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ミステリの祭典

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美奈の殺人
殺人三部作

作家 太田忠司
出版日1990年11月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2024/06/26 23:18登録)
(ネタバレなしです) 1990年発表の本書が作者にとって長編ミステリー第2作であり殺人三部作の第2作でもあります。三部作といっても前作の「僕の殺人」(1990年)とは主人公が異なっており、読む順番はどちらからでも構いません。新本格派推理小説の新人作家、新作品が次々と登場する中、本書も「新本格推理」として出版されていますが巻末の「あとがき」で作者は「自分の書きたいことだけを書かせてもらった。結果としてあまり本格ミステリらしくない作品に仕上がったことは否めない」とコメントしています。推理による謎解きもありますが、自白による謎解きもかなり多いところは本格派としては物足りなく感じる読者もいるかもしれません。巻き込まれ型サスペンス、そしてハードボイルドの要素を含んだジャンルミックス型です。主人公も彼が出会った美奈も17歳の設定ですけど年齢を感じさせる場面がほとんどなく、青春小説を期待しない方がいいと思います。謎解きの面白さよりも事件の悲劇性に焦点を当てたような作品でした。

No.1 6点 蟷螂の斧
(2012/07/30 14:43登録)
「僕の殺人」(一人六役)に続く、ひと夏の青春ミステリー。夕暮れの海辺で、僕は美奈に出会う。その出会いが僕の17歳の夏を狂わせてゆく・・・。美奈に翻弄される主人公がうまく表現されていると思います。ブラックな結末ですが、作風(「僕の殺人」も同様)としてやさしさが感じられます。個人的にはブラックが好みなので、やさしさがない方が返って良かったのですが・・・。

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