弾十六さんの登録情報 | |
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平均点:6.14点 | 書評数:471件 |
No.191 | 6点 | 色っぽい幽霊 E・S・ガードナー |
(2019/08/24 04:07登録) ペリーファン評価★★★★☆ ペリー メイスン第46話。1955年1月出版。HPBで読了。(なお、以下はAmazon書評の転載です。いずれ再読したらあらためて書きます。) 薄い唇の女が事件を持ち込みます。珍しく作中に日付と曜日が明記され(8月15日、日曜日)、これは1954年が該当します。高級ホテルで優雅な暮らしを楽しむストリート嬢。メイスンは今回も危ない橋を渡り、ホルコムの追求を上手く誤魔化します。予備審問が開かれず、大陪審経由の陪審裁判で五里霧中のメイスン、バーガーに追い詰められますが、ネチネチ尋問で活路を開き、判事に嫌われながらもなんとか真相を突き止めます。 銃は38口径スミス・アンド・ウェッスン社製連発拳銃、銃身2インチ、シリアルC-48809が登場。このシリアルはKフレームのfixed sightモデルで1948-1952年製を意味します。該当するのはミリタリー&ポリスですね。自動車はオールズモビルが登場。エアコン付きの車はまだ珍しかったようです。 |
No.190 | 6点 | 落着かぬ赤毛 E・S・ガードナー |
(2019/08/24 04:02登録) ペリーファン評価★★★★☆ ペリー メイスン第45話。1954年10月出版。Saturday Evening Post連載(1954-9-11〜10-30) ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評の転載です。ちょっと変更。いずれ再読したらあらためて書きます。) ポスト誌集中連載時代(10年間に14作)の2作目。冒頭から法廷シーンで、メイスンは新人のぎこちない反対尋問にアドヴァイス。デラは速記の代わりに録音スイッチを入れます。今回も危ない橋を堂々と渡るメイスン、勝手気ままなな行動に説教するデラ、でもメイスンはどこ吹く風です。予審では厳格な判事が法廷を仕切りますが、メイスン流にすっかり混乱、バーガーは苛立ちのあまり大統領暗殺を告発します。解決はかなり複雑。ラストはいつもの赤毛への偏見で幕。 銃は新製品Colt Cobra .38口径、2インチ銃身の6連発、シリアル17474-LWが登場。LWはlight weightの意味で、このシリアルだと1952年製です。コブラは1950年からの販売、作中でもその軽さ(アルミ合金で重さ19オンス)が話題になっています。車はフォードの新車が登場。 |
No.189 | 6点 | 駈け出した死体 E・S・ガードナー |
(2019/08/18 22:39登録) ペリーファン評価★★★☆☆ ペリー メイスン第44話。1954年6月出版。ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評の転載です。いずれ再読したらあらためて書きます。) 危ない橋を大胆に渡るメイスン、ここ数作、違法スレスレの行動が多くて嬉しいです。メイスンとデラは旅客機やチャーター機を駆使してカリフォルニア州を飛び回り、フレスノで非常に友好的なDAに出会います。予備審問ではそのDAと対決、協力して事件を解決に導きます。結末には「犯罪のために乾杯」が再び(ただし音頭をとったのはメイスンではありません) (2017年4月26日記載) |
No.188 | 6点 | 消えた看護婦 E・S・ガードナー |
(2019/08/18 22:35登録) ペリーファン評価★★★★☆ ペリー メイスン第43話。1954年2月出版。Saturday Evening Post連載(1953-9-19〜11-7) HPBで読了。(なお、以下はAmazon書評の転載です。ちょっと変更。いずれ再読したらあらためて書きます。) 実は前作(1953年11月出版)より前に発表されています。ポスト誌連載は「そそっかしい子猫」(1942年)以来ですが、本作から1962年まで毎年メイスンものをポスト誌に連載(10年間に14作)、人気の高さがうかがえます。(単純計算で、この期間中は1/5くらいの高確率でメイスンものがポスト誌に掲載されてます。) 見え透いた罠に飛び込むメイスン、冒険癖が抜けません。バーガーと地方検事局で立ち回りを演じ、危ない冒険も辞さない行動派メイスンです。予審で地方検事をきりきり舞いさせ、被告を隠したメイスンにバーガーが襲いかかります。法廷侮辱罪は初めてか。武闘派バーガーとお間抜けホルコムを翻弄し、解決に至りますが、結末はちょっと複雑です。 (2017年4月23日記載) |
No.187 | 6点 | 緑色の眼の女 E・S・ガードナー |
(2019/08/18 18:11登録) ペリーファン評価★★★☆☆ ペリー メイスン第42話。1953年11月出版。ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評の転載です。ちょっと変更。いずれ再読したらあらためて書きます。) 第4シリーズ(私的な区切りは69話まで)は、ポスト誌のレギュラー扱いからTVドラマ化(1957-1966)の時代。実はレイモンド バーのTVシリーズをみたことがありません。ポータブル録音機、嘘発見器など新技術がどんどん出てきます。無駄に複雑な筋は50年代後半から割と単純な筋(まあそれでも結構込み入った話)になって行きます。 冷たい目の女が事件を持ち込みます。ポータブル録音機が登場、ボタン一発で録音が簡単に出来る時代に入りました。乱暴なホルコムに対して、トラッグは相変わらずスマートです。メイスンの乾杯の文句は「敵の敗北のために」予備審問でメイスンはネチネチ尋問を行い検死医をいじめ、ホルコムは判事に怒られます。最後は急展開で解決、モヤっと感ありです。 以下はトリビア本The Perry Mason Bookの情報。 トラッグのファーストネームArthurが記されたのはシリーズ初(翻訳では省略)。トラッグがPerryと呼んでいるのも初。前作「ためらう女」の登場人物の苗字を再利用: Brogan, Doyle, Fritch, Kaylor & Hanover。メイスンの指紋が当局に提供されたのは「掏替えられた顔」の時。 (2017年4月23日記載) |
No.186 | 6点 | ためらう女 E・S・ガードナー |
(2019/08/18 17:57登録) ペリーファン評価★★★★☆ ペリー メイスン第41話。1953年4月出版。HPBで読了。(なお、以下はAmazon書評の転載です。いずれ再読したらあらためて書きます。) いきなり法廷での反対尋問から始まるのはシリーズ初。ネチネチ尋問は不発に終わり、メイスンはブラックストーン(「黒大理石」と誤訳)の胸像に帽子を被せます。官選弁護人メイスンも初。ドレイク事務所の探偵の目印は赤いカーネーション。デラとラスヴェガスにお忍び旅行のはずがすぐバレます。今回は危ない冒険がたっぷり、人にやらせたり、自分でやったりです。でもデラを危険に晒したので減点ですね。法廷では杓子定規な判事を上手く扱い、ネチネチ尋問で証人をやり込めます。ホルコムは正式に「殺人課」と記述され、トラッグは最後に現れ、珍しくハードボイルド的デカの見本を見せます。解決は強引な感じですが、行動的メイスンなので満足です。 (2017年4月22日記載) |
No.185 | 6点 | 嘲笑うゴリラ E・S・ガードナー |
(2019/08/18 17:53登録) ペリーファン評価★★★☆☆ ペリー メイスン第40話。1952年11月出版。ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評の転載です。いずれ再読したらあらためて書きます。) 謎の包みを手に入れ上機嫌のメイスン、ブラックストーンの胸像に帽子を投げます。メイスンは怪しい奴を煙に巻き、無料で人助け。ゴリラと遊んだり、警官と野球談義をしたり、新聞記者に特ダネを提供したりで忙しく活動します。デラと二人で中華料理店で辻占入りのお菓子を注文、結果を秘密にするデラ。予審ではバーガーと対決、ネチネチ尋問で証人をいたぶります。最後は活劇で幕。 (2017年4月22日記載) |
No.184 | 6点 | 虫のくったミンク E・S・ガードナー |
(2019/08/18 00:57登録) ペリーファン評価★★★☆☆ ペリー メイスン第39話。1952年4月出版。HPBで読了。(なお、以下はAmazon書評の転載です。いずれ再読したらあらためて書きます。) レストランのデラとメイスンから物語は始まります。消えたウェイトレスと謎の男。トラッグが来た時にガーティが出すサイン: 電話のベル3回。デラの万引き癖は父方の祖父老海賊ストリート船長から(嘘です)。トラッグが感情を込めて語ったある警官の物語。いつもの家庭内トラブルとは違うハードボイルド的世界です。トラッグと相棒の刑事はメイスンとドレイクを締め上げる。予審では、弁護士が証人となることについての議論があり、メイスンはネチネチ尋問で事件を解決に導きます。 銃は38口径 スミス・アンド・ウエッスン スペシャルの「警察拳銃」3インチ銃身(A Smith and Wesson police special, thirty-eight caliber, with a three-inch barrel) シリアルS64805。このシリアルだとNフレームで1946-1947年製で、S&W .38/44か .357Magnumが該当します。S&W Police Specialという名称の拳銃は無いので、このpolice specialは警察仕様と言う意味か。(小文字ですからね…) (2017年4月16日記載) |
No.183 | 6点 | 怒った会葬者 E・S・ガードナー |
(2019/08/18 00:52登録) ペリーファン評価★★★☆☆ ペリー メイスン第38話。1951年10月出版。HPBで読了。(なお、以下はAmazon書評の転載です。いずれ再読したらあらためて書きます。) メイスン登場は第5章から、休暇に退屈したところに依頼人がやってきます。早速、地元の保安官と対立。法廷シーンは予審で、地元の検事と対決、メイスンのカンが当たり事件は解決します。少なくとも半年は平和な田園なんて見たくない、とメイスン。 銃は.38口径のコルト・ポリス・スペシャル型「自動拳銃」(a Colt Police Special .38-calibre)シリアル704818が登場。5発装填1発発射とあることから6連発のようで、オートマチックではなくリボルバーだと思われます。シリアルを検索するとOfficial Police(1943年製)とOfficer's Model Special(1950年製)が一致。Colt Police Specialという名称の銃は無いので、この銃はColt Official Policeの38スペシャル弾仕様ということかもしれません。 証拠の銃を発見した時、指紋保存のため保安官助手が銃身に鉛筆を突き刺していますが、現在ではライフリングを痛めるのでやっちゃダメになっているんじゃないかな。 (2017年4月15日記載) |
No.182 | 6点 | 光る指先 E・S・ガードナー |
(2019/08/18 00:25登録) ペリーファン評価★★★☆☆ ペリー メイスン第37話。1951年5月出版。ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評の転載です。いずれ再読したらあらためて書きます。) あんたは有毒、天然痘、体臭・息がくさい、と(いう意味を)上品に言うデラ、実は毒舌家? 法外な弁護料で雇われたメイスンのハメ手を上手く逃れるホルコム、少し賢くなりました。物語の序盤で法廷シーンが登場、メイスンのしつこい反対尋問が炸裂します。三度目のサウザンド・アイランド・グレービーねた。殺人課の連中がうようよの中にホルコムがいて… 復帰した? ニューオリンズに飛ぶメイスンとドレイク、地元警察と対立、トラッグが空港でお出迎え。終盤の法廷場面はバーガーが自信たっぷりに登場、メイスンはネチネチ尋問で反撃。メイスンの危ない冒険はありませんが、ドレイク事務所にやらせます。最後はバタバタと解決。 (2017年4月15日記載) |
No.181 | 6点 | 片眼の証人 E・S・ガードナー |
(2019/08/18 00:17登録) ペリーファン評価★★★★☆ ペリー メイスン第36話。1950年11月出版。ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評の転載です。いずれ再読したらあらためて書きます。) 冒頭にメイスンは登場しませんが、すぐ電話で呼び出されます。少し日本人の血が混じっているという煙草娘にローリイを注文。ドレイクは寒い時にうってつけの特製バター入りラム酒(セルビイ検事の敵A.B.C.も大好きなヤツです)をメイスンに振る舞います。メイスンのコーヒーの好みはクリームと砂糖入り。行く先々で死体にぶつかるメイスンはトラッグにしつこく付きまとわれ、不動産取引のついでにデラにプロポーズ。メイスンの無茶な冒険はありません。法廷場面は予審、バーガーが登場。眼鏡講義の後、最後はデラの才能が発揮され、劇的な証言シーンを経て、ちょっと複雑すぎる解決に至ります。 (2017年4月9日記載) |
No.180 | 7点 | なげやりな人魚 E・S・ガードナー |
(2019/08/18 00:09登録) ペリーファン評価★★★★☆ ペリー メイスン第35話。1950年1月出版。連載Collier's(1947-9-17〜10-22) ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評の転載です。いずれ再読したらあらためて書きます。) カヌーに乗ってメイスン登場。ジャクスンが久しぶりに登場、レンズの厚い眼鏡をかけフクロウのような目をしており、事務所に有利な判決を探し出すのが得意。メイスンは「ぼくは心の狭い、こうるさい、旧式な男だ」と告白。メキシコ料理屋の占い師がデラについて、長いこと孤独で幼い頃に父は離婚しその悲しみで母は死んだ、と占います。メイスンは危ない冒険はしませんが、結構追い込まれますが、巧みな反対尋問で検事は慌てふためき、保安官は敵意をむき出しにし、遂に鮮やかな解決を迎えます。締めくくりは「犯罪のために乾杯」 銃は、翻訳では「.38口径の自動拳銃」とあるのですが、その後、同じ銃を「銃身が2インチ、.38口径の特大の新型スミス・アンド・ウェッスン」one of a new Smith and Wessons with a two-inch barrel, a .38 specialと証言します。(specialを「特大の」と誤訳) 1949年から販売されたK-38 Combat Masterpiece(38スペシャル弾)が候補。他に.44口径の「自動拳銃」(メーカー名等の詳細不明)も登場。「シリンダーを横にはずして」と書かれていることからリヴォルヴァである事は明白です。訳者は「自動拳銃」を誤解しているようです。(旧訳「なげやりな人魚」妹尾訳を見ると、高橋訳「自動拳銃」のところはいずれも「拳銃」(一箇所だけ「複動の拳銃」double action)ときちんと訳されていました。) (2017年4月9日記載) |
No.179 | 7点 | 用心ぶかい浮気女 E・S・ガードナー |
(2019/08/17 16:27登録) ペリーファン評価★★★★☆ ペリー メイスン第34話。1949年5月出版。ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評の転載です。いずれ再読したらあらためて書きます。) ドレイクと朝食の待ち合わせから物語は始まります。届いたのは鍵付きの怪しい招待状。メイスンはもちろん誘いに乗り、込み入った偽装に翻弄されますが、慰謝料をたっぷりせしめます。新聞に載りたいホルコムは騙され、協力的なトラッグはメイスンの助言で成果をあげ、バーガーは自信たっぷりに予審に挑みますが結局へこまされます。解決は複雑すぎる感じ。 銃は「実用一点張りの」スミス・アンド・ウェッスン38口径リヴォルヴァ、握りの側面にシリアルS65088(Nフレームで1946-1947年製) Nフレームの38口径は.38/44か.357マグナム。三作続けてS&Wの同タイプの拳銃が登場。45口径オートマチックも登場しますが詳細不明(コルトM1911だと思います) (2017年4月8日記載) |
No.178 | 6点 | 怪しい花婿 E・S・ガードナー |
(2019/08/17 16:20登録) ペリーファン評価★★★☆☆ ペリー メイスン第33話。1949年2月出版。ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評の転載です。いずれ再読したらあらためて書きます。) 冒頭、美しい脚に目がくらむメイスン。雑誌のネタになったり、上手くいく夫婦のコツを聞かされたりで、国境を越える羽目になり、メキシコのきれいな夜空を眺めて癒されます。おなじみホルコムが乱暴なノックとともに登場。トラッグはメキシコに現れメイスンと法律論議。メイスンの危ない行動は無く、口先で切り抜けます。ドレイクの暗号ノックは1-3-2(前は違ったような気が…) 法廷ではズルそうなサンディエゴ郡地方検事コヴィントンが登場、陪審選択、冒頭陳述でもメイスンに圧倒され歯嚙みします。続々と不利な証拠が現れ、追い詰められたメイスンはレストランで大爆笑、デラとドレイクは苦笑い。解決は入り組んでいて胃もたれします。ポール ドレイクは犬が苦手らしい。 銃はスミス・アンド・ウェッソン.38「なかなか上等の拳銃」グリップに刻まれた番号はS64805(放浪処女のシリアルと同一番号、Nフレーム1946-1947年製) 当時のS&W製Nフレームで38口径の銃は.38/44か.357Magnumですね。 (2017年4月8日記載) |
No.177 | 5点 | 放浪処女事件 E・S・ガードナー |
(2019/08/17 16:11登録) ペリーファン評価★★★☆☆ ペリー メイスン第32話。1948年7月出版。ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評の転載です。いずれ再読したらあらためて書きます。) せっかちな依頼人と無邪気そうな娘。メイスンを呼び出したホルコムは尋問中のチンピラをバンバン殴ります。トラッグは相変わらず優秀、メイスンの危険な冒険はちょっぴり、デラの機転がメイスンを喜ばせます。法廷シーンは予備審問、検事はおなじみバーガー、ある証人には妙に優しいのが可笑しい。解決はあまり冴えない感じです。米国における18歳と20歳の差が印象的。 銃は38口径のリヴォルヴァ、スミス・アンド・ウェッスン社ダブル・アクション、銃身6インチ、シリアルS64805が登場。シリアルから判断するとNフレームの銃で1946-1947年製。 「.38口径とは言え本体は.44口径用ので重い銃」この記述からS&W .38/44(Heavy DutyやOutdoorsmanの愛称あり)だと思われます。(S&W .357マグナムの可能性もある?)弾丸はピーターズ社製(Peters Cartridge Co.)「.38口径」としか書かれていませんが38スペシャル弾でしょうね。 (2017年4月6日記載) |
No.176 | 6点 | 怪盗と接吻と女たち E・S・ガードナー |
(2019/08/17 15:46登録) 日本オリジナルの中篇集。メイスンの中篇全2作とレスター リースもの2作(ハヤカワ文庫に収録されてるものと同内容)と女探偵もの1作を収録。(なお、以下はAmazon書評の転載です。いずれ再読したらあらためて書きます。) メイスンものの長篇以外の作品は他に短篇1作(「腹を立てたゴミ屋」The Case of the Irate Witness, Collier's 1953-01-13)があるだけということになっています。(「消えた目撃者」(1949)と言う短篇が翻訳されてるんですが…) 「燕が鳴いた」The Case of the Crimson Kiss (American Magazine1947-8): 評価6点 ペリー メイスン第29.5話。シリーズ初の中篇。燕の巣、望楼からの眺め、トレーラー生活。ドーセットが登場、普段と違って案外まともな対応です。法廷シーンは無し。解決は慌ただしい。銃は20口径(20ゲージですね)のショットガンが登場。長編の梗概みたいな感じです。 「緋の接吻」The Case of the Crying Swallow (American Magazine1948-6): 評価7点 ペリー メイスン第31.5話。シリーズ2作目の中篇。冒頭にはメイスンが登場しません。メイスン事務所の夜間電話番号はウェストフィールド6-5943、デラの故郷からの知り合いがメイスンに事件を持ち込みます。法廷場面は予備審問。物語の構成が上手く解決も鮮やかです。 レスター リース2作(Detective Fiction Weekly 1941-3-29 & Flynn's Detective Fiction 1943-1)の評価は省略。 「宝石の蝶」The Jewelled Butterfly (Cosmopolitan 1950-10): 評価6点 珍しい女探偵ペギー カッスル、探偵が女性であることを意識した作品に仕上がっています。 |
No.175 | 6点 | 孤独な女相続人 E・S・ガードナー |
(2019/08/17 15:21登録) ペリーファン評価★★★★☆ ペリー メイスン第31話。1948年2月出版。ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評の転載です。いずれ再読したらあらためて書きます。) 大都会の孤独を利用した商売。インクをぶちまける女。珍しくメイスンが人を見くびり、してやられます。依頼人側から見たホルコムとトラッグの尋問のやり方が恐ろしい。メイスンとデラの危険な冒険あり。デラは何度も試練を受けている、と言いますが… 法廷場面は予審で決着、わかりやすい鮮やかな解決です。車はA型フォードが登場。今はあまりお金に余裕のない資産家の車です。 (2017年4月2日記載) |
No.174 | 6点 | ブラウン神父の秘密 G・K・チェスタトン |
(2019/08/17 13:01登録) 1927年出版。ブラウン神父ものの連載は年代順に並べると『不信』と『秘密』の収録作品が交互に出てきます。何故、単行本の編纂がこのようになったのか、ちょっと謎ですね。(Cassell’s初出作品は『秘密』にまとまってるのですが、『不信』出版時の最新作Gideon WiseはCassell’s初出にもかかわらず『不信』に収録。) 1925年5月&6月は2誌に新作を同時発表してます。昔の創元文庫(1972年11月9版)で、作品発表順に読みました。本格探偵小説に寄せた感じの作品集。 初出はFictionMags Index調べ。●付き数字は単行本収録順です。収録時に順序をずいぶん変えてます。 献辞は To father John O’Connor, of St. Cuthbert’s Bradford, whose truth is stranger than fiction, with a gratitude greater than the world こんな大事なのを省略するのはどーなんでしょう。(後の新訳版では訳されてるかな?) ❷The Mirror of Death (Cassell’s Magazine of Fiction 1925-3 挿絵Stanley Lloyd): 評価6点 この時期のチェスタトンは本格物大好き。冒頭から楽しい探偵小説談義です。(シャーロックとレストレードも登場。) 手掛かりの出し方の描写もいかにもフェアプレイ風。いきなり裁判になっちゃう展開は疑問ですが… (いくらなんでもそこまで口下手?) まー「理由(p53)」を書きたかったのでしょうけど。挿絵がどんなだったか見たい作品ですね。 銃は大型の拳銃(a rather heavy revolver)、自動拳銃(automatic pistol)が登場。音を聴いただけでリボルバーだと判るとは… (一応、合理的な説明を試みると、当時38口径以上のオートマチック45口径コルトM1911は英国では珍しかったのでは?なので45口径クラスの音と判断しリボルバーと言った… 多分、英国Webley拳銃455口径だと思います。) p30 聖ドミニコ教会の神父(the priest at St. Dominic’s Church): ブラウン神父全集で全文掲載したら該当なし。ここだけの設定でした。 (2019-8-17記載) ❸The Man with Two Beards (Cassell’s Magazine of Fiction 1925-4 挿絵Stanley Lloyd): 評価5点 学問の細分化への難癖はチェスタトンの好きなテーマ。さすがにこれは特殊なケース過ぎて分類に入らないのは仕方ない。本格として考えると手がかりが少なすぎかな。 p58 怪盗バッタのジャック(Spring-heeled Jack): Jumping Jackが正式名称だと思ってました… この訳語はなんか楽しい。 p58 やせた色黒のご婦人(a thin, dark lady): 上の隣にあったので目に入っちゃいました。「やせた黒髪のご婦人」ですね… 続く「やはりやせぎすで浅黒く(also thin and dark)」「やはり身なりのよい浅黒い青年(also dark and exquisitely dressed)」のdarkも同じです。(この表現の間にdark curly hairとあるのに… 保男さんは結構「浅黒い」好きです。) p63 なにしろ≪サンダーボルト≫級の車でしてね。(You see if she isn’t better than a ‘Thunderbolt.’): サンダーボルトは調べつかず。チェスタトンがでっち上げた架空名か。 (2019-8-18記載) ❾The Chief Mourner of Marne (Harper’s Magazine 1925-5 挿絵Frederic Dorr Steele): 評価5点 この作品は本格ものというより普段のチェスタトンです。技巧的なやり口と神父の巻き込まれ方が趣味に合いません。挿絵は見てみたい。 p235 光ってから音がするまで1分半ほど(About a minute and half between the flash and the bang): 音速を340m/sと仮定して30キロ遠方の雷。 (2019-8-19記載) ※次の2作The Curse of the Golden Cross(1925-5)、The Doom of the Darnaways(1925-6)は『不信』に収録。 ❹The Song of the Flying Fish (Harper’s Magazine 1925-6 挿絵Frederic Dorr Steele): 評価6点 本格もの仕立て。手がかりはちょっと後出し?最終行の洞察が何故か子供の頃からずっと心に残ってます。得意げに東洋の神秘を語る人に対して神父が「盗みは盗み」と喝破するのも良いですね。 p96 ピストル(a pistol): 原文リボルバー?と思ったら違いました。 (2019-9-1記載) ※次作The Arrow of Heaven(1925-7)は『不信』に収録。 ❼The Worst Crime in the World (Harper’s Magazine 1925-10): 評価6点 神父の妹(a sister, 原文で上下不明。妹の根拠あり?)の娘Elizabeth Fane(愛称Betty)登場。神父の親戚初登場です。残念ながら他の作品には登場しません。(全文検索って本当に便利ですね。) ゴシック風味。『ユドルフォの秘密』が登場してちょっとビックリ。本格ものの基準だと手がかりの記述がアンフェア。現代美術ネタと笑いの意味が主眼。 (2019-9-18記載) ❺The Actor and the Alibi (Cassell’s Magazine 1926-3): 評価4点 本格もの、と見せかけて全然違ったのでガッカリ。なんか変てこ。(目的がめちゃくちゃです。) シェリダン『醜聞学校』(『悪口学校』が一般的。The School for Scandal by R.B. Sheridan. 初演はLondon, Drury Lane Theatre 1777-5-8)が作中で上演され、重要な手がかりになります。(先日観た映画『ある公爵夫人の生涯』(2008)にちょっと出てました。) 推理に必要な事柄を「その他の些細な問題」と片付けてるので、本格ものを書く気はなかったようです。GKCは何故かラストで怒りを爆発させます。「知識人なる手合いがどういうことをしたがるものか… 権力への意志、生きる権利、経験する権利(Will to Power and the Right to Live and the Right to Experience)… たわけたナンセンスどころか、世を滅ぼすナンセンスだ」最初のは明白にニーチェだけど、後のRight二つもそうなのか。調べてません。 p118 巻き毛の、浅黒い、鼻がユダヤ式の(a dark, curly-haired youth of somewhat Semitic profile):「いくぶんセム系の横顔」で「鼻がユダヤ式」とする分かりやすい翻訳。ポリコレの現在では使えない表現か?(なおここでもdark「黒っぽい髪の色」を誤訳。) p119 角を曲がった教会: ブラウン神父の教会。地名は書かれてません。(ロンドンっぽい感じ) p123 不平は世界の果てにこだましてわが身に戻ってくるばかり、沈黙はしっかりさせてくれる(Complaint always comes back in an echo from the ends of the world; but silence strengthens us): まー そーゆー考え方もありますね。でも、こう愚痴るのは普通の愚痴より悪い、とGKCは言う。理由は本篇参照。 (2019-9-22記載) ※次作The Ghost of Gideon Wise(1926-4)は『不信』に収録。 ❻The Vanishing of Vaudrey (The Story-teller 1927-1): 評価5点 謎の失踪事件。本格ものというには手がかりが足りず。でも昔読んだ記憶が残ってたほど、印象深い物語。 p147 緑色のレモン水(green lemonade): Leprechaun lemonadeというものか。 (2019-10-4記載) ❽The Red Moon of Meru (Harper’s Magazine 1927-3): 評価5点 手がかりは撒いているものの無理がある感じ。しっくり来ません。 p205 慈善市(bazaar): 回転木馬(roundabouts)、ブランコ(swings)、余興(side-shows, 「怪力男」とかの見世物っぽいイメージか)があるというのだからかなり大掛かりな感じ。 p206 欧州大戦(Great War): 作中時間はWWI以前。 p211 ≪ヤシの実落とし≫(throw at coco-nuts): Coconut shyのこと。 (2019-10-6記載) ❶The Secret of Father Brown (単行本1927): 評価5点 ブラウン神父の方法は所謂「科学」ではない、と主張するGKC。科学否定は神秘主義に陥りやすい。でも科学の冷たさを至高のものと崇めるのも大間違い。アダム・スミスが「見えざる神の手」と「共感」の両方を尊んだ、ということを忘れがち。 p11 本名に返ってデュロックと(resumed his real family name of Duroc): Hercule Durocということですね。 p13 デュパン… ルコック… ホームズ… ニコラス・カーター(Dupin, Lecocq, Sherlock Holmes, Nicholas Carter): 最後でガクッとなりますが、当時の米国代表。(今、選ぶとしたら誰だろう。EQか?) p14 ギャラップ殺人事件... (Gallup's murder, and Stein's murder, and then old man Merton's murder, and now Judge Gwynne's murder): GallupとSteinは『ギデオン・ワイズ』(1926-4)、Mertonは『天の矢』(1925-7)、Gwynneは『大法律家の鏡』(1925-3) 全文検索って、本当に便利です。最後にもう一つ挙げられているのですが書きません。 p17 レオ13世、若いころのわたしの英雄(Pope Leo XIII, who was always rather a hero of mine): ブラウン神父にここまで言わせる人物って気になりますよね。(まだ調べてません…) (2019-10-6記載) ➓The Secret of Flambeau (単行本1927): 評価5点 上記のReprise。ブラウン神父の方法をネタバレも交えて語るところが面白い。ところで「彼」が探偵やってた時は問題無かったの?(そーゆー設定じゃ無かったような気が…) (2019-10-6記載) |
No.173 | 5点 | 曲線美にご用心 A・A・フェア |
(2019/08/16 23:07登録) クール&ラム第15話。1956年11月出版。翻訳は1958年(「いやもうむちゃくちゃでごさいまするよ」のような流行語は後で読むと目立ちます)、一人称は「わたし」HPBで読了。(なお、以下はAmazon書評の転載です。いずれ再読したらあらためて書きます。) いつものように胡散臭い依頼から始まり、二転三転する筋立てです。今回は陪審裁判の法廷シーンが描かれますが、この解決では法律のプロが間抜け過ぎです… 銃は六連発の.38口径回転式コルト拳銃が登場。 (2017年7月8日記載) |
No.172 | 7点 | 女は待たぬ A・A・フェア |
(2019/08/16 23:00登録) クール&ラム第14話。1953年9月出版。HPBで読了。(なお、以下はAmazon書評の転載です。いずれ再読したらあらためて書きます。) 舞台がハワイなので水着率の高いお話。ホノルルでバーサが変わってゆく姿が可笑しい。展開は相変わらず起伏に富んでおり、ある意味意外な解決ぶりでちょっと驚きました。日系人が二人登場、ミツイとコリオト、後者は柔道を使います。ラム君は以前習った格闘技をすっかり忘れてしまったようですね。銃は38口径のピストル(多分リボルバー)が登場、詳細不明です。 (2017年7月8日記載) |