七番目の仮説 アラン・ツイスト博士シリーズ |
---|
作家 | ポール・アルテ |
---|---|
出版日 | 2008年08月 |
平均点 | 6.20点 |
書評数 | 5人 |
No.5 | 7点 | レッドキング | |
(2023/04/11 21:41登録) ペスト病人の消失と死体の出現、「密室」ワンツートリックが実によいなぁ。鳥仮面ペスト医者(なんじゃそれ)、クセ者のミステリ劇作家とミステリ役者、ワケあり風執事と薄幸風美女。多重変装に予告殺人遊戯、怪奇趣味とドタバタ浪漫、ちと無茶な操りドンデン返し。「いいじゃないか。こういうのでいいんだよ、ミステリてのは。(井之頭五郎風)」 |
No.4 | 6点 | ボナンザ | |
(2021/02/06 21:54登録) 相変わらずカー張りの不可能感満載の前半と、本を壁に投げつける読者がいてもおかしくないバカミスの後半で、実に楽しめた。 |
No.3 | 6点 | E-BANKER | |
(2020/07/12 18:49登録) P.アルテと言えば「ツイスト博士」シリーズということで、「第四の扉」から数えて七番目の長編。 (というわけで「七番目の仮説」なのか?) 2008年の発表。 ~ペストだ! その一言に下宿屋の老夫妻は戦慄した。病に苦しむ下宿人の生年を囲んでいるのは、中世風の異様な衣装に身を包んだ三人の医師。担架で患者を搬出すべく一行が狭い廊下に入ったとたん、肝心の患者が煙のように消え失せた! 数刻後巡回中の巡査がまたしても異様な姿の人物に遭遇する。言われるままに路地に置かれたごみ缶の蓋を取ると、そこにはなんと・・・~ うーん。一言でいうなら「プロット倒れ」なのかな? いわゆる「つかみ」は素晴らしい。紹介文のとおり、異様な姿をした三人の医師の登場に端を発し、下宿屋での人間消失と巡回中の警官の前での死体の出現。 これからどんな目くるめく展開が待ち受けるのか、いやが上でも期待は高まった。 ただ、ここからの展開がどうにも・・・紆余曲折というべきか、モヤモヤしているというべきか。 肝心の人間消失のトリックもなぁーこんなことを切羽詰まった局面で一瞬で実行すること自体かなり無理があるし、生身の人間とこれを見間違うとは、そこまで人間の目は節穴ではない! (「死体の出現」も相当ご都合主義だが・・・。これを誤認させられる警官も可哀想) 話を元に戻して、このプロットなのだが、やっぱりフーダニットをあまりにも犠牲にしすぎてる気がする。 前半段階で真犯人候補がほぼふたりのどっちかになるんだから・・・そこで本格ミステリーの醍醐味は削られていることになる。 動機もなぁー。最後まで引っ張るほどのものではなかったと思う。 うん。やっぱり「プロット倒れ」というのが本作に対して最もフィットする表現。 苦心の跡は伺えるだけに惜しい(のかもしれない)。 (作中のツイスト博士のセリフ『われわれが目にしているのはまったくピースが合わないジグゾーパズルみたいなものだ。』これが言い得て妙。) |
No.2 | 6点 | nukkam | |
(2015/01/28 14:33登録) (ネタバレなしです) 1991年発表のアラン・ツイストシリーズ第6作です。四部構成となっていますが、第一部はいかにもアルテらしい、不可能としか思えない謎の魅力がたっぷりです。しかし本書の特色はむしろ第二部以降で、一体誰がどんな陰謀を企んでいるのかという謎を巡って推理します。トリックよりも犯人と動機の謎解きに力を入れた作品で、特に後者については単なる犯行動機だけでなく、なぜこれほど複雑怪奇な事件にしたのかという理由も追求されます。アルテといえば不可能犯罪と期待する読者にはやや物足りなく感じるかもしれませんが、作者がトリックメーカーに留まらないことを示した作品と個人的には評価したいです。真相解明場面での犯人とツイスト博士の心理対決のサスペンスなどさすがにこの作者は演出が巧いです。 |
No.1 | 6点 | kanamori | |
(2010/04/29 16:27登録) 犯罪学者アラン・ツイスト博士シリーズ第6作。 発端の異様な衣装のペスト菌医師とかペスト患者の消失と死体出現などの怪奇と不可能趣向は、読者を物語に引き込む手法としてまずまず成功していると思います。 第2部の劇作家と俳優の殺人ゲームについても、ハースト警部が6つの仮説を上げるところから盛り上がってきます。しかし、複数犯による第1部の事件がミスリードになって、7番目の仮説が盲点になるという作者の意図はわかるんですが、あまり意外性のあるものとは思えませんでした。 |