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ミステリの祭典

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Dの殺人事件、まことに恐ろしきは

作家 歌野晶午
出版日2016年11月
平均点6.62点
書評数8人

No.8 6点 ぷちレコード
(2022/10/14 22:49登録)
江戸川乱歩の作品を題材にした現代ミステリ短編集。
「人間椅子」、「陰獣」、「D坂の殺人事件」などが、作者の手によって、七つの現代的な妄執の物語へと再構成されている。決して乱歩のそれをなぞるのではなく、あくまでも作者のオリジナルのキャラクターとストーリーで綴っており、各編の鮮やかな結末も作者自身のもの。
それゆえに、歌野晶午の短編集として十分に楽しめるが、乱歩の作品を知って読むと、深読みの愉悦も堪能できる。

No.7 7点 まさむね
(2021/06/14 21:33登録)
 短編集。各短編とも、乱歩作品の現代版アレンジとして練られているし、高レベルにあると思います。作者らしさも随所に感じることができます。
 ベストは表題作で、まさに最新鋭の?本格短編。締め方も作者らしい。「スマホと旅する男」の雰囲気も、乱歩作品のオマージュとして良質。「陰獣幻戯」の終盤でのたたみかけ具合も個人的には好きです。

No.6 6点 蟷螂の斧
(2021/04/13 17:36登録)
どのように現代風にアレンジしているのかが見ものです。近未来的なハイテクも登場
①椅子?人間! 6点 元カレがストーカーに・・・まことに恐ろしきは「人間椅子」
②スマホと旅する男 6点 スマホに写っている女性は誰?そして旅する男の正体は・・・夢か幻か?
③Dの殺人事件、まことに恐ろしきは 7点 娘が上半身裸で死亡。背中には鞭の痕。犯人はSM愛好者?”D坂の殺人”でないところがミソ
④「お勢登場」を読んだ男 4点 茶箱に認知症の義父を閉じ込めることを思いつくが・・・
⑤赤い部屋はいかにリフォームされたか? 6点 「赤い部屋」の舞台劇の千秋楽であるが、この劇は永遠に終わらないの?・・・
⑥陰獣幻戯 8点 女性をみては妄想する男。ある女性にアプローチしたところ・・・著者らしいオチのどんでん返し
⑦人でなしの恋からはじまる物語 5点 「人でなし」で始まり「二銭銅貨」で終わる。「人でなしの恋」がダブルミーニングであったことを今頃気がついた(笑)

No.5 6点 パメル
(2020/08/29 09:23登録)
江戸川乱歩作品のトリビュートに挑んだ7編からなる短編集。
スマホやSNSをはじめ、最新のテクノロジーが重要な役割を果たしており、人間の狂気や狡猾さもバージョンアップした、懐古趣味に留まらない刺激的なリニューアルが施されている。どう現代的なアレンジを加えていったのかを確認するごとに、作者の感性と技巧に唸らされるばかり。
どの作品も、まともな人間が一人も登場することなく、シュールでブラックさが際立ち、情け容赦のない結末で後味悪い読後感を残す。救いのなさが増幅されている感じ。イヤミス好きな方はぜひ。
本作を読み、江戸川乱歩という作家及びその作品群は、それ以後のミステリ作家に計り知れないほどの影響を与えているのだと改めて思いました。

No.4 8点 ミステリーオタク
(2020/03/10 00:03登録)
江戸川乱歩の有名短編の数々を、現代を舞台に翻案した短編集。
全7編のうち6編は歌野流イヤミスで、人間の狂気的執念の恐ろしさや絶対的悪意、日常に潜む異常な行動原理などをミステリに絡めて味わわせてくれる。

自分は第4話「お勢・・」からはノンストップだった。

No.3 7点 E-BANKER
(2019/12/30 23:42登録)
大作家・江戸川乱歩の著名作を現代の最先端テクノロジーでアップデートしたら・・・
という趣旨で編まれた連作短篇集。
2016年の発表。

①「椅子?人間?」=もちろん元ネタは『人間椅子』。元ネタはいかにも乱歩という耽美でエロシズムに溢れた作品だったが、アップデート(?)された本作はというと・・・なかなかシニカルでブラック。短編らしいオチも決まっている。
②「スマホと旅する男」=『押絵と旅する男』が元ネタ。路面電車に乗って長崎の街を旅する男と女・・・。で、問題はこの「女」なのだが、いかにも2019年の話だなーと思ってるうちに、背筋がスーッとさせられる。現代では幽霊もバーチャルなのかも?
③「Dの殺人事件 まことに恐ろしきは」=明智小五郎初登場の『D坂の殺人事件』が元ネタ。やはりこれがベストだろう。殺人事件の真相に驚かされてるうちに、次なるサプライズが襲う! “まことに恐ろしき”は一体誰のことなんですかねぇ・・・という仕掛け。
④「『お勢登場』を読んだ男」=『お勢登場』。これ、原作は未読なんだよな。でも全然関係ありません。こういう事件、実際に起こりそうで怖い。特に妻に日頃から虐げられている男にとっては・・・。(「バカとスマホは使いよう」ってこと?)
⑤「赤い部屋はいかにリフォームされたか?」=『赤い部屋』。もちろん都筑氏のあの作品も関係している。途中まではよくあるプロットだなぁーと思ってたけど、これを繰り返し仕掛けてくる人がいたとは。何重の仕掛け?って思ってるうちにラストのオチが来る。
⑥「陰獣幻戲」=『陰獣』(『化人幻戲』も?)。これも旨いと思う。確かにオチというか仕掛けは予想範囲内なんだけど、「なーんだ」という失望より、「やっぱり!」という興奮を覚えた。でもラストの反転までは想定外。気付かねぇーかなぁ?
⑦「人でなしの恋からはじまる物語」=『人でなしの恋』。まさか暗号ミステリーに変遷するなんてね。これは最初の展開で読者も右往左往させられる。

以上7編。
いやいや。これはさすが歌野。質の高い作品集だと思った。
乱歩の名作オマージュということで、乱歩好きの方にとっては食い足りないんだろうなぁーと思うけど、元ネタをうまい具合に取り入れ、そこに歌野らしいスパイスを効かせました!って感じだ。
まさにアップデート!
もちろん、元ネタのクオリティの高さあってこそのオマージュなのは間違いないけど、ここまで面白ければ十分に評価できる。
短編はホント安定してる。
(上記のとおり、ベストは③。他もなかなか)

No.2 7点 青い車
(2019/07/23 21:03登録)
 これまで歌野作品はあまり肌に合わないように感じていましたが、これは面白く読めました。いずれの短編も江戸川乱歩の作品群を元ネタにしつつ、スマホ、ラノベ作家、SNSなどを駆使し現代でも無理のない話に仕上げているのが上手いです。作者の持ち味であるブラックな(或いはシニカルな)台詞回しやオチも利いてて、乱歩の幻想性とはまた違った生々しい毒気があります。

No.1 6点 メルカトル
(2016/12/22 22:08登録)
江戸川乱歩の作品を現代に蘇らせ、最先端のハイテクを駆使して本家とはまた違った目新しさを披露する短編集。元ネタは『人間椅子』『押絵と旅する男』『D坂の殺人事件』などで、これらを読んでいるとより楽しめることは間違いないが、未読でも支障はない。
目立つのはスマホの機能を最大限に利用している作品が多いこと。やはり現代人にとってスマホはどうあっても手放せないアイテムなのだろう。だが、スマホを使いこなせない人にとっては、理解不能な部分もあると思うので、そこは想像力で補うしかないと思う。
しかし、これはあまり公言できないことかもしれないが、個人的に歌野晶午という人はどうも垢抜けないところがある気がしてならない、文章やプロットなど。私だけだろうか。

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