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ミステリの祭典

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葛登志岬の雁よ、雁たちよ
函館物語シリーズ

作家 平石貴樹
出版日2021年07月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2021/10/04 21:39登録)
(ネタバレなしです) 2021年発表の函館物語シリーズ第3作の本格派推理小説です。このシリーズ、岬と鳥を組み合わせた抒情的なタイトルが大変印象的ですが中身がむしろ味気ないぐらいに叙事的なのは依井貴裕の種井理シリーズと共通しているように思います。前半から丹念な捜査が地味に描かれ、シリーズ名探偵役のジャン・ピエール・プラットが本格的に参加するようになりますがこれで謎解きが盛り上がるかと思えばむしろ逆です。というのは彼はもともと殺人事件が起きるよりも前に修道院で発見された白骨死体の謎解きに駆り出されていたのであり、彼の登場で殺人の謎解きが中断されてしまったような展開になるのです。もちろん最後には全ての要素が整理されて筋道が通るのですけど。ジャン・ピエールの説明は過去のシリーズ2作に比べてどうやって真相に気づいたかの推理が不十分に感じられます。真相が非常に複雑難解なので、これでは自分で謎解きを試みたい読者は納得しにくいかもしれません。

No.1 5点 まさむね
(2021/09/18 21:58登録)
 函館物語(個人的には「岬シリーズ」と呼びたい)の第3弾。読者が推理できる要素は少なく、警察の捜査と、そこで得られた新情報をひたすら追い掛けるスタイル。退屈と感じられる方もいらっしゃると思います。自分としては、時にそういった作品も読みたくなるので、悪くはなかったのですが、2つ目の殺人の動機にはちょっと疑問。現場とトリックの状況も分かりにくかったかな(読解力が不足しているだけかもしれませんが)。
 終盤で探偵役「ジャン・ピエール・プラット」の渡仏の意向が語られたので、このシリーズに幕が下ろされる可能性もあるのかな?シリーズ作品内で描かれる函館の生活感が好きだったのだけれど。ちなみにシリーズの中では第一作の「潮首岬に郭公の鳴く」がベスト。

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