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ミステリの祭典

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デッドマン
鏑木特捜班シリーズ

作家 河合莞爾
出版日2012年09月
平均点5.60点
書評数5人

No.5 5点 メルカトル
(2014/08/31 21:27登録)
良くも悪くもデビュー作らしく、初々しい印象を受けた。とは言うものの文章はかなりの熟練ぶりを見せ、とても読みやすいのは褒められるべき点だと思う。一方警察小説として、序盤は専門知識などを駆使しての書きっぷりは素晴らしいが、中盤以降は捜査状況を含めてやや端折り気味な点が気になるところである。
それよりもむしろデッドマンが蘇るパートのほうにより惹かれるのは、人情というものだろう。少ないページ数とは言え、少女とのふれあいや介助猿カプとの交流はなぜかしら心に残る。
だが、かの『占星術殺人事件』に真っ向から挑んだと言われるアゾート殺人に関しては、正直あまり感心しない。どうせネタは割れているのだから、信憑性も乏しく、その背景にある動機もいかにも弱い。当然、歴史に残る名作とは比較するのもおこがましいと言えるだろう。
特捜班の面々はアクの強さこそないものの、いずれも個性的で続編が書かれるのも理解できる。勿論、今後期待できる新人には違いないと思うが、例によって妙な方向へ進まないことを祈っている。また、この人には警察小説ばかりでなく、名探偵が活躍する物語も書いて欲しいものである。

No.4 6点 蟷螂の斧
(2014/05/29 18:02登録)
テンポもよく、ユーモアもあり、スラスラ読めます。犯行状況など細かいところはカットしてしまう難?(猟奇的な雰囲気が伝わってこない)もありますが、そういうことをあまり考えさせないような物語の展開ですね。リーダビリティがあると言えるのかもしれません。登場人物のキャラは特徴があるわけではないのですが、なんとなく親しみが持てます。

No.3 6点 虫暮部
(2013/02/08 09:36登録)
 探偵役が刑事であるのに警察の捜査の描写が随分大雑把、なのはネタの面白さ優先ということで大目に見ても良い。
 6人も殺すわけだし、犯人の行動の動機にもう少し感情的な裏打ちが欲しかった気はする。
 また、「死体のツギハギ」だけでなく、「精神状態が不安定なひとに架空の話を信じ込ませて殺人を暗に使嗾する」という設定も島田荘司へのオマージュ?で、そのため後半、謎解きの部分に至る前に大体ネタは読めてしまった。

 島田荘司の読者でないと前半の「有名な推理小説を模倣した事件」というニュアンスは伝わらないが、しかしそれゆえ後半に既読感を感じてしまう、というのは大きなジレンマである。

No.2 5点 バックスクリーン三連発
(2013/02/07 14:46登録)
角川のホームページで本作を知って読んでみる
序盤、中盤は作者の意図している通りにリードされました
が、ラストがやはりオーソドックスな顛末
そこが引っかかったので6点です

No.1 6点 kanamori
(2012/11/05 13:53登録)
今年の横溝正史ミステリ大賞作品(ダブル受賞のうちの1冊)。
まず、軽快なテンポでリーダビリティが高いのがいいです。
連続殺人の6人の遺体のパーツをつなぎ合わせる”アゾート殺人”の動機の部分は、必然性という点でいまいちなんですが、「占星術~」というよりも、歌野晶午の某作を連想させるミステリ趣向が面白いと思いました。刑事の符牒とか伏線もうまく張られています。
警察小説として見た場合はリアルさには欠けるが、特別捜査班4人の面々のそれぞれ個性が魅力的であり、続編が書かれてもおかしくない。

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