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ミステリの祭典

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蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.10点 書評数:1691件

プロフィール| 書評

No.1411 6点 笑え、シャイロック
中山七里
(2021/04/20 18:01登録)
裏表紙より~『入社3年目の結城が配属されたのは日陰部署の渉外部。しかも上司は伝説の不良債権回収屋・山賀。憂鬱な結城だったが、山賀と働くうち彼の美学に触れ憧れを抱くように。そんな中、山賀が何者かに殺され――。』

~半沢直樹に対抗?と思ったら、出版社よりの依頼(金融もの)だったそうです。当然、殺人も入れてとのことですが、ミステリーとしての殺人はオマケ程度でした(苦笑)。やはり、メインは金融機関の裏方業務である債権回収の物語にあります。回収のアイデアは現実にあるかも?と思わせるようなレベルで結構楽しめました。


No.1410 5点 マツリカ・マトリョシカ
相沢沙呼
(2021/04/19 17:26登録)
前作のシリーズを読んでいないので背景(謎の女性マツリカや主人公の姉の存在)が分からない。概要は説明して欲しいところ。好みの問題なので仕方ないのだが、多重解決ものにほとんど興味が湧かない。一つでも面白い推理あればと思うのだが、それがないと高評価は中々つけがたい。「なぜ胸ポケットに自転車の鍵が入っていたのか?」が最大の「カギ」になるのだが、これに必然性を感じられないのが弱い点。まあ、これがないと物語自体が成立しないのだが・・・。密室ものはよほどのトリックでないと・・・・とも思う次第です。


No.1409 7点 一角獣・多角獣
シオドア・スタージョン
(2021/04/18 06:24登録)
いかにも異色作家の作品集と言えます。小難しい表現が多いので、一読や流し読みでは意味不明の恐れあり
①一角獣の泉 7点 青年デルは地主の娘リタに翻弄させられ盲目に・・・幻想的な大人の童話
②熊人形 6点 熊人形が怪物だった?・・・予知夢
③ビアンカの手 5点 知的障害のある娘。彼女の美しい手に魅せられた青年の行く末は・・・フェチ系のホラー
④孤独の円盤 9点 円盤を目撃した女性が自殺未遂。その理由は?・・・題名の意味が分かる愛の物語
⑤めぐりあい 7点 青年は理想の恋人に出会う。人間の創造力には、心霊的な世界に触れ、具象化させる力があるらしい・・・摩訶不思議な「シジジイ」の世界
⑥ふわふわちゃん 6点 男は猫が嫌い。猫も男を嫌っている。その結果・・・しゃべる猫が登場
⑦反対側のセックス 7点 シャム双生児が殺された?・・・⑤の「シジジイ」の具体的な説明がなされるSF
⑧死ね、名演奏家、死ね 8点 俺は幸運をつかむバンドリーダーが憎い・・・題名にもこめられている怨念
⑨監房ともだち 5点 同房の男の胸が異常に大きい。脱走するというが・・・洗脳?
⑩考え方 6点 逆の発想をする男。その弟が殺された・・・その行動(考え方)は一瞬面白いと思うが結局同じ結果じゃないの?


No.1408 5点 夫以外
新津きよみ
(2021/04/17 19:19登録)
「夫」がキーワードとなっている短篇集。イヤミスかと思いきや
①夢の中 6点 夫を亡くした聖子は何事にも夢中になれない。イケメンの亡父の甥が現れると…プチどんでん返し
②元凶 7点 口も利かない夫。妻は事故で記憶喪失に・・・ユーモア系
③寿命 4点 未婚の母であった私も還暦。娘が妻子ある男性と。私は父から目の黒いうちは許さないと言われたが・・・
④ベターハーフ 6点 夫婦間でないと臓器提供はできないと言われ・・・
⑤セカンドパートナー 4点 結婚してから害のない男友達といっても、夫は理解せず・・・
⑥紙上の真実 5点 女性にとって、姓、家とは?


No.1407 8点 鳥―デュ・モーリア傑作集
ダフネ・デュ・モーリア
(2021/04/16 17:28登録)
①恋人 8点 切ない恋物語。彼女は墓場で眠るという。ホラー系?・・・反転がお見事
②鳥 9点 登場人物、筋は映画とは違います。カモメの大群が海に浮かぶ描写は印象的。鳥が目を襲撃してくる恐怖。ラスト煙草を忘れた主人公の嘆き。うまいね
③写真家 6点 侯爵夫人と写真家の青年との束の間のロマンス。他の書評では情事と書かれている方が多いがプラトニックの方が適切な表現?(笑)
④モンテ・ヴェリタ 8点 若妻が山の修道院に姿を隠す。夫とその友人、二人とも彼女を愛していた・・・幻想的な短篇です。「ここには救世主も神もない。光と命を与えてくれる太陽があるだけ」が印象的
⑤林檎の木 8点 庭のリンゴの木が、亡くなった妻の姿に似ている。ホラー系
⑥番(つがい) 5点 題名は旧題「オールド・マン」「爺さん」の方がベター。訳者は本作の趣旨が分かっていなかったんだろう(苦笑)
⑦裂けた時間 8点 夫人が自宅に帰ると他人がいる。陰謀?記憶喪失?そういう手があったのか
⑧動機 8点 夫人が拳銃自殺。探偵が動機を探るが・・・彼女の心中までは?
バラエティに富んだ作品集でした。


No.1406 6点 いま見てはいけない
ダフネ・デュ・モーリア
(2021/04/15 17:07登録)
①いま見てはいけない 8点 娘を失くしたばかりの夫婦の前に盲目の霊能者が現れ・・・じわっとくる恐ろしさ。伏線も見事。映画化「赤い影」されたのも頷ける
②真夜中になる前に 4点 クレタ島で災いをもたらすような夫婦に出会う。ギリシャ神話と絡めているが効果は?マーク
③ボーダーライン 7点 父が急死。娘は疎遠となっていた父の親友を訪ねるが・・・その親友とは?
④十字架の道 6点 エルサレムツアー一行の受難と復活?ませた9歳の子供の目線が楽しい
⑤第六の力 5点 内密な実験を行っている研究所へ出向を命じられたが・・・魂(エネルギー)は存在?


No.1405 6点 破局
ダフネ・デュ・モーリア
(2021/04/14 17:12登録)
短篇らしいオチがないのが特徴と言えばばいいのか?捉えどころのない曖昧さで、後でじわっとくる感じとでもいうのだろうか?不思議な雰囲気(奇妙な味とも違う)の作品集でした。
①アリバイ 6点 男はある親子(母・息子)を殺害しようと、その家の地下室を借りるが・・・男も母親も精神のバランスが崩れており、非常に不安定な気持ちになる。題名のアリバイは不在証明ではなく、語源の「他の所」という意味のようです
②青いレンズ 6点 眼の手術で仮の青レンズを入れると見えるものが違っていた。それはありのままの姿といういうが・・・
③美少年 7点 美少年に魅せられた男は美少年の親せきに騙されるのだが・・・人間の性は治らない?
④皇女 6点 不老の水が湧くというある国の盛衰を寓話風に描いた作品。いい加減な情報に操られてしまう人の心は現代も同じ
⑤荒れ野 5点 口のきけない幼子が大自然の中で・・・童話風でいい話なんですがミステリの採点なので
⑥あおがい 6点 30代後半の女性の独白。両親、夫、愛人について。どうして私は不幸なんだろう。題名は貝。原題は「カサガイ」で巻貝。しがみつくという意味もあるようだ


No.1404 6点 Dの殺人事件、まことに恐ろしきは
歌野晶午
(2021/04/13 17:36登録)
どのように現代風にアレンジしているのかが見ものです。近未来的なハイテクも登場
①椅子?人間! 6点 元カレがストーカーに・・・まことに恐ろしきは「人間椅子」
②スマホと旅する男 6点 スマホに写っている女性は誰?そして旅する男の正体は・・・夢か幻か?
③Dの殺人事件、まことに恐ろしきは 7点 娘が上半身裸で死亡。背中には鞭の痕。犯人はSM愛好者?”D坂の殺人”でないところがミソ
④「お勢登場」を読んだ男 4点 茶箱に認知症の義父を閉じ込めることを思いつくが・・・
⑤赤い部屋はいかにリフォームされたか? 6点 「赤い部屋」の舞台劇の千秋楽であるが、この劇は永遠に終わらないの?・・・
⑥陰獣幻戯 8点 女性をみては妄想する男。ある女性にアプローチしたところ・・・著者らしいオチのどんでん返し
⑦人でなしの恋からはじまる物語 5点 「人でなし」で始まり「二銭銅貨」で終わる。「人でなしの恋」がダブルミーニングであったことを今頃気がついた(笑)


No.1403 6点 日曜の夜は出たくない
倉知淳
(2021/04/12 17:10登録)
①空中散歩者の最期 6点 10mのビルから墜落死。しかし20m以上から落ちたようだ。合理的説明だが、物理的には?マーク
②約束 7点 少女とおじちゃんのメルヘンチックな出会い。約束したのに何故自殺?。意外なものがヒントで解決へ
③海に棲む河童 7点  昔話の謎を解く。予想に反し結構グロです
④一六三人の目撃者 4点 舞台で毒死。毒を入れるチャンスは?。これは2点ほど設定に無理があり、著者に丸め込まれた感じ(笑)
⑤寄生虫館の殺人 6点 一階の受付嬢が三階で殺害されていた。上へ上がっていく彼女は目撃されていない。目の付け所はいいがクイズのよう
⑥生首幽霊 6点 集金員はアパートの部屋で生首を発見。幽霊?。アリバイ工作としては手が込んでいる
⑦日曜の夜は出たくない 5点 彼氏が切り裂き魔?背格好も似ているが・・・


No.1402 5点 片翼の折鶴
浅ノ宮遼
(2021/04/10 15:52登録)
高評価なので期待し過ぎました。
①血の行方 4点 単なる貧血の原因追及。オチはシオドア・スタージョンの「きみの血を」のような性癖にした方がよかったかも。せっかく、それらしき仮説があったのに残念・・・
②幻覚パズル 4点 ありそうもない仮説にありそうもない真相。わかる人はいない???。多重解決ものアレルギーなので、どうしても低評価に・・・
③消えた脳病変 4点 選考委員が絶賛!!とのこと???。まさか、そんな簡単なトリックではないよね!?と思いつつ・・・
④開眼 4点 消去法がなぜ悪いのかよくわかりません。解説でも説明されているのですが・・・
⑤片翼の折鶴 8点 スリルがあり、医者らしからぬ行為にハッとしました。動機は先例はあるも、この流れでは思いつかないもので大変Good。皆さんと違い本作がベストでした。


No.1401 8点 鷲は舞い降りた
ジャック・ヒギンズ
(2021/04/09 18:26登録)
(東西ミステリーベスト第19位)冒険小説としては当然ですが、恋愛小説としても楽しめました。村娘モリイは彼から裏切られ、絶対許さないと思いつつも、彼を助けようとする健気な姿が印象的。完全版で二人の後日談も挿入されており、涙を誘う?。工作員デヴリンが、この作戦は必ず失敗するという場面があるのですが、その理由が不明のままで気になっています(苦笑)。


No.1400 6点 狩人の夜
デイヴィス・グラッブ
(2021/04/08 17:30登録)
裏表紙より~『大不況時代のオハイオ川流域。父を亡くした兄妹の前に現れた伝道師は、右手に「愛」、左手に「憎悪」の刺青をしていた。彼に心を許していく母と妹パール。そして、ジョンの悪夢が始まる。伝道師は狩人。獲物を手にするためには手段を選ばない。子供たちは追いつめられて……。映画化され、キングに多大な影響を与えた幻の傑作サスペンス!』~

サイコ・サスペンスものの先駆的作品とのことで拝読。しかし、サイコ色は弱かった。作者はサイコ系を描いたわけではなく、貧しい時代の9歳の少年の心理を描いたものと思います。父親をどこかへ連れて行ってしまった「青い服の男たち(警官)」を少年は悪人ととらえているところが物悲しい。


No.1399 5点 白戸修の事件簿
大倉崇裕
(2021/04/07 17:25登録)
巻きこまれ形の探偵らしい。と言っても自分で解決してほしいものです。
①ツール&ストール 4点 友人が殺人の容疑者に・・・。さてどうするのか?と思ったら主人公が活躍するわけでもなかった。オチも先例があるしなあ
②サインぺインター 5点 許可なしの看板の回収に警官も大変???
③セイフティゾーン 6点 銀行強盗に遭遇。銀行の清掃員が思わぬ活躍。さて、その正体は?この設定は好き
④トラブルシューター 5点 ストーカーに怯える女性。その裏には、ある悪意が・・・
⑤ショップリフター 6点 出版社への内定があったばかりの主人公に万引きの疑いが・・・


No.1398 7点 押入れのちよ
荻原浩
(2021/04/06 17:51登録)
単なるホラーではなく、ユーモア系ペーソス系のゴーストストーリーが多く楽しめました。
①お母様のロシアのスープ 6点 インパクトはあるが子供を絡めた点で気分はよろしくない
②コール 8点 切ない恋愛もの。○○もあるし途中で?
③押入れのちよ 7点 ホラーと思いきや・・・そのギャップがなんとも言えない
④老猫 6点 鼻をつまみたくなる?(笑)
⑤殺意のレシピ 7点 夕食に毒?疑心暗鬼の夫婦。これは笑えます
⑥介護の鬼 5点 認知症で寝たきりの義父が復活か?
⑦予期せぬ訪問者 7点 殺人現場に訪問者。まるで落語のよう
⑧木下闇 8点 大樹から降りた時、目の前に顔が現れる。映像的にこれはすごい
⑨しんちゃんの自転車 5点 ほんのり系ゴーストストーリー


No.1397 6点 リーヴェンワース事件
A・K・グリーン
(2021/04/05 16:43登録)
1878年のアメリカ作品なので、トリックやロジックを期待するのは酷!?(笑)。「探偵小説」の基本形のような小説としてして読むのがベターですね。「動機」が肝となっている点を評価したいと思います。当時のベストセラーとなったとのこと。クリスティー女史の作品の中にも登場しているようです。


No.1396 6点 屍の記録
鷲尾三郎
(2021/04/04 15:26登録)
酒造会社の社長が、二人の目撃者がいるにもかかわらず、突然目の前から消えてしまった。社長の弟は友人である作家探偵に調査を依頼。探偵は美人秘書と行動するうちに彼女に惚れてしまう。実は社長の弟も彼女に惚れていた。二人の間の恋のさや当てが実に面白い。古典的展開?ですかね。失踪トリックは子供だましのようで笑えます。過去の二つの事件の動機は納得できるのですが、メインの動機がいまいちだったかなあ。


No.1395 6点 東海道新幹線殺人事件
葵瞬一郎
(2021/04/03 19:27登録)
「鬼は横道などせぬものを」という血文字のメッセージの”意味合い”がどうも解せません。犯人は○○の事件のヒント(警察に対する)のつもりであったが、結局、それが原因で最終的に墓穴を掘ってしまったわけですから・・・。なお、トランクの移動は図解入りで、非常に分かりやすく好感が持てました。もし、読者に考えさせるような時刻表が出てきたらほっぽり出したかも(笑)。同じ新幹線ものでは、森村誠一氏の「新・新幹線殺人事件」のほうが上回っているかな?。


No.1394 8点 新・新幹線殺人事件
森村誠一
(2021/04/03 19:25登録)
裏表紙より~『博多発東京行のひかり116号で、不動産ブローカーが刺殺された。被害者と交際していた博多のホステスが容疑者として浮かぶが、彼女は、事件当日、死体の発見されたひかりより44分遅れのひかり4号で、東京へ向かっていた―。鉄壁のアリバイに挑む捜査陣がたどり着いた驚愕の真相!』~

逆転の発想がダブルで用意されており、文句なく8点(笑)。謎とプロットが面白いだけに、純粋な警察小説にした方がよかったのでは?と思ったり。


No.1393 4点 探偵AIのリアル・ディープラーニング
早坂吝
(2021/04/02 19:32登録)
ラノベ展開で人が簡単に殺されてしまう。その点が軽すぎてチョット肌に合わなかった。インパクトのあるトリックがないのも残念。古典の各種パロディを取り入れている点は評価したいと思いますが。


No.1392 7点 ルビンの壺が割れた
宿野かほる
(2021/04/02 19:28登録)
最後の一行的なものが好きなので・・・(笑)。心理サスペンスですね。元婚約者の二人は、お互いに弱みと強みを持っており、最初は心理戦でのジャブの応酬。最後にストレートパンチ(隠し玉)を放つ。さて、どちらがヒットしたのか?といった感じですね。文庫本で170ページの中編なので一気読みできます。

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