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ミステリの祭典

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名探偵の掟
天下一大五郎シリーズ

作家 東野圭吾
出版日1996年02月
平均点6.52点
書評数56人

No.56 6点 文生
(2021/08/25 05:28登録)
本格ミステリあるあるネタを集めたパロディ作品で、過剰なまでのお約束展開にうんざりする主人公の姿は笑えます。ただ、話を重ねるごとにマンネリ化を感じ、終盤になると飽きがくるのが難。

No.55 7点 Kingscorss
(2020/09/19 20:40登録)
東野圭吾の初期作品で、いわゆるバカミス。

内容は古今東西の有名ミステリーのパロディをベースにし、メタ視点で皮肉交じりに斬りまくる怪作で、どのエピソードもミステリーマニアからしたら吹き出すネタ満載の短編集です。

いや、素直に軽い気持ちで読む分には最高です。声出して笑ったやつもありました。
ところどころ、ネタではなくて東野圭吾さんの心の声がダダ漏れなのがまた良い感じです。2時間ドラマ編のメタ発言は、これ絶対自身の作品を映像化の際にダメにされた恨みを滔々と語らせてると確信しました。面白すぎる。

マイナス点は、最初から最後までメタ発言全開なので、メタ視点が嫌いな人に対してはあまり面白いと感じ辛いのと、誰でも最初の方は文句なしに面白いんですが、途中からこの作風に慣れてきてそこまで面白く感じなくなってくることでしょうか… まぁ、どんなコントも長く見てると不感症になるのと同じでしょうがないですよね。

とはいえミステリーマニアでまだ未読ならおすすめの一作です!

No.54 6点 zuso
(2020/03/10 20:54登録)
古来、平安古典や忠臣蔵の、本歌取りや揚げ足を取った作品は数多い。これもそういう流れにあるものと考えてもらった方がいい。そしてまた、ここに収められた作品は、正面から本格に向かい合う作品と同じく、考え抜かれた趣向がこらされている本格推理のパロディ。

No.53 8点 mediocrity
(2019/03/28 18:10登録)
『超・殺人事件―推理作家の苦悩』よりも風刺は軽い。こちらの方が好きかな。各所に突っ込みを入れるが、悪意がほとんど感じられないのが良かった。むしろ作者のミステリ全般に対する愛情が感じられた。『花のOL湯けむり温泉殺人事件』でさえそういう作品の需要があることを否定していない。
『屋敷を孤立させる理由』の大掛かりすぎるトリックは情景を思い浮かべて笑ってしまった。『アンフェアの見本』も言うほどアンフェアでなくて普通に楽しめた。

No.52 8点 斎藤警部
(2019/03/23 08:34登録)
『電気グルーヴのメロン牧場』並みに、電車で読むと危険な本(ブッと噴き出しちゃうから)。メタパロディの領域掠める大パロディ大会の体だが、一作ごとそれなりにちゃんとした推理小説的ヒネリの落とし前を付けているのが素晴らしい!チェンジオヴペースの置き所も絶妙。王道を踏む事にこだわる著者ならではの新変化球アイデア素描(本作に登場するトリックそのものではない)の様相もあり興味津々(このへん文庫解説の方が詳説)。一作、一部で知られる某ディープ論理パズルを彷彿とさせる大笑い結末のブツがあり、その結末を剛腕センタリングでアシストするパロディ大車輪の噴出部分も含めて流石は俺の東野、魂は理系ミステリの鬼だぜと、膝を叩いたものでした。一番気を持たせるタイトルの某作、アンフェアの中にも、読み返せば、しっかりフェアであることの伏線(言い訳?)が張ってあるのにはシビレます。著者代表作の一つに数えられてしかるべきでしょう。氏の最高傑作と称する人がいても不思議ではありません(私は違うけど)。本当に、よくぞ書いてくれました、こういうの。珍妙な登場人物名でいちばんヤバかったのはアリバイ工作に勤しむ「蟻場耕作(ありば・こうさく)」かな。こりゃ噴き出しましたよ。

No.51 6点 風桜青紫
(2016/01/18 02:46登録)
発想は文句なしの面白さで、『花のOL湯けむり温泉殺人事件』と『トリックの正体』には笑わせてもらった。しかしまあ、ところどころ登場人物の文句が風刺や皮肉というより、単なる文句になってしまっているのが残念なところ。『ある閉ざされた雪の山荘』でも思ったが、登場人物に作者の言葉を安直に言わせてしまっては、必死さが伝わってきて読む側がひいてしまう。それにしても、売れない作家の叫びのような作品で注目を集めた作者が、いまや売り上げナンバーワンのミステリ作家になってしまおうとは誰が予測しただろう(笑)。

No.50 8点 ニックネーム
(2016/01/10 22:58登録)
第六章と第十章が特に面白かったです。

No.49 5点 いいちこ
(2015/02/16 16:26登録)
ミステリのコードを揶揄する作品群を通じて、安易なトリックの濫用と、それが無批判に受け入れられる風潮への問題認識を提示。
本格に対する愛情・愛着と自作に対するプライドが強く感じられた。
ただ同じパターンが12回続くため、後半は正直食傷気味。
同様の趣向の「超・殺人事件」と比較すると、一段も二段も落ちると言わざるを得ない。

No.48 6点 ボナンザ
(2014/04/08 01:55登録)
内容も一級品だが、それを惜しげもなくこのために使うのがすごい。
アンフェアの見本は一読の価値有り。

No.47 9点 バード
(2013/09/28 13:25登録)
個人的にはこれだけ上手くミステリを皮肉ってる作品はほかに無いと思う、10点をあげたいところだがそれをやるのは流石に他の正統派本格物に失礼なので自重。

それぞれの話にテーマがあり上手く皮肉をきかせている、印象深い話が密室、ご都合主義、殺すなら今、私が犯人などいくつもあり天下一や大河原警部など登場人物のコミカルさも良かった。
ある程度ミステリを読んだ人ほど作者のメッセージが伝わると思うので読者の読むタイミングによっても楽しめるかどうかが変わると思う。

No.46 4点 蟷螂の斧
(2012/03/27 21:37登録)
本格を謳いながら、実はつまらない作品が多いとの批判なのでしょう。だからといって著者に本格志向があるとも思えませんでした。ただ面白いミステリーを書きたいとの意思は感じることができましたが・・・。共感できたのは、二重人格ものは読者の叱責を受けるという点でした。

No.45 7点 makomako
(2012/03/25 09:36登録)
 なるほど推理小説作家はこんなことを考えて書いているのだ妙に納得して読みました。私もここで語られているようないい加減な読者なので、きちんとした本格ものではほとんど犯人もトリックも分からず、だいたいは名探偵の推理に感心してしまう。作者にとっては実にありがたい読者なのです。
 この小説パロディーとしても面白いのだけどちょっと長すぎて、最後のほうになると息切れがしてくる。この三分の二ぐらいのところで終わっていたらもっと面白かった。

No.44 8点 Tetchy
(2011/12/04 20:44登録)
とにかく普通の短編集ではない。登場人物が小説世界にいながらにして途中でメタの存在となり、自らの置かされている状況について色々不満を述べ、時には作者を貶したりする。事件も通常のストーリーのようには展開せず、ミステリにありがちな手続きに関しては省略されるし、時には事件に直接関わりあいのない人物は男性Aだの女性Bだのと簡略化される。そう、本書で語られるのは物語ではなく、本格ミステリという作り物の世界が抱える非現実的な設定や内容に対する揶揄や疑問のオンパレードなのだ。

しかしそれでも一応トリックはあるし、それなりにオリジナリティも感じられる。自分の知っている限り、他の作家のトリックをそのまま転用した物は見当たらなかった。もともと東野氏はトリックを創出することに苦労はしないと云っているから、これは東野氏の数あるトリックネタの棚卸しなのでもあろう。

これは東野氏の本格ミステリからの訣別の書なのか?いやいや逆に本格ミステリを愛するが故の提言と理解しよう。なぜならこの後、東野氏は敢えて最後に犯人を明かさずに読者に推理をさせる実験的小説『どちらかが彼女を殺した』や『私が彼を殺した』といった野心的な本格ミステリを続けて書いているし、科学とトリックを融合させたガリレオシリーズも書いているからだ。逆に云えば、ここには本格ミステリが抱える不自然さを敢えてこき下ろすことでその後の自作については決してそんな違和感を抱かせないぞと、ハードルを挙げているような感じさえ取れる。

そしてこの作品を読んで「ああ、面白かった」で済ませてはならないだろう。これは東野氏が今までのミステリではもうダメだと明言しているのだから、今の本格ミステリ作家、これから本格ミステリを書く人たちは本書に書かれた示唆を踏まえてミステリを書かなければならない。本書が刊行されたのが1996年6月。既に15年以上が経過しているが、果たして本格ミステリは変わっているだろうか?

No.43 6点 itokin
(2011/08/26 14:23登録)
なんと、こんな書き方もあるのかとそのアイディアーにびっくり。ミステリー小説の内面に入ったもので、それぞれ作家は、一定の枠の中で知恵を絞っているのだなとある意味感心させられた。

No.42 6点 haruka
(2011/05/28 23:11登録)
馬鹿馬鹿しくも本格ミステリの急所を突いていて思わずにやりとさせられる。

No.41 5点 つよ
(2011/05/02 21:32登録)
気軽に読みたいときは。

No.40 8点 ムラ
(2010/12/15 22:08登録)
ユーモア作品としてはかなり面白かったし笑えました。
これでもかってくらい皮肉ってますね、最高です。
天下一と警部のキャラクターも好き。
一つ一つのトリックも、昔ならドン! と出せる物ばかりでは無いでしょうか。
最後は切ないですけどね

No.39 7点 まさむね
(2010/02/11 16:04登録)
茶化し具合が本当に面白く,一気に読めてしまうのですが,読後,改めてミステリとは…そしてとそれに対する自分の心構えとは…などと考えさせられた作品でもありました。いろんな意味で,読む価値大の作品。

No.38 6点
(2009/12/24 15:10登録)
本格ミステリの書き手、読み手に通じる暗黙のルールを示すことが本書の趣旨だとすれば、すべてに納得でき、その結果楽しめました。しかも、パロディで茶化して笑わせてくれるので二度美味しいです。
本書が出た当初、すぐに購入し、その後何度も読み始めるのですが、そのたびに、あまりのばかばかしさと、メタミステリの構成とに嫌気がさして途中で投げ出していました。今回趣旨がわかって、やっと読了できました。ミステリとしての出来はともかくとして、これだけ楽しめればある程度の評価はできますね。

(余談ですが)本書や、メタミステリの一種とされる読者への挑戦(特にクイーン)など、あからさまに読者へ問いかけるものは、物語に入り込むタイプの私にとって、興醒めし読む気が失せてしまうので好きになれませんでしたが、ミステリファンなら、こだわりなくなんでも読むべきですね。歳とともに、何でもOKのミステリ嗜好にもなってきましたし(笑)。

No.37 6点 simo10
(2009/11/22 20:27登録)
ウケました。
作者のミステリに対する苦悩が見事に皮肉られている作品です。
自分もちゃんと推理せずに「誰が犯人だったら面白いか」と考えてしまうタイプなので悪い読者だなぁとも思わされてしまいます。

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