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ミステリの祭典

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虫暮部さんの登録情報
平均点:6.20点 書評数:2254件

プロフィール| 書評

No.1174 6点 法廷遊戯
五十嵐律人
(2022/04/16 12:24登録)
 上手く出来ているのは判るが、私にとって法律論はメイン・ディッシュにならないな~と思った。頭いい人の一人称形式は匙加減が難しい? その内面が反映されている筈の地の文からはそこまで優秀なものが読み取れない。背伸びしながら喋っている感じ。何でも屋のキャラクターはナイス。


No.1173 6点 鬼女の鱗
泡坂妻夫
(2022/04/16 12:24登録)
 泡坂妻夫の時代物は、以前読んだ時にまるで楽しめなかったので途中で止めてしまった。此度再び手に取ってそれなりの味わいを感じられたのは “これは同作者の現代ミステリとは別物” と割り切ったおかげか。とはいえ「江戸桜小紋」の真相が亜愛一郎シリーズみたいで一番良かった、と思ってしまうあたり修行が足りんな~。


No.1172 6点 家守
歌野晶午
(2022/04/16 12:23登録)
 「人形師の家で」、ラストの台詞のような事情があるなら、共犯者を呼び出す必要は無いよね。
 「転居先不明」、偶然をどこまで許容するかは悩ましいところだが、人を殺した夜に偶然もう一人の人殺しがやって来た? うーむ……。


No.1171 8点 マザー・マーダー
矢樹純
(2022/04/13 12:42登録)
 相変わらず、生活感のある悪意や欠点のある人物を描くのが抜群に上手い。腹の底に残る読後感の適度な重さ。神経の行き届いた見せ方と隠し方。第三話の二人の意外な転身がナイス。
 但し、その出来の良さが皮肉にも作品の限界になっている感がある。このハードウェアではこれ以上のソフトウェアを走らせられないと言うか。飽和状態を突破して大傑作を物するには、現状維持以上の一歩が必要なのではないか。


No.1170 7点 そして名探偵は生まれた
歌野晶午
(2022/04/13 12:41登録)
 表題作と「夏の雪、冬のサンバ」の密室トリックは、同じもののヴァリエーション。更にそれを作中作(映画)でも暗示している。
 つまりこれは『安達ヶ原の鬼密室』と同じ仕掛けで、但しあちらではそのことを明示したのに対して、こちらでは “どーだ、分散させたら気付かないだろ” と言いたげ。『安達ヶ原の鬼密室』で叩かれた意趣返し?


No.1169 7点 名探偵 木更津悠也
麻耶雄嵩
(2022/04/13 12:41登録)
 本書の主人公達がこだわるような、“探偵” ではなく “名探偵” と言う概念は、日本語独特のものだろうか。単なる good とか famous とは違う感じだよね。中国語ならアリ? ガラパゴス的に拗らせて進化した “名探偵” と付き合えるのは日本語人の特権かも。
 「禁区」の手掛かりが秀逸だと思う。


No.1168 7点 ルピナス探偵団の憂愁
津原泰水
(2022/04/13 12:40登録)
 シリーズ前巻でも思ったが、謎の解きほぐし方が上手くない。
 ○○の理由は?→××だから! と言う割とシンプルな軸を設定しておきながら、その周りに色々絡み付かせるせいで、ズバッと決めて欲しい話なのに説明がくだくだしくなってしまうのだと思う。ミステリ要素以外の部分は高評価出来るんだけどな~。


No.1167 6点 倒錯のロンド
折原一
(2022/04/13 12:39登録)
 ミステリに於いて、種明かしを如何にストレス無く読めるか、は重要であって、特に叙述トリックは基本的に探偵役が解説出来ないわけで、作者の筆力も読者の理解力も問われる。本作はその点で今一つ。オチにオチを重ねたのも煩わしい。問題編は面白かったけどね。今一つなのは私か?
 ウィリアム・アイリッシュ作品のタイトル借用は、“偶然の一致” に説得力を与える方便であると同時に、“そういう海外作品のタイトルのパクりってよくあるよね~” と皮肉としても機能していると思う。


No.1166 5点 聖シュテファン寺院の鐘の音は
荒巻義雄
(2022/04/06 15:06登録)
 『白き日旅立てば不死』の続編。
 『異邦人』と『不思議の国のアリス』を無理矢理接木したような作品。特に後半は、世界構築が逸脱しつつ加速する一方、物語の展開はゆったりしており、絶妙な静謐さを感じさせるものの、これでは続編の意味があまり無いのではないか。その意味の無さこそがこの作品世界の意味なのだと言う気もするが、もう少し速やかに収めても良かった。


No.1165 4点 日光霊ラインの謎を追え!
荒巻義雄
(2022/04/06 15:05登録)
 随分無理が感じられる真相も、ニューヨークとかポストモダンとかいってないで、“一族の血の歴史” みたいなおどろおどろしい、もしくは幻想的な書き方なら、伝説との絡みも含めてもっと説得力を得られたのではないか。と言うか、“伝奇” と “ミステリ” の世界観をミスマッチなまま上手く重ねることを意図しているような気がするが、成功していない。


No.1164 5点 九度目の十八歳を迎えた君と
浅倉秋成
(2022/04/06 15:04登録)
 不思議な設定はあっさり許容出来たし、最後に色々嵌まって行く様は巧みで心地良かったが、何か今一つ乗り切れなかった。歳のせいかな。絶妙と言うか大胆なタイトル。


No.1163 6点 館という名の楽園で
歌野晶午
(2022/04/06 15:03登録)
 息子の復讐劇で館が炎上するものだと思っていた。はっきり書かれてはいないけど、保険金も使い尽くしたと言う含みだよね。
 いかにもミステリ・マニアがやりたがりそうなトリックの為のトリックをミステリ・マニアが実践している、と言う意味での説得力はある反面、自分も同類ゆえ勘で何となく気付いてしまったのが残念。


No.1162 4点 幸福の密室
平野俊彦
(2022/04/06 15:03登録)
 下手だな~。密室トリックは簡単だし、諸々の考察は浅いし、何より主人公の行動原理がさっぱり判らん。陰謀論に飛び付いて謎の使命感で突撃したら何故か都合良く真実を突いてしまった話?
 読者を苦笑させる狙いで意図的にこのキャラクターを造形したなら凄いけど、そう考えるには世界観があまりに同調し過ぎている。
 あっでも、これを島田荘司が第13回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞に選んだのは何となく納得。


No.1161 8点 獣たちの海
上田早夕里
(2022/03/29 13:52登録)
 メインの中編「カレイドスコープ・キッス」の柱は二つ。カレイドスコープ:立場による世界の違い、異なる視点ゆえの摩擦。これについては結末で作者が語り過ぎかな~と言う気もする。ラスト3ページは無くても良かった。
 で、キッスのほうは中心人物二人の関係性。早川書房は百合SFアンソロジー『アステリズムに花束を』を出したり、そこから派生した小川一水『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』をシリーズ化したりしていて、それに呼応したのかな~と邪推。少なくとも出版社サイドはそういう流れが生まれたと捉えているのでは(もっとやって)。


No.1160 5点 木製の王子
麻耶雄嵩
(2022/03/29 13:50登録)
 素材を鑑みれば、もっともっと楽しめた筈なのに……アリバイ問題で消耗し過ぎたか。精緻な状況が存在する必要はあるけどその内容自体はどうでもいい、って困るよね。そこで読み疲れたら読者にとっても本末転倒だし。

 やっと気付いた。“舞奈桐璃” と言う名前は “MY納豆売り” って洒落なんだな。


No.1159 6点 多重人格探偵サイコ 雨宮一彦の帰還
大塚英志
(2022/03/29 13:50登録)
 ……ってことで、まとめて読めば勢いでプラス・アルファくらいはあるかも。
 登場人物達の表層を積み重ねることで、読者に勝手にその内面を構築させるような、(必ずしも悪い意味でなく)表面的な作風。コミックのノヴェライズと言う出自は当然大いに関係あるだろう。しかし風呂敷を広げっぱなしで “夢の跡” って感じは哀しい。


No.1158 5点 多重人格探偵サイコ 西園伸二の憂鬱
大塚英志
(2022/03/29 13:46登録)
 あれっ、こんなもん? ハッタリは効いてるけど、内実が想定を上回る程ではない。分冊したのが失敗では……?


No.1157 5点 多重人格探偵サイコ 小林洋介の最後の事件
大塚英志
(2022/03/29 13:46登録)
 あれっ、こんなもん? ハッタリは効いてるけど、内実が想定を上回る程ではない。分冊したのが失敗では……?


No.1156 8点 追憶の烏
阿部智里
(2022/03/24 12:21登録)
 容赦無いなぁ。
 作者のペンが書き換える世界に、口をぽかんと開けて流されるしかなかった。筋は通っているから(いつから伏線を考えていたのか?)抗えない。
 私としては “外界での八咫烏や天狗の稼業とは?” と言うあたりが気になってたんだけど、そんな牧歌的な方へは進んでくれそうにない。


No.1155 8点 朝と夕の犯罪
降田天
(2022/03/24 12:19登録)
 この人達はなかなか器用に引き出しを使い分け、しかもそれが表層的な借り物には見えない筆力を具えているのではないか。
 3分の2まで読んで、“もう大きな謎は残ってないじゃん。あとは後日談?” と思ったら、思いがけぬところから風呂敷を何枚も引っ張り出して来て感心した。しかしこれ、事実をどこまでどう明かすかは熟考を要するだろう。一度明かしたらチャラには出来ないから、警察官達のスタンスに私は賛同しかねるな。

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