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ミステリの祭典

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眼球堂の殺人~The Book~
堂シリーズ

作家 周木律
出版日2013年04月
平均点5.79点
書評数14人

No.14 7点 みりん
(2023/01/12 22:08登録)
「西洋と東洋での対称性への見地の違い」や「完全数に1足りない(ように見える)ことにこだわる美学」や「エウクレイデスの5公理から学ぶ推理の方法」など非常に好奇心を刺激される内容が多く自分に刺さりました。次シリーズも読もうと思います。

No.13 4点 モグラの対義語はモゲラ
(2021/05/10 05:39登録)
トリックや真相、展開を読みやすい作品だったのでずっと楽しめたわけではないが、全部が完全に分かってしまってつまらないと言う事も無かった。
あまりミステリーを読んだことが無い人は度肝を抜かれてかなり面白がれると思う。逆にメフィスト賞作品をよく読んでいる人は、良くも悪くもメフィスト賞らしい作品なので結構退屈するんじゃないかなあ。100点回答を出来る人もかなりいると思われる。

個人的にこれを読むにあたって大いにネックだったのが、文章である。胡乱な言い回しが多いというか、書きたいキャラクター性に引っ張られ過ぎてるというか、文体の標準が合わないというか。この作者と全く合わないというわけではなく、処女作らしい文章と言う事なのかもしれない。
キャラクターも合わなかった。特に、主人公の探偵役には、はっきり言って最後まで魅力を感じなかった。どこが、と指摘は出来ないのだが、何となく書きたい展開に合わせた結果言動に一貫性が無いように思われた。

大きいトリックの作品は結構好きなのだが、解決編が始まってちょっと経ったぐらいまで作品に没入できなかったのと、もっと予想外のことをして欲しかったりもっと鮮やかな論理を見せて欲しかったという不満もあるので、点数としてはこれくらいかなあ。

No.12 5点 雪の日
(2020/05/03 21:12登録)
メフィスト賞の作品は好き嫌いが分かれそうだと思いました。
叙述トリックも好き嫌いが分かれる原因かも。

No.11 6点 ミステリ初心者
(2019/01/16 18:27登録)
 ネタバレをしています。

 
 非常に奇妙な建造物の中で閉じ込められた男女。連続殺人。非常にわくわくしながら読みました。さらに、ラストには叙述トリックありのどんでん返し、意外な結末があり、満足しました。
 ちなみに、自分は、眼球堂に水を入れて移動すること、盲点の柱的なものだけなんとな~く察しました。他のことは予想できませんでした…;; 
 善知鳥神は造道静香かと思ってたり(笑) 驫木は警戒されるので被害者をコントロールできない→協力者→回収していない善知鳥神の存在…まで予想しましたが、深浦は造道を疑っていたんでしたね…もうすこし考えるべきでした(叙述トリックの難易度が高いため、藍子=神までたどり着くのは、自分ではやはり無理か(笑))
 "神"という名の人物を出すことで、神の視点や、普通のゴッドの意味と混同させている点もうまいと思いました。

 以下、好みではなかった部分
 驫木のはやにえまで、退屈でした。私が、頭パープリンのため、インテリっぽい難しい会話が理解できず、150pぐらいまで苦痛でした;;
 各分野の天才達が集まった設定が、あまり活きてないような。好みの問題かもしれませんが。天才達が己の分野の知識を用いて、驫木のはやにえ問題をそれぞれの視点で推理していく…という展開を期待していました。(まあ、あまり難しい話になると、それはそれで私の頭が追いつきませんが)
 叙述トリックとしては目新しいものではないとはいえ、もうすこし作中作を匂わせ(ヒントなど)ないと、難易度が高いように思えました。

 奇妙な建物でのクローズドサークルはやはりワクワクするもので、作風も本格色が強い。シリーズ化されているとのことなので、次も楽しみです!

No.10 6点 nukkam
(2018/12/29 21:24登録)
(ネタバレなしです) 元素の周期律に因むと思われるペンネームの周木律の2013年発表のデビュー作で、堂シリーズ第1作です。このシリーズは本格派推理小説の枠を外れたような作品もあるそうですが本書は森博嗣が「懐かしく思い出した。本格ミステリィの潔さを」と絶賛しているようにガチガチの本格派で、「読者への挑戦状」まで付いています。読んでみると綾辻行人の館シリーズからの影響は隠すべくもありませんが、他にも歌野晶午の信濃譲二シリーズ、霧舎巧の《あかずの扉》研究会シリーズ、果ては島田荘司や森博嗣のあの作品やこの作品が次々に思い出され、そういう意味では確かに「懐かしさ」を感じました。主人公である放浪の数学者の十和田只人は時々難解な用語を使いますが数字や数式が飛び出るわけではないのでこの私でも安心して読めました。

No.9 8点 makomako
(2018/12/29 09:54登録)
こういったクローズドサークルでの奇想天外はお話は、好みがわかれるところだと思いますが、私は大好きです。
 眼球堂というとんでもない建物が舞台です。島田荘司氏の斜め屋敷や綾辻氏の館シリーズなど、過去にもトリックのみに考え建てられたとんでもない建物はありますが、これはその中でもスケールが大きくすごい建物だと思います。建築を学んだ作者が考えただけあって、絶対無理そうな建築物だが、何となく納得して読ませてしまいます。
 トリックは当然建物に由来することはほぼ誰でもわかると思います。鈍い私でもある程度は看破来ましたが、もちろん完全にわかったわけではなく最後の謎解きでなるほどと納得させられました。と思ったら、まだ残りのページが結構ある。


以下多少ネタバレ
 印刷の形態も変わっておりこれは何かと読んでいくと、意外や意外。見事に騙されました。
 おかしいと思っていたんだよね。重要な人物が全然登場してこないんだから。意外性では満点だが、ちょっとだまし方がずるいよね。
 建物のトリックよりもっとありそうもない人物性格のトリックというべきなんでしょうが、いくら何でもこれは無理なんではないでしょうか。
 でも全体としては久しぶりの夢中になって読んだ作品です。次作も読んでみます。

No.8 7点 まさむね
(2018/08/24 23:41登録)
 メフィスト賞受賞作であり、現在も続く「堂シリーズ」の第一作。
 舞台となる「眼球堂」の秘密については、序盤における建造物の図面や丁寧な伏線を把握する中で、全てではないにしても、その一部はかなりの読者が気付くような気がします。それをなぜ、天才数学者が気付けないのか等々、突っ込みたくなる点もございます。
 とは言え、エピローグも含め、作者の気概は評価したい。現実味はともかく、志は天晴。続編も読んでみようかな…と思わせられた時点で、私の負け(?)です。

No.7 6点 E-BANKER
(2017/11/29 21:10登録)
2013年発表。
第47回のメフィスト賞受賞作であり、当然ながら作者のデビュー作。(もう40回以上も続いているということが驚き!)
その後に続く「~堂シリーズ」の第一作目でもある。

~神の書、“The Book”を探し求める者、放浪の数学者・十和田只人が記者の陸奥藍子と訪れたのは、狂気の天才建築学者・驫木煬(とどろきよう)の巨大にして奇怪な邸宅・「眼球堂」だった。ふたりと共に招かれた各界の天才たちをつぎつぎと事件と謎が見舞う。密室、館。メフィスト賞受賞作にして「堂」シリーズ第一作となった傑作ミステリー~

序盤に挿入された「眼球堂」の平面図&立面図。
これを見ただけで、本格ファンならば大凡のトリックに気付くのではないか?
斯く言う私はどうか?
ここでは気付かなかったが、さすがに中盤に差し掛かる頃には気付いた!
気付いて以降、なぜ“天才数学者”と称される探偵役・十和田がこのトリックに気付かないのか、それにイライラさせられた。

どうみても、島田荘司や綾辻、はたまた森博嗣の影響を存分に受けた二番煎じ・・・って誰かにこき下ろされる・・・
って思ってた矢先。
この作品はエピローグ以降が肝だったんだね。
これもまぁ想定内っていう手練の読者も恐らくいるのだろうが、ここまでアイデアを盛り込んできたことは素直に評価したい。
さすがにメフィスト賞受賞は伊達ではないということかな。

どうしても好き嫌いがはっきり分かれそうな作品なのは間違いなし。
リアリテイの欠片もない(?)トリックを“バカミス“と捉える方もいるだろうし、無機質でハリボテのような登場人物に後ろを向く方もいるだろう。
要はメフィスト賞作品が好きかどうか。嫌いと言うなら本作は手を出さない方がいいのでは・・・
私はというと・・・続編も読むと思います。

No.6 6点 メルカトル
(2017/04/15 22:17登録)
長尺が気にならない、平易な文体でスムースに読み進めることができ、ストレスフリーな読書となりましたが。早い段階でこの異様な建造物のトリックには気づきます。これはおそらく誰もがそうなのではないかと思います。第一の殺人?のトリックも過去に前例がありますので、勘の良い読者には早々に見破られる可能性が高いでしょう。
登場人物のほとんどが天才という割には、それらしい人はいません。むしろごく普通の人の印象が強く、あまり場全体がいきり立ったような雰囲気にはなっていません。これは作者の計算通りかもしれません、言ってみればありきたりな館ミステリに落ち着いているのではないかと思います。
意外性はないものの、堅実なストーリー展開や眼球堂のスケールの大きさには好印象を受けました。作者の静かなる意気込みのようなものを肌で感じることができますね。ただし、動機に関しては?な部分もありました。


【ネタバレ】


意外性はないと書きましたが、実はエピローグでとんでもない真相が明らかになります。これにはやられたと素直に思わずにはいられませんでした。
ここに至り、1点加点しようかと考えましたが、やはりトリックの目新しさがないため、この点数が妥当かという結論に達しました。

No.5 5点 邪魅
(2017/02/25 00:36登録)
ミステリに人物は関係ないというのが持論ですから、登場人物の天才性を今一つ感じられないというのは評価に関係すべきでないと思うのですが、少しちゃちなものに感じてしまったのは事実です
トリックはかなり大掛かりですね、はっとする部分は無かったですか全体的にまとまった佳作のように感じました

No.4 4点 はっすー
(2016/02/16 12:32登録)
うーん…メフィスト賞の作品には天才という単語がやたら出てくるイメージがある…動機の意外性を出すためにやってるのかもしれないがやはり陳腐に感じる…
柱に突き刺さった死体のトリックは他作品で3回ほど見たことがありがっかり
ただ館のトリックは面白いと感じた
一応続編を読もうとは考えているが評判が微妙なので読むのは当分先になりそう…

No.3 5点 名探偵ジャパン
(2015/04/10 11:18登録)
「館もの」も、ここまで来るともうSFの世界に片足突っ込んでいるのでは?
これだけの規模の建築物を建てるには、大型重機の使用は必要不可欠のはずで、その重機が現場へ乗り込むためには広く平坦な道路がいる。工事が終わった後にわざわざその広い道を元のような徒歩でしかたどり着けない山道に戻してしまったのだろうか。施工に関わった人間も数百人規模だろう。どこかから、「眼球堂っていう建物の施工に関わったんだけど、その建物には秘密があってね…」などと情報が漏れる可能性も大。「『館もの』でそこに突っ込むのは野暮だろ」と言われてしまうかもしれないが、本作の建築物があまりのスケールだったためそんなことに思いを馳せざるを得なかった。
大胆な館トリック。理解不能な殺害動機。ラストのどんでん返し。
やりたいことは分かるが、どれもがちぐはぐで分断されてしまっているような印象を受けた。
作者の続作のタイトルからして、「この路線で行くんだ」という覚悟のようなものが見えるのは好印象。「こういうもの」と割り切って楽しむのが正解か。

No.2 6点 虫暮部
(2013/10/16 06:41登録)
トリックについては類似する先行作品を幾つか知っている(しかも本書と同じ講談社ノベルス)が、組み合わせ方や演出のおかげでその点が気になる程ではなかった。問題は動機が全く腑に落ちないということ。登場人物たちがあまり"天才”っぽくないし。
 あと、この作品が特に悪いわけではないが、奇妙な建物に様々な人が集められて殺されてゆく、という類の話は、導入部がどうしてもワン・パターンになりがちだなあ、と思った。

No.1 6点 すいっちばっく
(2013/08/08 23:03登録)
 結構、厚いけど、読みやすい文章かと。
 久しぶりに、こういう物理トリック見た気がして
なんか、嬉しくなりました。ラストは好みの
問題でしょうけど、私はあまり好きじゃないかな。
 とりあえず、次作も読んでみます。

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