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ミステリの祭典

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探偵部への挑戦状 放課後はミステリーとともに2
鯉ヶ窪学園探偵部シリーズ/改題『探偵部への挑戦状 放課後はミステリーとともに』

作家 東川篤哉
出版日2013年10月
平均点4.33点
書評数6人

No.6 5点 バード
(2019/07/26 21:10登録)
(再読シリーズ4)

こういう軽めのタッチで書かれているミステリの楽しみ方は色々あって良いと思う。王道に謎やトリックを重視してもいいし、キャラクターの良さに主眼をおいても良い。
私はというと、キャラクターやコメディの良さを楽しみつつ、やはり、トリックやロジックの上手さも気にしたい欲張り者です(笑)。ざっと振り返ると本作は粒ぞろいの謎が多く、その点評価は高い。しかし七編の中に足跡ネタが3件、凶器消失ネタが2点と被りが多かったのも事実。同一書籍内に収録するならその辺の被りは減らして欲しかった。その分1点減点した。

以下各話書評(タイトルの霧ヶ峰涼は省略)
・渡り廊下の怪人(6点) 被害者が都合よく事件の前後を忘れるという点以外はご都合要素がなく、現実的と思う。短編集の出だしとしてはまあまあ。

・瓢箪池の怪事件(5点) 遠目とはいえ、わたあめを棍棒と見間違えるかな?先輩との漫才がメインで事件は微妙感が・・・。凶器はカッターだが、学園祭の中でのストレス発散にしては流石に殺傷力高すぎないか。

・挑戦(6点) 双子と密室の謎を組み合わせているが、謎の面白さはそこそこかな。どちらも単体ではこてこてすぎるからねえ。笑い声の伏線は面白かった。

・十二月のUFO(4点) 本作の中で最も事件がつまらなかった。ただしシスター・アンジェリカの台詞は一々笑える。

・映画部の密室(5点) なんとなく、薄型テレビを窓の格子の間から二人がかりで運搬したのかと予想したが、全然違った(笑)。

・二度目の挑戦(7点) これは面白いトリックと思った。証拠の一輪車が見つかったらアウトだから、実際の犯罪への応用は難しい。つまり、こういう推理ゲームならではのgood ideaでしょう。

・お礼参りの謎(7点) 突き抜けたバカミス感が良かったです(笑)。鯉を使った理由も説得力はあったし、それに気づく過程も先生の科目の特性が使われていて丁寧。何より読後感が良い。

No.5 4点 mediocrity
(2019/04/05 01:50登録)
鯉ヶ窪学園シリーズ第4弾。読むなら、前作を読んでからの方が良い。
ただし前作よりかなり落ちるから、正直このシリーズのファン以外にはお薦めしない。個人的には5点(まぁ楽しめた)だが一般的には3点くらいの出来。間取って4点にします。霧ヶ峰涼シリーズのベストは前作の2作目『霧ヶ峰涼の逆襲』で間違いない。

①『霧ヶ峰涼と渡り廊下の怪人』
体育祭前というのを利用したネタ。ばからしいが絵を想像すると笑う。
②『霧ヶ峰涼と瓢箪池の怪事件』
三馬鹿の2人が登場、霧ヶ峰と初顔合わせ。アレが棍棒に見えるか疑問。
③『霧ヶ峰涼への挑戦』
三馬鹿の残り1人が登場。若干アンフェアだが面白い。
④『霧ヶ峰涼と十二月のUFO』
前作のUFO騒動と比べるとかなり落ちる。
⑤『霧ヶ峰涼と映画部の密室』
ネタ切れか・・・
⑥『霧ヶ峰涼への二度目の挑戦』
赤坂君のキャラがいい。ストーリーはドタバタ。
⑦『霧ヶ峰涼とお礼参りの謎』
3年生卒業。トリックは・・・もうどうでもいいや。

短編はネタ切れぽいけど、4作で終わらせるのは惜しいシリーズ。
時間さかのぼって三馬鹿で長編を書いてほしい。

No.4 2点 E-BANKER
(2019/02/08 21:51登録)
「放課後はミステリーとともに」に続いて、私立恋ヶ窪学園探偵部シリーズの連作短篇集。
本作は多摩川部長を中心とした(?)三馬鹿トリオではなく、副部長霧ヶ峰涼が主役となる・・・(まぁどうでも良いが)
2013年の発表。

①「霧ヶ峰涼と渡り廊下の怪人」=“怪人”でも何でもない。単なる騎○戦・・・。あ~あ脱力!
②「霧ヶ峰涼と瓢箪池の怪事件」=凶器の消失がメインテーマなのだが・・・。これ成功するか?  だった○アメだし・・・っていうのは野暮なのか?
③「霧ヶ峰涼への挑戦」=「霧ヶ峰」VS「うるるとさらら」・・・これがエアコン対決!
④「霧ヶ峰涼と十二月のUFO」=UFOをこよなく愛する美人教師(?)池上先生が探偵役となる一編。これは・・・実に映像的というか、頭の中でこの光景がスローモーションで流れた。
⑤「霧ヶ峰涼と映画部の密室」=これが最もミステリーっぽいトリック(実にしょうもないけど・・・)。普通気付くよ!
⑥「霧ヶ峰涼への二度目の挑戦」=③に続いて「霧ヶ峰」VS「うるるとさらら」第二弾。真相はもはやどうでもよく、ドタバタ感を楽しむのみ。
⑦「霧ヶ峰涼とお礼参りの謎」=こんなおフザケミステリーだけど、ネタ切れだったんだなぁーと思わせる一編。アレが凶器なんてあまりにもヒドイ!

以上7編。
ミステリーとしては「壊滅的」といえる水準。
これを時間をかけて読む人ってどんな奴?って思ってしまう!?
出版社もよく許したな、こんな出来で・・・

そんな作品を読む私も「どうかしてた」。
反省してます・・・
作者ももうちょっとまともな作品を書いてください。
上から目線かもしれませんが・・・

No.3 5点 mozart
(2015/09/26 16:27登録)
本格テイストは薄味ですがすらすら読めました。作者のギャグ感は結構自分のような「高齢者」向きなのかな、と。涼とうるるの「対決」もなかなか面白かったけど、もうひとひねりあっても良かったと思いました(特に二度目)。

No.2 5点 まさむね
(2013/12/12 22:47登録)
 鯉ヶ窪学園探偵部副部長・霧ヶ峰涼シリーズの続編。冒頭から,前作「放課後はミステリーとともに」の一部ネタバレが有るので,両作品とも読むつもりなのであれば,読む順番に気をつけるべし。
 ミステリ的には小粒揃いで,前作から相当にダウンしていると言わざるを得ません。
 でも,霧ケ峰涼のライバル「大金うるる」との掛け合いは結構楽しめたかな。個人的ベストもうるる初登場の「霧ヶ峰涼への挑戦」。フェアではないのだけれども,ネタとしては面白い。
 鯉ヶ窪学園探偵部の3馬鹿トリオ(実はこちらが本家)に久しぶりに出会えたことも良かったかな。

No.1 5点 kanamori
(2013/12/05 18:32登録)
鯉ヶ窪学園の探偵部副部長・霧ヶ峰涼シリーズの連作短編集、「放課後はミステリーとともに」につづく第2弾。
今回は、鯉ヶ窪学園・長編シリーズの探偵部三人組との初のコラボとなっています(というか、なぜこの三人は前作で登場してこなかったのだろうw)。

本作で扱われている謎は、密室状況下の盗難や足跡のない犯行現場からの犯人消失、消えた凶器など、不可能トリックを中心とするものですが、体育祭や文化祭など学校行事に絡めたトリックとなっている点に工夫が見れるものの、総じて脱力系のものが目立つ。前作より出来は落ちる印象。
なかでは、探偵部とライバル関係にあるミステリ研究会から推理ゲームの挑戦を受ける「霧ヶ峰涼への挑戦」がまあ面白かったが、ややアンフェアな感じもする。

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