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ミステリの祭典

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不完全犯罪 鬼貫警部全事件(2)

作家 鮎川哲也
出版日1999年07月
平均点7.67点
書評数6人

No.6 5点 E-BANKER
(2024/01/28 14:02登録)
どうせなら続けて読んでやれ!って考えて手に取ったパートⅡ。
今回も鬼貫警部“てんこ盛り”の作品集(←当たり前だろっ!)でしょうね。
出版芸術者編集により、発表は1999年。

①「五つの時計」=これは、かなり手の込んだアリバイトリック。ただ、こんなややこしいことをやると、当然どっかから瓦解するのが必然、というわけでご愁傷さまです。
②「早春に死す」=ある意味逆説的な真相。ただ、最初の監視員を騙すやり方が上手くいくとは思えないのだが・・・
③「愛に朽ちなん」=一瞬、あの名作「黒いトランク」のプロットが甦る作品。なのだが結末は尻つぼみ。
④「見えない機関車」=「へえー」っていう具合に作者の鉄道オタクぶりが窺える作品。②もそうだけど、時刻表トリックだけじゃないのね・・・
⑤「不完全犯罪」=まさに”不完全”すぎる犯罪というしかない。こんな事件で多忙な鬼貫警部の手を煩わせないでもらいたいものだ。
➅「急行出雲」=今度は列車の編成か・・・。手を変え品を変え、列車絡みのトリックをよく思い付くよなあー。「出雲」と「大和」のトリックは別作品(確か「砂の城」だったか?)でも使ってるから、2回は使えなかったんだね
⑦「下り“はつかり”」=鬼貫警部もので頻繁に出てくる「写真を利用したトリック」。この程度の写真トリックで鬼貫警部を騙そうと考えるなんて太え野郎だ!!
⑧「古銭」=これも実にあっけない幕切れとなる。チンケなトリックだこと
⑨「わるい風」=これも⑧と同様なのだが、もっと酷い。
⑩「暗い穽(あな)」=これもちょっとした偶然であっけなくバレてしまう。しかも鬼貫警部ではなく丹那刑事に!
⑪「死のある風景」=長編化したものは既読。普通は短編よりも長編の方が面白そうだけど、これは案外短編の方がまとまっていて良かったように思う。アリバイトリックも気が利いてる。
⑫「偽りの墳墓」=これも長編は既読。なので新鮮味はない。でも、これも短編の方がシンプルで良いかもしれん。

以上12編。
Ⅰよりも鬼貫警部がこなれてきた感じ。
まーあ、でもいい時代だったんだねぇ・・・。鉄道もいろんな列車が走ってて、いろんな路線も残ってて。日本という国がまだまだこれから成長していくんだというエネルギーを感じる。
あと、こうして改めて触れてみると、トラベルミステリー=(イコール)西村京太郎、ではなく、鮎川哲也なんじゃないか?
(個人的ベストは・・・どれかな? 敢えて挙げれば④かな)

No.5 9点 ねここねこ男爵
(2018/05/09 19:34登録)
間違いなく世界一のアリバイ崩し。
「五つの時計」の蕎麦屋はまさに真骨頂。
脳みそのどこらへんを使えばこんなミステリが書けるんだろう。

No.4 7点 ボナンザ
(2014/04/09 23:27登録)
最初の三作は鉄板の名作。
特に五つの時計は鮎川らしい遊びと本気が融合したたぐいまれな作品だ。
長編のもとが二作収録されているのも興味深い。

No.3 6点 まさむね
(2011/11/07 21:39登録)
純粋にロジックを楽しむことができる短編集。
無駄な要素が排除されているので,小気味好く読み進めることができます。
特に,名短編の誉れ高い「五つの時計」は,アリバイ好きであろうとなかろうと,一読の価値アリです。

No.2 9点 測量ボ-イ
(2009/06/14 11:02登録)
どれも水準以上で駄作は少ないですが、特に「五つの時計」
は素晴らしい。
ロジック重視の作品を好む方には是非お勧めしたいです。

No.1 10点 ざき
(2004/10/30 11:19登録)
「五つの時計」「下りはつかり」(創元推理文庫)
あらゆる本格の最高傑作がここに詰まっています!
密室、アリバイ、犯人当て、消失、叙述、さらに非本格もいい作品ばかり!
編者の北村氏に大感謝です。

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