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ミステリの祭典

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蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.10点 書評数:1696件

プロフィール| 書評

No.256 7点 怪盗グリフィン、絶体絶命
法月綸太郎
(2012/08/06 20:34登録)
(ミステリーランド)大人も充分楽しめた。著者らしくない国際謀略小説となっています。ミステリーランドなので、お色気がないのは致し方ないところです。第一部のゴッホの贋作にまつわる事件(それだけでも面白い)はとっかかりに過ぎず、第二部へと移行します。第二部では、裏の裏をかくという心理作戦が見事です。子供には理解できるかな?と若干心配もしました。


No.255 6点 ほうかご探偵隊
倉知淳
(2012/08/06 14:30登録)
(ミステリーランド)本シリーズは子供向けであっても「毒があっていい」という編集方針らしい。しかし、著者の作風からそれは感じられず、やさしい感じのミステリーとなっています。本格要素はバッチリ入っていますし、ラストは二転三転していますので、ミステリーランドのお手本のような作品です。


No.254 4点 くらのかみ
小野不由美
(2012/08/05 21:53登録)
(ミステリーランド)英文タイトルは座敷童子なので、こちらを主題にしてほしかったと思います。四人ゲームが五人になったことについて、子供たちの疑心暗鬼(誰が増えたのか?)がもっと前面に出れば面白かったのですが・・・毒草事件などに主題が移ってしまい、ややピントがずれてしまったような気がしています。「かつて子どもであったあなたと少年少女のための-ミステリーランド」前者にとっては、若干物足りないといったところです。


No.253 5点 カーの復讐
二階堂黎人
(2012/08/02 18:12登録)
(ミステリーランド)題名はJDカーとは関係なく、古代エジプトの精霊「カー」のこと。主人公はルパン。前書きで「この本の原書(1911年)をフランスの古本屋で見つけ、それを少年少女用に翻訳した」とあります。後書きはお楽しみ。あらすじは、ルパンが古代エジプトの呪いと対決するものです。ミイラ男がある家族に復讐を果たそうとします。やがて密室での殺害が起き、その真相を怪盗ルパンが解き明かすというものです。密室の謎は「ホルスの眼」がキーワードとして登場します。最後は怪盗らしく、黄金の在りかも見つけます。夏休みの時期なので、幼少に戻り、図書館で「ミステリーランド」ものを数冊借りました。


No.252 8点 検察側の証人
アガサ・クリスティー
(2012/08/01 19:25登録)
1925年の作品を戯曲としたものらしいので、その時代を考慮すれば、法廷での細かい点はスルーしても良いと思います。非常によくできた短編(中編?)であると思います。この作品をモチーフにした作品を何点か読んでいるので、本筋(落ち)はなんとなく予想はできましたが、結末でのどんでん返しは、予想外で素直に参りましたと言いたいです。


No.251 6点 美奈の殺人
太田忠司
(2012/07/30 14:43登録)
「僕の殺人」(一人六役)に続く、ひと夏の青春ミステリー。夕暮れの海辺で、僕は美奈に出会う。その出会いが僕の17歳の夏を狂わせてゆく・・・。美奈に翻弄される主人公がうまく表現されていると思います。ブラックな結末ですが、作風(「僕の殺人」も同様)としてやさしさが感じられます。個人的にはブラックが好みなので、やさしさがない方が返って良かったのですが・・・。


No.250 8点 二人の妻をもつ男
パトリック・クェンティン
(2012/07/28 15:20登録)
主人公の心の葛藤がうまく伝わってきて感情移入できました。登場人物も少ないし、性格描写もわかりやく書かれており読みやすい。トラント警部が切れ者なのか、またはサラリーマン的な性格なのかよく解らない点が魅力的で、非常に効果があったと思います。


No.249 6点 ブラックスワン
山田正紀
(2012/07/26 21:01登録)
18年前に行方不明になった女性の焼死事件が発生。自殺、他殺?の謎から始まる。そして、18年前「白鳥の湖」をいっしょに観ることになった学生仲間(男4女3)の手記から、なぜ女性が行方不明になったかが徐々に明らかに・・・。ブラックスワンの死が、青春の崩壊を暗示させているあたりはうまいと思います。そして折原一氏ばりのラスト。(あとがき・・・折原氏との時刻表トリックの話がミステリーを書くきっかけになったらしい。)


No.248 5点 神様ゲーム
麻耶雄嵩
(2012/07/25 19:11登録)
芳雄の推理のまま終われば、高評価で、かつ、納得できたのですが、神様の天誅が下るだんで、急に意味不明になってしまいました。奇をてらっただけとしか思えないし、動機が全く理解できませんでした。このような作風には、どうもついてゆけないといったところです。


No.247 6点 倫敦時計の謎
太田忠司
(2012/07/25 12:27登録)
ロンドンオリンピックもまもなく開幕なので・・・。モチーフは泡坂妻夫氏作品(1977)と同様な気がします。構図は良くできているし、面白いとは思うのですが、犯人の設定自体が好みではないので・・・評価が難しいですね。


No.246 7点 女囮捜査官 5 味姦
山田正紀
(2012/07/23 10:39登録)
本作のメイントリック3つのうち、2つ(トンネルでの密室・DNA鑑定)はあまり一般受けはしないと思います。このシリーズでは、トリックが盛り沢山ありましたが、どうもそれをメインとはしていないような気がしてきました。おとり捜査官という女の性(結構エロティックな表現あり)を主体に、警察内部の葛藤、そして最終回の謀略小説的な要素に+トリックといった感じがします。シリーズは、触・視・聴・嗅・味を副題とし、ミステリーの要素(密室・見立て・アリバイ・多重人格・サイコスリラー等々)がてんこ盛りで楽しめました。最終回は、何故、特被部(女おとり捜査官)を設立したかという謎がどんでん返しで明らかにされます。


No.245 5点 女囮捜査官 4 嗅姦
山田正紀
(2012/07/21 10:38登録)
見立て殺人のほか、てんこ盛り(詰め込み過ぎ?)でややピントがずれてしまったように感じました。見立て殺人一本の方がインパクトがあったような気がします。そうすれば犯人の心境や異常性、並びに意外な真相が際立ったような気がします。


No.244 8点 007/ゴールドフィンガー
イアン・フレミング
(2012/07/19 15:50登録)
007シリーズの映画化第3作目(1964)、本の方は7作目(1959)。スパイ小説の古典ですが、スリル・スピード感(賭博対決、ゴルフ対決、飛行機内対決など)があり楽しめた。映画とは違いボンドの内面の弱さが垣間見れて面白い。愛車アストンマーチンのカーナビ追跡システム搭載(本では発信音波追跡)は、当時絵空事と思ったものですが、そのカーナビが実用化されるなんて夢のようです。解説(ハヤカワ・ミステリ)は若竹七海氏でシリーズ中本書が一番とのこと。直近読んだ山田正紀氏(おとり捜査官)は映画では本作が一番とありました。ちなみに7のつく日にIMAGICA BSでシリーズ放映中です。


No.243 7点 女囮捜査官 3 聴姦
山田正紀
(2012/07/17 21:43登録)
誘拐+二重人格と、それぞれ別の物語として、成り立っているようですが最後はひとつに纏ってきます。なかなか見事な構成だし、誘拐犯の計画も凝っていると思います。おとり捜査官・北見志穂の孤軍奮闘の物語といえると思います。


No.242 7点 僕の殺人
太田忠司
(2012/07/16 10:30登録)
一人六役という物語の構成、人物の配置など、すごく計算されていて高評価なのですが、ややインパクトに欠けた印象ですね。ラストはどんでん返しのままで終わらせ、その後の行方は読者におまかせ・・・の方がインパクトが強いような気がしました。作者のやさしさが、にじみ出ているラストではあるのですが・・・。        (ネタばれ)「僕」が伯父に似ているというミスリードが2か所くらいあったと思いますが、やや反則?気味のような気がしています。ストレートな表現でなく、匂わす表現であればもっと効果的であったと思います。


No.241 6点 聖女の救済
東野圭吾
(2012/07/14 11:05登録)
トリックは、湯川の言葉通り「理論的に考えられても、現実的にはありえない。」ということでしょう。アイデアは面白いと思いましたが、やはり現実味がないので、感心することはありませんでした。ストーリーテリングはうまいといつもながら感心します。内海薫は、テレビと違い切れ者の感じがし好印象でした。


No.240 6点 007/ロシアから愛をこめて
イアン・フレミング
(2012/07/12 22:33登録)
007シリーズの映画化第2作目(邦題は「007/危機一発」)、本の方は5作目。原作者イアン・フレミング氏はこの作品が映画化されたあと逝去。映画はボンド=ショーン・コネリー氏の7作品(1作品はシリーズと別の映画)+αしか観ていないのですが、この作品が最高傑作であると思います。ダニエラ・ビアンキさんの色気に圧倒されました。映画は原作に+αがあり、派手な感じがしますが、本作はスパイ同士の恋愛を中心に描かれています。ラストは映画とは全く違うものでした。採点は甘めで・・・。


No.239 7点 誘拐者
折原一
(2012/07/11 19:01登録)
長編ですが、だらけることもなく謎とサスペンス感を保ちながら物語は進行しています。普通の誘拐物と違って、事件(誘拐)の20年後から物語が始まります。中年の女性(元妻、元同棲者、現同棲者、元囚人、元妻と名乗る者、記者の恋人)が入り乱れ混乱(いい意味で)させられますが、最後は時系列でスッキリさせてくれています。中年の看護婦が男性主人公(偽名を使っている)を本名で呼ぶシーン(看護婦は本名を知らないはず)があり、これは犯人が看護婦であったという伏線?と思いましたが、関係ありませんでした。ただの誤記???。


No.238 6点 鳴風荘事件
綾辻行人
(2012/07/10 10:59登録)
(ネタばれあり)二つの事件のトリックを解明してゆくと、犯人には結びつかないというところがミソなのでしょう。読者への挑戦もあります。伏線はかなりちりばめられていたのですが、解りませんでした。今までも犯人が解ったことはありませんが・・・(笑)。


No.237 4点 眩暈を愛して夢を見よ
小川勝己
(2012/07/07 12:51登録)
須山は、高校時代の憧れの先輩・柏木美南(現在AV女優)と再会したが、普通の人と結婚すると言い残し失踪してしまう。美南の行方を探すが、やがて美南の悲惨な過去が浮かび上がってくる。そして美南に関わった人物が相次いで殺されてゆく・・・。                                   奇作というのでしょうか、一読ではよく解りませんでした。作中作が突然出てきて、その論評がなされたりするものですから・・・。けしてつまらなくはないのですが、ミステリーとして評価すれば、題名から推測できるように反則技?ではあると思います。

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