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ミステリの祭典

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フレンチ警部と漂う死体
フレンチシリーズ

作家 F・W・クロフツ
出版日2004年12月
平均点4.80点
書評数5人

No.5 3点 レッドキング
(2023/03/29 21:26登録)
クロフツ第二十作。経営者一族・・一人の伯(叔)父と四人(+1人)の甥姪達・・に起きる毒殺未遂事件と船旅撲殺事件。凡庸なアリバイトリックにチョビッと伝奇浪漫風な過去譚とクルージング観光付き。

No.4 5点 E-BANKER
(2021/10/02 09:13登録)
フレンチ警部シリーズとしては16作目、全長編作品としては記念すべき20作目となる本作。
今回もヨーロッパ大陸を股にかけてフレンチ警部が大活躍する(?)
1937年の発表。

~イギリスの大富豪一族を襲った謎の殺人事件。フレンチ警部は、緻密かつ地道な捜査で証拠を集め、数々の仮説を立て、検証の果てについに真相に辿り着く。リアリズムミステリーの巨匠クロフツ、30作以上に及ぶフレンチ警部シリーズの未訳作品がついにヴェールを脱ぐ!~

(なんだ、この紹介文は!)
後期に入ったフレンチ警部シリーズ。今回も前半は登場人物が殺人事件に巻き込まれる顛末が描かれ、後半になってからフレンチ警部が登場、難航する捜査の果てに、ついに真相に辿り着く。
この展開は不変。もはや定番のプロット。
ただ、事件の様相がややこれまでとは異なる。特に第一の事件。
一族が集まるパーティーの席上で起こる毒殺事件。六人全員が砒素で毒殺未遂されるという派手な展開。
こんなのクロフツというよりは、新本格当りの作家がケレン味たっぷりに書きそうな展開だろう。
そして、事件が解決しないまま、地中海クルーズに旅たつ一族を襲う第二の事件。
これがタイトルの「漂う死体」につながっていく。

本作の評価をするなら、個人的には決して高い評価にはならない。
今まで半数以上のシリーズ作品を読み継いできた者としては、後期に入った本作は、正直なところ、劣化が目立つ作品に思えた。
2つの事件がバラバラで、ただボリュームを増すだけになっているし、動機についてはこれはもう後出しもいいところだろう。(個人的には、殺害される○○が、ああいう事件背景があるにもかかわらず、やすやすと真犯人の誘いにのって旅立つというのが、どうにも解せないのだが・・・)

まあよい。今回は地中海を舞台にしたトラベルミステリーなのだ。ジブラルタル、マラガ、マルセイユ、そしてギリシア・・・フレンチ警部も捜査そっちのけでクルーズを楽しんでるし、読者もついでに地中海の風景に思いを馳せればいいのだ!(多分)

No.3 5点 ボナンザ
(2019/07/03 22:34登録)
二段構えの展開ながらそれほどだれずに読ませるのは流石。
とはいえ最初の伏線が全く未回収なのは・・・。

No.2 5点 nukkam
(2016/06/01 11:20登録)
(ネタバレなしです) 1937年発表のフレンチシリーズ第16作です。前半は登場人物間の関係を中心に描き、中盤でメインの事件を起こし、後半は船上での探偵活動というプロットが同年に発表されたアガサ・クリスティーの名作「ナイルに死す」と同じなのは興味深いところです。もっとも舞台背景や人物の個性といった外面的要素で比較すると地味な作風のクロフツの不利は避けられないところです。第10章「幕間」では船や船員の様子が丁寧に描写されていますが、これがちっとも面白くないのがクロフツらしいです(笑)。まあフレンチとフレンチ夫人の会話なんかではユーモアを交えたりと頑張ってはいますけど。本格派推理小説としてはうまく伏線を張っているところもありますが、論創社版の巻末解説で紹介されているように謎解き手掛かりが解決前に十分提示しきれていないのは残念です。

No.1 6点 kanamori
(2011/06/27 18:47登録)
長らく絶版だった創元推理文庫の「警視最初の事件」が近々復刊されるようですが、そちらは書評済みにつき、数年前に突如翻訳出版された本書のほうを。
鬼貫警部シリーズ同様、フレンチの登場が後段になる作品ほど捜査小説として物足りない感じを受ける。キャリントン一族を巡る毒殺未遂事件の経緯が語られる物語前半部はちょっと冗長でした。
しかし、地中海の豪華観光客船に舞台を移しフレンチが乗り込んでから面白くなる。数章に渡ってフレンチの仮説の構築が語られる段は読み応えがあるうえ、伏線が少々不足ぎみながら最後に明らかになる犯人像は意外といえば意外。

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