| 一寸法師 明智小五郎シリーズ |
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| 作家 | 江戸川乱歩 |
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| 出版日 | 1982年11月 |
| 平均点 | 5.17点 |
| 書評数 | 6人 |
| No.6 | 7点 | クリスティ再読 | |
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(2025/12/14 17:36登録) 春陽文庫は本作と「地獄の道化師」が合本である。いやこれ考えてみたら、最初の通俗明智モノが本作で、戦前最後の通俗明智モノが「地獄の道化師」なんだ。だから通俗明智モノとは何か?ということを考えるときに絶好のカプリングなんだよね。そういう観点で俄然ヤル気が出てきた。 実際、本作って「猟奇」が一貫したテーマなんだ。冒頭の浅草公園での安来節の見物を「かれが安来節の定席からこそこそと出てくるところを見られでもしたらと思うと、気が気でなかった」という程に下品で猥雑な芸能だったことが分かるし、そこから浅草公園でのいわゆる「ハッテン場」のハッテン場面を見物することになる。これって歴史的に貴重な記録だったりするよ(苦笑)。そして一寸法師が抱える女性の腕を目撃し、一寸法師を「何かしら異常なものを求めるはげしい冒険心」によって尾行することになる。ここに「猟奇」という観念が余すところなく表現されていると思うんだ。猥雑さ・残酷さ・性的逸脱などなどを冒険心によって一挙に肯定する衝動として「猟奇」が表現されている。だからこそこの猟奇者である小林紋三氏は、ヒロインである人妻百合枝にかしづきつつ、性的なアヴァンチュールも辞さないような態度を取ったりもする。そして百合枝は一寸法師に暗闇で迫られて「そのヘビのような執念に、ある魅力を感じだしていた。それはあわれみの情であるというよりも、もっと肉体的ななつかしさであった」とまで描写される。 いやこれが「猟奇」というテーマなんだ。この「猟奇」をリアルに表現できていることに、乱歩の意気込みも感じられる。 ミステリとしてはよくできているんだ。一寸法師の正体を巡る話(事件の真相とは関連しないしね)を別にしたら、いろいろな要素がそれなりのフィージビリティがあって、けしてファンタジーになっているわけではない。死体展示の理由だってちゃんとあるし、人間の入れ替わりも無理が少ない。モダン・ディティクティヴって言ってもいいかもよ。なかなかリアルな作品になっているわけだ。真相の二転三転も興味深く、乱歩自身の自己嫌悪に反して、理想をちゃんと盛り込めている作品なんだと思うよ。 まあラストの匂わせがなかなかお楽しみ。明智クンだって正義の味方のフリをしながら、立派な猟奇の徒なんだからね。 |
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| No.5 | 7点 | みりん | |
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(2024/10/29 04:43登録) 『地獄の道化師』の続きに収録。あちらと比べると、やたら読みにくい上に真相の納得感で数段落ちますが、『黒蜥蜴』『蜘蛛男』『暗黒星』よりは本格推理小説としてよく練られている印象です。明智小五郎って日本三大探偵なのに結構ダークなやつだな。結末がお決まりパターンから脱却していて気に入ったのでこちらも7点。 |
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| No.4 | 4点 | 虫暮部 | |
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(2022/05/09 11:47登録) 確かに江戸川乱歩の世界、ではあるが、それ以上の突出したものは感じられない。何より肝心の一寸法師と事件との関わり方が “アレッ、そんなもん?” て感じでがっかり。 |
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| No.3 | 5点 | 斎藤警部 | |
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(2021/03/16 20:38登録) 退屈だ。 コケオドシ、ヤスい文章、読みづらし。。 途上で視点が意外と錯綜する趣向は面白く、そのへんからボチボチ火が点き始め、最後の皆さん呼び出し真相披瀝の場面で漸くハラハラドキドキできた。。。。真犯人。。。。。。の意外性と奥深いその落とし穴には参った!! しかしそれと結んでの唐突なバカ大団円と、不躾(!)な締めのツイスト。ちょっと困惑します。。こんだけ人権蹂躙しといてこんだけの話かイと思います。いくら当時とは言えPCコスパが低過ぎる。高けりゃいいってモンでもなかろうが、それこそ「踊る一寸法師」なんかはあそこまで酷いこと書いただけの物語力が補償していると思います。が、本作はちょっと。。(時代の空気でしょうが、障ガイ者のみならず商バイ人への偏見も怖るべし。) 作者本人が嫌悪のあまりどっか飛んじゃったのも人間の良心が成した業かと感ず。とは言え乱歩さん自身「通俗のクズ」と唾棄した割に、本格ミステリ度は高いですよね。指紋抹消の件なんか、うっかりしてるとやられます。 |
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| No.2 | 5点 | ボナンザ | |
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(2021/02/06 22:11登録) 春陽堂はこれと地獄の道化師をカップリングしてるのがひどい。 話はともかく、明智が出てくる長・中編としては何者に次いでミステリ度合いが高いと思う。 |
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| No.1 | 3点 | レッドキング | |
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(2020/03/15 23:36登録) 現代のシビアな眼で、一つの完成されたミステリ作品として評価すれば・・ん点てとこになってしまうだろうが、それでも、なお、未練がましく、「ルブランのルパン物だってこれに一本、毛が生えた様なものだろ? ジェフリー・ディーヴァーだって二三本、毛が生えた様なもんだろう?」と居直りたくなり・・「踊る一寸法師」の方が遥かに素晴らしいてのは重々承知の上で・・おまけ付き点数。 |
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