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ミステリの祭典

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平均点:6.23点 書評数:286件

プロフィール| 書評

No.66 8点 一の悲劇
法月綸太郎
(2019/04/14 17:41登録)
<微妙にネタバレあり>
この前、最終章が気に入らなくてそこだけで3点マイナスしてしまった作品があったが、今回は正反対だった。最終章最終節だけでプラス3点してしまった。2時間ドラマ脳の自分は「どうせ義父犯人だろ、ほらやっぱり」と思い込んでましたよ。それにしても最後悲しいなあ。


No.65 9点 そして誰もいなくなった
アガサ・クリスティー
(2019/04/14 05:51登録)
先に読み始めたABC殺人事件は2割くらい読んで止まってるのに、こっちはよほど面白かったみたいで1週間くらいで読んでしまった。トリック自体はそれほどでもないけど構成が素晴らしい。後半の誰が語ってるのかが分かりにくい短いモノローグがいいですね。
ところで、2章で a nigger in the woodpileて表現が出てきて、何で突然黒人が出てくるんだろう、熟語かなと思ってweblioさんに入れたら、定義が「(計画を台なしにしたり、困難を引き起こすような)思わぬ要因」となっていて、こいつが犯人なのか?と思ってたら実際その通りでとまどってしまった。ここの翻訳どうなってるのだろう?

もうちょっと調べた感じ「インディアン島か。うーん。裏に何かありそうだな」と「インディアン島か。うーん。見えない障害があるな」と、ちょっと違った意味があるみたいだ。上の訳だとミスリーディングだと文句言われそうだし、下だと犯人ばらすなよと文句を言われそうだ。


No.64 4点 壁抜け男の謎
有栖川有栖
(2019/04/12 20:37登録)
色々な所に書いた短編の寄せ集め16編。半分くらいは推理小説ではない。
『猛虎館の惨劇』までに5つくらい面白い作品があったが後半はあんまり。


No.63 5点 翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件
麻耶雄嵩
(2019/04/07 18:13登録)
点数を付けにくい作品だ。
9章が終わった時点では8点±αくらいの感じで面白かった。ただ、どんでん返しのやり方がベタ過ぎて、大してミステリを読んでない自分でも「ああ、やっぱりそのパターンね」とか「ふーん、そうだったの」とか「そこまで人間関係くっつけちゃうのか」みたいな感想しか出て来ない。あの犯人が犯行を実行できるかとかも問題なんだろうけど、それ以前の問題。
そもそも、どんでん返しは物語が完結してると思わせた後で行うから驚かされるわけであって、この本の9章を読み終わって一件落着と思う人間がいるのだろうか?
自分の書評数はこの本で63冊目だけど、最終章でここまで極端に評価を下げた作品は初めてかも。
ところで『黒死館殺人事件』を読んだ後の方が楽しめるみたいな評もありますが、自分はむしろ逆じゃないかと思いました。ぶっ飛び具合やその他もろもろ、こちらの方がずいぶん薄味だから。先月あちらを読んでいたから免疫が付きすぎて、本来驚くべき所で驚けなかった気がする。


No.62 5点 ペルシャ猫の謎
有栖川有栖
(2019/04/06 06:53登録)
各話感想
①『切り裂きジャックを待ちながら』
火村登場までは面白そうだったんだけど、謎解きはそうでもなかった。
②『わらう月』
言われてみれば確かにそこから細工がばれるのか。最後の3行が面白い。
③『暗号を撒く男』
小ネタとしては悪くない。長編では使えなかったのかな。
④『赤い帽子』
申し訳ないが4割ほど読んでギブアップ。 こういう小説は苦手。
⑤『悲劇的』
マーラーの6番シンフォニーから題名を取ったと書いてるが終わり方が逆じゃないか。あの曲は熟睡してても最後起きる。
⑥『ペルシャ猫の謎』
まあ反則でしょうけど、短編で1回使うくらいなら別にいいんじゃないかと思った。
⑦『猫と雨と助教授と』
え、もう終わり?

ミステリ要素少な目かつ禁じ手?があるので平均点が低いのはしょうがないか。個人的には④以外は別に嫌いじゃない。点数は最後まで読んだ6作の平均。


No.61 6点 もう誘拐なんてしない
東川篤哉
(2019/04/06 00:10登録)
狂言誘拐と2つの殺人事件をうまく絡ませたストーリーです。あ、1つ目の殺人事件放りっぱなしじゃないか・・・
トリックは意外にもアリバイ物。どうでもよさそうな記述がヒントだったり、細かい所まで結構こだわっています。
問題点は終盤あそこまでドタバタさせる必要があったのかということ、犯人と動機が分かりやすすぎること、そして1つ目の殺人事件を放置したこと。


No.60 4点 南青山骨董通り探偵社
五十嵐貴久
(2019/04/05 18:03登録)
途中まではキャラクターの設定を含めてそこそこ楽しめたけど、中盤から話がグダグダし始めて、最後は2時間ドラマで量産作家がよくやる「なんとか辻褄を合わせて終わらせた」みたいな感じだと思った。4~5点て所だけど、2作目を読もうとまでは思えなかったのでちょっと辛めに4点で。


No.59 1点 ○○○○○○○○殺人事件
早坂吝
(2019/04/05 05:29登録)
お笑いを見ていると、ネタがマニアックすぎて一部の人にしか理解できないので、その他大勢には笑えないという芸人が稀にいます。例えばハリウッドザコシショウのマンガネタ、ゲームネタとか。あ、わかるときは面白いですよ。
逆に話している内容は完全にわかるけど、さっぱり面白さがわからないという芸人もいます。
去年、漫才のM1グランプリを見ていて、後者のタイプのコンビがいました。審査員は高得点、会場も結構受けている、自分はテレビの前でポカーン・・・という状況です。宴会芸か何かにしか見えない。翌日周りの人間に聞くとやっぱり完全に意見が割れていて安心したのですが。
この本もそんな感じで、書いてあることは理解できるが、何が良いのかよくわからないというやつです。賞を獲ってるから審査員は評価したのでしょうけど、自分には内容も文章もプロの作家の作品には到底思えない。これがイグノーベル賞みたいな賞ならまだ理解できるんですけど。(追記、調べてみたらメフィスト賞てそういう感じの賞なんですかね?)
ついでに言うと笑えませんでした。

以下ネタバレあり
<追記>全体としては3~4点くらいの感じなんだけど1点にした理由
・本の題名は「あ」から考えはじめるといきなり正解候補にぶつかる。仮面の男が出てきた時点で、多分当たりだろうと考える。「尻」がキーワードなんだろうなと思う。むしろヒントが邪魔になる。
・入れ替わりトリックは今までにもいくつか読んだが、これは99%ばれると思った。局部がどうのこうので到底ごまかせるとは思えない。
・クーラーボックスのトリックも適当すぎると感じた。あれが偶然成功する可能性はどのくらいあるのだろう。猫は少々のものなら暴れて脱出してしまうだろうし(人間がちょっと重いなと思う網戸や窓でも奴らは普通に開けるぞ)、逆に数分で脱出できなかったら氷が解けるころには冷たくなってるんじゃないか。

精読する気にならない文章なので、かなり急いで読んだけど、これだけは覚えてる。探せば他にもまだまだあるんじゃないかな。現実的なミステリで、細かい所が色々と甘すぎると感じたので2~3点引いてこの点数。


No.58 4点 探偵部への挑戦状 放課後はミステリーとともに2
東川篤哉
(2019/04/05 01:50登録)
鯉ヶ窪学園シリーズ第4弾。読むなら、前作を読んでからの方が良い。
ただし前作よりかなり落ちるから、正直このシリーズのファン以外にはお薦めしない。個人的には5点(まぁ楽しめた)だが一般的には3点くらいの出来。間取って4点にします。霧ヶ峰涼シリーズのベストは前作の2作目『霧ヶ峰涼の逆襲』で間違いない。

①『霧ヶ峰涼と渡り廊下の怪人』
体育祭前というのを利用したネタ。ばからしいが絵を想像すると笑う。
②『霧ヶ峰涼と瓢箪池の怪事件』
三馬鹿の2人が登場、霧ヶ峰と初顔合わせ。アレが棍棒に見えるか疑問。
③『霧ヶ峰涼への挑戦』
三馬鹿の残り1人が登場。若干アンフェアだが面白い。
④『霧ヶ峰涼と十二月のUFO』
前作のUFO騒動と比べるとかなり落ちる。
⑤『霧ヶ峰涼と映画部の密室』
ネタ切れか・・・
⑥『霧ヶ峰涼への二度目の挑戦』
赤坂君のキャラがいい。ストーリーはドタバタ。
⑦『霧ヶ峰涼とお礼参りの謎』
3年生卒業。トリックは・・・もうどうでもいいや。

短編はネタ切れぽいけど、4作で終わらせるのは惜しいシリーズ。
時間さかのぼって三馬鹿で長編を書いてほしい。


No.57 6点 謎解きはディナーのあとで
東川篤哉
(2019/04/03 02:58登録)
東川氏の本は過去に4冊読んでいるが、この本が今までで一番癖がなかった。野球ネタもそれほどマニアックじゃないし、特定の人にしかわからないギャグも少ない。

①『殺人現場では靴をお脱ぎください』
これが一番良かった。このトリックは盲点だった。
②『殺しのワインはいかがでしょう』
ワイン好きならすぐわかるトリック。逆に飲まない人は聞いてもわかりにくいかも。
③『綺麗な薔薇には殺意がございます』
猫が重要な役目なのはおもしろい。
④『花嫁は密室の中でございます』
これが次点。活字ならわかるかもしれないが、聞いただけで謎を解明した影山はすごい。
⑤『二股にはお気をつけください』
野球ネタが笑えたくらいでいまひとつ。
⑥『死者からの伝言をどうぞ』
これもそれほどではないか。


No.56 9点 孤島パズル
有栖川有栖
(2019/04/02 21:30登録)
学生アリスシリーズの第2弾。まず、前作と比べると格段に読みやすい。
登場人物もメモを取らずとも覚えていられる人数で安心。派手なトリックとか、意外な犯人とか、声を上げてしまいそうなどんでん返しとかはないが、とことんロジカルで心地が良かった。

<以下ネタバレあり>

「自転車が外に2台」の時間が存在したんじゃないの?と思って読み返したら、3台目は見えてなかっただけで、ずっと3台でも問題ないんですね。納得。
電子書籍で購入して読んだから、これを確認するのにかなり時間がかかった。前のページを何回も確認する必要のありそうな本の電子書籍は今後避けよう。


No.55 6点 十三の呪
三津田信三
(2019/03/31 01:03登録)
死相学探偵シリーズ第一弾。
主人公の祖母は大霊能者。主人公は隔世遺伝で「人間の死の影」がはっきりと見える。その点のみ祖母の能力を上回ってるが、本当にそれだけであり、呪いをかけたり解いたりする霊能者の能力はない。
そんな主人公が探偵事務所を開いて、これが最初の事件。

感想箇条書きで
・ホラー文庫だが大して怖くない。首無の方がよほど恐怖だった。
・主人公が無愛想過ぎる。謎解き前あたりからマシになるけど。
・主人公の能力が非常に限られているので、人がどんどん死んでもほとんど何もできない。
・最初から霊能者のばあさんを呼べばよかったんじゃと思ってしまう。
・イケメンホスト風の表紙を見て、軽い小説だと思ってジャケ買いした人には内容が重すぎるだろう。冒頭、無愛想どころか怖い人だし。
・推理小説要素は少なめ。犯人当てのみそれっぽい。
・結論。どういう読者層を狙っているのかいまいちわからなかった。まあ別に面白くないことはないんですが。


No.54 6点 密室の鍵貸します
東川篤哉
(2019/03/30 18:13登録)
デビュー作ということで、ギャグは控えめ、お得意の野球ギャグはなし。軽い雰囲気にもかかわらず、ちゃんと本格しているのは後年の作品同様でした。飛び降り現場で茂呂が志木を見て驚いた理由はなるほどと思わされました。殺人の動機にはたまげたなあ、と反応するのが正しいのでしょう。


No.53 10点 首無の如き祟るもの
三津田信三
(2019/03/30 03:03登録)
面白かったです。サイト内国内作品現状トップにふさわしい傑作だと思いました。
過去の書評を見ると「横溝正史より軽い」とか「読みやすかった」とか「3時間でさらっと読んだ」とか書かれてる方がおられますが、私には非常に重々しい作品に感じられました。『黒死館殺人事件』以外では最もスローペースで読み進んだと思います。10時間くらいはかかったのではないでしょうか。特に謎解きは少々複雑なので、止まって整理したり、時には戻って確認しながら、存分に味わって楽しみました。
このシリーズを初めて読むからか、刀城言耶という探偵に魅力はそれほど感じられなかったのですが(まあ今作は最後がああいう形だから当然かもしれませんが)、探偵より魅力的な登場人物が5人も6人もいる作品は初めてなので新鮮でした。


No.52 8点 名探偵の掟
東野圭吾
(2019/03/28 18:10登録)
『超・殺人事件―推理作家の苦悩』よりも風刺は軽い。こちらの方が好きかな。各所に突っ込みを入れるが、悪意がほとんど感じられないのが良かった。むしろ作者のミステリ全般に対する愛情が感じられた。『花のOL湯けむり温泉殺人事件』でさえそういう作品の需要があることを否定していない。
『屋敷を孤立させる理由』の大掛かりすぎるトリックは情景を思い浮かべて笑ってしまった。『アンフェアの見本』も言うほどアンフェアでなくて普通に楽しめた。


No.51 6点 放課後はミステリーとともに
東川篤哉
(2019/03/27 18:52登録)
鯉ヶ窪学園探偵部副部長、霧ヶ峰涼が主人公の短編集。なぜか長編の馬鹿トリオは出演しない。初めの2編の出来がいい。途中から野球ネタが減るが、それに比例して作品自体の出来も下降。魔法を封じられた魔法使いのようだ。東川氏はとことん野球が好きなのであろう。
①霧ヶ峰涼の屈辱
日本人の10%にしか分からないような野球ネタを連発する。長編より更にネタがマニアック化してる気がする。
ただし、わからなくても読める。名作だと思う。
②霧ヶ峰涼の逆襲
短編の割に話が二転三転して面白い。これがベストか。


No.50 9点 黒死館殺人事件
小栗虫太郎
(2019/03/25 17:41登録)
他の本の合間合間に読み続けて1ヶ月くらいかかってやっと読了。さてどれだけ理解できているのやら。
法水のペダンティックな知識披露はどこまでが事実でどこからが虚構なのか正直わからない。ググっても黒死館殺人事件関連のページしか出てこない単語は虚構という認識でよいのだろうか。存在する単語にしても、法水の知識が正しいのかどうかよくわからない。実はほとんどがハッタリのような気がしないでもない。
漢字の羅列にやたらとドイツ語のルビが付いているが、基礎的な単語が多いのでむしろそちらの方がわかりやすかったりする。発音が一昔前のオペラ歌手みたいなので最初ちょっと戸惑ったが。

さて法水の推理は荒唐無稽なものが多い。実際、事件が起こって最初に指摘した犯人はほとんど外れている(容疑者揺さぶりのためにわざと間違い推理をすることも2回くらいあったが)。ただし「あの人はもう死んでいる!」という突然の予言めいた宣告はなぜか当たる。解明された謎の数々も苦笑してしまうほど突飛な物が多い。
しかしである。この作品そもそも、事件そのものが現実にはほとんど、または絶対に起こりえないことの連続なのだ。だから最初から半分SFのつもりで読めば腹も立たない。そして法水の無茶苦茶な推理を支倉や熊代と一緒に楽しむのが正しい読み方だと思う。
珍しく「まっとうな」推理の時は大外れで、「こじつけここに極まれり」みたいな時に大正解だったりしますが、笑って済ませましょう。
前半読みにくかったけど、後半はそうでもなかったです。悪文だという方もいますが地の文の妙なリズム感は癖になります。
小ネタがこれでもかとばかりに詰まった宝箱、という感じのサービス過剰小説です。特に終盤の複数回にわたる暗号の強引すぎる解読は見ものです。

色々と問題がある小説だとは思いますが、これだけ楽しませてもらって低い点数は付けられません。


No.49 7点 人形はなぜ殺される
高木彬光
(2019/03/25 17:39登録)
評価平均8点オーバーてことで、ちょっと期待しすぎたかなあという感じ。
名作なのは間違いないとは思う。なんというか本格推理の教科書とでも言う雰囲気である。
しかしながら一番の見せどころであるメイントリックがいくらなんでも簡単すぎじゃないかと思った。簡単というより、正直すぎるとでもいった方が適当だろうか。1つしか可能性が思い浮かばなかったらやっぱりそれだったという。
あと3幕が他の幕に比べてグダグダとしているように感じた。


No.48 9点 殺意は必ず三度ある
東川篤哉
(2019/03/25 00:03登録)
探偵部の「馬鹿トリオ」(作者の命名)が主人公のシリーズ第2弾。前回はやたらと野球ネタが随所に挿入される密室物でしたが、今回は野球そのものがミステリになってしまいました。
相変わらず、いや前作以上の緩さとギャグ満載で進みますが、第5章に入ると突然本格推理の世界に早変わり。油断していた所に突然大きなトリックがガツンと来たのでそれは驚きました。
後から考えると、球場の外野が芝生でないとか、必要最小限の設備しかないとかの細かい描写も伏線として機能しており、細部の配慮も抜群です。2つ目、3つ目の事件があまり面白くないという欠点はありますが、全体としてみれば非常によくできた作品だと思いました。
ただし野球のルールが一通りわかるくらいの予備知識は必要ですので、野球に全く興味のない人にはお薦めできません。というか、ギャグも野球がらみネタが多いので、とことん楽しめるのは野球好きだけのような気がします。
東川さんは他のシリーズが大売れしてしまったらしく、このシリーズの長編はこれを最後に出ていないとのことで残念。このトリオ大好きなので採点は甘いです。


No.47 7点 スウェーデン館の謎
有栖川有栖
(2019/03/24 11:26登録)
派手さはないが丁寧でフェアでロジカル。そして何より現実的。スウェーデン館自体も普通だし、一般人が普通に手に入れられない物を一切使っていない。煙突はシンプルすぎて逆に驚きました。

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