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ミステリの祭典

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呪縛の家
神津恭介シリーズ

作家 高木彬光
出版日1961年01月
平均点5.86点
書評数14人

No.14 4点 虫暮部
(2022/06/04 13:44登録)
 あまりに型通りで困る。新興宗教ネタで期待してたんだけどそれもフツーだ。苦杯を舐める名探偵をサディスティックに眺めて楽しむ為の話、ってことでいいのかな。
 しかし犯人の演説、そして最後の一撃はなかなか効いた。

No.13 8点 じきる
(2021/05/09 16:23登録)
謎解き・トリック共に、この作者らしさが溢れていて楽しめた。
最終章のオチも効いてる。

No.12 6点 レッドキング
(2019/05/29 14:57登録)
「刺青」「能面」以上に機械トリックが不可能な完璧な密室での殺人。機械トリック密室構成でないのならば、当然、心理トリック=叙述トリックとなるわけで、注意して読めば読者への挑戦状のうちのフーの方は分かる。が、ハウの方は当てられなかった。結局、機械トリックだったし。でも、自分にしてはめずらしく挑戦状で犯人挙げられて気分良かった。
ところで、心理的密室トリックのできの良いのって、どうしても共犯者の存在か予期せぬ事故が不可欠なのね。

No.11 4点 風桜青紫
(2016/07/13 18:56登録)
衝動的に高木彬光が読みたくなったので、目を通してみたが、もうひとつの出来だった。犯人はうまくミスリードがなされているが、驚くほど意外な人物でもないし、密室トリックについても「ああ、彬光ってこういうの好きそう」って感じで、なんだかしっくり来ない。この時代の本格ミステリを愛好する人向けだろう。

No.10 6点 蟷螂の斧
(2015/09/20 15:45登録)
「読者よ欺かるるなかれ」(カーター・ディクスン1939)にインスパイアされた作品であることに間違いはないと思います。物語の展開は全く違いますが、重要部分での類似点はありますね。そのこととは別に、この作品の「オチ」は結構気に入っているので、オリジナリティの高い作品で適用されていればなあ、と思いました。非常に勿体ない気がします。

No.9 6点 E-BANKER
(2015/08/23 20:59登録)
名作「刺青殺人事件」、「能面殺人事件」に続く第三長編として、1949年より雑誌連載された作品。
名探偵・神津恭介シリーズ。
今回は光文社より新装版として新たに発表されたものを読了。

~「今宵、汝の娘はひとり、水に浮かびて殺されるべし・・・」。紅霊教教祖の孫娘は、湯船のなかで血まみれとなって殺され、予言は的中する。だがそれは、呪われた一族に襲い来る悲劇の序章に過ぎなかった・・・。教祖を大叔父に持つ旧友の鬼気迫る依頼で、教団本部に出向いた松下研三だったが、ついに神津恭介に救援を求めた。名探偵は恐るべき凶事の連鎖を止めることができるのか?~

これは・・・なんとまあ時代がかった作品ではないか。
戦後まだ間もないという時代背景、土地の者にも憎まれた新興宗教の教祖一族に襲いかかる魔手、密室殺人をはじめとする不可能犯罪、得体の知れない登場人物、更には二回にも及ぶ「読者への挑戦」etc
ここまでド本格ミステリーに拘り抜いた作品も珍しい。
(作者の熱意がビンビン伝わってくるようだ・・・うるさいくらいに!)

作者が拘ったであろう第一の殺人。
密室トリックが○○の産物というのはいただけないが、全体的にはうまく考えられているとは思う。
ただし、密室トリックとアリバイが有機的に絡み合っていた「刺青」と比較するとかなり劣後する。(特に「短刀」の扱いが雑すぎる気が・・・)
本作の真骨頂はもちろん意外性十分のフーダニットに行き着く。
いかにも怪しい書き方をしている人物は当然ダミーだろうという読者の予想の更に上を行くプロット。
『考えられる限りの極悪人』という作者の表現を体現する「黒幕」の存在など、ミステリー作家としての作者の武器が惜しげも無く投入されている。

ただなぁー、作者の特徴だから仕方ないけど、表現があまりにも仰々し過ぎないか?
「殺人交響曲」っていうのもあまりピンとこないし、「見立て」にも必然性が薄い。
などなど、前二作と比べると、どうしても突っ込みどころが多く感じる。(動機は・・・まぁ置いといて)

でも好きだよねぇ。本格ファンにとってはこういう「ドロドロ一族もの」は大好物。
さすがに新作でこういう手のジャンルはなかなか出ないと思うので、そういう意味でも貴重な作品。
評点はこれくらいかな・・・
(今回の神津はかなり人間的。鮮やかな推理を披露しながらも、ラストには苦悩することに・・・)

No.8 8点 ボナンザ
(2014/04/08 00:41登録)
隠れた名作ではなかろうか。読者への挑戦状がやたらと挑発的。
個人的には推理を外してしまったので・・・。

No.7 7点 測量ボ-イ
(2012/01/05 20:08登録)
氏の初期作品ほ一つ。20年以上前一度読みましたが、犯人も
含め内容をすっかり忘れてしまったので今回再読しました。
評価としては、第一の殺人の密室トリックが説明不足(とい
うかわかりにくい)等の不満点はありますが、「読者への
挑戦」もあって水準以上の評価はできると思います。
満足度としてはこれでも十分。

No.6 3点 文生
(2010/01/20 13:27登録)
これって趣向からトリックまでカーの『読者よ欺かるるなかれ』の丸パクリだと思うんですが、どうでしょう?

別に、既存のトリックをアレンジしたり、趣向やプロットをオマージュとして真似るのは問題ないのですが、両者を同時にしてしまっているために『読者よ欺かるるなかれ』を読んでいる読者はトリックの見当がつきやすくなってしまうという問題が発生しています。逆に、本作を先に読んであとから『読者よ欺かるるなかれ』を手に取った場合も同じことがいえます。さらに、『読者よ欺かるるなかれ』から趣向とトリックの要素を同時に取り入れているためにパクリ感も強まってしまっているのも問題です。

できれば2つの要素は別々の作品で使用してほしかったところです。

No.5 6点
(2009/12/28 12:51登録)
長編第3作ともなるとヴァン・ダインの呪縛からも開放され、「読者への挑戦」を2度も挿入する(『双頭の悪魔』みたいに複数回の意味があるわけでもなく)という悪ノリぶりを発揮してくれています。
メインの密室トリックは海外有名密室もの古典の応用形で、それに風呂ならではのアイディアを盛り込んで独自なものにしています。現代だったらばれてしまう方法なのはかまわないと思います。ただ、昔は浴室には当然存在していたのだろうけれど、現代ではちょっと想像がつかない物が利用されているのは、今の読者には不利な点でしょうか。7匹の黒猫の消失理由も意外でしたが、その猫の実際の使われ方は、「前世紀的」(近代化以前という意味)な発想だと思えてしまいます。
それにしても、「描き得るかぎりの極悪人」というのは、個人的には大げさな表現としか思えません。そのような「極悪人」が結局殺されるミステリだって多いでしょう。どこまでを予測していればということもありますしね。また、全体的にショックを与える前のタメがあまりきいていなくて、ただ事件があわただしく連続して起こっていくだけという印象もぬぐえませんでした。文章表現も含め、まだ小説としては未熟なところが感じられます。

No.4 4点 nukkam
(2009/05/27 10:25登録)
(ネタバレなしです) 2度に渡る「読者への挑戦状」が挿入される1949年発表の神津恭介シリーズ第2作の本格派推理小説です。作者は「私の意図したのは、決して前世紀の犯罪ではない」と主張していますが、ことトリックに関しては21世紀の読者視点では「現代では通用しない前世紀のトリック」にしか感じられず、作品の古さが目立っているのは否めません。とはいえ最終章で明かされる「自分の力量で描き得るかぎりの極悪人」の正体には時代を越えた凄さがあります。ただこの正体は名探偵・神津恭介の推理で判明したわけではないのですっきり感は全くありませんが。

No.3 8点 江守森江
(2009/05/22 06:25登録)
次々に殺され犯人候補たる登場人物の少ない中、ハッタリをかました二回の読者挑戦にゾクゾクした。
読者挑戦での前世紀的云々の記述も、書かれた時期から19世紀の事で、20世紀前半視点での主張としては何ら古くない。
この作品の主題は、予言による遠隔殺人ではなくフーダニット及び犯人指摘後の終章での「裁きえぬ罪人」にある。
そのため解決編以降の読後感が微妙になるのは致し方ない。
「本格ミステリの真髄の一つが論理的フーダニットにある」を体現し、連載中の愚作との投書に反発して自腹で読者挑戦した作者を賞賛する。
※余談
長編で作品初頭から長く登場する場合の神津恭介が犯人に翻弄され名探偵らしくないのは金田一耕助同様に御愛嬌。
※更なる余談
作者自ら随筆等で、トリックに対し自分はアレンジ型で(組合せと見せ方次第だと)ある程度のパクリを容認していて残念。

No.2 8点 E
(2009/04/04 16:09登録)
「殺人協奏曲」
その様な名が付けられた程の殺人劇。
「見て見ぬ振り」をする事が最も残酷な人間の行為なのでは・・・と、痛感した。
事件の謎もトリックも満足。面白かったです。

No.1 4点 あい
(2008/04/27 17:55登録)
「人形はなぜ殺される」ほどの作品は期待しないが、これはちょっと・・・

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