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ミステリの祭典

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虫暮部さんの登録情報
平均点:6.20点 書評数:2209件

プロフィール| 書評

No.89 7点 論理爆弾
有栖川有栖
(2013/05/17 10:39登録)
 この犯人像は、本格ミステリに誠実に向き合ってきた作者だからこそ、ひとつのネタとして有効。“探偵を禁じられた世界” という設定に対して “フェアプレイで解きようのない動機” をぶつけるという制約によって、却って妙なリアリティ及びミステリに対する批評性が生じている。


No.88 6点 ヘンたて2 サンタクロースは煙突を使わない
青柳碧人
(2013/05/09 08:58登録)
 “ヘンな建物” 縛りの “非日常の謎” は好調。特に第1話は諸々の要素が上手く噛み合って佳作に仕上がっていると思う。ところで、2巻目の第2話にして、ようやく登場人物のネーミングの元ネタに気が付いた。


No.87 8点 インディアン・サマー騒動記
沢村浩輔
(2013/04/22 14:11登録)
 “日常の謎” に見せかけて着地点が見事。本作の成立過程(既発表の短編三本を取り込んで異なる解釈を与える)を見ても、作者はホラ吹きの才があるようで楽しみ。


No.86 7点 神国崩壊
獅子宮敏彦
(2013/04/22 14:08登録)
 架空の歴史物語と荒唐無稽なミステリネタが上手く噛み合って、なかなか面白かった。但し、「輦の誕生」でメタ的に挿入される “読者への挑戦” めいたものは余計だろう。また、表紙イラストに疑問がある。顔に布を巻いた人物、あの巻き方では肌の色は隠せていないだろう。


No.85 7点 さあ、地獄へ堕ちよう
菅原和也
(2013/04/11 19:07登録)
 前半はネタの羅列という観があるが、後半、物語が思いがけない方へ走り出して、不安定な着地点が却って爽快感をもたらしたりする。一方で、或る登場人物の “痛みは想像力だ” という台詞は本当にそうで、読んでいると “あいたたた……” という描写が続出で非常にイヤな後味も残されてしまった(褒め言葉)。


No.84 8点 ビブリア古書堂の事件手帖2
三上延
(2013/04/04 19:43登録)
 敢て文句を付けるならば、第二話で栞子さんがいったん問題の本を見落とすのはちょっと御都合主義的展開では。司馬遼太郎というヒントは既に出ていたわけだし。


No.83 6点 逃走
薬丸岳
(2013/04/01 08:36登録)
 うーむ。そんなに上手く入れ替わりが出来るのか。また、成り行きとはいえ両親は詐欺を企てたわけなので同情しづらい。等々、どうも色々アラがある気がするのである。


No.82 5点 Wの悲劇
夏樹静子
(2013/02/28 20:08登録)
 これっていわゆる “後期クイーン問題” ですよね。それに『Wの悲劇』というタイトルをつけるのは、作者の意図はどうあれ、結構な皮肉になっているのでは……。


No.81 6点 黒猫の遊歩あるいは美学講義
森晶麿
(2013/02/28 20:07登録)
 好きなタイプの作風ではある。文体も巧みで、アンテナにひっかかる言い回しが多々転がっていて楽しい。第六話の真相には驚き。
 しかし、ポオの諸作にせよその他の古典作品にせよ、下敷きとされている作品のハードルがやけに高いので困る。別のシリーズを始めてくれないかなぁ。


No.80 6点 ヒートアップ
中山七里
(2013/02/08 09:38登録)
 シリーズものと謳ってはいないようだが、『魔女は甦る』の続編。
 “意外な犯人” が余りにも唐突である。そこは大目に見ても、暴力団関係者が周囲に居る状況で冤罪を着せる相手にわざわざ麻薬取締官を選ぶ理由が判らない。
 ミステリではなく、アクションものとして読めば楽しめる。


No.79 6点 デッドマン
河合莞爾
(2013/02/08 09:36登録)
 探偵役が刑事であるのに警察の捜査の描写が随分大雑把、なのはネタの面白さ優先ということで大目に見ても良い。
 6人も殺すわけだし、犯人の行動の動機にもう少し感情的な裏打ちが欲しかった気はする。
 また、「死体のツギハギ」だけでなく、「精神状態が不安定なひとに架空の話を信じ込ませて殺人を暗に使嗾する」という設定も島田荘司へのオマージュ?で、そのため後半、謎解きの部分に至る前に大体ネタは読めてしまった。

 島田荘司の読者でないと前半の「有名な推理小説を模倣した事件」というニュアンスは伝わらないが、しかしそれゆえ後半に既読感を感じてしまう、というのは大きなジレンマである。


No.78 7点 江神二郎の洞察
有栖川有栖
(2013/01/31 19:40登録)
 有栖川有栖作品の登場人物たちが交すどーでもいいような与太話って、なんでこんなに楽しいのだろう!
 
 ところで、作中の “新年号イニシャル予想” で、江神はRを除いてNを残していた。しかし、“音読み” ということを前提にすると、な行は少なく(例えば、音読みがヌで始まる漢字は奴・怒などいずれも “ヌ” と発音するものが数個あるのみ)、ら行は意外と多い。ということでここは逆にすべきであった。


No.77 4点 仮面幻双曲
大山誠一郎
(2013/01/22 07:10登録)
ミステリのネタとしてはそれなりに面白い。しかし、小説として、紋切り型の展開や横溝あたりの出来の悪いパスティーシュのような文体で、かなり興が殺がれている。


No.76 6点 死命
薬丸岳
(2013/01/18 22:19登録)
 余命わずかな人間にとって犯罪の抑止力になるものはあるのか、という魅力的なテーマは良かったが、残念ながらテーマに負けてしまった感がある。
 落ち着きどころを求めてか、途中で登場人物の事故死という御都合主義的展開に走ってしまったのが大問題。
 また、かなり終盤まで微妙に思わせぶりな書き方をしているが、それに見合うほどのトリッキィなどんでん返しはない。勿論、私の読み方の問題ではあるが、骨太なサスペンスとしてもう少しストレートな書き方であれば、もっと素直に楽しめたかも知れない。 


No.75 5点 沈没ホテルとカオスすぎる仲間たち
七尾与史
(2013/01/02 17:59登録)
 正直なところ伏線は非常に判り易く即座に読めてしまったのだが、タイトル通り“カオスすぎる仲間たち”を描くことが主眼のドタバタ系ミステリということでまぁOK。
 ただ、“めたも……”という単語は日本人にとってそんなに馴染みのないものだろうか?すぐ気付けよ、と思った。


No.74 9点 贖罪の奏鳴曲
中山七里
(2013/01/02 17:58登録)
 これは凄い。純ミステリ的要素は薄いが、「償いとは何か」というへヴィなテーマを孕みつつ、テンポの良い展開と文章の巧みさでエンタテインメントとしての面白さも確保している。
 きっと、作者の“これは書くべきだ”という確信が作品の核心にあるからこその説得力だと思う。


No.73 6点 アルカトラズ幻想
島田荘司
(2013/01/02 17:56登録)
 第三章までは良かったが、その後はいただけない。
 ネタバレ承知で書くが、誰かを騙すために周りの皆が共謀して大芝居を打つ、というなら割と何でもありになっちゃうわけで、それは夢オチのようなものだと思うのだ。しかも島田荘司はそういう作品を既に幾つか書いているじゃないか。


No.72 6点 ビブリア古書堂の事件手帖
三上延
(2012/12/24 11:31登録)
 第四話は、正直そんな怪我をしてまで守るようなものかと思った。犯人も動機も判っている、ならば傷害は親告罪なのだから、示談にして慰謝料を上乗せして高く売り付けたほうが、安全のためにも良いのではないか。なんて言っていたら栞子さんとお友達にはなれないかな。
 ただ、それを“構成上の不備”ではなく“登場人物の性格に対する苛立ち”として感じてしまったあたり、作者に見事に乗せられているようだ。
 全体的には悪くない作品だと思うが、文章がちょっと言わずもがなのことを書き過ぎな気はする。例えばこれで文章が北村薫だったら、とか言っても仕方が無いか。


No.71 7点 夏のレプリカ
森博嗣
(2012/12/10 07:37登録)
 “チェスに負けたから気が付いた”というところ印象的だった。全く論理的ではないけれど説得力がある。こういうフレーズがポロッと出て来るのが森博嗣の面白さだと思う。


No.70 6点 ドS刑事 朱に交われば赤くなる殺人事件 
七尾与史
(2012/11/27 16:36登録)
大雑把な描写でサクサク事件が進行していくこの作風にもいつの間にか慣れてしまった。書きようによってはいくらでもヘヴィになりそうなネタを、戯画化された登場人物でこのように処理するのは損か得か。ごはんを食べながら読んだのは大失敗でした。

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