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ミステリの祭典

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いいちこさんの登録情報
平均点:5.68点 書評数:570件

プロフィール| 書評

No.270 7点 ジェノサイド
高野和明
(2016/07/26 14:39登録)
多くのみなさんが指摘されているとおり、ハリウッド映画を彷彿とさせる、緻密でスケール感のあるプロット、高いリーダビリティは評価。
一方、本サイトの位置付けから詳細な言及は避けるが、作者の歴史観に裏打ちされた極端な人物造形やエピソードの挿入には、強く違和感が残り非常に残念な印象


No.269 3点 まほろ市の殺人 冬
有栖川有栖
(2016/07/11 20:32登録)
当代を代表する一流の作家を揃えながら、あまりにも冴えない作品ばかりの本シリーズ。
本作に関しては、みなさんがすでに指摘されているとおり、サスペンスタッチは買うものの、明かされた真相と解決があまりにもひどく、この評価


No.268 5点 まほろ市の殺人 秋
麻耶雄嵩
(2016/07/11 20:31登録)
当代を代表する一流の作家を揃えながら、あまりにも冴えない作品ばかりの本シリーズ。
本作に関しては、著者特有のキレ味は感じさせるものの、未回収の事件や犯行の論理性等に瑕疵を感じ、水準には達していない印象


No.267 5点 まほろ市の殺人 夏
我孫子武丸
(2016/07/11 20:31登録)
当代を代表する一流の作家を揃えながら、あまりにも冴えない作品ばかりの本シリーズ。
本作に関しては、相応の完成度に達しているものの、前半時点で真相をある程度予見できるため、サプライズの演出としては減点


No.266 4点 まほろ市の殺人 春
倉知淳
(2016/07/11 20:30登録)
当代を代表する一流の作家を揃えながら、あまりにも冴えない作品ばかりの本シリーズ。
本作に関しては、軽妙なストーリーテリングとの親和性があるとは言うものの、やはりトリックが無理筋と言わざるを得ない


No.265 4点 名探偵はもういない
霧舎巧
(2016/07/04 16:16登録)
稚気あふれる企みは好意的に受け止めるものの、技術不足が強く目立つ印象。
まず文章自体がうまくないのは紛れもない事実。
そのうえでプロット自体が、驚くべき偶然性と合理的に行動しない登場人物に支えられている点が大きすぎる欠点。
ブックカバーの煽り、空白の登場人物表、読者への挑戦状など、過剰に期待感を盛りあげた分、高いハードルを超えられなかった


No.264 7点 シャーロック・ホームズの冒険
アーサー・コナン・ドイル
(2016/07/04 16:15登録)
本作が佳作揃いであり、探偵小説の歴史に巨大な影響を与えたことは、敢えてここで指摘するまでもない。
一方、探偵の推理があまりにも独善的で、読者が推理に参加する余地がほとんどないなど、1個のミステリとして食い足りなさを感じるのも確か。
本作は、従来型のミステリとは異なり、19世紀英国の社会風俗の見事な描写、超人シャーロック・ホームズはじめ登場人物の個性と気の利いたジョークや皮肉を楽しむべき作品であろう


No.263 5点 綺想宮殺人事件
芦辺拓
(2016/06/23 17:43登録)
容疑者の人物造形が甘く、明かされた真相に安易さを感じるものの、ミステリのありように一石を投じようとする狙い・意欲は買える。
ただ、その主張を作品に織り込めず作品外で主張するなど、作品として未成熟な印象は否めず、その狙いが成功しているかは疑問。
またリーダビリティが高く、平易であるために、却って「奇書」には当たらない印象


No.262 6点 ブラウン神父の童心
G・K・チェスタトン
(2016/06/21 11:31登録)
佳作揃いであることに疑いの余地はないのだが、新本格を渉猟してきた立場からすれば、やはりいささかの「古さ」を感じざるを得ない。
また、原文にあたっていないため、本作に帰責するか否かは不明だが、翻訳の読み辛さは相当なもの。
本作の歴史的価値を考慮せずにこの評価


No.261 6点 鏡の中は日曜日
殊能将之
(2016/06/14 17:13登録)
本格ミステリへの深い愛情や、その愛情故にミステリの破壊に向かうスタンスには好感。
もはや作家の立場を超え、評論家の立場から著された作品とさえ感じる。
トリックの二番煎じに対する指摘も散見されるが、作品の性格やプロットにおける位置付けを考えれば、有名すぎる代表作よりは高く評価したいところ。
トリックの副作用であるご都合主義があまりにも強すぎるため、大きく減点してこの評価とするが、上記性格から本格ミステリとしての評価に相応しい作品とは言えない


No.260 6点 長いお別れ
レイモンド・チャンドラー
(2016/06/09 16:15登録)
ハードボイルドとは端的に言えば、主人公の一人称視点から登場人物の行動を描くことに主眼を置き、直接的な心理描写を極力廃した作品群と理解。
その点、本作は事実関係を掴み切ることができず、ハードボイルド作品を翻訳で読むことの限界を感じた読書であった。
私が読んだ清水俊二訳とは別に、より逐語訳寄りの村上春樹訳が存在するとのことだが、当該作の評価も賛否両論が分かれている状態。
英文で読むべきであろうが、表面的には意味を取れても、真の意図を過たず汲み取れるとも思えない。
結局、ネイティヴスピーカー以外には、真に理解するのは困難な作品なのだろうか。
当方の理解力不足に起因しており申し訳ない気もするが、格調高い叙述の一端を垣間見たことと、ミステリとしての不完全燃焼を相殺してこの評価


No.259 6点 九マイルは遠すぎる
ハリイ・ケメルマン
(2016/05/24 11:13登録)
安楽椅子探偵モノの宿命とは言え、真相解明に至る推理にかなりの飛躍を感じるし、収録作品数が多いこともあり、手際にやや単調さも感じるところ。
あまりにも有名な表題作は正直期待を超える水準とは言えないが、当該作よりも高い水準にある作品も散見。
全体として一定のクオリティは維持しているが、世評ほどの作品とは感じなかった


No.258 10点 そして誰もいなくなった
アガサ・クリスティー
(2016/05/17 18:35登録)
舞台設定とプロットの奇想が余人の追随を許さない。
多数の登場人物の描き分けと心理描写の手際、スピード感とサスペンスに満ちた筋肉質な骨格、登場人物の合理性を欠く行動、納得感に欠ける動機等々、そのディテールには毀誉褒貶があろうが、大胆極まる着想がそれらを問題にさえしていない。
明かされる衝撃の真犯人とそのトリック、印象的で美しいラストシーンを含め、ミステリの歴史における1つの金字塔


No.257 8点 皇帝のかぎ煙草入れ
ジョン・ディクスン・カー
(2016/05/17 18:33登録)
ご都合主義的な展開が散見されるのは事実。
しかし、後世の叙述トリックにも通ずる前半部分の綱渡り的な叙述・伏線、些細な手掛かりから犯人特定に至る真相解明プロセス、明かされた真相の衝撃度が際立っている


No.256 5点 猫丸先輩の空論 超絶仮想事件簿
倉知淳
(2016/05/10 10:20登録)
前作の「猫丸先輩の推測」は、真相の飛躍がリアリティと衝撃の絶妙なバランスを保持している点を高く評価した。
一方、本作は真相が予測可能な範囲にとどまり、その衝撃を大幅に減じている点で、凡庸なデキと言わざるを得ない


No.255 4点 手紙
東野圭吾
(2016/05/10 10:19登録)
加害者の家族に光を当てるテーマの設定は実によいと思う。
一方、人物造形や描かれている現実、とりわけ加害者兄弟の能天気な姿勢や生きざまが、エンターテインメントであることを前提にしても、あまりにもマンガ的で陳腐。
彼らの境遇がもたらす、残酷な現実やそれに立ち向かう絶望的な悲壮感が全く伝わってこない。
作者の主張に対しては、その当否の評論は避けたいが、差別を無原則に肯定し、しかもそれに対する救いを全く用意していないのであれば、作者の主張とは結局何なのかという思いは残る。
以上、重すぎるテーマを消化し切らないまま、振り回されている作品という印象


No.254 7点 Xの悲劇
エラリイ・クイーン
(2016/05/06 18:48登録)
些細な物的証拠から真相解明に至る、緻密で堅実なロジックが光っており、とりわけ第三の犯行における真相解明のプロセスは評価に値する。
一方、第一の犯行において、個性的すぎる凶器の特性から容易に犯人が特定し得るにもかかわらず、その点に警察が気付かなかったとするのは大いに疑問で、本作の数少ない瑕疵と言えよう。
ただ、新本格を渉猟してきた立場からすれば、プロット全体や個々の仕掛けにやや地味な印象を受けるのは否めない


No.253 7点 暗いところで待ち合わせ
乙一
(2016/05/02 10:56登録)
ミステリとして至って弱いのは事実。
ただ、トリッキーな舞台を活かして、抑制の利いた叙述でありながら、主人公2人の心の交流とサスペンスを描き出した筆致に、確かな筆力を伺わせた。
無駄のない硬質なストーリーテリングと高いリーダビリティも加点材料


No.252 5点 ガラスの麒麟
加納朋子
(2016/05/02 10:55登録)
各短編は、真相自体がサプライズに乏しく、解明に至るプロセスも直感的で、全体に平凡なデキ。
一方、連作短編集としては、その解明プロセスで非常に巧妙な本格ミステリとしての仕掛けを見せているが、淡々と描かれているため、気づかない読者が多いと思われる点が残念。
犯行プロセスの一貫性の欠如や、被害者の不可解な行動原理は大きな減点材料


No.251 7点 最悪
奥田英朗
(2016/04/27 10:47登録)
年齢も仕事もバラバラ、どこにでもいそうな平々凡々とした3人が、ちょっとしたトラブルに刹那的・場当たり的に対応するうちに、大きなトラブルに巻き込まれ、最終盤にその3人が1点に収斂するドタバタ劇。
スピード感とサスペンスを維持しつつ、現実味のあるストーリーを展開しながら、人物像を深く掘り下げていく手際、高いリーダビリティは見事。
盛りあがりに欠ける結末だけが残念ではあるが、犯罪小説の佳作と評価

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