home

ミステリの祭典

login
画商の罠
美術学芸員クリス・ノーグレンシリーズ

作家 アーロン・エルキンズ
出版日1995年03月
平均点6.67点
書評数3人

No.3 6点 nukkam
(2015/02/25 11:30登録)
(ネタバレなしです) 1993年発表のクリス・ノーグレンシリーズ第3作で、過去2作品に比べて組織的犯罪臭さがない分、本格派推理小説好きには受け入れやすい作品だと思います。とはいえメインの謎解きは絵の真贋であって、殺人犯探しが付随的に扱われているのが本書の長所(個性)でもあり短所(専門的ジャンルのため一般読者にはややわかりにくい)でもあります。

No.2 6点 蟷螂の斧
(2014/04/09 19:21登録)
題名通り、画商が仕掛けた罠は?がストーリです。レンブラントとレジェの2枚の絵についての真贋が語られます。物語の構図は絵画の寄贈にまつわるもので「楽園のカンヴァス」(2012原田マハ氏著)と似ています。勉強になったのは、例えば画家Aの弟子が描いた模写(素晴らしい出来栄えでAの描いたものと見分けがつかない)が発見された場合、科学的分析(年代識別や絵具素材)では真贋の区別がつかないということでした。14.4.3イタリア発。ゴーギャン発見!!。盗難~列車に置き忘れ~競売~台所に40年間飾られる~15億円の価値~「事実は小説より奇なり」でした。

No.1 8点 Tetchy
(2008/07/23 19:33登録)
ギデオン・オリヴァーシリーズと一緒でこのシリーズも世界各国を主人公が巡る趣向だが、やはり美術品を扱っているため、著名な美術館があるところに限られるみたい。
今回の舞台はフランス。

怪しい画商がレンブラントの絵を寄贈したいという申し出を受け、クリスはフランスに飛ぶ。
画商ヴァシィは小道具屋で手に入れたものなので来歴がわからない上に、科学的鑑定をしてはいけないというとんでもない条件を出す。
しかもこのヴァシィ、色んなところで問題を起こしており、悪評高い。
寄贈するとは云え、贋作を展示しては美術館の沽券に関わる。
果たしてこのレンブラントは本物なのか?

今回はこの来歴不明の作品をレンブラントの物としたのがさらにミソ。
この作品でオイラも知ったが、レンブラントはいわゆる絵画工房のような形で作品を量産していたらしく、作品の中には弟子が描いてレンブラントがサインしたなんて物もごろごろしているらしい。
だから贋作が非常に多い作者だという。

こういった美術史も盛り込んで謎は否が応にも盛り上がる。
ああ、もうこういうの、好きですわ♪

でもこのシリーズ、これで打ち切りなのか、続編が書かれていない。非常に勿体無い。
ぜひとも復活してくれないかな、エルキンズ。

3レコード表示中です 書評