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ミステリの祭典

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文豪たちの怪しい宴
早乙女静香シリーズ

作家 鯨統一郎
出版日2019年12月
平均点5.40点
書評数5人

No.5 5点 E-BANKER
(2026/05/05 10:56登録)
「邪馬台国はどこですか」から続くシリーズ。これまでは「歴史」を題材に、学校で教えられてきた歴史とは異なる解釈ができることをミステリになぞらえて問答してきたが、今回は「日本文学界に燦然と輝く名作」を題材に、これまでと別の解釈を探偵役の宮田が試みる。
2019年の発表。

①「こころもよう」=夏目漱石の言わずと知れた名作「こころ」。今でもファンの非常に多い作品。で、新解釈はなんと「百合小説」。まあ確かに行間を丁寧に拾っていくとそういう解釈も可能かもしれんが・・・。漱石があえてそういう小説を書こうとした意図は分らんなあ・・・
②「なぜかメロス」=当然元ネタは太宰治「走れメロス」。言われてみれば確かに不合理な部分は多々ある。だからこういう解釈も成り立つ、という趣旨は理解した。まあ「ちょっとおかしい」とは思っても、古代のギリシアが舞台だしなあ、現代の我々とは違うからなあーって、普通は考えるよね。
③「銀河鉄道の国から」=宮沢賢治「銀河鉄道の夜」。これも根強いファンの多い作品。ファンタジックだしね。ただ、私にとって賢治といえば「雨ニモ負ケズ・・・」の方だから、「銀河鉄道」はなんとなく違う感覚ではあった。宮田の言うように、確かに賢治は自身の境遇や環境を作品世界に強く投影はしていたんだろうな。
④「藪の中へ」=最後は芥川龍之介「藪の中」。芥川が書いた「ミステリ?」として著名な作品だが、本作でも語られているとおり、真犯人は明示されていない。ということで、宮田は「真」犯人を指摘するわけなのだが・・・どうだろうね? 芥川がミステリ好きだったということだけでも知ることができて良かった。

以上4編。
毎度毎度、本シリーズらしく、あくまで「解釈」の問題ですな。
日本語とは便利といえば便利なもので、国の根幹ともいえる「憲法」までもが解釈の対象となってしまう。
そうなったら、もはや文学作品なんて読者がどうにでも解釈できるわけで、宮田の説に納得できる人もできない人もいるだろう。
私はって? 実は、何を隠そう、この4作品とも今までまともに読んでいません!!
だから、そもそも「語る資格なし」。どうもスミマセン・・・

No.4 5点 まさむね
(2021/12/07 22:57登録)
 作者お得意の新解釈モノ。今回は歴史ではなく、文学作品ですね。夏目漱石「こころ」、太宰治「走れメロス」、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」、芥川龍之介「藪の中」の4作品がテーマです。
 新たな解釈は確かに面白いのだけれども、いずれの短編にも何らかの「いちゃもん感」や「こじつけ感」を感じてしまいましたねぇ。それと、個人的には、宮田の「ものの言い方」に多少イラッときたりして。嗚呼、私のおじさん化が着実に進行しているのだなぁ、そして、私とこの作者さんとのフィット感はどうなのだろうかなと、あらためて考えさせられました。

No.3 5点 ボナンザ
(2021/08/24 21:05登録)
こころがずば抜けて良かった。藪の中もおっと思う。メロスと銀河鉄道はこじつけ臭い。

No.2 6点 パメル
(2020/03/27 11:14登録)
バー「スリーバレー」を舞台にして歴史談義を繰り広げるシリーズ「邪馬台国はどこですか?」「新・世界の七不思議」などの最新作で、今回は歴史談義ではなく文学談義で、名作をすべて新しく解釈する。
具体的にいうなら夏目漱石「こころ」は女性同士の恋愛を描いた百合小説で、太宰治「走れメロス」は全編夢小説、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」は死後の世界という解釈で、芥川龍之介「藪の中」では誰が犯人なのかを推理する。われこそは日本文学研究会の重鎮と思い込んでいる帝王大学教授の曽根原が、女性バーテンダーミサキと在野の研究者宮田と議論を交わし、少しずつ追い詰められていく過程がユーモラスで面白い。
舞台がバーなので酒肴も凝っていて酒好きにはたまらないが、登場人物たちが舌鼓をうつほど酒と肴の相性がいいとは思えない(例えばダイキリと切り干し大根と塩昆布のあえ物とか、純米辛口と芋粥とか)。ただこれは、味よりも文学作品の引用を重視のあらわれであり、実際、小説を別のものになぞらえる趣向は鋭い。
太宰作品の新解釈はやや強引なところがあるものの、夏目漱石「こころ」の細部をミステリ的に検証して百合小説と断じていく第一話の「こころもよう」はなかなか刺激的で面白かった。

No.1 6点 蟷螂の斧
(2020/02/01 08:05登録)
裏表紙より~『討論会の帰り、初めて立ち寄ったバー〈スリーバレー〉で、私は夏目漱石の『こころ』に関する女性バーテンダーの疑問点に答える羽目に。文学部教授である私が、まさかこんな場所で講義することになるとは。しかも、途中からやってきた宮田という男が、あろうことか『こころ』を百合小説と断言したことで、議論は白熱し……。文学談義四編で贈る、文庫創刊60周年記念書き下ろし。 』~
①夏目漱石「こころもよう」 8点 巷では私と先生が○○関係との説があるようですが、本作は百合小説であり、更にクライム小説だという。ではその犯人は?
②太宰治「なぜかメロス」 6点 殺戮を繰り返している王が、何故改心などしたのだろうか?。その理由は?
③宮沢賢治「銀河鉄道の国から」 5点 ジョバンニ(賢治)とカムパネルラ(賢治の亡くなった妹)との物語というのが定説であるが、実は○との物語でもある。○とは誰?
④芥川龍之介「藪の中へ」 7点 二人の証言・自白は嘘であり、一人だけ真実を告白している。その犯人は?
まあ、諸説ありますが、目くじら立てずに気楽に読みましょうというスタンスで。

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