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ミステリの祭典

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まさむねさんの登録情報
平均点:5.87点 書評数:1196件

プロフィール| 書評

No.156 7点 花嫁は二度眠る
泡坂妻夫
(2011/04/09 21:18登録)
芳しくない評価も多いようですが,私は好きです。
伏線もきっちり張られてますし,良質なフーダニット作品と言ってよいと思います。
犯人は,序盤に根拠レスで想像したとおりでしたが,後半の反転・再反転を含めて十分に楽しめました。
確かに,奇抜な謎やトリックがないため,地味な印象は拭えませんけど・・・。


No.155 6点 返事はいらない
宮部みゆき
(2011/03/31 21:44登録)
今更ながらですが,彼女の短編は,巧いのみならず,非常に読み心地がよいです。
特にこの短編集は,温かく,爽やかな読後感の作品ばかり。
中でも「ドルネシアにようこそ」は秀逸。表題作と「言わずにおいて」も相当良です。
サラッと読みたい気持ちの方にお薦めします。


No.154 4点 確率2/2の死
島田荘司
(2011/03/26 21:36登録)
 出だしには興味をそそられましたが,肝心の中身は正直物足りなかったですね。
 謎のレベルはまぁ措いておくとしても,真相に対する合理的なヒントってあったのかなぁ?
 それと…これはミステリ読みにとって禁句なのでしょうが,平成の今となっては「白いバンの謎」の必要性が…。


No.153 6点 イン・ザ・プール
奥田英朗
(2011/03/26 21:32登録)
 評判どおり,面白かったです。
伊良部センセは勿論のこと,登場人物のキャラ立ちが凄い。
 「コンパニオン」&「フレンズ」系の患者はホントにいそうだし,「いてもたっても」などを読むと,自分にもやや思い当たる節が…(病的ではないですよ。多分…)
 患者の狂い具合に辟易するあたりで前向きな展開に…っていう“さじ加減”も好みですね。ミステリでないだけに,このサイトでの採点は難しいですけど…。


No.152 5点 眼球綺譚
綾辻行人
(2011/03/23 23:15登録)
皆様お久しぶりです。
私事ですが,この度の震災では,本当に様々な経験をさせていただきました。自分としては多少落ち着きを取り戻しつつありますが,家族を失われた方,未だ難儀な生活を余儀なくされている方々を思うと,泣きたくなります。
とにかく皆で踏ん張っていこうとしか言い様がありません。ミステリ好きな被災者の方が,また存分に読書できるよう,その心の余裕が生まれるよう,仕事上私も微力ではありますが,尽力したいと思っております。

前置きが長くなってしまいました。短編ごとにヒトコト書評を。
「再生」:ホラーらしいホラー。
「呼子池の魚」:ラストの意外性は,ある意味でナンバー1かも。
「特別料理」:喜劇としても読めそうですが,ラスト1文が秀逸。怖い。
「バースデイ・プレゼント」:最もサイコ色が強いか。
「鉄橋」:典型的な展開ですが,それが逆に良い。
「人形」:深いなぁ。
「眼球綺譚」:3.11時点でこの短編の途中まで読んでいました。つまり,震災をはさんで読破したことになります。その意味ではもっと印象に残ってもよいはずですが,小説よりも現に起きている事象の方が衝撃的で…。


No.151 9点 孤島パズル
有栖川有栖
(2011/03/09 22:42登録)
 ピースを理論的に当てはめていくような解明は楽しかった。解明の取っ掛かりもいくつかの小さなピースから。なるほど,まさに「孤島パズル」ですね。
 実際に驚くべきトリックはなかったですが,読者挑戦モノとしては,それがむしろ魅力的でもありました。奇抜な発想をせずとも,示された鍵のみで十分に犯人特定が可能という意味で。
 個人的には宝探しの過程も良かったです。なるほど,確かに「進化するパズル」。美しい。

(以下 ネタバレあり)
 で,減点したのは,ボート使わなくても短時間で行けるくらいの距離だったのね…ボートでも自力でも同じくらいの所要時間での移動が可能だったのね…ってことを,少なくとも私は解決編まで認識できなかったから。いや,これは当方の認識不足も相当にあるのですが,もう少し伏線が欲しかったかなぁ…と。(ちょっと悔し紛れ)


No.150 7点 球体の蛇
道尾秀介
(2011/03/06 11:25登録)
 作者にとっては,初のノンミステリ作品という位置づけらしいですね。しかし,青春小説としてのラストの心象を保ちながら,その実なかなか趣深いリドルストーリーに仕上げてます。この辺りに作者らしさを強く感じました。
 登場人物では,何と言っても「ナオ」がいい。印象に残ります。
 その後の直木賞受賞作品「月と蟹」(これまたノンミステリ)よりは,私は断然,この作品の方が好み。この作者の作品は,5期連続で直木賞候補に挙げられてますが(うち5期目の「月と蟹」で受賞),明らかに受賞作よりも「カラスの親指」やこの作品の方が良作。(候補作のうち「光媒の花」のみ未読だが)
 何はともあれ直木賞も手にしたことだし,再度,基軸をミステリにおいて欲しい…って(ある種わがままな)希望を込めて7点を。


No.149 5点 愚者のエンドロール
米澤穂信
(2011/03/03 22:15登録)
 古典部シリーズ第2弾。 前作「氷菓」よりもミステリ度がアップ。個人的な「食いつき具合」は確実に前作以上。
 奉太郎クンの「最終回答」までの展開も悪くはないですが,個人的には何よりも最終章が良かった。そうか…って感じで。
 いかにも米澤氏らしい作品ですね。


No.148 6点 午前零時のサンドリヨン
相沢沙呼
(2011/02/28 19:34登録)
 緩さが気になりつつも,高校男子一人称の軽快な語り口とヒロイン酉乃初のキャラクターに引っ張られ,たまには青春恋愛モノも悪くないか…などと読み進めていった訳ですが…。
 最終話でなるほどと思わされましたね。最終話に至る話はすべて伏線といっても差し支えない。伏線の張りっぷり,そして回収具合はなかなかです。私は完全にトラップにはまってましたし…。
 ラストでまたまた「青春恋愛モノ」に戻してくるところも,オジサンは嫌いでないです。
 ちなみに一人称の君!気持ちは凄くよく分かるが,太腿に対して弱すぎ。この弱点って一生克服できないから気をつけないと…って書評と関係ないか。
 最後に,「トリノ ハツ」って焼き鳥由来じゃなかったんだぁ。江守森江さん,重要情報(?)ありがとうございました。


No.147 5点 フリークス
綾辻行人
(2011/02/27 14:08登録)
三編で構成される中編集。
うち,「四〇九号室の患者」は,単行本で既読。
残り2編の基本構造は,まぁ一緒ですね。舞台が精神病棟であるだけに,分からないでもないですが,やっぱりそうなっちゃいますよねぇ。不思議な読後感ではありましたが。


No.146 5点 蒼林堂古書店へようこそ
乾くるみ
(2011/02/24 20:14登録)
ミステリ専門の古本屋店主とその常連客らが織り成す、日常の謎&ほのぼの系短編集。
一編が20数ページと短いので、スキマ読書に丁度いい感じ。
個人的にはもう少しキリッとしたミステリ性も欲しかったけど… 短編と同じ数だけ掲載されているコラム(?)「林雅賀のミステリ案内」が楽しかったから、まぁいいか。


No.145 6点 グラスホッパー
伊坂幸太郎
(2011/02/23 21:07登録)
ヒトコトで表現するとすれば「殺し屋小説」。
前半は,伊坂風セリフ回しにイラッとしたこともあり(すみません。全く肌に合わないもので),かなり冗長に感じたのですが,中盤以降の加速感は良いですね。
色んな殺し屋が登場し,人もたくさん死にますが,読後は不思議な爽快感。
内容はいいんだけど,鼻につくセリフも多いんだよなぁ…って私だけでしょうか?


No.144 5点 四〇九号室の患者
綾辻行人
(2011/02/20 19:58登録)
南雲堂版(単行本)を読んでみました。(この作品が収録された中短編集“フリークス”は未読)
元原稿は作者が大学四回生の秋(21歳)に執筆したものだそうで。中編でサクサク読み進められますし,十角館ファンなら一読してみる価値はあると思います。
でも…ポイントが3点あるとすれば,中盤までに3つとも気付く方も少なくないと思いますね。2つ目までのポイントは多くの方が気付くでしょうし…。


No.143 6点 我らが隣人の犯罪
宮部みゆき
(2011/02/20 15:24登録)
完成度が高く,読後感もよい作品揃いの短編集。
老若男女、誰にとっても楽しい読書時間が確保されそう。
表題作がベストですけど,他の短編も佳作揃い。巧いなぁ。


No.142 4点 月と蟹
道尾秀介
(2011/02/20 15:22登録)
まずは,直木賞受賞おめでとうございます。
で,率直な感想ですが,「表現したいことはよく分かったけれども,その良さはよく分からなかった」ですねぇ。
いや、少年少女の心の葛藤やその推移の表現は巧いと思います。それは認めつつ,「だから、それで?」って首を傾げている自分がいました。
単に私の読解力又は感受性が不足しているのか、それとも直木賞とはそういうものなのか。
採点としては,ミステリでない上に,特に心動かされることもなかったので…直木賞ご祝儀を含めてもこの点数。

何はともあれ,直木賞受賞おめでとうございました。満を持しての受賞なのでしょうが、今後どちらに向われるおつもりなのでしょう。注目しております。


No.141 7点 ななつのこ
加納朋子
(2011/02/20 15:15登録)
中盤まで,よくある「日常の謎」系かと思い込んでました。(いや,最後まで読んでも「日常の謎」系であることに違いはないのですけどね。)読み進めるうちに,不純物のない世界観に自然と惹かれていきましたね。
第5話の「一万二千年後のヴェガ」の星座薀蓄と第6話の「白いタンポポ」の文学薀蓄にそれぞれ感心し,最終話「ななつのこ」で完全にやられましたね。
(肝については途中で察しはつくのですが,既にそういう観点で読ませてないっていうか…)
ひとつ間違うと単に甘ったるい物語で終わっちゃうところですが,決してそんな単純な読後感ではない。
文章を含めて表現手法が秀逸だと思います。


No.140 6点 どんどん橋、落ちた
綾辻行人
(2011/02/15 20:28登録)
いやいや,面白かった。
特に「どんどん橋~」&「ぼうぼう森」のセットには,してやられたというか,ニヤリとさせられました。
「伊薗家の~」も,ありがちなパロディとはいえ,好きですね。
フーダニットとしても,まぁ変則技もあるけど,むしろ増幅して楽しめましたね。
作者の遊び心というか,こだわりというか,苦悩というか…色々伝わってきます。


No.139 6点 往復書簡
湊かなえ
(2011/02/13 15:36登録)
タイトルどおり,すべて書簡の文章のみで構成される中編集。
書簡のやり取りを読んでいくにつれて,謎が深まり・そして解明されて…って感じ。
3中編とも,この作者の「2文字漢字熟語3部作」の中で触れたようなシチュエーションだったりしますが,読後感はかなり異なります。
途中でラストが見えてしまう中編もありましたが,これまでの湊さんの作品とはまた違った観点で楽しめましたよ。


No.138 8点 殺しの双曲線
西村京太郎
(2011/02/10 23:25登録)
 このサイトにおける隠れた高評価に刺激されて読んでみました。
 いやはや,作者に対するワタクシのこれまでの印象が,良い意味で崩れちゃいました。
 本格ミステリとして秀逸だと思いますね。ラストの数行も印象に残ります。1977年の作品であることを考慮すればさらにプラス評価。国内双生児モノの傑作と評価いたします。

 東京の連続強盗事件と宮城の雪の山荘(ホテル)における連続殺人事件が交互に語られていきます。
 それぞれの事件自体が興味深いですし,その2つが結びついたときに一体何が…という期待で,序盤から一気に読ませてくれました。
(以下ややネタバレ的な要素を含みます。)
 結果的には,前者の事件は後者の事件の「引立て役」なのであって,前者の犯人が想定どおりに犯行を行った必然性が感じられません。正直,相当な違和感を覚えました。
 しかし,前者の事件がないと,読書の楽しみが激減してしまうのもまた事実。
 読者としては何とも悩ましいところですが,作者の仕掛け具合はその違和感を補って余りあるものと判断して8点!


No.137 6点 アリアドネの弾丸
海堂尊
(2011/02/06 22:11登録)
 ほほう。本格ミステリしてますね。氏は「医療エンタメ作家」と思っていたのですが…何とも嬉しい誤算(?)です。
 いやはや,これまでのシリーズとは一線を画していて,良かった。しかも登場人物のキャラ立ちはいつものとおり。楽しかったですね。

 難を言えば,前半が結構冗長だったことでしょうか。前半のみだと,また海堂節炸裂かぁ…と何度か投げ出しそうになりましたから… 中盤以降はミステリ度が増してきて一気読みでしたけどね。前半部で投げ出さなくて良かったなぁ…と。
 ちなみに,次回作の前宣伝も,まぁアリとは思いますけど,何とも長すぎるし,中途半端なんですよねぇ。ソコを削ってもっとコンパクトに…というか,すぐにミステリ部分に突入した方が良かったと思いますね。

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