消えた玩具屋 ジャーヴァス・フェンシリーズ |
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作家 | エドマンド・クリスピン |
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出版日 | 1956年01月 |
平均点 | 5.60点 |
書評数 | 5人 |
No.5 | 5点 | クリスティ再読 | |
(2024/09/27 20:35登録) イギリス教養派といえば、大学モノというのが大特徴。セイヤーズなら「学寮祭の夜」イネスなら「学長の死」P.D.ジェイムズなら「女には向かない職業」と数多くの大学モノがあるわけだ。でこれもオクスフォードが舞台。まあクリスピンといえば探偵役が英文学の教授、でもそのホームグラウンドでドタバタ(苦笑) 詩人の友人が遭遇した奇怪な殺人事件?から、消えた玩具屋の謎を...なんだけども、書法が全然パズラーじゃないんだよ。都合よく出くわした人々から自然と謎が割れてくるようなプロセス。読みどころは3回にわたる大規模な追っかけ。まあだから、本作あたりが典型的な「英国スリラー」というものなんだと評者は思うんだ。こういうの、パズラーの評価基準で見るのは見当違いだと思っている。 こんな追っかけの中でも、悠長に詩を引用したりとかさ、そういうのんびりしたあたりがイイといえばイイんだけども、まだ魅力全開とはいえない。「お楽しみの埋葬」と比べたら、ドタバタもミステリも練れていないと感じる。 そういえば本作でよく名が上がるポープの「髪盗み」って、「黒死館殺人事件」で大きな小道具になっている詩だから、妖異耽美...ってオモイコミしちゃうんだが、ホメロスのパロディみたいな風刺詩で全然そんなものじゃない(苦笑)評者は黒死館の読みすぎなんだが、虫太郎のパロディセンスって軽視されがちなのって仕方ない... |
No.4 | 5点 | 蟷螂の斧 | |
(2014/05/06 16:34登録) (英・米ベスト100ランクイン作品)原題はTHE MOVING TOYSHOP ユーモアミステリーに分類されるのかも。ドタバタ調系ではあるのですが、日本人に受けるかどうかは疑問です。ミステリーの謎設定は面白いのですが、解決篇では事前に犯人が判明し、それを追いかける方に重点が置かれていました。もったいない気がします。 |
No.3 | 7点 | mini | |
(2013/03/27 09:55登録) 一部の書店で先行発売されていたが、エドマンド・クリスピン「列車に御用心」が刊行された、まだ全国的には取り次ぎ状況にばらつきが有るみたいだが 論創社って時々刊行直前に遅滞とか発生するが、まぁ論創には出してくれるだけで感謝なので、この辺は突っ込まない事にしよう クリスピンは長編は9作しか無いが、他に未訳だった短編集が2冊あって「列車に御用心」はその第1短編集の全訳であろう、”クイーンの定員”にも選ばれている さて海外の名作里程標リストなどを見るとクリスピンの代表作としてよく挙げられているのが「消えた玩具屋」である いつ書評するか?今でしょ! 海外と日本で評価が大きく分かれる作品の1つだ 他のネット上の書評を閲覧しても、クリスピン作品を複数読んだ人の中では、他の同著者の作と相対比較して低めの評価が目立つ 私はその原因の1つが邦訳題名だと思うのだよな 原題を直訳すれば『動く玩具店』であって”消えた”じゃないんだ もちろん内容的には”消えた”で正解なんだけど、この”消えた”という語句が誤解を招いているんじゃないかな 語感から日本の読者側が不可能犯罪ものを期待してしまうのではないだろうか、そういう期待値で読むから求めているものと違うみたいな 消えた玩具屋の謎は中途であっさり解明され、主眼がどこに有るかという問題以前に、そもそも不可能犯罪的感覚で書かれてはいないと思うなぁ イネス、ブレイク、ヘアーらと並ぶ英国教養派クリスピンだけに、ある意味「消えた玩具屋」は作者らしさが強烈で代表作に相応しいとも言える オクスフォードを舞台にした御伽噺的感覚で読むのが正しいのではと思う |
No.2 | 6点 | nukkam | |
(2011/01/11 19:17登録) (ネタバレなしです) 1946年発表のフェン教授シリーズ第3作の本書はクリスピン全作品中でもファルス派ぶりが最も顕著な作品ではないでしょうか。映画化が検討されたというのも納得のどたばたの連続に、玩具屋消失という大変魅力的な発端の謎と相まって中盤までは文句なしの面白さです。謎解きがやや残念レベルで、玩具屋消失トリックが推理と関係なく明らかになってしまうし、それとは別のトリックも非常に珍しいのは確かだけど実行にはあまりにも大きなリスクが伴いそうでぴんと来ませんでした。良くも悪くも読み応えがたっぷりなのは確かで、ある人物をフェンや学生たちが追い回すシーンやフェンと犯人との対決シーンなどは抜群に面白いです。 |
No.1 | 5点 | kanamori | |
(2010/09/04 22:28登録) オックスフォードを舞台にした非常にファルス風味の強い作品です。 死体もろとも消失した玩具屋の謎がメインのはずですが、発見者の詩人キャドガンとフェン教授のドタバタ騒動が前面に出ていて、フェン教授が推理らしい推理をしないうちに、事件の真相が早めに明らかになってしまうなど、ミステリとしては物足りない感じを受けました。 |