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ミステリの祭典

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倫敦時計の謎
霞田兄妹シリーズ

作家 太田忠司
出版日1992年11月
平均点7.20点
書評数5人

No.5 6点 メルカトル
(2020/01/12 22:15登録)
ロンドンのビッグベンを象った大時計の完成式典で、針が十二時を指した時、仕掛け人形のかわりに死体が飛び出した。死んでいたのは奇矯な行動で知られる時計作家弥武大人。出馬を要請された作家探偵霞田志郎の苦悩を嘲笑うかのように、さらに殺人は続いた。地元有力者高野の屋敷で、大人作の巨大な砂時計の中から孫娘あずみの死体が発見されたのだ。やがて事件の背後に横たわる巨大な悪意に気づいた志郎は…。『上海香炉の謎』に続く人気本格推理シリーズ待望の第二弾。
『BOOK』データベースより。

弥武大人が製作する時計の関係者が次々と密室で死んでいく事件そのものは、大変派手で雰囲気もあり、まさに本格の王道を往くと言っても過言ではありません。これぞコテコテの本格ミステリって感じです。しかし、それに対する真相はトリックも含めてあまりに予定調和的で、私の好みではありませんでした。事件の裏に隠された陰謀も予想の範囲内でしたし、どこにも突き抜けたところがなかったのが悔やまれます。

探偵役の霞田志郎や妹の千鶴もあまり個性が感じられず、強烈な印象を残す作品とはまた違った形のやや地味目な本格推理だったと思います。ただ、テンポが良いのと読後感が意外に爽やかだったのは褒められる点ではないでしょうか。
期待したほどの出来ではなかったですが、まあ良作と言って良いのではと思いますね。

No.4 6点 蟷螂の斧
(2012/07/25 12:27登録)
ロンドンオリンピックもまもなく開幕なので・・・。モチーフは泡坂妻夫氏作品(1977)と同様な気がします。構図は良くできているし、面白いとは思うのですが、犯人の設定自体が好みではないので・・・評価が難しいですね。

No.3 7点 vivi
(2009/03/16 20:11登録)
霞田志郎のシリーズ2作目です。
軽いけど真面目という文章は結構好みなので、
千鶴のキャラもあいまって、お気に入りシリーズになろうとしています。

しかも今回の事件は冒頭からかなり派手な設定で、
かなり引き込まれるし、スピード感もちょうどいい感じですね。
若干、「出来すぎ」な感じもありますけど、楽しめるミステリです♪

No.2 8点 シュウ
(2008/12/08 02:15登録)
前作と同様、クイーンのような論理的な作風なのですが、今作はそれに加えて見立て殺人、3人の女性被害者、真犯人像など横溝正史の獄門島の
要素が入っているように思われます。クイーン+横溝ならつまらない訳がありません。前作では少し軽すぎると思った作風も今作は気になりませんでした。
あと今作のラストから犬のダミアンがレギュラーに加わりましたが、狩野俊介シリーズの猫のジャンヌといい太田さん動物好きですね。
まだどういうポジションになるのか分かりませんがその辺もこれからの続編に期待してます。

No.1 9点 makomako
(2008/11/29 13:24登録)
霞田兄妹の第2弾。上海香炉がやや地味だったが、これは白昼の事件あり、連続殺人ありで、登場人物も太田忠司の作品にしては奇人変人が登場するなかなか派手な本格物。今回再読したが十分に楽しめた。高得点はひいきの作者であることも少しはあります。
 1点減点はからくり時計の殺人の解決を霞田志郎に指摘されるまで警察が出来なかった点と(これは簡単に分かるはず)、ロングケースクロックのトリックはよほどの幸運(悪運?)がない限り無理であろうと思われるところ。
 このサイトに書評がないのは寂しい。もっと評価されても良いと思うのだが。

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