タケ3世さんの登録情報 | |
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平均点:6.12点 | 書評数:8件 |
No.8 | 5点 | 人形はなぜ殺される 高木彬光 |
(2025/08/29 13:09登録) 複雑に組み上げられた伝統的な 本格ミステリの骨格に、人間の 深層心理と悲劇性を鋭く描いた 社会派的要素が融合した作品。 第一、第二の事件に比べ、第三の 事件はトリックの巧妙さや物的 証拠の扱いがやや軽く感じられ、 物語全体のバランスを損ねている。 |
No.7 | 10点 | 双頭の悪魔 有栖川有栖 |
(2025/08/29 12:55登録) 物語は川を挟んだ両村で 別々の殺人事件が発生し、 木更村ではマリアチームが、 夏森村ではアリスチームが それぞれ事件と向き合うという展開。 これにより、一つの物語で二つの 推理劇が同時進行する独創的 な構成となっている。 二重の密室という独創的な設定、 双方向からの推理劇、 三度にわたる読者への挑戦、 芸術的なモチーフと謎の融合、 そして個性豊かなキャラクターたち と本格ミステリのエッセンスが 詰まった作品。 |
No.6 | 3点 | 戻り川心中 連城三紀彦 |
(2025/08/29 12:46登録) 作者の代表作であり、 文学的技法とミステリが 融合した作品である。 叙情的で美しい文章だが それが時に作りこみすぎと 感じられ、物語の自然な 流れを妨げることがある。 特に「桐の柩」では極端な 行動の動機に説得力を欠く。 表題作でも偶然の要素が強い。 |
No.5 | 2点 | 丸太町ルヴォワール 円居挽 |
(2025/08/29 12:36登録) 京都を舞台に、古来より 続く私的裁判「双龍会」 をめぐる物語。 ペダンチックな設定が 受け入れられないし、 天才的キャラクターが多数 登場することへの違和感も 感じる。 ややライトノベル風の キャラクターや徹底した 叙述トリックについていけない。 |
No.4 | 1点 | あるキング 伊坂幸太郎 |
(2025/08/29 12:27登録) 野球少年が幼少期から プロ野球選手となる までを描いた作品。 シェイクスピアの「マクベス」 の引用やモチーフが 物語に深みを与えるどころか かえって理解しづらい。 作者らしい意外性、洒脱な会話、 巧みな伏線回収が感じられない。 これまでの作品とは異なる 寓話的な作風に違和感を感じる。 |
No.3 | 8点 | 爆弾 呉勝浩 |
(2025/03/03 13:20登録) 取調室に捕らわれた冴えない男、 自称・スズキタゴサク。 彼の予告通り、秋葉原の廃ビルが爆発した。 爆発は三度続くと、タゴサクは言う。 警視庁特殊犯係の類家は、 彼に知能戦を挑む。 警察小説としてもサスペンス小説としても 読み応えがある。なんといっても スズキタゴサクの人物造形が素晴らしい。 ぜひとも映像化してほしい。 スズキタゴサク役には田山涼成が 合うんじゃないかと思った。 |
No.2 | 10点 | テスカトリポカ 佐藤究 |
(2025/03/03 13:09登録) メキシコの麻薬密売人・バルミロは、 医師の末永と出会い、 川崎で心臓密売ビジネスを立ち上げた。 川崎で生まれた孤独な少年コシモは、 バルミロに見出され、 彼の犯罪に巻き込まれていく。 海を越えて交錯する 運命の背後には、 恐るべきアステカの神の影がちらついていた。 麻薬カルテル、臓器売買、無国籍児童、 育児放棄など現代社会の問題を アステカの神の物語と重ね合わせ、 圧倒的なノワール小説となっている。 |
No.1 | 10点 | 方舟 夕木春央 |
(2025/03/03 12:59登録) 柊一は大学時代の友人や 従兄らと共に、 地下建築「方舟」に 閉じ込められる。 地下水が流入し、 水没までのタイムリミットは、 一週間。 誰か一人を犠牲にすれば 脱出できる、その矢先、 殺人事件が発生する。 クローズドサークルの新境地といえる。 謎解きの先にある結末は、 あまりにも衝撃的。 その背後にある犯人と、 ほかの登場人物の心理も しっかり描かれているので、 余計に胸が締め付けられる。 |