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ミステリの祭典

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蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.09点 書評数:1660件

プロフィール| 書評

No.1380 6点 傍聴者
折原一
(2021/03/20 17:26登録)
裏表紙より~『交際相手に金品を貢がせ、練炭自殺に見せかけて殺害した牧村花音。平凡な容姿の彼女に、なぜ男たちは騙されたのか。友人を殺されたジャーナリスト・池尻淳之介は、真相を探るべく花音に近づくが…彼女の裁判は“花音劇場”と化し、傍聴に通う女性たちは「毒っ子倶楽部」を結成。花音は果たして、毒婦か?聖女か?裁判が辿り着く驚きの結末とは。』~

被告の牧村花音は男達に貢がせたことや、彼らとの肉体関係を赤裸々に語るも、殺人だけは犯していないと無罪を主張する。彼女が逮捕に至るまでの過程が作家・池尻の手記で綴られる。「倒叙」ものなので、どのような形で「叙述」を取り入れるのか興味は尽きなかった。単純な物語を複雑な物語(叙述)にする手腕を評価したいと思います。


No.1379 5点 チェーンレター
折原一
(2021/03/20 16:31登録)
途中で仕掛けは分かってしまった。ラストは更にそのどんでん返しを狙ったものだが、あまりインパクトはなかった。よくあるパターン?。叙述よりホラーテイストを楽しむ作品と思う。


No.1378 8点 七人の中にいる
今邑彩
(2021/03/18 15:59登録)
サスペンスフルな展開で堪能できました。皆さんと違い、犯人は最後まで分からず、その意味でも十分楽しめました。私なんぞ、家族関係から犯人を導き出すなんていう離れ業は不可能です(笑)。だから「両親と姉を殺害した犯人を許さない」の脅迫文には大いに感心したところです。著者は本格ものではないと謙遜していますが、それはある仕掛けを指している?だけで、消去法やアリバイ崩し等々本格ものとしても楽しめました。


No.1377 7点 つきまとわれて
今邑彩
(2021/03/18 15:55登録)
前の作品の人物が登場する異色の短編集と謳っていますが、あまり意味はないような。
①お前が犯人だ 7点 毒殺事件。二転三転後に真の動機が・・・
②帰り花 6点 母が家出した時に着ていた和服が出てきた。家にあるはずがないのに・・・
③つきまとわれて 8点 元カレから「幸せな結婚ができると思うな」という嫌がらせの手紙が・・・反転にはビックリ
④六月の花嫁 6点 贖罪?ホッとするお話でした
⑤吾子の肖像 9点 絵の題名が何故「吾子」なのか?妻子像、母子像ではないのか?衝撃的な結末!?
⑥お告げ 6点 超能力者の情報源は?
⑦逢ふを待つ間に 5点 PCの結婚ゲーム。現実よりも楽しいのかも?
⑧生霊 8点 娘の生霊が悪さ?笑い話から本格的なホラー(②の解決篇)へと話運びが巧い


No.1376 8点 よもつひらさか
今邑彩
(2021/03/17 20:23登録)
①見知らぬあなた 6点 「冷蔵庫より愛をこめて」(阿刀田高)を彷彿させる。結末は分かっていても魅せられる
②ささやく鏡 5点 ホラー系。未来を予知する鏡を祖母からもらったが・・・
③茉莉花 7点 茉莉花(本名)を康子(ペンネーム)にした理由は・・・意外な展開
④時を重ねて 5点 ホラー系ファンタジーでいいのかな?あなたはこの奇跡を信じますか
⑤ハーフ・アンド・ハーフ 8点 同性愛の妻と結婚した男。彼女は平等にひどく拘っていた。その結果・・・
⑥双頭の影 9点 まるで夢野久作氏の作品を読んでいるようだ。寺の天井にある双頭の影(染み)から判明したことは?オチはお気に入り
⑦家に着くまで 7点 タクシー運転手と客とのある事件の推理合戦。それで終わるかと思ったら・・・
⑧夢の中へ・・・ 7点 よくある題材(胡蝶の夢)だが、見せ方が巧い
⑨穴二つ 8点 男は女性を騙りネットで女性に近ずくが・・・どんでん返し
⑩遠い窓 9点 不思議な絵の合理的な説明に感心。ストーリーは恐ろしい
⑪生まれ変わり 6点 ファンタジーがストーカー話に?
⑫よもつひらさか 9点 基本的に純ホラー系は好みではないが、ストーリーテリングが巧み。参りました(笑)


No.1375 7点 時鐘館の殺人
今邑彩
(2021/03/16 19:54登録)
①生ける屍の殺人 7点 ユーモア系で思わずニヤリ。ラストはカーっぽい。短篇なので許せるけど長篇だったら怒る?(笑)
②黒白の反転 8点 別荘での殺人事件。ロジックでスッキリ解決。でもその後が怖い。更に元女優の過去も・・・
③隣の殺人 6点 隣室で殺人?妄想が膨らむ。ラストのオチより、妄想のオチのままの方がよかったかも
④あの子はだあれ 5点 SFチックな物語。もう一つ別の世界があるような・・・
⑤恋人よ 6点 ホラー系ユーモア 間違い電話の恐怖。単純だけど好きだなあ
⑥時鐘館の殺人 8点 構成の妙。時計のトリックは疲れるから考えない


No.1374 6点 花の旅 夜の旅
皆川博子
(2021/03/16 17:10登録)
雑誌の掲載小説と作家の取材日記が交互に配され、「現実」と「虚構」が交錯します。それが著者の特徴である幻想的で眩暈を引き起こすような雰囲気を醸し出し、まさに「皆川ワールド」全開と言えるでしょう。ミステリーの構造としてはかなり凝った作品であると思います。果たして三人の死は事故だったのか殺人だったのか???


No.1373 6点 少女地獄
夢野久作
(2021/03/14 19:14登録)
(1)少女地獄・・・少女を襲う地獄三作
①何んでも無い 8点 虚言癖のある少女(自称19歳)に翻弄される大人たち。彼女が自殺した。遺書はあるが・・・
②殺人リレー 5点 転勤してきた車掌は、付き合っている女性を殺しているのでは?
③火星の女 7点 女子学生の焼身自殺の記事。彼女の復讐譚。「ペッペッ」が効いている
(2)童貞 5点 白昼夢のような・・・。題名がよくわからない(笑)
(3)煙を吐かぬ煙突 7点 悪徳記者がスキャンダルをネタに伯爵夫人を恐喝。夫人にはもっと恐ろしい秘密が・・・
(4)女坑主 5点 ダイナマイトを調達しようとする青年と女抗主の駆け引き


No.1372 4点 ガラスの城
松本清張
(2021/03/13 09:41登録)
(ネタバレあり)



二部構成
①「三上田鶴子の手記」~的場郁子は入社して20年にもなるが、あらゆる男性社員を軽蔑している。吝嗇で貯蓄に熱心な彼女・・・~
②「的場郁子のノート」~三上田鶴子は、性質に可愛げがないうえに、服装の好みも野暮ったくて陰気な感じ・・・~
 さて、どちらに肩入れするか?(笑)短篇「草」(黒い画集第3集に所収)と同様に○○ものに挑んだようですが失敗ですね。アリバイトリックのためのバラバラ死体の謎は、まあどうでもいいようなという感じでした。


No.1371 7点 ニューヨーク・ブルース
ウィリアム・アイリッシュ
(2021/03/12 07:56登録)
①三時 8点 時限爆弾のタイムリミットもの。これぞ短篇の醍醐味
②自由の女神事件 7点 自由の女神の中で男が行方不明に。一緒にいた女性はそんな男は知らないと・・・
③命あるかぎり 7点 サディストの夫を持った妻はある青年と・・・後期の作品でブラックな味わい
④死の接吻 7点 ハラハラ・ドキドキ、最後は大笑い
⑤ニューヨーク・ブルース 6点 この作品も後期のもので退廃的な雰囲気
⑥特別配達 6点 誘拐された赤子を発見した牛乳配達人の要求した褒美とは?
⑦となりの死人 5点 人を殺めてしまった男の心理
⑧ガムは知っていた 5点 ホテルのメイドは噛んだガムを・・・
⑨借り 6点 娘を事故から救ってくれたのは犯罪者。刑事の父親は・・・
⑩目覚めずして死なば 4点 誘拐された少女を追う刑事の息子の少年
⑪さらばニューヨーク 5点 夫が殺人。夫婦での逃亡劇
⑫ハミング・バード帰る 6点 母親の元へお尋ね者となった息子が帰ってきた・・・無常
⑬送って行くよ、キャスリーン 8点 前科のある彼は元恋人にお別れを。その直後彼女が行方不明に


No.1370 6点 事故
松本清張
(2021/03/11 20:43登録)
①事故 5点 二つの殺人事件の関連性は?というものですが、構成が面白くなかった。謎解きものでもないし、サスペンスとも言えないような
②熱い空気 7点 「家政婦は見た!」の原作となった小説とは知りませんでした。殺人などは起こりませんが、家政婦の悪意ある覗き趣味が現在のイヤミスに通じるかも


No.1369 6点 陸行水行
松本清張
(2021/03/11 20:41登録)
①形 6点 道路計画の土地を売らないのは、そこに死体が埋められているのでは?逆転の発想が面白い 
②陸行水行 5点 邪馬台国はどこ?結末はミステリー的には面白くない。歴史に興味のある方にはお薦めなのかも 
③寝敷き 5点 心中事件に刑事は疑問を持つのだが・・・へえ~そんな事例があるんだ 
④断線 6点 うまい死体隠し場所を見つけ安心したのだが・・・男のエゴ丸出しの作品


No.1368 4点 マンハッタン・ラブソング
コーネル・ウールリッチ
(2021/03/09 18:07登録)
著者がミステリー作家になる前の作品(1931年)で恋愛小説です。ミステリーとしてのオチはありません。結婚8年目の男が高級コールガールに惚れてしまう。妻はそれを知っても彼を愛し続ける。そして事件が・・・という内容ですが、真のファンでないと読むのはかなりしんどいと思います。ミステリー作家としての著者らしさは随所に感じられるのですが・・・


No.1367 7点 夜の闇の中へ
コーネル・ウールリッチ
(2021/03/09 17:54登録)
裏表紙より~『あなたが果たせなかったことを、わたしが成し遂げてみせる…拳銃自殺に失敗し、誤って見知らぬ女性を死なせてしまったマデリンは、その女性、スタアの身代りとなって生きようと誓う。マデリンはスタアの過去をさぐり始め、彼女が生前に、自分の人生を破壊した人々への復讐を決意していたことを知る―サスペンスの詩人が遺した未完原稿を、実力派作家ブロックが補綴。若い娘の憎悪と情熱、愛と復讐を描く幻の遺作長篇。』~
ラストはローレンス・ブロック氏が補綴。よって、その部分はウールリッチ氏らしくないのかも。あと真相にはビックリ。著者がこの手のものを使うとは思っていなかったので・・・


No.1366 6点 わたしが死んだ夜(創元文庫版)
ウィリアム・アイリッシュ
(2021/03/08 20:22登録)
①高架殺人 5点 マリファナを吸い犯行。犯人は笑いが止まらなくなったようだ。動作は遅いが頭の切れる刑事が登場
②わたしが死んだ夜 7点 正当防衛で殺人。妻の悪知恵に乗ってしまった男の悲哀
③リンゴひとつ 4点 リンゴが転々と。コメディなんだろうな?
④コカイン 5点 コカインを飲まされて殺人の濡れ衣?ポケットから10セントがなくなっていた。10セントで行ける範囲を捜す
⑤夜があばく 7点 妻が夜に家を抜け出した。近くで消防車のサイレンが・・・。不気味
⑥葬式 6点 追われた凶悪犯は棺桶の中に隠れたが・・・オチはユーモア系
⑦日暮れに処刑の太鼓が鳴る 7点 無実を証明するタイムリミットもの。刑事がかっこいい
⑧死ぬには惜しい日 8点 結末は分かるのだが・・・それでも衝撃。一番著者らしい作品かも
⑨妻が消える日 7点 妻は夫と喧嘩し実家へ帰ったはずが、行方不明に・・・タイムリミットものはさすがにうまい!


No.1365 6点 シルエット
ウィリアム・アイリッシュ
(2021/03/06 21:07登録)
①毒食わば皿まで 8点 男は未払いの給与を取りに行った。ひょんなことから金庫の番号を知ってしまった
②窓の明り 6点 香水、タバコ、ベッドなどの状況から恋人が浮気したのは間違いないが
③青ひげの七人目の妻 7点 妹の夫は殺人犯?。刑事である兄の苦悩
④死の治療椅子 5点 歯医者で患者が青酸で死亡。いったい何が起こったのか?
⑤殺しのにおいがする 6点 同室の相棒が殺人犯?。状況証拠はそろっている
⑥秘密 7点 夫は殺人犯と知っての結婚。夫がまた殺人を?「いつもとかわらぬ夜だった。月が出ていた。星も出ていた。」アイリッシュ節炸裂
⑦パリの一夜 5点 一夜の冒険譚。ドタバタ風
⑧シルエット 7点 窓に映ったシルエットは殺人のようだ。マープル風
⑨生ける者の墓 5点 恋人が墓に生き埋めされたという青年。背後には?


No.1364 7点 死の第三ラウンド
ウィリアム・アイリッシュ
(2021/03/05 18:16登録)
①消えた花嫁 7点 この作品から傑作「幻の女」が生まれた?
②墓とダイヤモンド 6点 墓の中に遺体とともにダイヤを入れるという。墓あらしの結末は当然地獄へ?
③殺人物語 8点 作中作の嚆矢?完全犯罪を狙う作家。オチは笑える
④死の第三ラウンド 7点 八百長ボクシングで大穴にかけた私。当たったが、それは殺人事件であった
⑤検視 7点 大金が入る可能性があるにもかかわらず、現夫は前夫の墓を暴くことに大反対。見え見えなのだが・・・。墓穴を掘ってしまった
⑥チャーリーは今夜もいない 5点 息子が殺人犯?と悩む警察官の父親 オチは分かりやすい
⑦街では殺人という 8点 「偶然」は陪審員に信じてもらえないと弁護士の考えたことは?それもご都合主義と言えるのだが、弁護士の常識を破るという発想が面白い


No.1363 7点 晩餐後の物語
ウィリアム・アイリッシュ
(2021/03/03 20:50登録)
①晩餐後の物語 9点 エレベーター内で息子を殺された父親は乗員を招待する。これぞ短篇の切れ味。この筋、昔読んだ記憶。パロディだったのかなあ?
②遺贈 8点 犯罪者?の男をギャングが襲うブラックユーモア系。単純明快で爆笑もの
③階下で待ってて 6点 彼女が訪問した部屋から消えてしまう。オチはそれほどでもないがサスペンス感の盛り上げ方は著者らしい
④金髪ごろし 7点 サイコ系の落ちは好きなんですが、若い二人組のエピソードはいま一つ効果的ではなかったような
⑤射的の名手 6点 ちょっぴり本格っぽい展開。小悪党の悪知恵が楽しい
⑥三文作家 6点 作家の苦労話。オチはユーモア系
⑦盛装した死体 6点 アリバイの時間工作はショボイが、他の工作から足がつくところがミソ
⑧ヨシワラ殺人事件 4点 外人が日本を描くとこうなっちゃうのだね


No.1362 6点 死せる案山子の冒険
エラリイ・クイーン
(2020/09/05 12:06登録)
ラジオのシナリオということで、表題作以外は会話のみの作品。当時は、まだナレーションはなかったのだろうか。表題作は登場人物による朗読はあるのだが・・・。

①<生き残りクラブ>の冒険 8点 ○○が犯人というプロットが楽しめた。ただし日本人に謎は解けない?
②死を招くマーチの冒険 3点 ダイイングメッセージもの。時間があるのなら単に名前を書けばいい(苦笑)
③ダイヤを二倍にする男の冒険 6点 普通は飲込みを考えるもX線検査までしているとなれば、残りの答えは一つしかない(笑)密室物の応用パターンか。
④黒衣の女の冒険 5点 「真相を見抜いたと思った―が、それが間違っていた」ミスリードは○○説なのだが、別にそれが真相でもよかったような。
⑤忘れられた男たちの冒険 5点 可もなく不可もないといった感じの作品。犯人が何故いつまでも証拠品を持っていたかという謎は残る。
⑥死せる案山子の冒険 6点 雰囲気はいい。これを読んで自分はロジック物がそれほど好みではないことが分かった。
⑦姿を消した少女の冒険 8点 誘拐もの。現在では、すぐわかってしまうトリックですが、嚆矢と思われ敬意を表して。


No.1361 5点 007/わたしを愛したスパイ
イアン・フレミング
(2020/09/03 08:42登録)
007としては異色のラブロマンスもの。主人公の女性は過去の男二人について、彼らはわたしのハートを求めたのではなかったと回想しています。ではボンドはどうなのだろう?。彼女を愛したのか?。女性の一人称なので、ボンドの心のうちはわかりません。よって題名の「わたしを愛したスパイ」はやはり「わたしが愛したスパイ」の方がスッキリするのではないかと思ったり。解説の新津きよみさんとは反対の意見となりますが・・・(笑)。他作品では、映画とは違い、ボンドが結婚した?とか結婚しようとかボンドの内面がかなり描かれています。本作品はラブロマンスものとしては、その辺が物足りなかったですね。

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