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ミステリの祭典

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まさむねさんの登録情報
平均点:5.87点 書評数:1226件

プロフィール| 書評

No.986 6点 ミステリなふたり
太田忠司
(2022/01/15 22:54登録)
 軽妙で読みやすい短編集。決して大掛りではなく、クイズレベルの短編も無くはないのだけれども、謎も一定魅力的だし、気楽に読めて良かったですね。京堂ご夫妻の雰囲気もいいな。


No.985 9点 兇人邸の殺人
今村昌弘
(2022/01/10 21:02登録)
 シリーズ第三弾。面白かったですねぇ。「屍人荘の殺人」以降、高水準の作品を確実に示してくれている作者に感謝したい。
 やはりクローズドサークルの作り上げ方が巧みですね。巨人の設定もポイントが高い。細かい点ではありますが、各登場人物の設定がスッと頭に入ってくる気配りも素晴らしい。中盤まではドキドキ、中盤以降は完全に作者の掌で転がされていました。真相も印象深いですし、全体として様々に考えられています。個人的には「屍人荘」以上の評価かも。続編も大いに期待します。


No.984 7点 毒を売る女
島田荘司
(2022/01/04 22:28登録)
 マイベスト短編は、やはり「糸ノコとジグザグ」。タイトルとともに、印象に残ります。島荘名作短編と評されることも頷けます。
 表題作のアクセル感、女性同士の心理的サスペンスも好きなのだけれども、巻き込まれ加害者となった方が可哀想すぎて、何かスッキリとしない感じもあったかな。
 「渇いた都市」は、清張作品かと思わせる設定だけれども、そこはやっぱり島荘。でも、清張であればどう捌いて、どのように幕を下ろすのか…と勝手に想像してしまいました。
 掌編を含む他の短編にも、島荘ワールドを感じることができましたね。


No.983 7点 あと十五秒で死ぬ
榊林銘
(2021/12/30 10:06登録)
 まずは、「あと十五秒で死ぬ」という縛りの中で4短編を揃えた意気込みを評価したいですね。しかも、各短編のシチュエーションはバラバラで、バラエティーに富んでいます。読んでいて楽しかった。達者な作家さんですね。
①十五秒
 ミステリーズ!新人賞の佳作受賞作。この設定自体が面白い。終盤の連続捻りには唸らせられました。
②このあと衝撃の結末が
 これも終盤の連続捻りが見事。15秒縛りと作中作形式の選択。巧い。
③不眠症
 この短編集の中では目立たないものの、作者の裾野は広いかも、と思わせられました。
④首が取れても死なない僕らの首無殺人事件
 作者名当てクイズを出されたら、私は迷わず「白井智之」と答えそう。特殊設定本格短編として秀逸。


No.982 6点 メルカトル悪人狩り
麻耶雄嵩
(2021/12/19 17:47登録)
 メルカトル鮎の魅力?を味わえる短編集(掌編も含む)。
 個人的なベストは、最も”らしい”作品である「メルカトル式捜査法」。独自すぎる論理をどう捉えるか、ということにはなるのでしょうが。それと、掌編「不要不急」も何気に好き。メルカトル鮎が言うからこその、社会派的なオチがいい。


No.981 5点 居酒屋「一服亭」の四季
東川篤哉
(2021/12/12 22:07登録)
 極端に人見知りなのに居酒屋の女将を務める「安楽椅子(あんらくよりこ)」が、日本酒片手に事件を解き明かす連作短編集。推理の舞台が居酒屋とはいえ、料理ネタで引っ張ろうとしない姿勢は嫌いではない。
 4短編とも死体の一部が切断されている猟奇的事件。でも、ソコは東川さんですから、陰鬱さがあるはずはない。探偵役の「いかにも」設定も含めて作者らしさを楽しみましょう。全体的に小粒だけれど「鯨岩の片脚死体」のホワイがベストか(現実的ではないけれどね)。
 探偵役の毒舌は作者の十八番ですが、本作のベストは「いいえッ、ぶちクソ間違ってますわッ」。和服姿の居酒屋の女将に叫んでいただきたい。


No.980 5点 文豪たちの怪しい宴
鯨統一郎
(2021/12/07 22:57登録)
 作者お得意の新解釈モノ。今回は歴史ではなく、文学作品ですね。夏目漱石「こころ」、太宰治「走れメロス」、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」、芥川龍之介「藪の中」の4作品がテーマです。
 新たな解釈は確かに面白いのだけれども、いずれの短編にも何らかの「いちゃもん感」や「こじつけ感」を感じてしまいましたねぇ。それと、個人的には、宮田の「ものの言い方」に多少イラッときたりして。嗚呼、私のおじさん化が着実に進行しているのだなぁ、そして、私とこの作者さんとのフィット感はどうなのだろうかなと、あらためて考えさせられました。


No.979 5点 超短編!大どんでん返し
アンソロジー(出版社編)
(2021/11/28 20:55登録)
 30人の作家による掌編30連発。それぞれの作者らしさを感じましたが、出来栄えはマチマチ。
 好きな作品を掲載順に挙げれば、骨なし(田丸雅智)、親友交歓(法月綸太郎)、花火の夜に(呉勝浩)、阿蘭陀幽霊(柳広司)、電話が逃げていく(乙一)ですかね。1作品2000字程度なので、ちょっとした隙間に読めます。使い勝手?はいいかもしれません。


No.978 6点 間宵の母
歌野晶午
(2021/11/26 21:23登録)
 何の事前情報もなく手にしたのですが、いやはや、何とも言えない後味を残す作品でした。心が疲れている時に読まなくてよかった。
 連作短編の最終話における伏線回収(と言っていいのか?)は、ストーリー的に複雑な心境になりながらも、なるほどと思わせられた部分もありましたね。
 しかし、全体的には、作者が時折繰り出す、ブラック歌野色に染まっています。人を選ぶ作品ですね。


No.977 6点 ルビンの壺が割れた
宿野かほる
(2021/11/21 20:13登録)
 文庫の帯にあった「日本一の大どんでん返し」との評は、さすがに持ち上げ過ぎとは思いますが、終盤のたたみ掛け具合は良いですね。最後の一文も印象的。メールのやり取りのみで構成したことが、様々な面で効果を上げています。ほぼ一気読みでした。


No.976 6点 雨と短銃
伊吹亜門
(2021/11/20 13:10登録)
 デビュー作「刀と傘 明治京洛推理帖」が好印象でしたので、手にした次第です。
 薩摩藩と長州藩が協約を結ぼうとしていた、慶応元年の京都が舞台。前作(デビュー作)同様に架空の人物・鹿野師光が探偵役を務めます。前作の前日譚の位置づけですね。坂本龍馬や中岡慎太郎、桂小五郎、西郷吉之助(隆盛)に中村半次郎、土方歳三といった人物が、重要な役割をもって登場します。ココがポイント。
 ミステリとして目立った点はないのですが、歴史的な背景とともに読み込むべき作品であり、幕末好きな私としては、ワクワクしながら読ませていただきました。


No.975 7点 蒼海館の殺人
阿津川辰海
(2021/11/14 22:56登録)
 力作です。最後まで感心しながら読ませていただきました。
 一方で、同様の感想を持たれた方もいらっしゃるようですが、ソコまでは操れないと思いますがねぇ。特に、大前提となる最後の一手までは…。その点は結構気になりましたね。あと、前半のとある表記はフェアと言えるのかな?
 とは言え、繰り返しになりますが、熱のこもった力作です。心意気を評価し、次回作にも期待。


No.974 7点 新・新幹線殺人事件
森村誠一
(2021/10/30 18:15登録)
 二本の「ひかり」に絡む謎もいいのだけれど、誘拐事件や詐欺事件と贅沢に?話が広がり、発想の転換を含めて終盤に収束していく構成が印象に残りそう。会社人間とその家族の再生を感じさせる点も好印象。前作以上の評価。


No.973 6点 暗色コメディ
連城三紀彦
(2021/10/24 22:43登録)
 ①もう一人の自分を目撃したという人妻、②消失狂の画家、③「今日はあんたの初七日じゃないの」と妻に言われる葬儀屋、④妻が別人にすり替わっていると悩む外科医…。謎は魅力的だし、精緻に組み立てられているし、筆致も流麗だし、流石だなと思わせてくれます。
 でも何だろう、何かストンと落ちないような複雑な心境。精神的な病を組み合わせると、ご都合主義とまでは言わないけれども、色々とできてしまいますからねぇ。雰囲気も陰鬱になるし。
 ちなみに、上記③は、自分に置き換えて考えてみると相当に怖い状況。旦那さんが可哀想すぎです。


No.972 5点 祈りのカルテ
知念実希人
(2021/10/17 09:27登録)
 研修医を探偵役に据えた連作医療短編集。患者の行動の謎・行動の裏側にある心理が読みどころ、ということなのでしょう。
 確かに、1話目の「彼女が瞳を閉じる理由」の読了後は、なるほどと感じましたし、そのフリが後々の短編にも効いているのだけれど、広い意味で「同パターン」に偏り過ぎた印象はあります。もうワンパンチ、という気もします。現役医師らしい医療描写の安定感やスラスラと読ませる力は、素直に評価します。


No.971 6点 炎舞館の殺人
月原渉
(2021/10/14 21:29登録)
 ツユリ・シズカシリーズ第5弾。
 肝となるトリックの本質的な部分は、多くの方が既視感を抱くものと思われますが、一定の工夫は施されています。変に水増しせず、締まった分量での本格モノは、個人的には嬉しいかな。色々とあり得ないお話だし、突っ込みどころもあるのだけれども。


No.970 6点 石ノ目
乙一
(2021/10/09 18:32登録)
 「平面いぬ。」と改題された文庫版で読了。
 4つの短編で構成されています。いずれも、実際にはあり得ない能力や状況を設定しながら、何気に感情移入させられてしまう辺りは流石と言うべきか。決してハッピーエンドとは言えないのに、温かみのある切なさを醸し出しています。
 ベストは文庫版の表題作でしょうか。やっぱり家族っていいな。そしてイヌがいい味を出しています。当初の?表題作「石ノ目」は、ある方の正体は自明と言っていいのだけれど、一捻りが効いていました。


No.969 6点 あいにくの雨で
麻耶雄嵩
(2021/10/03 21:16登録)
 確かに麻耶雄嵩らしくないのだけれど、一方で麻耶雄嵩らしいか…という、相反する感想をもった作品です。でも、全体の突き抜け感は他の作品には及ばす。そんな高校はないよね、と現実的に考えちゃったりして。
 最後の捻りは嫌いではなく、若かりし頃の作者の一断面を見られたこともあって、この採点。


No.968 7点 invert 城塚翡翠倒叙集
相沢沙呼
(2021/09/26 16:52登録)
 昨年度の話題作「medium」の続編で、引き続き「城塚翡翠」が登場。今回は倒叙形式の3つの中編で構成されています。
 うち2作品は、上質でオーソドックスな倒叙ミステリ。翡翠の古畑任三郎化?も微笑ましい。その流れでの最終話「信用ならない目撃者」が断トツにおススメ。主人公に語らせておいて、そう来たかという結末で、純粋に楽しめました。なかなか興味深いタイトルだったけれども、最も信用ならないのは作者だったりして。油断ならないなぁ。次作も楽しみに待つとしましょう。


No.967 5点 葛登志岬の雁よ、雁たちよ
平石貴樹
(2021/09/18 21:58登録)
 函館物語(個人的には「岬シリーズ」と呼びたい)の第3弾。読者が推理できる要素は少なく、警察の捜査と、そこで得られた新情報をひたすら追い掛けるスタイル。退屈と感じられる方もいらっしゃると思います。自分としては、時にそういった作品も読みたくなるので、悪くはなかったのですが、2つ目の殺人の動機にはちょっと疑問。現場とトリックの状況も分かりにくかったかな(読解力が不足しているだけかもしれませんが)。
 終盤で探偵役「ジャン・ピエール・プラット」の渡仏の意向が語られたので、このシリーズに幕が下ろされる可能性もあるのかな?シリーズ作品内で描かれる函館の生活感が好きだったのだけれど。ちなみにシリーズの中では第一作の「潮首岬に郭公の鳴く」がベスト。

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