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ミステリの祭典

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大胆なおとり
ペリイ・メイスン

作家 E・S・ガードナー
出版日1959年01月
平均点5.00点
書評数3人

No.3 5点 nukkam
(2024/05/17 08:29登録)
(ネタバレなしです) 1957年発表のペリイ・メイスンシリーズ第54作の本格派推理小説です。第15章でポール・ドレイクがメイスンのことを「こんぐらがらせの名人」と評価していますが、本書の場合は真相を知るとメイスンがというよりも事件そのものがこんぐらがっています。空さんがご講評で指摘されているように偶然の要素も強いです。依頼人がどれだけ不利なのか曖昧のまま強引に法廷シーンへ突入しているような感じがあり、解決はそれなりに推理が披露されてまあすっきりできましたがこの作者にしては前半のテンポが遅すぎです。

No.2 6点 弾十六
(2020/01/25 08:50登録)
ペリーファン評価★★★★☆
ペリー メイスン第54話。1957年11月出版。ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評をちょっと手直しした再録です。)
Chicago Tribune-New York News Syndicate 1957-9-8〜10-19連載(日曜版?、The Proxy Murderの題で掲載) 委任状戦争、甘い女の声、メイスン登場は第2章から。『日光浴者の日記』での宣言通り、交通法規を守るメイスン、きっかけは交通係記者が公表したメイスンの無謀運転の記事だという。水着女の写真に興味を持ち過ぎたメイスンは腕を捩じ上げられて悲鳴をあげ、無理やり強いウィスキーを飲まされます。メイスンの乾杯は久しぶりのHere's to crime。エレベーター・ガールが読んでいたエロい(spicy)ペイパーバックは「明日はスモッグなし」(No Smog Tommorow)。スモッグはWikiによるとLAでは1944年から発生。ホルコムは出しゃ張りトラッグは控えめ。デラは事務所の新兵器、大きな電気パーコレーターでたっぷりコーヒーを入れ、ポールは油断のならない荷物を抱え込み、徹夜仕事で胃を壊します。法廷は陪審裁判、バーガーはいつもの空回り、一方メイスンはハッタリが見事当たり事件は解決。50年代後半の本シリーズは真相の複雑さが減り、スッキリとなった印象です。
銃は38口径スミス&ウェッソン製レヴォルヴァ、シリアルC48809、三年前の9月購入。このシリアルはKフレームfixed sightで1948-1952年製、該当銃はMilitary&Police。もう一丁の銃、38口径コルト製レヴォルヴァ、シリアル740818、1年半前に盗まれたもの。このシリアルはOfficial Police 1948年製かOfficer's Model Special 1950年製です。(同一番号の銃が『メッキした百合』にも登場)
なお14-15章「顔に栄養をあたえる」(feed one's face)は米俗語で「食べる」の意味ですね。(faceが口の意)
(2017年5月4日記載)

No.1 4点
(2020/01/09 22:43登録)
メイスンの勧告にもかかわらず、依頼人が自分に疑いがかからないよう勝手に何やら画策し、そのためかえって警察に疑われる羽目に陥ることの多いシリーズですが、本作の依頼人は基本的に冷静な若い社長ということもあるのでしょう、下手なことは一切せず、メイスンの指示に従っています。
しかし、それにもかかわらず今回その社長が容疑者になってしまう原因は、ちょっと複雑すぎます。そのような結果を生み出した犯人でないある人物の行動の動機には、さすがに無理がありますし、行うことも手が込みすぎていて不自然です。さらに凶器でなかった拳銃のからくりは、偶然の多用でいたずらに事件を複雑化させているだけで、入れない方がよかったでしょう。
それにしても今回のバーガー検事、慎重なトラッグ警部はもとより、直情型のホルコム部長刑事さえ自制しているのに、粗暴な振る舞いが多すぎます。

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