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ミステリの祭典

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まさむねさんの登録情報
平均点:5.86点 書評数:1195件

プロフィール| 書評

No.435 6点 町長選挙
奥田英朗
(2013/12/17 20:43登録)
 伊良部シリーズ第3弾。
 今回は,社会風刺的な側面を強く打ち出していますね。ちなみに伊良部センセのハチャメチな言動は控え目で,その分マユミ看護婦の存在感が増しています。
 収録4作品のうち3作品は,実在のモデルが分かり易すぎて面白い。今となっては「ああ,当時はそういう騒動があったよね」的な楽しみ方も。
 表題作は,民主主義の本質を突く(?),なかなかに奥深い作品と言えないこともないような気がします。(ちょっと言い過ぎかなぁ?)


No.434 5点 探偵部への挑戦状 放課後はミステリーとともに2
東川篤哉
(2013/12/12 22:47登録)
 鯉ヶ窪学園探偵部副部長・霧ヶ峰涼シリーズの続編。冒頭から,前作「放課後はミステリーとともに」の一部ネタバレが有るので,両作品とも読むつもりなのであれば,読む順番に気をつけるべし。
 ミステリ的には小粒揃いで,前作から相当にダウンしていると言わざるを得ません。
 でも,霧ケ峰涼のライバル「大金うるる」との掛け合いは結構楽しめたかな。個人的ベストもうるる初登場の「霧ヶ峰涼への挑戦」。フェアではないのだけれども,ネタとしては面白い。
 鯉ヶ窪学園探偵部の3馬鹿トリオ(実はこちらが本家)に久しぶりに出会えたことも良かったかな。


No.433 5点 モザイク事件帳
小林泰三
(2013/12/04 21:53登録)
 「大きな森の小さな密室」と改題された文庫版で読了。
 元のタイトルが「モザイク事件帳」だっただけに,様々な探偵役が登場し,様々なネタを見せてくれます。
 その点は確かに楽しめたのですが,一方で,均一感が中途半端すぎてイマイチ入り込みにくい…という印象も。
 個人的なベストは「更新世の殺人」。登場人物たちのバカすぎる理論構成が笑えます。日本の考古学を揺るがした例の事件を思い出しながら読みましょう。(ちなみに,東野氏の裏作風に似てますね)


No.432 5点 空白の殺意
中町信
(2013/11/30 22:59登録)
 犯人も何となく想像できますし,展開も地味なのですが,本筋のラインは良く練られていると思います。
 しかし,よくよく考えてみると,様々な登場人物にとって何とも可哀相な話ですなぁ。


No.431 6点 水族館の殺人
青崎有吾
(2013/11/25 22:57登録)
 「体育館の殺人」に続く,裏染シリーズ第2弾。
 体育館の次は図書館かと勝手に想像してましたが,水族館でしたか~(笑)。
 しかし,学校外の設定ながらも,違和感を抱かせずに前作の登場人物たちを絡ませています。
 前半で,アリバイトリックを潔く開陳する構成は支持します。これが後半の怒涛の展開に繋がるわけですしね。
 後半のロジック・フルモードは実にお見事。容疑者は当初から絞られているし,急転直下の驚きがあるわけでもないので,「地味」という評価もあり得るとは思いますが,ロジック好きの方には一読の価値があると思いますね。
 ホワイについては評価が分かれるところでしょう。個人的には微妙な印象を抱きましたが,確かにコレがないと,(ミステリ読みとしては禁句的な側面もありますが)何故ソコまでやったのかという根源的な疑問のみが残ってしまう可能性もあるので,突き詰めて考えないことにします。
 次回作こそ「図書館」なのか。はたまた「公民館」あたりなのか。これも楽しみになってきました。是非,短編も読んでみたいですし,今後の活躍を注視すべき作家のひとりです。


No.430 5点 貴族探偵対女探偵
麻耶雄嵩
(2013/11/19 21:32登録)
 タイトルから貴族探偵にライバル登場かと思いきや,女探偵は貴族探偵(の使用人たち)の完全な当て馬。ちょっと可哀相だけど,今後も使えそうなキャラではありますね。
 女探偵の推理の穴を突く辺りも楽しめるし,ロジックもしっかりしているのですが,全体として小粒な印象は否めないかな。


No.429 6点 ダチョウは軽車両に該当します
似鳥鶏
(2013/11/16 07:43登録)
 「午後からはワニ日和」に続く,動物園ミステリー第2弾。
 密室殺人の真相にはやや脱力感を抱いたものの,まぁ,動物園ミステリーなだけに,良しとしましょう。
 ストレスを感じさせることの無いスラスラ読みやすい展開でしたし,動物園職員のキャラも立っているので,読書自体は楽しめましたよ。


No.428 6点 六つの手掛り
乾くるみ
(2013/11/10 20:48登録)
 文庫版で読了。
 これまでの林兄弟シリーズ短編集の中で,ロジックへの拘りという点では,確実にベストワン。キャラ的にも,この作品集の探偵役・林茶父が抜きん出ていると思いますね。
 個人的には,「三通の手紙」の綺麗な纏め方に感心。一方で,「二枚舌の掛け軸」は,問題の掛け軸がいま一つイメージしにくく,どうも自分の中で処理し切れなかった…。
 全体的には,作者の遊び心も楽しく,好きなタイプの短編集でしたね。


No.427 7点 切り裂きジャックの告白
中山七里
(2013/11/09 22:51登録)
 パズラーとしての楽しみはないですが,臓器移植のあり方など,かなり考えさせられる作品であります。
 臓器移植の背景としての,登場人物各々の「家族」の挟み込ませた方もニクイです。
 真相にはちょっと微妙な印象もありますが,ラストに泣かされそうになったので,良しとしましょう。


No.426 6点 46番目の密室
有栖川有栖
(2013/11/02 20:26登録)
 火村シリーズの第一作品。
 地味という印象もあり得ましょうが,伏線を含めてきっちりとした構成で,個人的には好きなタイプの作品。非常に纏まっています。


No.425 6点 夢・出逢い・魔性
森博嗣
(2013/10/27 18:09登録)
 ××トリックについては,片方は序盤から気付いていたのですが,もう一方は…まったくのノーマークでしたね。
 タイトルを含めて綺麗な仕上がりだとは思いますが,かなり「技巧」に特化している印象。好き嫌いは分かれそうですね。


No.424 7点 いつか、ふたりは二匹
西澤保彦
(2013/10/20 22:53登録)
 ミステリーランド作品としてのバランスが絶妙。
 西澤カラーも十分に反映されていますし,子どもから大人まで楽しめるのではないでしょうか。
 単なるハッピーエンドにさせなかった点も,ジュブナイルとしてむしろ評価できると思います。


No.423 7点 第三の時効
横山秀夫
(2013/10/19 22:14登録)
 評判どおりの高水準短編集。一気読みでした。
 個人的ベストは,やはり表題作。タイトルが直接的に示す事項についても「へぇ~」的な驚きがあったのですが,これはまだまだ序の口。その後の重層的反転が実にお見事。事件関係者の心理描写がこれまた見事で,短編とは思えない厚みを感じます。
 一方で,最終話は(あくまでも他の収録作品に比してですが)ちょっと落ちるかな…との印象もあり,総合的にこの点数とします。


No.422 6点 完全犯罪に猫は何匹必要か?
東川篤哉
(2013/10/18 22:38登録)
 そういえば,この作品だけ未読だったなぁ…と手にした次第です。烏賊川市シリーズの長編です。
 厚さの割にはスラスラと読了。とあるトリックは結構分かりやすかったのですが,味噌汁の謎をはじめ,ニヤリとさせられるモノも多く用意されていて,それなりに楽しめました。
 最近,作者は新たなシリーズキャラを模索中(と個人的には感じているの)ですが,やはり,烏賊川市シリーズがベストだと思いますね。(初期作品にこのシリーズが多い=初期作品に良作が多いという,単にその理由によるものだとの説もありますが…)作者には,是非,初心(?)に帰っていただきたい。烏賊川市シリーズの新作はいつになることやら…。


No.421 4点 教場
長岡弘樹
(2013/10/18 20:46登録)
 個人的には,「短編の新名手」と評価している作家の連作短編集。舞台は警察学校です。
 個々の話には確かに巧さも見えるのですが,全体としては,現実感が希薄すぎるからなのか,何ともぼやけた印象。特に心にも響かず。警察学校内でこんな問題ばかり起きるってどうよ?あり得ないよね…と思いつつ,心の片隅で不安を感じながら読了した次第です。
 ちょっとハードルを上げすぎて読んじゃったのかなぁ?私としては,この作者の純粋な短編の方が好みですね。結構辛目かもしれませんが,この点数で。


No.420 4点 あるキング
伊坂幸太郎
(2013/10/13 20:03登録)
 超要約すれば「天才野球少年の生涯」。このサイトに書き込んでおいてアレですが,ミステリではないです。
 では,単なる野球小説なの?と問われれば,それも違う。いつもの「伊坂ワールド」とはまた違った世界観で描かれています。
 しかし何とも評価しにくいのですよねぇ。「入り込んじゃってる」感じがなぁ…。深読みせずに,サラサラ読むべきなのかもしれませんね。

 ちなみに,東北楽天イーグルスがリーグ制覇した今が読みドキかもしれません。読後の責任は取れませんけれども(笑)。


No.419 5点 死亡フラグが立ちました!
七尾与史
(2013/10/13 19:44登録)
 中盤まで(複数のストーリが集約されていくまで)は,B級感が何とも心地よく,一定楽しく読めていたのですが,終盤&ラストはかなり残念。
 ちなみに,ピタゴラ装置的なトラップは,ちょっと無理過ぎかなぁ…と。登場人物たちの,あり得ないほどの無防備さも,何だかなぁ…。犯人の手口は分かっているのだろうに…。
 その手口とか犯人が誰かを含めて,「志村!後ろ!」って感覚を楽しめってことなのかなぁ?
 まぁ,読みやすいし,それなりには楽しめたので,この点数としましょうか。


No.418 4点 月は幽咽のデバイス
森博嗣
(2013/10/09 23:54登録)
 謎自体はなかなかに魅力的です。スムーズな進行で,読中ストレスを感じることもありませんでした。
 しかしながら,真相の評価は相当に微妙。すべてを台無しにしているという印象すら受けます。
 ミステリ読みに対する鋭い問題提起なのだという解釈も成り立ちえると思いますが,読後の素直な印象から,この位の点数にしておきましょう。


No.417 5点 カラット探偵事務所の事件簿②
乾くるみ
(2013/10/05 21:26登録)
 シリーズ第2弾も連作短編形式です。
 いきなりの脱力系ネタ2連発の時点で,このまま読み進めるべきなのか,ちょっと迷ってしまいました(笑)。
 でも,その後,小粒ながら「なるほどねぇ」的な短編もありましたので,多少は救われたかな。
 いかにもこの作者らしい,最終話のラスト2行も好みですねぇ。シリーズ前作を読んでから,この短編集を手にすることをオススメします。


No.416 6点 長い廊下がある家
有栖川有栖
(2013/09/29 22:01登録)
 ロジカル・デスゲームが面白かった(火村准教授が10秒間で採った行動は想像しやすかったけどね)のですが,その他の短編もまずまず楽しめましたね。表題作も,あまり評価は高くないようですが,私は好きなタイプ。
 火村シリーズらしい,安心して読める短編集と言えるのではないでしょうか。

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