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ミステリの祭典

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虫暮部さんの登録情報
平均点:6.20点 書評数:2259件

プロフィール| 書評

No.179 6点 ドラゴンフライ
河合莞爾
(2014/07/17 14:21登録)
 色々工夫しているのは判るが、どうも不自然な感じが拭えない。事件の全体像も、その露見の仕方も。警察の捜査体制にしてもえらく自由にそして偏って動いているなと。
 ただし、自分が幾つものレッド・へリングにひっかかって振り回されたことは申告しておきます。

 それはともかく、時の流れを実感したな~。自分の場合、“時効が成立した殺人” といえば、戦後の混乱期とか高度成長期とかに発生した事件、という印象だが、本作では(というか現実では)'90年代初頭、携帯電話も普及し始めた頃の事件がもう時効。ポケベルについてもいちいち説明が必要なんだね……。


No.178 6点 屍の園
篠田真由美
(2014/07/16 20:17登録)
 面白かったことは確かだが、桜井京介シリーズである必然性が希薄、と感じた。あの大きなシリーズを背景に持つことで幾らかの厚みが加わるプラスは確かにあるが、愛読者としては一度きちんときれいに完結したシリーズを引っぱり出すことに対する心情的なマイナスというのもあり、合わせるとマイナスのほうが若干強いかなと。
 せっかくの新作に古いラベルを貼るのはもういいよ、というのが正直な気持。


No.177 6点 上石神井さよならレボリューション
長沢樹
(2014/07/07 12:08登録)
 あまりにあざといキャラクター群、ではあるが、これが楽しめないようなつまらない大人にはなりたくない。


No.176 8点 そして誰もいなくなった
アガサ・クリスティー
(2014/07/02 20:13登録)
 20年ぶりくらいに再読。おおまかな流れは覚えていたけれど、しっかり楽しめた。
 気になったのは、彼等の “罪状” である。私見を述べると、少なくともミス・ブレント(使用人を解雇しただけでしょう?)、マッカーサー将軍(私情を挿んだのは褒められたことではないが、戦争中であり誰かが死を覚悟で危険な任務に就かねばならなかったのでは)、マーストン(彼の事例はあくまで事故。道徳心に乏しいという理由で罰を上乗せするのが公正だとは言いがたい)を死刑に値すると見做すのは厳し過ぎる、と思う。他の者もそんな極悪人揃いというわけではないし。


No.175 7点 萩原重化学工業連続殺人事件
浦賀和宏
(2014/06/30 10:43登録)
 本作の中核をなす大ネタのひとつ(祥子の運用法)には、実は複数の先行例がある。私は少なくとも4つ知っている。パクりだということではないよ。ただ、本作を最初に読んだなら、その衝撃はいかほどのものだったか、と思うと残念。
 まあ、そこ以外にもポイントならいくつもあって、分厚いのは決して虚仮威しではない。しかしやはり張り込み中にキスはいかんね。


No.174 5点 希望(ゆめ)のまちの殺し屋たち
加藤眞男
(2014/06/26 20:02登録)
 警察の動きが非常に恣意的で嘘っぽいな~。ミステリというよりは、魔法の出て来ない日常のファンタジーみたいなもの。軽く読み流す分には良いが、それ以上の過大評価は避けたい。


No.173 6点 弔い花 長い腕Ⅲ
川崎草志
(2014/06/24 11:12登録)
 “問題編” に該当する部分の盛り上がりがないまま、いつの間にかクライマックスになだれ込んでいた印象。複数の時系列をめまぐるしく交差させすぎ。あと源田があっさり引いたのが意外。
 屋敷の構造が住人に与える長期的影響、と言ったあまり明確ではない因果関係をこういう風に扱うミステリはアリだと思う。似ていると言う意味ではないが、ちょっと京極夏彦を連想した。


No.172 4点 点と線
松本清張
(2014/06/24 11:11登録)
 これのどこが “リアル” で “社会派” な “秀作” なのか良く判らないなあ。トリックに明らかなミスが含まれるわけで、これを “代表作” 扱いするのは、売れたと言う “現象” を反映した部外者の意見ではないのか。ミステリ的な論理の軽視と社会派の隆盛は表裏一体だったと語っているようにも思える。
 登場人物が将棋の駒みたいな動きだし、やけにのんびりした捜査に思えて、昭和30年代の風俗小説としてはちょっと面白かった。


No.171 6点 シンクロニシティ
川瀬七緒
(2014/06/16 12:32登録)
 謎解きの為の手掛かりがしっかり示されている類のパズラーではないが、“虫の知らせ” で事実が明らかになってゆく様にはカタルシスを感じた。しかし、法医昆虫学によって謎が解かれるストーリーにしようとするあまり、設定が不自然になっているとも思う。

 ネタバレありで書くけれど、死体を移動させた理由は強引。

 更に、加害者の結び付きについて。笛野が待ち順の操作を行わなければ、竹田の娘が殺されることはなかった。従って、瑞希が他のふたりに行く筈の心臓を横取りしたというわけではない。ふたりのドナーが現われなかったのはそれとは別件であって、この加害者の組み合わせが成立する心情は(冷静に考えるなら)八つ当たりのようなものではないか。


No.170 5点 呪い唄 長い腕Ⅱ
川崎草志
(2014/06/12 17:58登録)
 えーと、具体的にどういう事件の話だっけ? と思い返しても上手くまとめられない。なんだか不定形な印象のストーリー。平行して語られる江戸時代の話のほうが面白かった。
 けれどそれはマイナス評価の意味ではなくて、問題編・捜査編・解決編みたいなパターンに則るのではなくじわじわといつの間にか浸透する違和感は寧ろ新鮮なミステリ体験。


No.169 5点 ムカシ×ムカシ
森博嗣
(2014/06/10 19:30登録)
 この作品、ホワイダニット部分を軸にして別の書き方をすればもっと面白くなったのではないかという気がする。事件に対して変なポジションから中途半端に関わっているキャラクターの様子がメインで、殺人事件のほうがサイド・ストーリーになっているのは、作者が斜に構え過ぎ。なんだか勿体無いな~。

 樋口一葉とは実質何も関係ないわけで、だったら “一葉” というネーミングを持ってくる必然は無かったのでは。何か知っている人には通じるようなネタがある?

 ところで、夫婦がほぼ同時に、しかし詳細の判らない状況で死んだ場合、相続はどうなるのか? 死んだ順番で相続の内容は変わる。そのあたりに作中で言及していないのは手落ちだと思う。(後日追記:「同時死亡の推定」適用で相続は行われない、でいいのかな?)

 あと、leaves の発音はリーブ「ズ」なので名前の暗号は成立していない。


No.168 5点 ドS刑事 三つ子の魂百まで殺人事件
七尾与史
(2014/06/10 19:29登録)
 例えば被害者に関する説明が殆ど無い等、所詮レッド・へリングに過ぎないお約束的要素をダラダラ並べても退屈だ、とでも言いたげにここまでざっくりと割り切った書き方というのは、それはそれで形式化したミステリに対するひとつの批評になっているのだろうか……?


No.167 6点 147ヘルツの警鐘
川瀬七緒
(2014/06/10 19:27登録)
 薀蓄として面白いし、ストーリーもなかなか読ませる巧みな筆致である。赤堀のキャラクターは “エキセントリックな専門家” としてパターン通りだし、諸々の事柄が少々都合良くつながりすぎではという思いは否めないが、まあ許容範囲内。
 しかし本書の法医昆虫学関連のネタはどの程度リアリティがあるのだろうか。実際にこんな手法がアリだったら、今後の警察(が登場するミステリ)小説は大幅な刷新を求められるのでは。


No.166 8点 僕の光輝く世界
山本弘
(2014/06/06 20:29登録)
 SF作家の山本弘らしい連作ミステリ。といってもSFやファンタジーが混ざっているわけではない。広範な知識の生かし方とか、ミステリとしての枠組の作り方とか。語り手の特殊な視点によって初めて謎が成立する話などは、“ミステリとはなにか” をミステリの外側から(少々意地悪く?)考えたような印象。
 親切なあのおねえさんがチョイ役で登場するのは嬉しかった。
 ひとつ大いに納得出来ない点。姿が見えない・声を出さない、という条件であっても体臭や化粧の匂いでひとの存在はそれなりに判るだろ。


No.165 7点 夏服パースペクティヴ
長沢樹
(2014/06/06 20:29登録)
 諸々の要素が上手く噛み合った、痛いところも含めて楽しめる青春ミステリだと思う。話の膨らませ方がぶっ飛んでいて面白い。
 ただ、“HAL” というネーミングはいただけない(類似のグループが複数実在する)。


No.164 8点 天帝のやどりなれ華館
古野まほろ
(2014/06/06 20:28登録)
 こんなクローズド・サークルの作り方があったとは。謎解き部分がやっぱりくどいな~。ルビに手がかりを仕込むとは猪口才な。表紙のイラストはいらんだろ。 


No.163 7点 衣更月家の一族
深木章子
(2014/06/05 20:20登録)
 1~3章のそれぞれの事件は面白いのだが、それらを思わぬルートで結びつけた最終章=事件全体の真の構図がごちゃごちゃしすぎで、あまり目から鱗が落ちるという感じは味わえなかった。

 ところで、大々的なネタバレありで指摘したい点がある。

 遺産相続の際には、死ぬ順番が重要。
 優子と雄哉(=実はマンタだが)、どちらが先かで状況が変わってくる。雄哉が先に死んだ場合、遺産の一部は優子に渡る。その後で優子が死ぬと、まだ離婚していない夫が最大の相続人になる。
 犯人としては優子を先に死なせたい。その後で雄哉が死ねば、優子を通じたルートには遺産は流れない。
 雄哉(=マンタ)が即死でないため、作中ではこの点が問題になっていない。第一のツッコミは、雄哉(=マンタ)殺害の時刻を優子殺害より後だと示す犯人による工作がなされていないこと。
 更に考えると、雄哉(=マンタ)が即死し、一方で優子を即死させられない可能性もあるわけで(あまり滅多打ちにしちゃうと正当防衛を主張出来ない)、それを踏まえると、優子の排除&アリバイ工作の一石二鳥だとはいえ、ふたりを大体同時刻に殺す、というやり方は殺人計画のそもそもの動機とそぐわないのではないか。
 (そこまで犯人の頭が回らなかった、というのはミステリの美学としてNG。)

 あと、“花瓶の向き” は都合の良過ぎるミスでいただけない。


No.162 8点 長い腕
川崎草志
(2014/06/05 20:19登録)
 面白かった。全員排除という落とし所が凄い。 
 難を言うなら、細かいことだけど、“パソコンの打ち間違い方が共通” というのは都合の良過ぎる犯人側のミスではないかと思う。語彙とか漢字表記の選択とか、“ミス” と認識されにくい手がかりを使ったほうがわざとらしさは軽減された筈。


No.161 4点 ある少女にまつわる殺人の告白
佐藤青南
(2014/05/30 11:45登録)
 なんだかどこかで読んだようなDV関係の話が延々と続く。ラストに若干の捻りはあるけれど、9割の凡庸を1割の意外性でチャラに出来るかと言うとそうはいかないわけで、あまり過大な評価は禁物。但し、作者の意図した事柄をきちんと描き切る筆力は認められる。


No.160 6点 憑き物
鳥飼否宇
(2014/05/28 20:20登録)
 これは短くまとめすぎではないか。物語の骨格が剥き出しのままで読まされたような印象である。もう少し肉付けがあっても良かった。なんか勿体無い。

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