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ミステリの祭典

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kanamoriさんの登録情報
平均点:5.88点 書評数:2430件

プロフィール| 書評

No.810 8点 ギリシャ棺の秘密
エラリイ・クイーン
(2010/07/21 17:29登録)
パズラーとしての出来はともかく、国名シリーズの中では本書が一番楽しめた。
これまでのロジック重視の作品は、小説として味気ない感じを受けるものもあるが、本書は”名探偵の失敗”を始め、二転三転するプロットがリーダビリティを高めている。
まあ、意外な犯人像のための、無理をしたどんでん返しという感じもありますが。


No.809 7点 ウィチャリー家の女
ロス・マクドナルド
(2010/07/20 21:38登録)
「さむけ」と並んでロス・マクの代表作といわれることも多い作品ですが、個人的にはちょっと落ちるかなという印象。
やはり、よく指摘されるメイン・トリックが力技過ぎる点がひっかかり、それまでの家系の悲劇的メロドラマと相容れない感じがしました。しかし、作者の作品の上位に位置する秀作には違いありません。


No.808 8点 災厄の町
エラリイ・クイーン
(2010/07/20 21:26登録)
国名シリーズなどのロジック重視のパズラーになんとなく小説としての物足りなさを感じていたので、クイーンがライツヴィルを発見したのと同様に、本書で新しいクイーンを発見した気分だった。
初期の作品群に比べればプロットも単調で真相も分かり易いですが、人間の謎に踏み込んだ内容は厚みがあり、読み応え充分でした。


No.807 7点 百万ドルをとり返せ!
ジェフリー・アーチャー
(2010/07/20 21:00登録)
ベストセラーとなったコンゲーム小説の古典が「東西ミステリーベスト100」海外編の52位に。
この原題もしゃれていて面白い。"Not a Penny more,Not a penny less"、石油開発の投資詐欺に遇った4人が、首謀者からきっちり百万ドルを取り戻す、そう1ペニーも多くなく、1ペニーも少なくなく。
しかし、作者の実人生のほうが、小説より波乱万丈でスリリングだった気がする(笑)。


No.806 7点 ドーヴァー4/切断
ジョイス・ポーター
(2010/07/20 20:40登録)
史上最低のお下劣男・ドーヴァー警部シリーズの第4弾。
原題は「Dover and Unkindest Cut of All」で、直訳すれば本書のキモがなんとなく分かってしまいますが、これを書いたのが女性作家だから尚更スゴイ。しかし、この動機!!最高のブラック・ユーモアミステリだろう。


No.805 8点 利腕
ディック・フランシス
(2010/07/20 19:07登録)
隻腕の元騎手・シッド・ハレー再登場の本書が「東西ミステリーベスト100」海外編の48位。
基本的に、冒険スリラーなどで、同じ主人公を使用したパートⅡの出来が前作を凌ぐのは難しいと思っていますが、本書は例外に入るでしょう。
屈服と再生、男の不屈の精神というテーマを極めていますし、ミステリ趣向としても読みごたえのある傑作でした。


No.804 7点 喪服のランデヴー
コーネル・ウールリッチ
(2010/07/20 18:27登録)
恋人を死に至らしめた可能性のある人々を標的にした、ある青年の連続復讐ものサスペンスです。
プロットは、冒頭のエピソード(泡坂妻夫「乱れからくり」に匹敵する!)を始め無茶が多いのですが、ウールリッチを理屈で読んではいけません。
青年の短絡的な行動は理解しづらいと思えるが、いつの間にか主人公に感情移入してしまう。抒情的な文章の魔力というべきか。


No.803 8点 毒入りチョコレート事件
アントニイ・バークリー
(2010/07/20 18:27登録)
作者のほとんどのミステリでテーマとしている「アンチ・名探偵」ものでは、「ジャンピング・ジェニイ」と並ぶ傑作だと思います。
本書は、短編「偶然の審判」を下敷きに、犯罪研究会の面々による多重解決をより過剰にし、推理することの曖昧さと名探偵自体をおちょくっています。
本格ミステリに対して斜に構えた作者の姿勢は、独特のものがありますね。


No.802 6点 バスカヴィル家の犬
アーサー・コナン・ドイル
(2010/07/20 18:26登録)
ホームズ譚は長編になると推理の妙味が薄く、怪奇・冒険譚になってしまいますが、長編の中では本書が一番楽しめた気がします。
物語の主舞台になるダートムアの荒涼とした情景描写が印象に残る作品でした。


No.801 7点 時の娘
ジョセフィン・テイ
(2010/07/20 18:26登録)
グラント警部シリーズの第5作は、ベットディテクティブによる歴史ミステリという異色作。
まず、「真理は時の娘」という英国のことわざが掲げられていて興味を惹きます。
薔薇戦争時の英国王室やリチャード3世のエピソードの知識があれば、より楽しめたと思いますが、グラントが肖像画をみた直感と文献のみで既成事実を覆していくプロットは、けっこうスリリングでした。
作者の邦訳作品の中では訳文も一番読みやすい。


No.800 8点 消されかけた男
ブライアン・フリーマントル
(2010/07/20 18:26登録)
「東西ミステリーベスト100」海外編の41位は、エスピオナージュの傑作、チャーリー・マフィンシリーズの第1作。
昨年久々に新作「片腕をなくした男」が出たから、なんと30年以上続いているシリーズだ。一時期出版がとだえ、作者自身が新潮文庫から「消されかけた男」だったが、見事復活したようでなによりです。
本書は、終盤の大どんでん返しで話題になったが、一見さえない男・チャーリーの置かれた立場が、リストラ寸前の中間管理職サラリーマンの共感を呼び、この結末に喝采を送ることになるのは当然でしょうね。


No.799 8点 キドリントンから消えた娘
コリン・デクスター
(2010/07/19 21:06登録)
モース主任警部シリーズの第2作。
2年前の女学生失踪事件に関して、モースの結論が四転五転するところが最大の読みどころで非常にスリリングで面白かった。
ただ、よりプロットを錯綜させているものの、基本的に前作「ウッドストック行最終バス」の焼き直しと思えるのも事実。
本格ミステリといっても、直感型の探偵役のため、ロジカルなパズラーとは一線を画する作風といえます。
なお、原題の”Last Seen Wearing"は、ヒラリー・ウオーの名作と同じですね。


No.798 6点 はなれわざ
クリスチアナ・ブランド
(2010/07/19 20:46登録)
大胆なアリバイ・トリックがタイトルの由来ですが、それほど感心するトリックではなかった。
コックリル警部自身がツアー客全員のアリバイ証言者というところが面白いが、シリーズ愛好者でないと、なかなか進展しないプロットが退屈に感じられると思います。


No.797 6点 あなたに似た人
ロアルド・ダール
(2010/07/19 18:01登録)
”奇妙な味”系の短編ミステリの名手といえばダールでしょうが、作品によって結構出来不出来(というより、好みに合う合わないかもしれないが)の差が大きい作家だと思った。
この作品集では、有名どころの「おとなしい凶器」と「南からきた男」しか印象に残っていない。


No.796 7点 ポオ小説全集3
エドガー・アラン・ポー
(2010/07/19 17:45登録)
「東西ミステリーベスト100」海外部門にはエドガー・アラン・ポオの短編が3作入っている。そのうち当全集第3巻収録で最初の推理小説といわれる「モルグ街の殺人」は36位。密室トリックとしてはツッコミどころもあるけど、今読んでも古さを感じない内容でしょう。
なお、第4巻の収録になるが、暗号解読ものの名作「黄金虫」は40位、逆説的な隠し場所トリックの代名詞「盗まれた手紙」は64位だった。


No.795 7点 寒い国から帰ってきたスパイ
ジョン・ル・カレ
(2010/07/19 17:12登録)
東西冷戦時代のドイツを舞台にしたリアリズム・エスピオナージュの傑作。主役はある意味「ベルリンの壁」だろう。
読者サービスに徹したエンタテイメント小説とは対極に位置するような作品なので、重たい文章とシリアスなシーンの連続に、読了後ぐったり疲れてしまった。


No.794 8点 暗殺者
ロバート・ラドラム
(2010/07/19 16:58登録)
最近で言うと「ダ・ヴィンチ・コード」や「ミレニアム」などの位置づけに近い作品で、陰謀を中心にした総合エンタテイメント小説。
作者の他の作品と違うと思ったのは、主人公のボーンの造形がしっかりと書き込まれているところ。したがって、描かれる陰謀サスペンスに荒唐無稽さはあまり感じられないし、物語にどっぷりと嵌ることができた。


No.793 7点 エジプト十字架の秘密
エラリイ・クイーン
(2010/07/19 16:36登録)
国名シリーズの中では「ギリシァ棺」と並んで、派手な展開をみせる作品。
エジプト十字架の特殊な形状によって、××ネタであることを隠蔽するというアイデアが創作の出発点だったと思われます。
初心者の頃に読んだので、気持よく騙された記憶があります。


No.792 8点 笑う警官
マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー
(2010/07/19 15:43登録)
「東西ミステリーベスト100」海外編の30位は、大河警察小説シリーズの代表作。
同じ北国でも北海道警ではなくて、ストックホルムが舞台。
全10巻でスウェーデン社会の10年間の変遷を描きながら、マルティン・ベックを始めとする個性豊かな刑事群像が読ませる(次作で大活躍するラーソン刑事がよかったなあ)。
第4作の本書は、冒頭から緊迫した展開を見せ、完成度ではシリーズ随一だと思います。


No.791 6点 赤い収穫
ダシール・ハメット
(2010/07/19 15:14登録)
タイトルが「血の収穫」となっている東京創元社版で読みました。
過激なバイオレンス描写が、硬質で省略の多いハードボイルド文体に合っていて、「マルタの鷹」よりハメットの作風がいくらか分かったような気する。
しかし、発刊当時はともかく、現在では歴史的意義しか感じない作品でした。

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