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ミステリの祭典

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赤緑黒白
Vシリーズ

作家 森博嗣
出版日2002年09月
平均点6.21点
書評数19人

No.19 5点 ボナンザ
(2023/01/13 15:48登録)
この事件というよりはこのシリーズ自体の仕掛けの方が主眼な最終作。

No.18 6点 E-BANKER
(2020/01/18 14:58登録)
長かったvシリーズもついに完結!
保呂草や紅子たち阿漕荘のメンバーともこれでお別れかと思うと寂しさが募る・・・
2002年の発表。

~鮮やかな赤に塗装された死体が、深夜マンションの駐車場で発見された。死んでいた男は「赤井」。彼の恋人だったという女性が「犯人が誰かは分かっている。それを証明して欲しい」と保呂草に依頼してきた。そして発生した第二の事件では、死者は緑色に塗られていた・・・。シリーズ完結編にして、新たなる始動を告げる傑作~

いろいろと「示唆」に富んだ作品である。それはおいおい語るとして、
まずは本筋の殺人事件。「赤井」さんは赤く塗られ、「美登里」さんは緑色に塗られ・・・という展開。最初はABCパターンなのだろうかという想像だったのだが、「ミッシング・リンク」ではなく明らかな「リンク」が判明し予想は早々に裏切られる。
矢継ぎ早に起こる四つの殺人事件。終盤、紅子が暴く真犯人については、恐らく想定内という方が多いだろう。
(アナグラムには気づかなかったけど・・・)
珍しくド派手な銃撃戦もシリーズの掉尾を飾る作品としては相応しいのかもしれない。

そして今回いつも以上にフォーカスされるのが「動機」。もちろんここでいう「動機」とは、例えば社会派ミステリーなどに登場する「動機」とは全く趣を異にする。文庫版335頁で保呂草が、『・・・彼等を殺人へと駆り立てたものとは、結局のところ(強烈な憎悪や欲望)ではなく、目の前にあった越えられない柵が、一瞬消えただけのことなのだ。ふと手を伸ばしてみたら、あるはずのガラスがなかった・・・』と語っている。
今回の真犯人の動機については、我々市井の人間からは想像もできないものだ。その分、リアリティは薄いと言えるのかもしれないけど、作者は別次元の解を用意している。
紅子の「まず殺人があって、それからそのための設定」という指摘も衝撃的だった。

これで謎に満ちたvシリーズも終結。怪しい魅力を振り撒いていた保呂草の謎も分かったような、分かりきれてないような・・・
そして、ついに今回ネタバレサイトを閲覧することに・・・
『衝撃!』のひとこと。まさか、あの人物があの人物で・・・、えっーそれだと年代が合わなくないか?などという疑問が噴出。
いやいや、これはスゴイわ。海堂氏の「桜宮サーガ」もスゴイけど、それに負けず劣らず。いったいどんな頭の構造してんだ?
ということで、次シリーズも当然読み継いでいくことになりそうだ。
(でも、「捩れ屋敷の利鈍」の設定だけはどうにも無理があると思うんだけどなぁー。再読してみようか・・・)

No.17 7点 Tetchy
(2018/07/15 23:25登録)
&Mシリーズでもシリーズ1作目の犯人が最終作で再登場したように、このVシリーズでも同様の趣向が採られている。
保呂草潤平に成りすました殺人鬼、秋野秀和が拘置所の中で瀬在丸紅子と面談するのだ。この辺は『羊たちの沈黙』のレクター博士とクラリスの面会シーンを思わせる。

私は今回の真犯人は予測していたので特に驚かなかった。しかしそれでもあの文字トリックには気付かなかった。この辺の文字トリックは森氏は実に巧い。

この犯行動機、ミステリならば納得のいかない物だろう。しかしこの現代社会においては実に多い動機だ。

誰でもいいから殺したかった。
むしゃくしゃしていたから誰か殺そうと思った。
人を殺して驚かせてやろうと思った。

昨今の犯罪の動機は上のような稚拙の動機がいかに多い事か。何度もこのような理不尽な理由で殺人が行われている報道を耳にする。ストレス社会と云われる現代社会の闇。逆にこのドライさ、単純さ、無邪気さを森作品ではミステリに敢えて取り込んでいるように思う。
ミステリのようにいつも理由があって、意外な動機があって人を殺すわけでなく、案外人を殺すのは至極単純な理由でしょ?そんな風に森氏が片目をつぶってニヤリとする顔が目に浮かぶようである。

本書でも保呂草による関根朔太の初期の作品≪幼い友人≫の盗難事件がサイドストーリーとして出てくる。その方法はサイドストーリーというほどには勿体ないくらい凝っており、むしろメインの殺人事件よりも緻密である。

また本書は人を殺す、罪を犯すことについてそれぞれの人物が深い考えを述べているのもまた興味深かった。

さて哀しいかな、瀬在丸紅子、保呂草潤平、小鳥遊練無、香具山紫子ら楽しい面々ともこれでお別れである。S&Mシリーズでもそうだったがシリーズの幕切れとは思えないほどただの延長線上に過ぎないような締め括りであるが、一応それぞれの関係に終わりはある。
保呂草は自分の紅子への思いを清算するため、潔く紅子の許を離れる意味でもあった。最後に彼は紅子にかしづき、手に口づけをするが、これはまさに『カリオストロの城』でのルパンとクラリスを思わせ、ニヤリとしてしまった(そういえば上に挙げた『羊たちの沈黙』のヒロインの名前もクラリスだった。森氏はこの名前に、いやこの2人のヒロインに何か特別な思い入れがあるのだろうか?)。

しかし最後に謎の人物も登場したりと逆に謎が深まる様相を呈している。

新たな謎を残してVシリーズ、これにて閉幕。

No.16 7点 虫暮部
(2016/10/07 10:35登録)
 森博嗣作品に顕著な“良く判らない動機”の中では、本作のそれは比較的説得力を感じる判らなさだと思った。4件目の遠隔殺人などは本来ミステリで使ったら興醒めだが、現在のテクノロジー的には可能だと言う割り切りでアリに出来るのはこの作者ならでは。
 しかし、黒白は名前だけで適当に被害者を選定し人違いもやむなしとする一方、赤は犯人と関係のある人物でそのせいで犯人は最初から警察に注目されている。極論、その段階で尾行が付けば2件目で現行犯逮捕だったわけで、なんだか一貫性に欠ける計画は犯人像と矛盾する。その他諸々、ストーリー展開上の都合で場当たり的に広げた風呂敷をきちんと畳んでいない印象である。

No.15 10点 ∠渉
(2015/03/06 20:53登録)
Vシリーズもいよいよフィナーレ。わかっていても、てか2周目だけど、寂しいのは寂しい。読んでる自分でさえこれなんだから、もうしこちゃんの痛々しい姿なんか見てらんない笑。
なんだかんだVシリーズは楽しかった。まぁ、楽しいだけじゃミステリィファンは納得しないんだろうけど。個人的にはミステリィの質もこっちの方が(S&Mより)上だと思っている。まぁどっちがどう良いってのも野暮なんだけど。どのシリーズのどの作品にしても森作品は常に新しいアイデアがあってそれぞれに光っていると思う。

まぁそんな感じでV最終作『赤緑黒白』である。本作はどう考えても(とは言わないけど)S&M〜Vまでの20連作の中で最も難易度の高いミステリィだと思う。もし簡単だとすればそれは読者だからである。もしトリックに不満があるとするならそれもまた読者だからである。だからこそ紅子さん達は狂気じみた連続殺人に戦慄するし、そこから人間の意志を垣間見ようとする。登場人物の目線にたってみれば、物理法則や世の中の道理に囚われていては解けない本作の謎は、非常に難易度が高いと思う。そしてそれがリアリティだと思う。紅子さん達が生きている世界の「リアリティ」。その点に関していえば森博嗣はかなり生真面目に物語世界の「リアリティ」を突き詰めて作品を書き続けていると思う。

まぁそんなものはミステリィ小説の役割ではないし、そもそもミステリィなのか、って言われちゃうと元も子もないんだけど、そもそもミステリィというジャンルの観念的部分は読者が創り上げるものなので、誰かがミステリィだって言えばミステリィになるし、ミステリィじゃないって言われたってまぁそれでもいい。そんな読者の思いに、作者が詰め寄る必要もない。だから、この作品はこのままが良いし、このままが素敵だし、このままが凄いと思う。本作の後に、四季があって、Gシリーズ、Xシリーズと続けてきたことを鑑みると、やっぱ「森博嗣は強かった」と心から思う。なんかわけわらん話になってしまった笑。

でも、だからこそ、森博嗣は読者に媚びちゃいけないし、ブレちゃいけない。その純粋な思考を信じて書き続けて欲しいと、今はVシリーズの余韻に浸りながら願っている。

No.14 5点 まさむね
(2014/09/08 22:05登録)
 Vシリーズの最終作品。
 この作品単体で読んだとしたら,何とも中途半端な印象を受けると思います。フーの捻りも分かり易いし,動機も常人には理解不能。
 一方で,S&Mシリーズを含めた森ワールド全体を見渡せば,極めて重要な「仕掛け」のヒントが,この作品のラストに示されています。(実は,自分の解釈が間違っていないかネタバレサイトで確認し,なるほど更にこんな仕掛けもあったのか…と改めて驚いたりしたのですが。)
 もはや単体のみでは真に楽しめないワールドを構築していて,ソレが良いことなのか否か…自分でもちょっとよく分からなくなっています。次の四季シリーズに手を付けるかどうか,しばらく悩むことになりそうです。

No.13 4点 TON2
(2012/12/28 18:21登録)
講談社NOVELS
 登場人物のキャラが大好きなシリーズの第10作目で最終話ですが、いつもの明るい感じよりも色恋感情が先走った感じで、楽しめませんでした。
 天才は人に理解されず孤独である。それゆえに誤った感情に陥ると、自分は人を殺しても許される存在だということになる話ですが、この感覚が気持悪い。

No.12 6点 ムラ
(2011/09/26 04:16登録)
この作品単体についてはシリーズの〆と言った感じで楽しめた。
練無もいいキャラなんだが、最終的に紫子さんが一番普通を担当しているキャラで一番好きになれた。
しかしどちらかというとこの作品、この作品じゃない伏線が多いね。
林のフルネームとか、基志雄とか『四季』を見ないとわからない伏線などが包まれてる。
Vシリーズもこれで終わりだが、練無と紫子さんのペアはまた別で見たい。というか結婚すればいいのに、紅子とか保呂草は別のシリーズでも見れるしね。

No.11 6点 yoneppi
(2010/04/10 23:26登録)
ミステリとしては不満でもシリーズ最後としては十分楽しめた。シリーズを超えた伏線にはいつも驚かされる。

No.10 6点 元FLUGELSファン
(2009/12/31 21:46登録)
物理的な直接のトリックはどうでもいい。
それよりも真犯人のトリックはなぜ気づかなかったのかが不思議だが、まあこいつがそのまま犯人なんじゃないなという予測だけは当たっていた。
また、赤緑黒白のキーワードの謎がこれまた凄い。
それにしてもどう考えても本格ではない・・・が、上記の真犯人とキーワードの謎で一応及第点。
まあこの作品単品というよりも、やはりどうしてもシリーズの締めくくりとしての意味合いが大きい作品。

No.9 6点 vivi
(2008/01/20 16:12登録)
なるほど~、そういうことだったのか・・・と、
ラストでしみじみ思う以外は、普通の森ミステリでしたね。

サイコキラー的な殺人が登場した時点で、
ちょっと推理とかは諦めていました(^^;
そう言えば、今回は密室らしき密室はなかったですね。
アリバイ崩しだけど・・・それも中途半端だし、
ミステリとしては不満の残る作品です。

シリーズ全体のしかけとしては、ちょっと驚かされました。
ただ、途中変だな~と思う部分(時代的な点)もあったし、
納得はできます。
こうなると「四季」シリーズを読まないといけないのかな??

No.8 6点 モトキング
(2004/03/30 16:47登録)
Vシリーズは常に、凡々とした事件・トリックを舞台に、非常に個性的なマンガ的キャラが絡んでいくことで、魅力を発している。
シリーズ最終作となる今作でもこの法則は破られることなく、結局、最後まで肩の凝らないエンターテイメントとして平均点をキープした。
ただ個人的には、同シリーズの書評で何度も書いているが、もっとミステリに重きを置いた作品作りを望む。S&Mでは、高次元のミステリとキャラが生み出すドラマがあった。本シリーズは、トリック、キャラの双方で、薄いと言わざるを得ない。やはり、登場するキャラに合ったストーリーが、キャラ達の手で創られていくのだろう。つまり、森氏は自然体だったはずなのに、キャラ作りの段階でやや重厚性に欠けたということか。その証拠に本作のラストで例の天才が現れたことで、一気に文書が緊迫感を増した。本当にそのシーンだけ、スピード感とスリル感が突然に現れた。
あと、「林」には度肝を抜かされた。初出のときはいくらか気になったが、そのうち慣れてしまい疑問を全く持たなくなったトコでアレとは! きっとネタとしては完全なる確信犯だろうが、このネタを材料にした真相には、恐らく幾らかの振れ幅があっただろう。若しくは別にネタに使わず、そのまま流しても良いというような。
この他にも色々なネタを仕込んでる森氏の遊び心は、非常に素晴らしい。読者の興味という需要に見事にマッチした供給をする才能があるのだろう。
点数は、本シリーズ総括として。

No.7 10点 なりね
(2004/01/03 19:35登録)
やっとこのシリーズが好きになってきたのにこれで終わりか……。
前シリーズとのつながりがまだつかみきれていないのでもう一度全てを読み直しまーす。

No.6 6点 なな さんいち
(2003/12/28 21:39登録)
やっぱり、全体的に、犀川&萌絵シリーズに劣る感じ。

No.5 5点 レン太
(2003/07/05 14:43登録)
うーん、結局最後までキャラにイマイチ思い入れ出来なかった…
私にとってVシリーズは「S&M」との繋がりの部分での興味以上の「想い」を抱かせる事無く終了した印象。
…と言うより、森氏自身も同様だったのでは無いでしょうか。締めくくりに登場した◯◯の存在が、それを象徴している様に感じます。まるっきりつまらなくこそ無かったものの、もし仮にS&Mよりもこちらが先だったとしたならば、森氏は現在程の「人気作家」足り得たでしょうか。
この点数は「赤緑黒白」単独の評価であると共にシリーズ全般を通しての点数でもあります。

No.4 8点
(2003/03/17 00:50登録)
面白かったです。確かに事件そのものにはインパクトはあまりなかったんですが、それ以外のところで満足できたのでこの点数。
読み終わって「やられた」と思いました。こんな壮大な伏線があったとは。なかでも一番驚いたのはへっ君ですね。前から予想していた方もいたみたいですが。
それから保呂草と紅子の別れのシーンは感動的でした。

No.3 4点 とくめいきぼふ
(2002/10/27 21:55登録)
「有限と微少のパン」ほど、シリーズ最後の作品って感じがしなかった。エピローグ以外普通の事件過ぎて…。犯人も妥当なところだし、動機も森作品にありがちな動機だし。

No.2 7点 G?予想家K
(2002/09/25 22:48登録)
Vシリーズというのは基本的にトリック<キャラクタというのが特徴で、「キャラ重視」という点からみれば主要メンバすべてに見せ場が用意されている本作は高評価が与えられてよいと思う。ただ、固定ファン以外のひとがこの一作だけ読んで楽しめるかといえば大いに疑問。ジャンルとしての本格を愛する人にも、どーだろ。でも採点は自分の感じたままで。キレイな終わり方だったと思います。

No.1 4点 okuyama
(2002/09/24 15:48登録)
「面白い、面白い」と思いながら一気に読んだはずなのですが、2週間たったらすっかり内容を忘れてしまいました。ミステリのネタとして仕込まれているトリックや真相は、目新しいものではありません。ミステリの部分は「おまけ」というか、犯人を指摘して喜ぶ読者へのサービスなのではないかと思います。
それよりも、この作品の肝は、分かりやすく楽しめる場面(「羊たちの沈黙」を模したシーン、絵画泥棒、銃撃戦など)や、シリーズを通じて変化した各登場人物の関係なのではないかと思います。エンタテイメント作品としてならば、8点つけます。

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