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ミステリの祭典

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幻影城の殺人
弥生原公彦シリーズ

作家 篠田秀幸
出版日2000年10月
平均点6.20点
書評数5人

No.5 5点 nukkam
(2016/02/19 11:32登録)
(ネタバレなしです) 2000年発表の弥生原公彦シリーズ第2作の「読者への挑戦状」付きの本格派推理小説です。1970年代後半から1980年代前半にかけて大ブームを起こした角川商法(作中で文化革命と激賞しています)と、その中心的存在だった横溝正史や森村誠一への思い入れのようなものが感じられます。特に森村に至っては作中に登場させておいしい役割を与えているほどです。一方で密室トリックの一部に森村作品のそれをパクリに近い形で使っているのはどうなんでしょう?更には横溝正史の作品のほとんどそのままの状態でのパクリではないかと思えるトリックがあるだけでなく、「本陣殺人事件」(1946年)や「犬神家の一族」(1950年)については重大なネタバレまでやっており、先人作家に対する敬意に疑問符が付きます。複雑で重厚な作品ではありますが、シリーズ前作の「悪霊館の殺人」(1999年)ほどの詰め込み感はなく、ストーリーテリングが大幅に改善されている点はプラス評価したいと思いますが。

No.4 4点 蟷螂の斧
(2014/05/05 20:56登録)
密室の組み合わせのうち一部については楽しめましたが、犯人像で低評価になってしまいました。前半はアトラクションの解説本を読んでいるようで味気ない。またアトラクションの説明として「本陣殺人事件」のもろネタバレをする姿勢に疑問を感じました。

No.3 7点 江守森江
(2010/03/23 05:21登録)
弥生原公彦シリーズ第二弾。
ハルキ・ノベルスらしさ全開で、角川春樹への賛辞な舞台設定もリアルタイムに角川映画に接した世代にはノスタルジックで楽しい。
本格探偵小説らしい「読者への挑戦」も嬉しい。
トリック(一部)を拝借した森村誠一まで登場させるサービス有りの四重密室は(私は胴体運び出しの疑問点から犯人と操りに到達したが)既存トリックの組み合わせだが構成は上手い。
空中密室の方は、他に推理のしようがないパターンなのでヒントと言える。
斬新さの面で満点には一歩及ばない。
※オマケの解答
作家は年代順に綾辻・京極・清涼院、大物編集長は宇山。
それよりも、作者をモデルにした登場人物を高木誠一と高木彬光の本名にし、「人形はなぜ殺される」を度々引用した遊び心に口あんぐりだった。

No.2 7点 E-BANKER
(2009/10/02 23:30登録)
氏の弥生原探偵シリーズでは一番出来のいい長編。
ホテルの一室で起こる「四重密室殺人事件!」が本作の白眉です。(犯人が現場に入れないし出られない)
一部過去の名作のトリックを借用していますが、なかなか綺麗な解決方法ですし、不可能状況の見せ方はうまかったですね。
ただ、角川映画(「人間の証明」とか「戦国自衛隊」とか…)
をモチーフとした架空の大型テーマパークを作品の舞台としているのが何か笑えます。(なぜか、薬師丸ひろ子も出てきますし・・・)

No.1 8点 測量ボ-イ
(2009/08/20 20:56登録)
(多少ネタバレ有)

氏の作品を読んだ中で3作めですが、その中では一番良い
出来栄えでした。
いくつかの不可能犯罪の提示があり、その各々に対して合
理的が解決がなされていたのがその主な理由です。中には
もろに他作品のパクリ(これもパクリである旨申告してい
るのでさほどマイナスにはならず)や、ちょっと納得いか
ない部分もありましたが、全体的には好印象です。
「読者への挑戦」もありましたが、これは犯人当てるのは
難しいですね・・・単独犯ならともかく、共犯がいたので
すから。

作中に数人の架空のミステリ作家と評論家が登場しますが、
これらのモデルが誰なのかを想像するのも楽しいものです。
(読んだ方、判りましたか?)

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