人形はなぜ殺される 神津恭介シリーズ |
---|
作家 | 高木彬光 |
---|---|
出版日 | 1955年01月 |
平均点 | 7.96点 |
書評数 | 70人 |
No.70 | 9点 | hsiyehmeipo | |
(2024/04/15 17:18登録) なんとなく犯人はわかったけど、トリックは全然気づかなくて「なるほど!」となった。 人形はなぜ殺されるの題名の通り、人形が殺される理由がちゃんと説明されていて面白かった。 |
No.69 | 8点 | 密室とアリバイ | |
(2023/05/02 19:14登録) 雰囲気が抜群に素晴らしい |
No.68 | 6点 | みりん | |
(2023/02/12 01:56登録) 推理すればギリギリ当てられるかどうかくらいの絶妙な難易度だと思う。当然自分は気づかなかったが |
No.67 | 9点 | じきる | |
(2020/10/25 01:52登録) 古典探偵小説の理想を体現したような作品。 まず、怪しげなマジシャン達が織りなす怪奇要素に彩られたストーリーが魅力的。 犯人を当てるのはそう難しくはないかもしれないが、それ以上に謎が解明されるロジックが鮮やか。メイントリックは大胆かつエレガントで、それがタイトルに帰結するのもお見事です。 |
No.66 | 5点 | レッドキング | |
(2019/06/02 11:59登録) 鍵のかかった箱という「密室」から人形の首が消失し、ギロチンにかけられた屍体から生首が紛失して、人形の首が代わりに残される。何故に人形の首は生首に入れ代ったのか・・・ 「刺青」「能面」で描かれた「心理的誘導のための密室構成」という妙味は、この作品でも効いてはいる。が、そのトリックが「箱からの人形の首消失」って、「刺青」「能面」の密室殺人に比べれると、あまりにもちっちゃい。 で、肝心なメインの「何故に人形は殺されたのか」事件、イマイチつまらない。あれでは「トラベルミステリー時刻表アリバイトリック」ではあるまいか。 |
No.65 | 3点 | 虫暮部 | |
(2019/04/09 13:15登録) 何か変だ。 ネタバレしつつ書くが、人形を使ったアリバイ工作をする必要なんてあったのか? アリバイ工作とは、その人を殺せば自分が疑われる前提で、でもアリバイがあるから無理ですよ、というものだろう。第一幕に於いて、この犯人はほとんど表舞台に出ていないのだから、そのポジションを維持したほうが得策なのに、わざわざ事件の渦中にしゃしゃり出て関係者リストに名を連ねる心情は如何に。 しかもその行為、最悪の場合は列車を転覆させるから犯人も命懸けだ。割に合うのか? そういう不自然さを補えるほどのドラマ性も無く、上手く肉付けし損ねた骨をそっと出された気分。 |
No.64 | 7点 | mediocrity | |
(2019/03/25 17:39登録) 評価平均8点オーバーてことで、ちょっと期待しすぎたかなあという感じ。 名作なのは間違いないとは思う。なんというか本格推理の教科書とでも言う雰囲気である。 しかしながら一番の見せどころであるメイントリックがいくらなんでも簡単すぎじゃないかと思った。簡単というより、正直すぎるとでもいった方が適当だろうか。1つしか可能性が思い浮かばなかったらやっぱりそれだったという。 あと3幕が他の幕に比べてグダグダとしているように感じた。 |
No.63 | 10点 | フランコ | |
(2018/01/10 15:44登録) 何度読んでもゾクゾクする導入部分、迷走する謎、魅力的な犯人像、2度に渉る読者への挑戦。最高のパズラーであり、entertainmentです。 |
No.62 | 9点 | tider-tiger | |
(2016/07/08 23:10登録) 中学生になってしばらく経ったある日、父に「とりあえずこれを読んでみろ」と本書『人形はなぜ殺される』を手渡されました。それ以来、父の持っていた高木作品を読み漁りました。 父は『刺青殺人事件』『白昼の死角』『破戒裁判』の三作がお気に入りだったようです。息子は『人形はなぜ殺される』『誘拐』『わが一高時代の犯罪(今は少し順位が落ちる)』の三作が好きでした。そんな父は車の運転がかなり下手になりましたがまだ元気です。 ミステリ小説の読み方や楽しさを教えてくれた思い入れのある作品です。 魔術だの断頭台だの魅惑的な道具立て、人形が殺されて、人間が殺される。 ハイテンションな言い回しだって、ガキはさらにハイエナジーですから問題なし。 もっとも衝撃を受けたのは遺体の処理法。単に奇を衒っただけではなく、非常に合理的であり、また犯人の異常さが際立つ。 この犯人こそ真性のサイコパスって感じがします。 とにかく、この作品は楽しかった。 よく練られた殺人計画、そのうえ、状況に応じてそれを変更していく犯人の柔軟性と狡猾さに痺れる。こいつのくそ度胸は買い。 この手の連続殺人って後に行くほど手抜きになりがちですが、本作は最後の殺人が最も恐ろしく狡猾な所業。一つ手抜きっぽい殺人ありましたが。 良くも悪くもミステリのお手本といえる作品だと思います。ケレン味もあって、フェアで、人物造型に難はあるも人間ドラマで魅せようなんてつもりはさらさらない作品なのでこれはまあいいでしょう。 ※悪くもというのはパズラーとしての面白さを徹底することにより小説的な面白さを減じている点、教科書的であるだけにきちんと勉強している人間(ミステリを読み込んでいる読者)には答えが分かりやすいということです。 ちなみに私はまったく犯人がわからず、真相を知ったときは死ぬほど驚きました。 問題点その1 犯人が分かりやすい とある作家(確か島荘だったような)が「昔は推理クイズを作ると十人に一人くらいしか正解者はいなかった。昨今では半数以上の人が当ててしまう」こんなことを言っていました。 本作には読者への挑戦が取り入れてあります。難易度の設定について作者は悩んだのではないでしょうか。 本作発表当時の読者は犯人やトリックをズバズバと言い当てていたのでしょうか。 作者がもっと後の時代にこれを書いたのならば、ヒントをもっと減らし、逆に読者への罠を増やしていたのではないかと想像します(好意的に見過ぎか?)。 青柳八段を容疑者の候補に入れてみるなんてどうでしょう。将棋指しという職業はこの事件の容疑者候補としてはなかなか魅惑的だと思いません? 問題点その2 神津が無能、神津が女々しい 当時の私(神津恭介を知ってからまだ二時間も経っていない中学生)の見解 「神津ほどの男をここまで翻弄するなんて凄い犯人だ」 まあ、動機がまるでない(ように見える)人間を容疑者に加えるのは実際に捜査を行っている人間にしてみれば勇気がいるんじゃないかなあ、なんてお茶を濁しておきます。 そういや黒ミサだか、K.K.K.の集会だかの最中に誰かが「黒い郵便」と呟きましたが、これはなんだったのか? 黒い郵便→ブラックメイル→恐喝、ということ? なんのためにこんなことを言った?当時はまったく意味がわかりませんでしたし、今もよくわかりません。 最後に 研三の乱入はあまり意味がなかったように思えるのは気のせいでしょうか。 |
No.61 | 8点 | nukkam | |
(2016/07/03 06:18登録) (ネタバレなしです) 1955年発表の神津恭介シリーズ第6作で個人的には高木彬光の最高傑作と思っています。派手な演出と素晴らしいトリックの絡ませ方が絶妙で「読者への挑戦状」を2回も挿入していることからも作者の自信がうかがえますが、確かに謎解き好き読者のわくわく感に応えるだけの内容を持った本格派推理小説です。松下研三のあまりにも滑稽で大袈裟なワトソン役ぶりは少々鼻につきますが。 |
No.60 | 6点 | パメル | |
(2016/02/15 13:10登録) 殺人の前には必ず人形が殺されるのは何故か? これがこの作品の売りだと思うが 理由はなるほどと思ったと同時に大したことないとも思った また理由付けが納得できるのは第二の殺人だけで あとは曖昧なところが不満 怪奇色漂う雰囲気は好き |
No.59 | 5点 | 風桜青紫 | |
(2016/01/27 22:24登録) この作品のカミーがヘタレすぎて笑えてくる。終始犯人に驚かされてばっかりじゃん。マネキン消失とか、美女の身体が粉砕されるとか、殺伐とした雰囲気は楽しめたし、それを凝ったトリックに絡めるのは嫌いじゃないけどね……。どうもしっくりこなかった。彬光の文章って読みやすいけど、神の視点が妙にハイだから、「これからすごいことが起こるぜ!」みたいなノリについていけないと、どうにも萎えてしまうし、ライバル(?)の横溝や清張に比べると、なんだか格調がないから、テンションの高さだけが先行してしまう感じがするのよね。島荘とかハゲはそこのところ彬光から影響受けてるんだろうけど。それなりに面白かったけども、正直肌には合わなかった。カミーものだったら、『刺青殺人事件』のほうが好きです。 |
No.58 | 9点 | 青い車 | |
(2016/01/27 18:10登録) 人形の首盗みという不気味な序章から始まり、本当にギロチンによる首切り殺人が発生するというショッキングな展開で読む者を引きつけます。そこからエンジンがかかり、第二、第三の殺人で加速する物語には書かれた時代を思わせないスピード感を覚えました。極めつけは犯人逮捕の瞬間の劇的な演出で、まさに読者サービスの塊。また、人形をアリバイトリックに利用するアイデアをはじめ、随所で怪奇性と論理性を両立させ得て、高木彬光作品の中でもかなりの完成度を誇っています。引きつった笑い方をする腰の曲がった男が出てくるところなど古臭さも感じますが、そこはご愛嬌です。 |
No.57 | 5点 | 了然和尚 | |
(2015/12/13 13:09登録) 完璧なアリバイがあると思われる関係者が、一つ大きな仕事の後で大食いしてるところで犯人であると見当がつきました。犯人がわかれば、「人形はなぜ殺される」の意味にたどり着くわけですね。同機も第一の犯行をからめて推測できるのですが、登場人物が被害者一家の財産所有を否定したのは、ちょっと反則ですね。 自分の推理どおりの展開で、7点ものの楽しさだったのですが、探偵が間違えてしまうという、残念な話になって、マイナス2点です。間違った推理に費やされたページは、最後の殺人において、AプランからBプランに切り替わったあたりをもう少し描いたほうが面白くなりそうですね。 第一の殺人において、精神病院にいきつくまでは、読者も犯人は推定しえない。この状況において神津先生は、データが足りないと言って全くやる気がなく、精神病院訪問で、結果的には首なし死体の首(の部品)と遭遇している。この辺りの本格推理の構成が素晴らしいですね。 最後の結婚式のシーンで、ぶち壊せと命じられた松下君は何か因縁をつけていましたが、突然花嫁にプロポーズして逃げていく(「卒業」ですな)シーンを空想してしまいました。本作の映像化の時は、ご一考を。 |
No.56 | 10点 | ミステリーオタク | |
(2015/12/09 13:09登録) ミステリーなんて所詮ヒマツブシに過ぎない そんな中でごくタマに味わえるシビレと出会えたとき、何の役にも立たないミステリー読者でいてよかったなぁと思う ニンコロはそんな数少ない一冊(苦笑) |
No.55 | 8点 | 斎藤警部 | |
(2015/12/04 17:11登録) ムード満点のアーリー昭和本格推理。例によって大天才の筈の神津探偵が妙に右往左往がちなのは作家が好い人過ぎる故と思うが、それでも彬光ミステリ脳の方がなんとか寄り切ってまんまと大の傑作に仕立て上げた力作巨篇。時刻表物とはまた違う、列車を使った、内なる躍動を感じさせるトリックのダイナミクスが嬉しい。奇術愛好家達の存在っぷりもいい。何より訴求力無双の題名がいい。間違っても「ニンコロ」なんて略したくない、言わせたくない、今夜は君を帰したくない。最初期アキミツでは「刺青」派の私だが本作も大いに人に薦めたい。 |
No.54 | 9点 | ロマン | |
(2015/10/20 11:49登録) 衆人環視の中、奇術用の人形の首が忽然と消え、その後ギロチンによってマリーアントワネットの扮装をして切断された首無し屍体のそばにその人形の首が。寝台急行に轢かれたバラバラの蝋人形。そして次の寝台急行によって轢死させられた元子爵の令嬢綾小路佳子。殺人の前に必ず人形が「殺される」。消えた人間の首は何処に?名探偵神津恭介が挑む希代の悪魔か魔術師からの挑戦。と同時に著者から読者への挑戦状も突きつけられる。消えた人間の首の保管場所や人形殺害の理由には驚かされ騙された。 |
No.53 | 5点 | ia | |
(2015/09/02 21:17登録) 古典作品にありがちな、この先に待ち受ける悲劇などを先に教えてくれるネタバレが何回もある。 先に展開がわかって読むことになるので全然ワクワクしない。 大探偵扱いされる神津が最近の名探偵に比べて無能すぎる。そして彼の勘の鈍さで成り立ってる連続殺人なのでグダグダ。 盛り上がりそうと思ったらすぐグダるので、全体的に盛り上がりポイントが少ない。 良い部分としては下らない知識のひけらかしが頻発するが、わりと短いこと。 それと古いのに読みやすい。ほとんど目が滑らずに読破できた。文章は非常に上手い。 |
No.52 | 10点 | フランコ | |
(2015/02/05 09:51登録) 作品全体の怪奇性と謎を解く論理性のバランスが良く、登場人物も魅力的。 読者への挑戦も含めて、サービス満点の知的エンタテイメントの傑作。 クリスティやクイーン、カーらの古典的傑作にも比肩する面白さは時を経ても色褪せない。 |
No.51 | 8点 | 初老人 | |
(2014/07/03 18:56登録) 再読だが、初読時は解題の方を先に読んでしまったが為に興が削がれ、斜め読みをした結果犯人だけ分かってしまい、それ以上の追求はしなかった、という経緯がある。なので、今回はトリックを読み解く事に特に重点を置いた。すると、これが実に良く出来ている。特に列車のトリックは人形と人間とを実に無駄なく「殺し」て処理しており、犯人を完全に容疑者圏外に置いた事に対して、素直に感嘆し、本当に読み返して良かったと思わされた。 ただ一つ瑕疵があるとすれば、犯人が分かり易い。恐らくほとんどの読者は犯人について、金色夜叉の時点で気付いてしまったのではないだろうか。作者は自信があったのかもしれないが、こればかりは少々読者サービスが過剰に過ぎた、と言えるのではないだろうか。 |