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ミステリの祭典

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赤髯王の呪い
アラン・ツイスト博士シリーズ

作家 ポール・アルテ
出版日2006年08月
平均点5.71点
書評数7人

No.7 6点 レッドキング
(2023/04/24 01:42登録)
緑色の顔に白目だけの少女幽霊・・んな恐いモンは怖すぎるわ!(T_T) 「火刑法廷」なんかはゴシック・オカルト。が、これは、サイコ・ホラー。両目を潰され殺された少女の密室トリックには、カーの香りするけどね。 ※採点は表題作へ

No.6 6点 ◇・・
(2022/07/26 17:19登録)
作者の実質的処女作。小屋の中から消えた少女という見事な密室トリックが盛り込まれている。舞台となるその地方で囁かれる恐ろしい呪いや、死んだはずの少女が起こす殺人という怪奇性も充分で少しも飽きさせない。
しかも、主題性や叙述性の部分で日本の新本格との共時性が深く、実に興味深い。

No.5 6点 ボナンザ
(2020/01/07 21:21登録)
いかにもカーっぽい怪奇趣味と馬鹿馬鹿しいトリック。私は好きである。

No.4 5点 makomako
(2018/10/27 07:35登録)
「第4の窓」が面白かったのでさっそく違う作品をと、読んでみましたが、これはちょっと外れでした。
 はじめに、悲惨で複雑なアルザスの歴史が語られ、そこの中での不可解な出来事が赤ひげ王の呪いとして出てきます。いずれの事件も真相は究明されておらず、謎となっている。絶対解けそうもないものばかり。これをツイスト博士はちょっと聞いただけで、あっさりと解いてしまいます。


以下多少ネタバレです。

その内容たるや実にばかばかしくまじめに考えて損した気分となります。さらに主人公にかかった疑惑もあっさり解消。いくら何でもこんなに簡単に事件解決では拍子抜けしてしまう。その後のお話はまた一転急展開。フランス人のドイツ人への嫌悪感があふれ、アルザス地方のフランスから見た世界が広がります。ドイツの友人は全く違う見方をしていたなあ。アルザス出身の友人もまた全く違う見方だったなあ。などと思いながら読みました。

No.3 5点 E-BANKER
(2016/10/16 00:04登録)
1995年発表。
ツイスト博士シリーズ第一作とされている「第四の扉」刊行以前に私家版として発表された幻のデビュー作。
表題作のほか、シリーズ唯一の短編を三作収録の豪華版(?)

①「赤髭王の呪い」=~1948年ロンドン。エチエンヌは故郷アルザス在住の兄から届いた手紙に驚愕する。ある晩、兄が密室状態の物置小屋の中を窓から覗いてみると、16年前“赤髭王ごっこ”をしたために呪いで殺されたドイツ人の少女エヴァの姿があったというのだ。エチエンヌは友人から紹介されたツイスト博士に当時の状況を語り始めるが・・・~

何となく看板倒れで終わったような作品だった。オカルト&不可能趣味の多くは単なるこけおどしとして扱われ、まっとうなトリックはほとんどなかったような感じ。フーダニットも実に分かりやすい。最初から「もしかして・・・」と感じていたとおりの真相だった。やっぱりこれはシリーズ開始前の「周作」という扱いでよいのではないか。
②「死者は真夜中に踊る」=これも正直たいしたことはないんだけど、ラストだけはなかなか気が利いてる。その分①よりもむしろ短編らしくて好ましく感じた。玉がそんなうまい具合に作動するのかは甚だ疑問だけど・・・
③「ローレライの叫び声」=絶世の美女にして、男たちを狂わせるライン川の妖精“ローレライ”・・・。ラストはなぜこれで解決したのかよく分からなかったのだが・・・。「孔雀の羽」って結局何だったのか?? 当方の理解力不足なのか?
④「コニャック殺人事件」=コニャックとはフランスの都市。もちろん名物は「コニャック」。一応密室殺人事件がテーマで、密室内に毒物がどうやって持ち込まれたのかが最大の謎となる。青酸をこのように使っても人って死ぬのね、・・・死ぬのか?

以上4編。
もともとカーの影響を受け、不可能&オカルト趣味が特徴のシリーズだけど、本作もその色が濃く出た作品となっている。
ただし、本家取りとはいかず、スケールも緻密さもかなり劣後していると言わざるを得ない。
まぁ①でも書いたけど、これでは「習作」というか、アマチュア作品と呼ばれても仕方ないだろう。

ただし、短編三作はそれなりにまとまってはいる。
短いなりに、魅力的な謎の提示⇒切れ味の片鱗を感じるラスト、という雰囲気もある。
そういう意味では貴重な作品かもしれない。
(ベストは②かな。①は高く評価できない)

No.2 6点 nukkam
(2014/08/13 16:50登録)
(ネテバレなしです) デビュー作の「第四の扉」(1987年)より前に書かれ、1986年に50部の限定出版された本格派推理小説です。しかしミステリーコンテストであのフレッド・ヴァルガスに敗れてしまい、しばらくお蔵入りの末に1995年にやっと正規出版されました。ジョン・ディクスン・カーに私淑しているだけあって、不可能犯罪、謎めいた雰囲気づくり、歴史趣味などがてんこ盛りですが単なるカーのコピー作品ではなく、語り手の狂乱ぶり描写などには早くも作者の個性がうかがえており、短い作品ながら内容豊かです。陽の目を見てよかったですね。

No.1 6点
(2009/11/11 12:26登録)
主人公たちは回想シーンでは十台半ばですが、怪奇幻想仕立てにしているので、青春ものといった雰囲気はまったくありません。歴史的事実?と、回想シーンと、現在のシーンとをうまく組み合わせての雰囲気作りは、抜群の上手さを感じられます。映像化してほしいような作品でした。

(以下、わずかにネタバレ)
事件の核心である密室トリックについては、小道具はそろっているのですが、トリック自体はきわめてシンプルで、しかも犯人による犯行が偶発的である点は、やや期待はずれです。(とはいっても、犯人が現場を作るために、目撃者を遠ざけるテクニックは自然で良かったですね。)
でも、本書のねらいはトリックにあるのではなく、むしろ読者を過去と今とを行き来させながら犯人当てを誘導してゆくストーリー展開にあります。デビュー作とは思えないほどテクニカルです。ただ、この展開には好き嫌いがあるでしょうね。

表題作のほかに、ツイスト博士ものの短編が3篇、併録されています。みな本格謎解きもので、本格派ファンには垂涎の的だと思います。ちなみに私は、本格、変格、非本格と守備範囲が広い(その分浅いですが)ほうなので、トリックのない、怪奇ものやサスペンスものが1つぐらい入っていてもいいのになと思いました。

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