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ミステリの祭典

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レッドキングさんの登録情報
平均点:5.28点 書評数:958件

プロフィール| 書評

No.698 6点 友が消えた夏
門前典之
(2023/05/07 23:31登録)
門前典之第八弾。「閉ざされた館・男女学生・密室・連続殺人」と、「三十路女タクシー誘拐事件」、二つの事件が、同じ日付で交互叙述される。あえて同日付で別エピソード描かれりゃあ、どうしても、因果捜し・叙述トリック注意、となり、結果、・・麻耶雄嵩等の人物叙述トリックと違って・・キチンとミステリ意味をなしてた。
二つの密室トリックは、最初のペケ(~_~)だが、二番目のはグッド(^.^)よ。
終盤の、女流イヤミス系の臭いは、チトいただけないが。
※「携帯電話」「椎名林檎」「安室奈美恵」・・・「イニシエーションラブ」思い出すなぁ。


No.697 5点 フレンチ警部と毒蛇の謎
F・W・クロフツ
(2023/05/06 20:04登録)
クロフツ第二十二作。機械毒蛇トリックともかく、アリバイ構成の方がなあ。共犯にして倒叙主役を、クロフツにしては珍しや心象掘り下げして、ちょびっと「罪と罰」させてて、点数オマケ。 ※にしても、あれで死刑てのは・・・


No.696 6点 invert II 覗き窓の死角
相沢沙呼
(2023/05/01 21:49登録)
城塚翡翠シリーズ第三弾。中長編2作の倒叙作組み合わせ。
 「正者の言伝」侵入した別荘で刺殺犯となる少年の倒叙・からのドンデン返し。履物とバッグと雨のロジックに6点。
 「覗き窓の死角」探偵を証人に利用した殺人アリバイトリックの解明と紛失宝飾品からの犯人特定。7点。
超美女にして「てへぺろこっつんさん」ブリっ子キャラの探偵ヒロイン。コロンボ「あと、一つだけ・」、古畑「ん~・・」同様、犯人サイドから倒叙されると、基本、ヒールにして鬼の嚇かし役になってしまい、酉乃初・マツリカに比べると、ちといただけないなあ、ヒスイちゃん。「殺人は絶対だめですぅ」倫理キャラ設定が失敗っだったんじゃないか。ま、好みの問題だけどネ。


No.695 3点 真夜中の密室
ジェフリー・ディーヴァー
(2023/04/26 21:00登録)
ライムシリーズ第15弾。今回の敵は、どんな錠前も簡単に解錠し、女の部屋に侵入するピッキング達人。ディーヴァーだもの、当然に操り真犯人ツイスト来るけど、分かり易くあっけないネタなんだなァ、これが。さすがにこれでは弱いと自覚したのか、vs「ウクライナから来た暗黒ボス」ネタ付くんだが・・そっちのが面白い位なんだが・・二つのネタ、絡まないんだなぁ、これが。


No.694 6点 赤髯王の呪い
ポール・アルテ
(2023/04/24 01:42登録)
緑色の顔に白目だけの少女幽霊・・んな恐いモンは怖すぎるわ!(T_T) 「火刑法廷」なんかはゴシック・オカルト。が、これは、サイコ・ホラー。両目を潰され殺された少女の密室トリックには、カーの香りするけどね。 ※採点は表題作へ


No.693 5点 サンドリーヌ裁判
トマス・H・クック
(2023/04/22 19:49登録)
不治の難病に罹った才色兼備の妻の急死。妻殺し容疑で告発された大学教授の夫。妻との出会いからの重苦しい追想が、数日間の裁判描写に重ねて綴られて行く。ミステリと文学が、ほぼ、fifty-fiftyでリードし合うクックの小説だが、これは、ミステリ興味・・自殺か殺人かWhatダニットと無罪か有罪か評決・・を釣りにした、冷笑主義と自虐的高慢に硬化した男の精神を焙り出す苦渋の小説。言っちまえば、ミステリをダシにした「文学」に過ぎない。
が、最後の一頁の、「驚き」の・・文学にあるまじき・・ミステリ的Happyエンドに点数オマケ。
※「カラマーゾフの兄弟」のゾシマ長老が言ってたな、「地獄とは、人を愛せなくなった心」って。


No.692 7点 不自然な死体
P・D・ジェイムズ
(2023/04/19 09:25登録)
海を漂う小舟にはミステリ作家の屍体、屍体は「自然死」なのに両手首が切断されていた。詩人にして警視の探偵・その狷介な叔母・男女の文壇関係者達・不具者の秘書女・女流作家の姪・・半ば閉ざされた岬に住まう、一癖どころか三癖はある容疑者達。クリスティーどころかドロシー・セイヤーズでさえ、ここまで「人が悪く」はなかろうって程に辛辣で「純文学」なドロシー・ジェイムズの精神解剖描写。主役探偵どころか助役警部さえ、作者の残酷なペン先から逃れられない。殺人と手首切断の合理的「Why」に、文学的「何故?」が見事に融合、見事。


No.691 5点 シグニット号の死
F・W・クロフツ
(2023/04/15 19:33登録)
クロフツ第二十一作。十八番の船上殺人プロットに、ナンと嬉しや久々の「密室」付き・・カー「爬虫類館」レベルだけどね・・ 期待しなければ、それなりに・・再放送「科捜研の~」「捜査一課長」並みには・・面白いクロフツ。WhoWhyドンデン返しもナカナカよく・・もちっと犯人のキャラ掘下げほしいが・・クロフツだからね・・


No.690 7点 七番目の仮説
ポール・アルテ
(2023/04/11 21:41登録)
ペスト病人の消失と死体の出現、「密室」ワンツートリックが実によいなぁ。鳥仮面ペスト医者(なんじゃそれ)、クセ者のミステリ劇作家とミステリ役者、ワケあり風執事と薄幸風美女。多重変装に予告殺人遊戯、怪奇趣味とドタバタ浪漫、ちと無茶な操りドンデン返し。「いいじゃないか。こういうのでいいんだよ、ミステリてのは。(井之頭五郎風)」


No.689 4点 悪徳の輪舞曲
中山七里
(2023/04/08 18:43登録)
トンデモ過去持ちハードボイルド弁護士:御子柴シリーズ第四弾。今回の依頼人は、再婚相手の資産家夫殺しで法廷に立たされた実の母。冒頭の「犯行叙述」を、どう無罪判決へ「叙述トリック」反転させる?がメインとなってしまい、事件真相の方、WhoHowともかく、Whyは・・うーん、ちと説得力無いなぁ・・
※サイコパス遺伝説など一笑に付すべきだが、「たらちね」ネタでヒヨったか?作者、もっともっとハードボイルドさせなきゃ、御子柴礼司。受付の女の子に「兄妹喧嘩ですか」なんて突っ込ませてないで。


No.688 3点 宇宙神の不思議
二階堂黎人
(2023/04/07 17:03登録)
水乃サトル不思議シリーズ第二弾。 今回はUFO宇宙人ネタ絡めたカルト教団もの。
   密室殺人の「針糸」トリック+降格どんでん返しオチに、3点。
   宇宙人UFO遭遇現象の島荘風解釈解決に、+1点。
   魅力なさすぎキャラ達のドタバタ展開つまらな過ぎ※、-1点。
※ユニークなキャラ造りし損ねて、無理にコミックさせても、白けさせてくれるだけの痛い描写が多すぎて・・・


No.687 4点 勇将ジェラールの冒険
アーサー・コナン・ドイル
(2023/04/02 19:15登録)
英雄軍人ジェラールの第二(かつ最終)短編集。ナポレオン歴史譚との連作風な絡みは、ラスト二話を除いて薄れ、老兵の過去自慢武勇談てな趣の話が多く、前作のスピンオフ拾遺集て感じかな。突飛な奇譚ネタが増えて、物語構造はSF「失われた世界」と変わらない。こっちには、ラスト二話の哀切浪漫に点数オマケ。


No.686 5点 勇将ジェラールの回想
アーサー・コナン・ドイル
(2023/04/02 19:11登録)
ナポレオンの絶頂と失脚の歴史に運命を託した英雄軍人の連作短編集。空想冒険浪漫と歴史叙事譚の結び目鮮やかで、全編おんなじ・・使命 → ピンチ! → 逆転 → 決着!・・展開だが、良くできた少年漫画並みのハラハラドキドキ感が良く、別にミステリではないが、ほとんどの作品に出てくる「味方に変装した敵のトリック」あたりをミステリと無理に評価して・・点数オマケ


No.685 3点 フレンチ警部と漂う死体
F・W・クロフツ
(2023/03/29 21:26登録)
クロフツ第二十作。経営者一族・・一人の伯(叔)父と四人(+1人)の甥姪達・・に起きる毒殺未遂事件と船旅撲殺事件。凡庸なアリバイトリックにチョビッと伝奇浪漫風な過去譚とクルージング観光付き。


No.684 5点 七つの丘のある街
トマス・H・クック
(2023/03/28 20:44登録)
米国史上最年少の死刑囚少女と一回り年長の巨漢肥満男、二人の起こした残虐な連続殺人を、警察捜査と裁判で綴るノンフィクション。戦慄のサイコパスか滑稽なダメ人間か、心を持たないシリアルキラーか哀れな社会的敗残者か、狡猾な策略的知能犯か愚かな被洗脳者か・・・殺人者像の驚くべき相反する矛盾描写。結局、あいつら・特にあの少女・の本性って何だったのか・・悪魔?何かの犠牲者?Who(何者)?・・多重解釈エンドのミステリと評価してオマケの採点。
※肥満男の絵に描いた様な「ダメ白人」風貌ともかく、わが国にも、「ヒ素カレー毒殺事件」死刑囚や、近隣男児(たしか実の娘も)殺しの女等、その正体が分かりそうで分からない「ノンフィクション」女はおり・・・


No.683 5点 狂人の部屋
ポール・アルテ
(2023/03/22 20:17登録)
原題"La Chambre du fou"、仏語le fou(狂った)は英語the fool(愚か者)とは違うのね。「ふー」でなく鼻にかけた仏音韻「んふ」風カー。カー風に、オカルト・どたばたロマンス・不思議事件と出てくるが、カー描く英国男女は、もっと劇画チックでエキセントリックで、ミステリ臭くて・・。アリバイトリックは、もうひと工夫で「密室」してた、惜しい。※

※あの後、窓の三日月錠(か何か)をロックし、部屋の扉に外から鍵かけて、複数人で扉を破って侵入し女が失神騒ぎ起こしている間に、室内の何処かか地面の死体の服に鍵入れておけば、密室からの死体消失完成! 誰かこのアイデア使ってもいいよ。「 既出すぎダろ! てめぇ密室ナメてんのか!」って怒られても知らないけどね (^^)


No.682 6点 方舟
夕木春央
(2023/03/17 21:22登録)
第三作目、これも面白かった。麻耶雄嵩以降にも、この手の「捻くれ者」出て来て実に嬉しい、今後も愉しみ!(^^)!
    素晴らしき舞台設定に、3点。
    探偵役の犯人限定ロジックに、1点。(残念だがロジックに「穴」がある)
    驚愕のトンデモどんでん返しオチに、2点。・・計 6点。
※連続性のロジックに成ってない・・とか、それ以前に、人殺しになるより、「皆で協力して一人二人水中脱出させて、救援呼んで来させる」て風に意思働かないか?普通・・てな野暮は言わんとこ、面白かったし。


No.681 6点 沼地の記憶
トマス・H・クック
(2023/03/13 20:56登録)
南部の朽ち果てた屋敷に一人暮らす名家の孤独な老人。半世紀前の、若き高校教師として「悪について」をテーマにしたゼミでの追想記述に、謎の裁判描写をカット挿入しながら、「何起きたの?」で読者を釣り、師と弟子・父と子・米国階級・スクールカーストロマン・血の宿命・「様々なる悪」・・のドラマが綴られて行く。
カズオ・イシグロがSF的に描いた英国同様に、自由でありながら、どうしようもなく非平等な階級社会米国を生きる若者たちの宿命の切なさが胸を打つ。※ミステリとしては3点、ブンガクとしては8点。で、間とってオマケ付けて。


No.680 6点 化石少女と七つの冒険
麻耶雄嵩
(2023/03/11 19:36登録)
相当な名探偵の陽キャラ天然女子高生と、やまれぬ事情から探偵の推理結果を打ち消しにかかるワトソン役の後輩男子の学園ミステリ続編。タイトル通り7件の殺人事件・・何と1~2ヶ月おきに普通に殺人事件が起きる名門学園・・を巡る小ネタロジック短編の集積。(麻耶、もう纏まった長編ミステリ拵える意欲も力も失せちゃったのか?) 
前編の「半汚れ」超えた「ブラック」展開と、ブラック効果に効いた叙述トリックに2~3点オマケあげちゃう。


No.679 4点 恩讐の鎮魂曲
中山七里
(2023/03/07 09:20登録)
老人施設で起きた撲殺事件。加害者は車椅子の入居老人で、被害者は屈強な介護士。己への裁きを要求する被告老人の自白に反し、実際に起こったことは何だったのか、のWhyWhatミステリ。思わず一気読み誘う程に面白く、かつ感動的だが、シリーズ前二作にあったアクの強い捻りが足りない・・(ミステリマニアは人が悪いからねえ)
※それは別として、作者の「良心」に水差してワリいが、暴力クズ父(夫)、野獣レベル囚人、手負獣の如き患者・・24時間中こんな類と付き合わざるを得ない家族や職業に・・同情しちゃうなア。

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