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ミステリの祭典

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まさむねさんの登録情報
平均点:5.89点 書評数:1283件

プロフィール| 書評

No.1243 5点 神津恭介、犯罪の蔭に女あり: 神津恭介傑作セレクション2
高木彬光
(2025/06/15 14:04登録)
 神津恭介が登場する短編を集めた傑作セレクション第2弾。前作は密室縛りでしたが、本作は女性絡みの6つの事件を収録。
 古典的な構成と筆致を存分に味わえる一方、令和となった時点ではちょっと古臭く感じてしまう面も。警察もその辺りは調査というか裏取りしておこうよ…なんて感じちゃったりして。
 収録作の中では、意外性や探偵らしさの演出という点でも「青髯の妻」がベストかな。


No.1242 6点 ひとんち 澤村伊智短編集
澤村伊智
(2025/06/09 21:01登録)
 色々な「怖さ」を感じることができる8編を収録した短編集。同じパターンが揃うと怖さよりも飽きが先立ちそうなものですが、バラエティに富んだ怖さを滲みだしている点が特長。グイグイ読ませる引力もあります。
 ストレートな恐怖という観点では「死神」がベストか。それとは全く異なる角度で切り込まれたのが最終話の「じぶんち」。「シュマシラ」は作者のシリーズに通じるジャパニーズな怪奇モノ。「宮本くんの手」の原因には早い段階で気づくのだけれども、一気読みせずにはいられない流れでした。読み得な短編集と言えるのでは。


No.1241 7点 世界でいちばん透きとおった物語2
杉井光
(2025/06/06 22:53登録)
 「仕掛け」が印象的だった前作に比して絢爛さはないけれど、ミステリの側面で見れば本作の方が上位かもしれません。作中作の使いぶりが面白いし、そのような使い方をした必然性の演出も上手いと思います。編集者・霧子さんの存在も含めて読み心地も良。スマートに纏まった好編。


No.1240 6点 砂男
有栖川有栖
(2025/06/01 22:25登録)
 作者の単行本未収録作品を集めた作品集。江神シリーズ2本、火村シリーズ2本、ノンシリーズ2本の計6作品を収録。出来栄えはマチマチといったところですが、個人的には青い目・緑色の目の既存パズルを活用した「推理研VSパズル研」がベストか。既存パズルの回答後の展開が江神シリーズらしい。
 何より、2つのシリーズを同一の文庫で読めたことが、ファンとしては楽しかったですね。


No.1239 7点 神様の次くらいに
久住四季
(2025/05/24 15:47登録)
 日常の謎5編から成る短編集。派手さはないけれど、バラエティに富んでいるし、心憎い反転もあって水準以上に楽しめました。
①さくらが丘小学校四年三組の来週の目標
 若き小学校の教師が主人公。コミカルな好編。
②ライオンの噓
 高校が舞台。肝となる部室での出来事は、いくら何でも気付かれると思うな。
③神様の次くらいに
 大学生の男女が主人公。謎というよりも、爽やかなラストが印象的。
④小さいものから消えよ
 探偵と推理作家のコンビが、公園から毎日何かが(しかも小さいものから順に)消えていくという謎を追う。王道ではあるが、もうワンパンチ欲しかったかも。
⑤デイヴィッド・グロウ、サプライズパーティーを開く
 「星読島に星は流れた」に脇役として登場したデイヴィッド・グロウが再登場…らしいのだけど、全く記憶になかった。粋な反転に好感。


No.1238 6点 倒産続きの彼女
新川帆立
(2025/05/16 22:05登録)
 シリーズ第2弾。剣持麗子と同じ事務所の後輩弁護士・美馬玉子が主人公を務めますが、剣持麗子もしっかりと脇を固めています。しかも結構カッコいい。主人公の祖母「シマばあちゃん」もいい味を出しています。
 転職するたびにその会社が倒産するという謎も魅力的ですし、それなりに意外な結末も用意されています。展開もスピーディで、玉子の成長も面も含め、結構楽しませていただきました。
 ちなみに、デビュー作にしてシリーズ第1弾「元彼の遺言状」から、本作を飛ばしてシリーズ第3弾の短編集を読んでしまったワタクシですが、本作を経たうえで読んでいれば、もっと楽しめたのかもしれないな、と反省?いたしました。


No.1237 5点 嘘でもいいから殺人事件
島田荘司
(2025/05/10 23:26登録)
 島荘としては珍しいコメディ・タッチの作品。一方、死体消失など謎の演出はいかにも島荘らしい。真相は色々と無理があるような気がするのですが、全体的な「軽み」も含めて楽しませていただきました。


No.1236 7点 サクラオト
彩坂美月
(2025/05/06 18:50登録)
 五感(聴覚・視覚・嗅覚・味覚・触覚)をテーマにした5編に加え、最終話で「第六感」を扱う連作短編集。
 結構イイですよ。ミステリとして突き抜けた何かがあるとは言えないまでも、青春ミステリとして鮮やかで沁みる短編も。1作前の「向日葵を手折る」に通じる巧さを感じました。こうした年代・雰囲気が得意なのかもしれませんね。締めとなる最終話についても、個人的にはプラスに評価したい。良い連作短編を読ませていただきました。


No.1235 3点 Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス
石持浅海
(2025/05/04 23:11登録)
 シリーズ第2弾の連作短編集。とはいえ、前作からはおよそ12年。
 前作は、大学時代からの3人の飲み仲間の誰かがゲストを連れてきて,一緒においしい酒と肴を囲みつつ、謎を…という流れでした。その後、海外に転居したメンバーもいて、集いにくくなった時期はあるものの、また日本に戻ってきたため、同様の酒と肴の会合が定期的に開催されることに…という設定であります。
 で、個人的には前作はそれなりに楽しく読んだ記憶があるのだけれど、本作はちょっと…。まず、4人の大人の会話が癇に障って仕方がなかったです。料理と謎の結び付け方も無理やりすぎる。そして何より、これって推理ではなくて想像もしくは妄想ってことはない?真実だとする根拠が弱すぎるし、そんなに人の心情を覗き見しない方がいいのでは?というのが率直な感想。最終話の仕掛けも、想像できましたし、どうにも安易な感じが…。
 積極的にはおススメできない作品、と言わざるを得ないかな。


No.1234 7点 七人の証人
西村京太郎
(2025/05/04 22:02登録)
 帰宅途中の十津川警部は突然何者かに鈍器で殴られ気を失う。気付いたら孤島に人工的に作られたセットのような街にいた。同様に孤島に運ばれたのは七人。七人は、1年前の殺人事件を目撃した証人であり、セットのような街もその現場を再現したものだった…。
 冒頭から突っ込みたくなるものの、これらの荒唐無稽さに身を委ねて読み進めてみますと、その後の展開はなかなかに面白い。十津川警部モノとしては珍しいプロットです。新たな殺人の意義とか突然の物語の幕引きとか、突っ込みたくなる点も次々に出てはくるのですが、結果として楽しめたからよしとしましょう。


No.1233 6点 架空犯
東野圭吾
(2025/04/29 21:29登録)
 「白鳥とコウモリ」に続く、シリーズ第2弾。
 火災現場から見つかった都議会議員と元女優夫婦の他殺体。捜査の中で浮かび上がってきた容疑者とは…。五代刑事を中心とした警察小説としても良。さすがは東野さん、今回も読ませてくれました。


No.1232 7点 観覧車は謎を乗せて
朝永理人
(2025/04/25 22:13登録)
 観覧車のゴンドラ内で繰り広げられる6つの密室劇。個々のゴンドラ内の謎も悪くはないのだけれど、ポイントは全体を通した仕掛けでしょう。
 とはいえ正直、読了後はちょっと戸惑いました。大きな狙いは理解したけれども、何とも消化しきれない部分が、微妙な表記も含めてあったのです。一晩を経て、おそらくはこうなのだろう、こう解釈せざるを得ないという自分なりの解はあるのだけれど、正しいかどうかは分からない。よく練られたプロットだと感心しつつも、正答はもう少しスッキリ示してほしかったかな、という気もします。


No.1231 7点 奇岩館の殺人
高野結史
(2025/04/21 21:30登録)
 「探偵遊戯」の設定が絶妙な効果を発揮しています。誰が探偵なのか…といった点以外にも、様々な面で興味深く読ませていただきました。個人的にはメタ・ミステリー的な面が楽しかったりして。ちなみに、小園間さんに同情し、応援したくなっちゃう方って、多いと思うな。


No.1230 7点 ホテル・ピーベリー
近藤史恵
(2025/04/16 20:40登録)
 舞台はハワイ島の小さなホテル。日本人夫婦が経営しており、長期宿泊している客たちも日本人。ハワイ島の気候も相まって、何とも居心地がよさそうなホテルなのですが、宿泊客も経営者も謎めいた雰囲気が…。
 非常に読みやすく、また絶妙な空気感で次々にページをめくらされました。終盤、真相の解明過程があっさりしていて、それが余韻にもつながるのだとは思うのですが、この点は好みの問題かな。


No.1229 7点 目には目を
新川帆立
(2025/04/13 15:00登録)
 N少年院の同じ班で過ごした6人。退院後、その中の少年Aが殺害される。犯人は娘を少年Aに殺された母親で、被害者遺族が加害者に復讐した「目には目を事件」として注目される。母親は少年Aの情報を、同時期に少年院にいた少年Bから入手したらしい。被害者Aは誰で、密告者Bは誰なのか…。
 そのうちの一方は中盤で明かされるのですが、他方はなるほどそうか、言われてみればそうか…と印象深い。ルポルタージュ風に物語が進行する中で、各々の登場人物への自分の感情が次々に変わっていきました。罪とは何か、贖罪とは何か、考えさせられる作品です。


No.1228 7点 コロナと潜水服
奥田英朗
(2025/04/10 21:22登録)
 ノンシリーズの短編集。主人公も内容もバラバラだけど、共通するテーマ(のようなもの)はあって、それがイイ味を出しています。スラスラ読めてほっこりできる短編が揃っています。(ミステリーとは言えないけどね。)
①海の家:まるで家族シリーズ。娘も少年もいいぞ!
②ファイトクラブ:サラリーマンたちの哀愁とおじさんたちの強さ。グッとくる。
③占い師:どっちもどっちと思うけど、いずれも幸せになってほしい。
④コロナと潜水服:コロナ禍の初期を思い出しました。これも家族シリーズっぽい仕上がり。
⑤パンダに乗って:切なさと温かさを感じる本作中のベスト。初めての愛車を久方ぶりに思い起こし、愛おしくなりました。


No.1227 6点 カラット探偵事務所の事件簿3
乾くるみ
(2025/04/07 23:30登録)
 シリーズ第三弾の連作短編集。
 個々の短編は小粒というか、小粒すぎる感じもあるのですが、なるほどねぇといった部分もあり、また、ユーモラスな語り口もあって、まずまず楽しく読ませていただきました。
 でも、ポイントは最終話。アイドルグループの謎自体はちょっとアレだけど、ラストにはちょっと驚かされたかな。(でも多少あざと過ぎるか?) シリーズ第一作の最終話も確かに記憶にはあったのですが、何故かあまり気にせず読み進めていたから尚更でしたね。


No.1226 6点 少女Aの殺人
今邑彩
(2025/04/03 22:36登録)
 ラジオの深夜放送に、養父からの性的被害に悩む女子高生から匿名の手紙が届いた。手紙には「わたしは自殺するか、養父を殺してしまうかもしれません」との記載が。彼女の手掛かりの一つは「F女学院1年の少女A」というペンネーム。ラジオの女性DJは、その手掛かりを基に「芙蓉女学院」で教師を務めている同級生に連絡をする。直後、同高校の生徒の養父が寝室で殺害される事件が…。
 序盤からグイグイ読まされました。話がどんどん広がっていき、その展開もスピーディ。読者の興味を掴むことに長けていますね。真相は比較的分かりやすく、最早明らかであろう時点からも引っ張りすぎでは、といった印象もありましたが、総じて良くまとまった作品だと思います。


No.1225 6点 天に昇った男
島田荘司
(2025/03/29 16:47登録)
 これって、制度的にも医学的にも無いよね…と思っていたら、そういうことでしたか。島荘作品の中では異色作でしょうね。賛否はありそうですが、冒頭から終盤までグイグイ読ませる魅力があります。
 死刑制度に関する作者の主張は思ったほど直接的ではなかったのですが、確かに「あり得る」状況であるし、考えさせられるものはありました。


No.1224 6点 十和田湖殺人事件
中町信
(2025/03/27 21:56登録)
 複雑な構成で、多少前に戻って人物関係や当該人物の行動を確認したりといったこともございました(この点は人物の書き分け等の工夫で防げたような気も…)が、内容としては水準以上に楽しめました。終盤の伏線回収は鮮やかでしたし、ラストの締めも作者らしくて好きです。
 告発しようとすると殺害されるパターンが続出することは、まぁ、展開上やむを得ないことは分かりつつも、なぜ皆さま(例えば「明日話す」とか言って)留保しようとするのか、死亡フラグが立ち過ぎる点については、ちょっともどかしさもありました。ちなみに、舞台が「十和田湖」である意義はほぼありません(笑)。

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