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ミステリの祭典

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蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.10点 書評数:1696件

プロフィール| 書評

No.596 5点 消えた玩具屋
エドマンド・クリスピン
(2014/05/06 16:34登録)
(英・米ベスト100ランクイン作品)原題はTHE MOVING TOYSHOP ユーモアミステリーに分類されるのかも。ドタバタ調系ではあるのですが、日本人に受けるかどうかは疑問です。ミステリーの謎設定は面白いのですが、解決篇では事前に犯人が判明し、それを追いかける方に重点が置かれていました。もったいない気がします。 


No.595 4点 幻影城の殺人
篠田秀幸
(2014/05/05 20:56登録)
密室の組み合わせのうち一部については楽しめましたが、犯人像で低評価になってしまいました。前半はアトラクションの解説本を読んでいるようで味気ない。またアトラクションの説明として「本陣殺人事件」のもろネタバレをする姿勢に疑問を感じました。


No.594 5点 コールド・ロード
T・ジェファーソン・パーカー
(2014/05/02 20:03登録)
サンディエゴ市の実力者ピート・ブラガが撲殺された。トム・マクマイケル部長刑事が担当となるが、彼にとって、それは皮肉なものであった。ブラガ家とマクマイケル家の間には3世代におよぶ確執があった。トムの祖父はピートに射殺されたが正当防衛となっていた。その後、ピートの長男が襲われ、知能の発達が止まる。それはトムの父親の仕業と思われている。そしてトムもピートの孫娘パトリシアと10代のころ恋に落ちたが、両家の確執で恋は終わった。ピートの身の回りの世話をしていた看護婦サリーが容疑者となるが、トムはサリーを愛してしまう。~2つの家族の確執、親子の葛藤、元恋人との関係、容疑者との恋、警察内部の暗部等々盛りだくさんで600ページを超える長編です。読みごたえはありましたが、事件と恋くらいで納めてくれれば、ちょうどよかったかも。


No.593 7点 暗闇へのワルツ
ウィリアム・アイリッシュ
(2014/04/28 16:38登録)
「音のない音楽が流れ、踊る人影二つ そっと寄り添い、ワルツがはじまる。」「音のない音楽が絶え、踊る人影は崩れるように床に落ちて、ワルツが終わった。」・・・「俺たちに明日はない(ボニーとクライド)」(1967主演フェイ・ダナウェイ)を思い起こしました。主人公の名前も同じですしね。ほぼ2人だけの心理描写で、これだけの長編を書き上げた筆力に感心しました。


No.592 4点 ムーンズエンド荘の殺人
エリック・キース
(2014/04/23 18:52登録)
エンタメ系として評価すれば6点を計上できるくらい楽しめました。しかし、本格ものとするなら、好みの問題でポリシー通り辛目の4点といったところです。本書の前がカーの有名作品で同様の理由で同様の評価をしたので致し方ない。本文とは関係ないが、ムーンズエンド荘の表紙のイラストと荘の概略図がかなり相違しています(笑)。


No.591 4点 プレーグ・コートの殺人
カーター・ディクスン
(2014/04/21 14:24登録)
雰囲気はいいのですが、2大トリックは拍子抜け(好みの問題)でした。凶器についての知識がないのでただ唖然とするだけでした。もう一つは許容範囲外(昔の物語では何回かお目にかかっているが・・・)ということで辛目の評価となりました。H・M卿の推理が出来過ぎで、もう少し悩んでほしい(笑)。


No.590 6点 殺意の団欒
ジェームズ・アンダースン
(2014/04/18 20:15登録)
裏表紙より『シルヴィアが夫を殺そうと決心したのは、ある水曜日のことだった。ところで彼女は知らなかったが、夫のエドガーは火曜日、すでに妻を殺す決意を固めていたのだった。・・・・・』          ユーモアミステリーです。心理描写と会話のギャップが楽しめました。行動のすれ違いも面白い。落としどころはまずまずといった感じです。


No.589 7点 五番目のコード
D・M・ディヴァイン
(2014/04/15 22:40登録)
人間造詣が巧みで、ラブストーリーにもなっており楽しめました。主人公が犯人扱いされるのですが、これを最後まで引っ張っていれば、もっとサスペンスフルになったと思います。いつもは深く考えずサラッと読んでいるのですが、どういう風の吹き回しか今回はじっくり読もうと思いました。その結果、犯人の独白(2P)と第1部の1(10P)で、物語の全体の構図が思い浮かびました。さて、当たっていたのでしょうか?。途中であれ?間違っているのかと思わせる記述があったのですが、いやこれは絶対ミスリードと言いきかせながら・・・。しかし、こういう読み方は疲れます(笑)。やはり作者の意向に沿って騙されるのが向いているようです。


No.588 6点 デス・コレクターズ
ジャック・カーリイ
(2014/04/14 20:37登録)
シリーズ1「百番目の男」、同4「ブラッド・ブラザー」と比べるとおとなし目。そういう意味だと物足りない。どちらかといえばフーダニットに重点か。囚人の画家が指揮をとっている(他人にはそう見える)描写が、なぜか印象に残りました。主人公はダリが好きだったんですね。


No.587 5点 血染めのエッグ・コージイ事件
ジェームズ・アンダースン
(2014/04/12 09:21登録)
高評価で期待し過ぎたのか、残念。まず題名が活かされていないというよりあまり意味がなかった。殺人までと解決篇、それぞれ長すぎる。単純な事件であるが、パズラーを喜ばすため、現場に多くの人物を登場させた?。複雑にし過ぎの感。登場人物が多すぎ覚えきれない(苦笑)、そして裏のある人物が多すぎる。1人で十分。探偵役の視点が3人以上に移ってしまっているため集中できなかった。過ぎたるは及ばざるがごとしの感。なお伏線がほとんどなく犯人像は唐突な感じを受けた。等々あまり感心するところがありませんでしたがユーモアセンスは買っています。「証拠が問題」が楽しめたので、「殺意の団欒」(ユーモアミステリー?)は読もうと思っています。


No.586 6点 画商の罠
アーロン・エルキンズ
(2014/04/09 19:21登録)
題名通り、画商が仕掛けた罠は?がストーリです。レンブラントとレジェの2枚の絵についての真贋が語られます。物語の構図は絵画の寄贈にまつわるもので「楽園のカンヴァス」(2012原田マハ氏著)と似ています。勉強になったのは、例えば画家Aの弟子が描いた模写(素晴らしい出来栄えでAの描いたものと見分けがつかない)が発見された場合、科学的分析(年代識別や絵具素材)では真贋の区別がつかないということでした。14.4.3イタリア発。ゴーギャン発見!!。盗難~列車に置き忘れ~競売~台所に40年間飾られる~15億円の価値~「事実は小説より奇なり」でした。


No.585 5点 真犯人
パトリシア・コーンウェル
(2014/04/07 13:18登録)
シリーズ4作目。1作目から読まないと背景(人物関係)が判らないのが欠点(説明が後付)。人物像描写(前回作より数年後?)で、主人公の姪、大学時代の教授の様子・変化は細かく描かれているが、肝心の相棒の刑事と元恋人のことがよくわからない。コンピュータ(指紋システム)の話が冗長であった。全体として死んだ人間の指紋が新たに殺人現場で発見されるという謎で引っ張り過ぎの感。主人公ケイが犯人として疑われる場面は盛り上がるが、真相部分はあっけない幕切れとなる。黒幕的存在は暗示されているので判り易い(動機は不明)が、真犯人の動機・心理などは触れられていないので、すっきり感がなく物足りない。結局次回作?へといった感じになり、単独で読むのはお勧めできない作品ですね。


No.584 8点 摩天楼の身代金
リチャード・ジェサップ
(2014/04/04 14:33登録)
1981年の作品です。同年、日本では「コンピュータの身代金」(三好徹氏著)が発表になっています。「コンピュータ」を”人質”にするアイデアでしたが、本作は「超高層ビル」をということで、日米での時代背景など、何やら興味深いものを感じます。緊迫感・スピード感では本作のほうが断然上回っているように思いました。”身代金”受け取り方法のアイデアは斬新ですが、回収にかなりのリスク(杜撰さ)があるのでは?。ラストはニヤリとしますが、西村京太郎氏の作品(1977)が先陣を切っていましたね。たまにはクライムサスペンスもいいものと思いました。


No.583 7点 証拠が問題
ジェームズ・アンダースン
(2014/04/03 09:41登録)
物語の展開は判り易いし、文章も読み易い。よって深読みをすることもなくスラスラ読んでしまいました。犯人はまったく判りませんでした(笑)。登場人物表で「?」のつく人物は初めてで、その人物かと思われる者が途中から登場するのですが、うまく騙されました。全体の印象はスマートということですね。また、物語とは全く関係ないのですが、警部をどのような呼称にすればよいのか?が全編を通して出てきます。こういったユーモアも好きです。


No.582 6点 偽りの名画
アーロン・エルキンズ
(2014/04/01 18:25登録)
絵画ミステリーで、どちらかといえばエンタメ系でした。ちょっと長いですね。もう少しコンパクトになればと思います。展示絵画のうちの贋作を調査する物語ですが、真相についてのアイデアは楽しめました。フェルメールと贋作については「フェルメールの闇」(田中純著)の方が詳しく描かれていると思います。シリーズ2作目の「一瞬の光」に期待。


No.581 6点 百番目の男
ジャック・カーリイ
(2014/03/29 16:58登録)
(タイトル・男⑫)4作目を先に読んでいたので、登場人物、背景はよく頭に入りました。しかし、シリーズものはやはり順番通りの方がよいかも。死体に書かれた意味不明の文字が、こうくるとは思いもよりませんでしたね(笑)。一面バカミスっぽい感じもしますが、やはり犯人の異常性を際立たせているものと解釈します。まあ、よくこのようなことを考えついたものと感心します。


No.580 6点 フェルメールの闇
田中純
(2014/03/27 18:32登録)
イギリスの古城でフェルメールの「自画像」が発見される。鑑定結果は真画と思われた。難病に侵され、フェルメールを模写することだけが生きがいとなっている男がいた。その妻は「模写美術館」を夫のために建設しようとし、発見された「自画像」をその美術館の目玉としたいと考える。真画~模写~贋作~盗難品が絡み合い物語は進行します。フェルメールに関する薀蓄や天才的贋作画家メーヘレンの逸話など楽しめました。他の書評では、後半急いでいる感じでミステリー的には?が多いような気がしますが、私的には楽しめました。


No.579 7点 ブラッド・ブラザー
ジャック・カーリイ
(2014/03/26 09:11登録)
連続殺人鬼の殺害方法が強烈ですね。映像化は無理かも?。連続殺人犯の兄を持つ弟(刑事)の心理がよく伝わってきました。登場人物の因果関係が明らかにされるのですが、この辺の構築はうまいと思います。サスペンスフルでスピード感もあり一気読みできました。メッセージの翻訳で「わたしに必要なのは重大な・・・」より「わたしに必要なのはシリアス・・・」の方がよかったような気がします。


No.578 7点 古い骨
アーロン・エルキンズ
(2014/03/24 13:59登録)
裏表紙より・・・『レジスタンスの英雄だった老富豪が、北フランスの館に親族を呼び寄せた矢先に不慮の死を遂げた。数日後、館の地下室から、第二次大戦中のものと思われる人骨の一部が発見される。フランスを訪問中だった人類学教授ギデオン・オリヴァーは、警察に依頼され人骨を調べ始めるが、今度は親族の一人が毒殺された!骨を手がかりに謎を解く、スケルトン探偵オリヴァーの名推理。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。』・・・        不慮の水死は地文では、事故にしか思えない。どこに仕掛けがあるのか興味を惹かれます。そして骨から過去の事件を推理することに、最初は登場する警部と同様に疑問であったのですが、読むうちに段々と納得させられてしまいました(笑)。このような物語をよく思いついたものと感心します。モンサンミッシェルは美しい風景しか想像していなかったのですが、結構荒々しいことがわかりました。そしてル・ムートン・ブランでの食事風景を読んで訪れてみたい気分になりましたね。海岸の塩分の多い牧草で育った子羊は、風味豊かな微妙な味わいが評判とあります(笑)。


No.577 7点 寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁
島田荘司
(2014/03/22 18:49登録)
時刻表を見ないで済むトラベル・ミステリー(非常にありがたい・・・笑)。「なぜ被害者は顔の皮を剝がされたのか?」、「なぜ被害者は推定死亡時刻に寝台特急”はやぶさ”で目撃されたのか?」この2つの魅力的な謎で引っ張ってゆきます。双子?別人?・・・そして解決篇での逆転の発想はお見事!!。解説で綾辻行人氏がトラベル・ミステリーとして”格”が違うと評していますが納得です。

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