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ミステリの祭典

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黒猫の遊歩あるいは美学講義
黒猫シリーズ

作家 森晶麿
出版日2011年10月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 4点 メルカトル
(2015/09/29 20:10登録)
これは好き嫌いがはっきり分かれるタイプの作品であり、激しく読者を選ぶ作品だと思う。そんな私は正直好きになれなかった。嗜好の範疇から外れてしまっていたというべきだろうか。
その原因の一つは、文面が上滑りしてすんなり頭に入ってこないことが挙げられる。勿論それは自身の読解力のなさや脳細胞の死滅も大いに関係しているものと思われるのだが。読みづらいとかではなく、文体が肌に合わなかったという話なのだ。
内容的には、ケチをつけるわけではないが、謎そのものがあまり魅力的とは思えないこと、黒猫の謎解きが詩的過ぎていまいち理解できないというか納得できない感じが否めなかったのが、印象を悪くしている原因かもしれない。
ただ、アガサ・クリスティー賞に選出されたわけだから、選考委員のどこか琴線に触れる部分があったのは間違いないだろうゆえ、読む人が読めばやはり面白いのだろうと考えられる。

No.2 6点 虫暮部
(2013/02/28 20:07登録)
好きなタイプの作風ではある。文体も巧みで、アンテナにひっかかる言い回しが多々転がっていて楽しい。第六話の真相には驚き。
 しかし、ポオの諸作にせよその他の古典作品にせよ、下敷きとされている作品のハードルがやけに高いので困る。別のシリーズを始めてくれないかなぁ。

No.1 6点 kanamori
(2011/11/14 19:08登録)
第1回アガサ・クリスティー賞受賞作品。
天才若手美学教授と女子大学院生のホームズ&ワトソン役コンビが日常の謎を解く連作ミステリ。と書くと、早川書房というより東京創元社の専売特許のようで食傷気味な感じですが、叙述方法と言うか、語り手の人称の処理に工夫があり、名前が表記されない主人公たちのキャラクターも立っていて楽しめました。
6編ともエドガー・アラン・ポオの有名作品をモチーフにし、それらの新解釈を織り込みながら、直面している謎とリンクさせる構成が凝っている。ただ、美学講義とあるように、探偵役「黒猫」教授による謎解きが哲学的・衒学的すぎるきらいがあって、ストンと頭に入ってこないので、ミステリとしては弱いかなと思う。

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