い表現が使われていてそこもマイナスポイントでした 以上の評価はジェリーフィッシュ・ブルーローズと佳作を書き続けてきた作者だからこその評価ということもあります 個人的に作者にいつかはオールタイムベスト級の作品を書いてくれるのではと期待していた中での今作…次作期待してます |
No.1 | 7点 | 虫暮部 | |
(2018/10/22 11:18登録) 魅力的な謎、に対して真相はやや物足りない、がしかし全体的なミステリの志向性は好感度高し。単行本の粗筋は、内容を明かし過ぎだしアンフェアっぽい文言も含まれるので読まないほうが吉。 揚げ足取り:傍点付きのそこそこ重要な会話文で、them は人・動物・物すべてに適用される単語なので、英語でその言い回しを使うと日本文として書かれているようなニュアンスにはならない、というところがあった。舞台がアメリカだとは書かれていないし、今何語で話してるの? と言うツッコミは野暮だけども。 |