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ミステリの祭典

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虫暮部さんの登録情報
平均点:6.20点 書評数:2154件

プロフィール| 書評

No.74 9点 贖罪の奏鳴曲
中山七里
(2013/01/02 17:58登録)
 これは凄い。純ミステリ的要素は薄いが、「償いとは何か」というへヴィなテーマを孕みつつ、テンポの良い展開と文章の巧みさでエンタテインメントとしての面白さも確保している。
 きっと、作者の“これは書くべきだ”という確信が作品の核心にあるからこその説得力だと思う。


No.73 6点 アルカトラズ幻想
島田荘司
(2013/01/02 17:56登録)
 第三章までは良かったが、その後はいただけない。
 ネタバレ承知で書くが、誰かを騙すために周りの皆が共謀して大芝居を打つ、というなら割と何でもありになっちゃうわけで、それは夢オチのようなものだと思うのだ。しかも島田荘司はそういう作品を既に幾つか書いているじゃないか。


No.72 6点 ビブリア古書堂の事件手帖
三上延
(2012/12/24 11:31登録)
 第四話は、正直そんな怪我をしてまで守るようなものかと思った。犯人も動機も判っている、ならば傷害は親告罪なのだから、示談にして慰謝料を上乗せして高く売り付けたほうが、安全のためにも良いのではないか。なんて言っていたら栞子さんとお友達にはなれないかな。
 ただ、それを“構成上の不備”ではなく“登場人物の性格に対する苛立ち”として感じてしまったあたり、作者に見事に乗せられているようだ。
 全体的には悪くない作品だと思うが、文章がちょっと言わずもがなのことを書き過ぎな気はする。例えばこれで文章が北村薫だったら、とか言っても仕方が無いか。


No.71 7点 夏のレプリカ
森博嗣
(2012/12/10 07:37登録)
 “チェスに負けたから気が付いた”というところ印象的だった。全く論理的ではないけれど説得力がある。こういうフレーズがポロッと出て来るのが森博嗣の面白さだと思う。


No.70 6点 ドS刑事 朱に交われば赤くなる殺人事件 
七尾与史
(2012/11/27 16:36登録)
大雑把な描写でサクサク事件が進行していくこの作風にもいつの間にか慣れてしまった。書きようによってはいくらでもヘヴィになりそうなネタを、戯画化された登場人物でこのように処理するのは損か得か。ごはんを食べながら読んだのは大失敗でした。


No.69 8点 ジグβは神ですか
森博嗣
(2012/11/14 19:10登録)
 すっきりしない終わりではあるが、これをこう感じるということは逆にミステリにお約束ばかり求めてしまう自分の裏返しなのかとも思う。ミステリは決して思考停止に至るだけのシステムではない筈。ただ問題は作者にこのシリーズを完結させる気があるのか、完結まで作者が小説を書きつづけるモティヴェーションは持続するのか、ということである。
 ところで真賀田四季は、例えば『悪の教典』(貴志祐介)の蓮実聖司などと比べてまさに天才!という感じのキャラクターで、やっぱこうでなくては。


No.68 7点 幻惑の死と使途
森博嗣
(2012/10/25 12:55登録)
 面白かったが、ネタバレ付きで指摘しなければならないことがある。
 “遺体消失事件” の時の、“霊柩車に棺が載ったあとでエンジンがかかった” という手がかりは、犯人にも事前に読めた筈なのに、何の対応もしていないのはおかしい。
 逆に言えば、それが無くても謎は解けるのだから、メタ的に見れば、このわざとらしい犯人の小ミスは作品にとって不要というか邪魔なエピソードではないか。


No.67 5点 悪の教典
貴志祐介
(2012/10/10 15:53登録)
 蓮実の “天才” の人格に比べて、その欲求が妙に俗物的というか即物的なのがいまいちしっくり来なかった。
 雑誌連載中のコミカライズ作品を途中まで読んだ状態で、小説のほうを読んだ。これが失敗。もともと良くも悪くも漫画的な小説だと思うのだが、完全に漫画のイメージに囚われてしまった。


No.66 5点 少年探偵とドルイッドの密室
麻生荘太郎
(2012/10/01 06:43登録)
 ストーリーはまあまあ面白いが、いかんせん文章が硬く、ふくらみに欠ける。古い壺に新しい酒を注ごうとしたが手際が悪く味を損ねてしまった、という感じ。


No.65 8点 刑事のまなざし
薬丸岳
(2012/09/19 16:27登録)
 連作短編集という形態にしたことが正解で、ストーリーが必要以上に錯綜することなく、大風呂敷を広げすぎることもなく、描きたいことのエッセンスを抽出できているように思う。


No.64 6点 赤い月、廃駅の上に
有栖川有栖
(2012/09/11 18:29登録)
 失礼ながら、ミステリというお約束の要素を除外しても、これだけ巧みな小説を書けるのだなぁと感心した。
 本業との距離感という点で、綾辻行人の『深泥丘奇談』を髣髴とさせる短編集。
 図書館のシール云々というくだりは作者のリアルなぼやきだろうか。


No.63 6点 デッド・リミット
遠藤武文
(2012/09/06 05:53登録)
 怒濤の展開に一気読み、ではあったけれど色々アラもありそうな……結局、対外的に事件はどう収束したのか。ラストに捜査員の前であんな通話しちゃって平気なのか。電車を経由した通信方法は流石に必要以上にリスキーではないか。等々。


No.62 6点 ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件
七尾与史
(2012/08/29 16:13登録)
 ドSだのイケメンだの、安っぽい口語が頻出する文体はメタ的なジョークとして楽しめた。ストーリーとしても面白かったが、これでいいのか?という気持ちも拭いきれない。
 あと、死体マニアとドSは全然別のカテゴリでしょってことで、タイトルに異議あり。


No.61 5点 ヘンたて
青柳碧人
(2012/08/22 16:52登録)
 流石に犯罪には応用出来そうに無いネタをクイズ仕立てetc.で出題する、日常ならぬ “非日常の謎” 作品集である。特に第一話は爆笑。
 一人称の語り手の予定調和的なモノローグが随所に挿入されるのが邪魔。これは語り手が文章家ではないからこのレヴェルの文体、という “設定” なのだろうか。文章がもう少し巧みなら更に楽しめた。


No.60 7点 真夜中の探偵
有栖川有栖
(2012/08/08 16:10登録)
 ミステリとしてよりも、主人公の成長物語として、また架空の社会を描いた幻想味のないファンタジーとして、楽しみました。


No.59 7点 幽女の如き怨むもの
三津田信三
(2012/08/06 08:14登録)
 明確な “事件” は起こらないし、どちらかというと “戦前・戦中の風俗史” のような要素がメインか、と思ったらラストに見事な背負い投げが。という感想もネタバレか。


No.58 6点 トネイロ会の非殺人事件
小川一水
(2012/07/25 15:51登録)
 大長編SFシリーズ『天冥の標』も好調な小川一水のミステリ作品集である。
 私は、全3編のうち、「くばり神の紀」が一番面白いと思った。これは厳密にはSFに分類されるのだろうか。ただ、そのことこそが “意外な結末” でもあるわけで、SFっぽいミステリのあとにミステリっぽいSFが並ぶという収録順も効果的。
 でもまあ、同作者の純SF作品ほど凄いとまでは言えない。作風としては石持浅海みたいだと感じた。


No.57 5点 猫柳十一弦の後悔
北山猛邦
(2012/06/08 07:19登録)
 良くも悪くも強引な話だな~と感じた。大学の探偵助手学部(!)の学生達という設定なのに、皆あまりそれに相応しい行動が取れていないように思う。


No.56 7点 鍵のかかった部屋
貴志祐介
(2012/06/01 08:18登録)
 今時、“密室縛り” という蛮勇に拍手。どれも面白いのだけれど、(「密室劇場」はともかく)妙に “小品” というイメージが残るのは何故だろうか。
 「鍵のかかった部屋」という直截的なタイトルは或る種の挑発なのかと思ったが、トリックを踏まえて考えると(→どの段階で鍵がかかったか)趣深いアイデアである。


No.55 5点 高原のフーダニット
有栖川有栖
(2012/05/04 11:06登録)
 「オノコロ島ラプソディ」……馬鹿みたいなトリックだが、その理由の、“嘘はつかせないから” と共犯者を説得する、という発想はリアルだと思った。“人恋しいから、金を貸した” との意見も含蓄に富む。
 尚、アリスを驚かせた松本ちえこの「ぼく」はYouTubeで探したら聴けました。

 「高原のフーダニット」……双子の名前が紛らわしい。犯人の行動があまりに即断即決&怖いもの知らずな気もするが、そこはまぁ人それぞれ?

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