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ミステリの祭典

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隠蔽捜査

作家 今野敏
出版日2005年09月
平均点7.86点
書評数29人

No.29 7点 take5
(2019/06/13 23:03登録)
警察物としては、大変清々しい主人公と思いました。
堅物ではなく信念の人です。
コンプレックスを自覚しているが卑屈ではない人。
謎はなく読みやすい筋。
次回作が異動先での顛末だそうで、
早く読みたいです。

No.28 7点 メルカトル
(2018/02/18 22:30登録)
ミステリを期待して読むと裏切られるかもしれません。無論事件は起きますし、それは警察側の人間にとっては非常に厳しい状況をもたらします。しかし、それ自体にはあまり触れられることはなく、一般的な警察小説と異なり現場そのものや泥臭い捜査などは全く描かれていません。

本作のキモは竜崎や伊丹らの中心人物や、その他の警察庁官僚たちを通して、警察機構はどうあるべきかなどの根本的な問題を鋭く抉っている点にあると思います。普通の警察小説はノンキャリアの叩き上げが主人公になっているケースが多いですが、この小説はキャリア視点で描かれているのが異色なのでしょう。正直主人公の竜崎はあまりに一本気で真っ直ぐな性格のため、個人的にはあまり感情移入できるシーンはありませんでしたが、官僚としての姿勢は確かに立派であり、一般の企業人にとっても、或いは人間としても見習うべき点は大いにあると思います。

ある意味では警察小説というよりも、警察の内幕を暴く問題作品であり、尚且つキャラクター小説と捉えることもできそうです。何かと対照的な竜崎と伊丹は勿論のこと、脇を固めるキャリア組の様々な地位の警察官僚たちもそれぞれ個性的で、警察官を一個の人間として鋭く描いた点でも評価されるべき作品だと思います。
また、竜崎が抱える家庭の問題も大いにストーリーに関わってきますので、こちらも見逃せません。

No.27 5点 パメル
(2016/02/08 10:56登録)
事件を揉み消そうとする上層部と揉み消さないで処理するべきだと
考える主人公とのやりとりが読みどころ
ミステリ色は全く無く正義感を前面に押し出したストーリー
主人公に共感は出来たがどうも発言や行動が鼻についてしまった

No.26 8点 haruka
(2015/12/05 04:38登録)
最初は竜崎のキャラ設定に嫌悪感を抱くのだが、最後には応援してしまう。
竜崎は作品世界の中で一切ぶれていないのだが、
彼に対する読者の評価はどんどん良い方に変わっていく。
スピード感のあるストーリー展開もあって、久々に一気読みした作品です。

No.25 7点 蟷螂の斧
(2014/05/07 12:58登録)
ミステリーというより警察官僚の生き様を描いた作品でしたね。「変人」と捉えられているようですが、普通の人間と思います。正義感が強い一方、非常に打算的な考えも持ち合わせています。最初から違和感なく受け入れられました。願わくば、犯人の心情、およびヘロイン売人の顛末にも触れてほしかったと思います。氏の作品は2冊目ですが、非常に読みやすいですね。

No.24 8点 初老人
(2014/04/16 02:51登録)
竜崎と伊丹の小学生の頃から続く因縁、そして二人が全く正反対のキャラクターという設定がまず良かった。おそらく竜崎は伊丹の事を心のどこかでは許している。だからこそ家 族の問題が持ちあがった際真っ先に相談したのが伊丹だったのではないか。組織の危機管理という重いテーマを扱いながら読後感が爽やかなのも好印象。

No.23 7点 E-BANKER
(2013/09/08 13:53登録)
「果断」「疑心」などへと続く警察庁キャリア・竜崎を主人公とするシリーズ一作目。
「知る人ぞ知る」的な作者がブレイクするきっかけとなった作品であり、吉川英治文学新人賞受賞作。

~竜崎伸也は警察官僚(キャリア)である。現在は警察庁長官官房でマスコミ対策を担っている。その朴念仁ぶりに、周囲は『変人』という称号を与えた。だが彼はこう考えていた。エリートは国家を守るため、身を捧げるべきだ。私はそれに従って生きているに過ぎない、と・・・。組織を揺るがす連続殺人事件に竜崎は真正面から対決していく。警察小説の歴史を変えた、吉川英治文学新人賞受賞作~

確かに竜崎のキャラクターは強烈だ。
他の方も書評しているとおり、最初はあまりにも強いエリート意識に辟易するのだが、次第に一本筋のとおった彼の考え方に惹かれるようになる。
他の警察小説でも頻繁に書かれているとおり、警察という組織は、「組織を守るためにはどんな汚いことでもする」というイメージがあるが、そういったしがらみに切り込んでいく彼の言動はとにかく痛快なのだ。
そして、家族との関係の行方も見逃せない(特に妻の態度・・・)。

今回、竜崎とともに主要キャストとして描かれるのが同じキャリアでありながら、竜崎とは全く別のキャラとして登場する伊丹。
竜崎と伊丹の関係は磁石の両極のように反発しながらも、次第に同調していく・・・
やはりこの辺り、登場人物の造形や設定はさすがとしか言いようがない。
警察小説といえば、横山秀夫や大沢在昌、佐々木譲など達者な書き手が揃っているが、やはり作者の名前もそこに加えなくてはならない・・・改めてそう感じさせられた。

まぁ純粋な「謎解き」という要素は相当薄いが、そもそも本シリーズにそういうことを期待してはいけないのだろう。
個人的には、シリーズ二作目の「果断」を先に読んでしまったのが悔やまれる。
(やはりシリーズものはできる限り順番通り読むのがベターだと再認識した)
ラストも実に爽快。

No.22 8点 バックスクリーン三連発
(2013/03/29 10:40登録)
読み始めの頃は竜崎のクソ官僚っぷりがほんとにむかついたが読み進めるうちにそのブレ無いところが清々しい。
他の人も言っているとおりミステリ色は薄いがキャラクタ勝利の面白い作品だと思う。
このキャラクタに引かれてシリーズは全部読みました。

No.21 8点 いけお
(2012/05/27 01:36登録)
設定も上手くキャラも良い。
ミステリではないが、警察小説として最高峰ではないか。
無駄がないのでプロットの良さがより生きている。

No.20 8点 こう
(2011/07/09 00:24登録)
 主人公竜崎のキャラクターにつきる作品だと思いました。個人的にはミステリとしてはどうでもよくて竜崎の有能でありながらの変人ぷり、セリフ回しが楽しめました。

No.19 5点 isurrender
(2011/05/30 22:56登録)
小説としては非常に面白かった
キャラクターもユニークですし、内容も従来ありがちな「エリートは悪者」を覆すもので面白い

No.18 9点 3880403
(2011/04/04 00:16登録)
泥臭さが無くスマートな感じがよい。

No.17 8点 ムラ
(2011/01/11 04:57登録)
主人公のキャラがとてもよかったです。警察物といえば、キャリアが悪者にされがちなイメージですけど、竜崎はブレのない官僚で見ていて清清しい。
出世する事はいい事であるが、そのために悪の道に行くのはダメと言う、基本であるがこういうのを真面目に書くのは難しい。
伊丹や谷岡なども、見ていて愛嬌のあるキャラで、読了後もすっきりとした。
家族問題、警察問題、苛め問題、少年犯罪問題が詰まっていて、文章もわかりやすく、読み応えのある作品でした。

No.16 9点 HORNET
(2011/01/08 21:01登録)
 確かにミステリ度は低いかもしれません。が,竜崎の男ぶり,原理原則を大切にして最終的には揺るがないその生き方に胸のすく思いになります。今野敏の作品は文章に無駄がなく,飾り気がない割には存分に楽しめます。

No.15 7点 白い風
(2010/12/12 23:27登録)
初めての今野作品でした。
評価は分かれそう・・・確かに「警察小説」としては読み応えがあって評価が高いのも納得!
でも、ミステリ度は少ないよね?
オイラはラストでのサプライズ度を重視する派だから6,7の評価になっちゃうな。

No.14 8点
(2010/11/03 17:13登録)
主人公の竜崎は、魅力あるキャラクターですね。
面白く読めました。
ただし、ミステリーの部分が少ないのでこの点数です。

No.13 9点 ZAto
(2010/10/17 22:33登録)
『隠蔽捜査』は、読者が竜崎伸也を理解していく作業に追われる小説だといえる。
そして竜崎伸也を理解するということは、今野敏が考える真のエリートとは何か、あるべき官僚の姿とは何かを理解することでもある。

大胆にも「足立区女子高生コンクリート詰め殺人」と「国松警察庁長官狙撃事件」を俎上にあげている。
現実の事件を物語に取り込むことで小説にリアルな迫真性をもたらすという手法は好きな手ではないが、このふたつの事件を通して『隠蔽捜査』の竜崎と伊丹の思想対決がより臨場感を帯びたことは否定出来ない。

No.12 10点 VOLKS
(2010/09/24 14:10登録)
面白かった。
はじめは「?」だった主人公の竜崎のことが、読み進むにつれどんどん好きになった(笑)
ミステリィ小説ではないとは思うが、ひとつの小説として文句無く面白かった。
今後の竜崎氏の活躍が気になるのでシリーズは全て読みたいと思う。

No.11 7点 シーマスター
(2010/04/27 23:20登録)
(結末に触れています)

うん、確かに面白い。
読みやすくて読み応えのある小説だ。

本作の魅力は何といっても主人公の「職務の原則を貫き通す生き様」であるが、これはもちろん私利や保身を超えたヒロイズムなどではなく、単なる正義感でもない警察官僚としての矜持、というより「全てを犠牲にして手に入れた自分の仕事の意義」突き詰めれば「自分が生きている意味」を守る、ということに他ならないものなのだろう。
(その裏返しが『レ・ミゼラブル』のジャベール警部だったように思う・・・宿敵と定め、長年追い回してきた犯罪者バルジャンに命を救われたことにより、生涯信じてきた「法律」の絶対性が自分の中で根幹から崩れ、信念と生きる支えを失ったジャベールは自らセーヌ川へ身を投じることになる)

もう一つの大きなメッセージが「隠蔽は必ず破局を招く」言いかえれば「うそをついてはいけません。本当のことを話しましょう」という小学一年の道徳で教わるような教訓であり、下手に書くとクサい勧善懲悪モノになりそうな内容だが、社会派ストーリーとして清々しい読後感をもたらす物語に仕上げられている。

ところで近頃時効を迎えた国松元長官狙撃事件の捜査で本当に「そんなこと」あったのかな?

No.10 5点 simo10
(2010/02/27 20:33登録)
日本推理作家協会賞を受賞した「果断」を読みたかったので、シリーズ一作目の本作を読んでみたのですが、これはミステリ要素がなかったんですね。
そんな訳で、非常に面白かったのですが、点数は控えました。
この作品はありがちな刑事ものではなく、警察庁総務課課長を務めるキャリアが主人公という、ちょっと意外な設定。
しかも、キャリアと言ってもちょっと型破りで熱いハートを持っている等のようなこれまた主人公にありがちな設定ではなく、正統派のガチガチのキャリアだからさらに意外。
しかし、読み進めていく程に主人公竜崎の魅力にはまってしまいました。何があってもブレない姿勢はお手本としたいです。
「危機管理」をテーマとした作品で、数々の決断の選択を迫られる緊迫感と読後の爽快感、素晴らしいです。

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