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ミステリの祭典

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毒を売る女

作家 島田荘司
出版日1988年03月
平均点7.00点
書評数15人

No.15 6点 みりん
(2023/03/25 15:57登録)
【ネタバレあります】

毒を売る女 8点
梅毒に侵された女の奇行との攻防。梅毒に罹らなかった主人公までもどんどん精神的に崩れていくのがキツいけれど最後は救われて良かった。最近大流行している梅毒の恐ろしさが再認識できるのでオススメ。

渇いた都市 4点
冴えない男の倒叙で共感できるけれどもラストがよく分からない。

糸ノコとジグザグ 5点
目黒区の形を知っている東京都民におすすめ。解説で知りましたが謎の演説男は御手洗だったんですね。

ガラスケース 5点
たった5ページだけどオチが好き。

バイクの舞姫 5点
これが本格ミステリー宣言で定義していた「本格ミステリー小説」という奴か

ダイエットコーラ 7点
25時間周期にする方法とオチが面白い。星新一作品っぽい。

土の殺意 5点 
被害者の長すぎる大演説が当時の世相をふわっと想像させてくれて良かった。

数字のある風景 3点
一番ミステリアス…。

No.14 7点 蟷螂の斧
(2022/02/12 13:32登録)
①毒を売る女 8点 ママ友が梅毒になり、私たちに感染させようとしている・・・疑心暗鬼と狂気の凄まじさ
②渇いた都市 7点 道にロープが張られている。いったい何のため?・・・無関係な物語が一つに
③糸ノコとジグザグ 8点 リスナーの投稿に自殺志願のメッセージ。暗号めいた現代詩。DJはリスナーの力を借りて・・・タイムリミット型パズル
④ガラスケース 6点 大きな水槽でオタマジャクシを育てるが・・・著者の「天に昇った男」を連想
⑤バイクの舞姫 8点 15年前に死んだ恋人がバイクに乗って現れた。幻か?・・・島荘流ラブストーリー。本編が一番好きかも。長八美術館(伊豆)の静御前を見に行かねば(笑)
⑥ダイエット・コーラ 6点 体内時計25時間に合わせるべく1日15度づつ西へ移動するが・・・ユーモア系ショートショート
⑦土の殺意 6点 飲み屋で地上げ屋と口論していた老人が殺された・・・土地神話(社会派)
⑧数字のある風景 5点 ある数字の羅列に意味を見つけた男は、大地震が起きることを知るが・・・SFショート

No.13 7点 まさむね
(2022/01/04 22:28登録)
 マイベスト短編は、やはり「糸ノコとジグザグ」。タイトルとともに、印象に残ります。島荘名作短編と評されることも頷けます。
 表題作のアクセル感、女性同士の心理的サスペンスも好きなのだけれども、巻き込まれ加害者となった方が可哀想すぎて、何かスッキリとしない感じもあったかな。
 「渇いた都市」は、清張作品かと思わせる設定だけれども、そこはやっぱり島荘。でも、清張であればどう捌いて、どのように幕を下ろすのか…と勝手に想像してしまいました。
 掌編を含む他の短編にも、島荘ワールドを感じることができましたね。

No.12 5点 パメル
(2019/07/08 15:28登録)
8編からなる短編集(ショートショートを含む)。
サスペンス中心の作品集だが、ホラー風味、社会派、SF、シュールなものなどバラエティーに富んでいる。ただ、面白いと思ったのは「糸ノコとジグザグ」ぐらい。深夜のラジオ放送に送られてきた謎のメッセージをリスナーと共に、解明していく。タイムリミットサスペンス要素があり、緊張感も伝わってくるし、オチも洒落ていて良い感じ。「渇いた都市」に関しては、松本清張氏が描いたならば、もっとドロドロした愛憎劇に仕上げたと思うので、その点物足りなさを感じてしまった。
これまで7作品しか読んでいない自分が言うのもなんですが、この作者の良さは魅力的な登場人物に、読者を惹きつける雰囲気とストーリーそして、誰もが思いつかないような壮大なトリックだと思っています。トリックに関しては、非現実的なトリックが多いため、あまり好みでは無いですが、雰囲気作りやストーリーの面白さには、毎回驚かされます。その点、この作品は作者の良さがあまり出ていない気がしました。やはり、島田荘司氏には本格ものを書いてほしいし、長編向きだと思いました。

No.11 6点 いいちこ
(2017/09/22 19:44登録)
サスペンス作品の揃った短編集。
本格長編のような壮大なプロットと驚愕のトリックはないものの、サスペンスフルな展開と意外性に満ちた真相が光っている。
小粒ではあるものの、一読の価値のある佳作

No.10 6点 あびびび
(2016/08/17 23:16登録)
斜め屋敷、奇想、異邦と自分には合わなかった。島田さんの作品を書評をするのは怖い。自分の感覚がいかに鈍いのかを証明しているからだ。

表題の「毒を売る女」も、ぞっとはしたものの、自分の思い描く範疇であり、意外性はなかった。しかし、人間色々である。素直に自分の評価を記したい。

No.9 6点 斎藤警部
(2015/10/05 23:53登録)
島荘なのに、島荘ならではのこの軽さはいい。表題作の主題なんか現実世界なら怖ろしく重い脅威だけど、小説となるとこれがまた違う感触。 全体を通して、伏線もミスディレクションも意外な結末も揃ったファンサービスのエッセイ集を読んでいる様な気分になった。 あとやっぱり、他の作品群にも増して大音響の音楽が流れ続けているような気がしてね、文章に。

No.8 7点 メルカトル
(2013/09/20 22:17登録)
再読です。
これぞ粒ぞろいの作品集と言えるのではないだろうか。
ジャンルは本格となっているが、どちらかと言うとサスペンスに近い作品が多いと思う。うむ、本格じゃないね。
島田氏にしては珍しいショート・ショートも含まれており、これがまた気の利いた、良い感じの仕上がりである。新発見、じゃなくて再発見した思いがした。
でもさすがに20年以上も経つと内容は忘れている。
それでも古臭さを感じさせないのは、氏の巧みな筆力があってこそだろう。平均点が高いのも頷ける。
ある作品では私自身物凄く身につまされる内容で、ちょっとショックだった。個人的なことなのでどうでもいいけど。

No.7 8点 itokin
(2013/07/30 10:54登録)
島田氏の初期の短編名作集ということです。なるほどれを取っても、発想、切り口、展開の類似性がなく盛り上げ、終盤のひねりも流石で、氏の才能がうかがえる作品と思いました。短編集では最上位にランクされるでしょう。

No.6 10点 E-BANKER
(2012/11/03 23:09登録)
『特に』記念すべきゾロ目、777冊目の書評は島田荘司の傑作短編集で。
1988年発表。光文社では「展望塔の殺人」に続くノン・シリーズ第2作品集。久々に再読。

①「毒を売る女」=~夫に性病をうつされ、それが不治の病と知ったとき若妻は狂った! 大道寺靖子は秘密を打ち明けていた友人とその家族に対して、次々と鬼気迫る接触を始め・・・~

これは初読時、相当インパクトがあったというか、正直ゾッとした。病に侵された女性も、その女性から病をうつされたと勘違いをした女性もそれぞれに狂っていく姿にとにかく戦慄が走る。人間の弱さや恐ろしさを身に染みて感じる作品。
②「渇いた都市」=これは作者のストーリーテリングのうまさに唸らされる作品。一人の小市民が転落していくプロットというのは使い古されているが、計算され尽くしたようなラストが切れ味十分。
③「糸ノコとジグザグ」=~“糸ノコとジグザグ”という風変わりな名のカフェ・バー。だが、店名の由来には戦慄すべき秘密があった!~

これは名作と名高い短編作品。この時期の作者の作品には「東京」という街の都市論が頻繁に登場していたが、本作もそれに影響を受けている。作中に登場する問題の電話は暗号というほどのレベルではないが、作者のファンであれば真相は容易に掴めるだろう。巻末解説にもあるとおり、名もなき人物として登場する「演説好きの男」は”あの男”意外にあり得ない。
④「ガラス・ケース」=これはショート・ショート。示唆に富んでいるというべきか、オチだけの一発勝負と言うべきか。
⑤「バイクの舞姫」=外車とオートバイ、そしていい女。これもこの時期によく登場するプロット。
⑥「ダイエット・コーラ」=これも示唆に富んでいるというべきか。作者の着眼点に感心。
⑦「土の殺意」=本作では唯一吉敷刑事(当時)が登場(完全に脇役扱いですが・・・)。不動産バブルや地上げ屋など、ふた昔前の話ではあるが、主人公の老人の主張は実に合点のいく内容。ホント、日本人の悪いところだよね。
⑧「数字のある風景」=ショート・ショート。これは謎の作品だなぁ・・・。

以上8編。
これは今のところ「マイベスト短編集」的な作品。
①でも書いたが、初読時には「占星術殺人事件」などと並んでかなり衝撃を受けたのが思い出される。
今回再読してみて、「ミステリー作家・島田荘司」の類まれな才能とアイデアが惜しげもなく詰め込まれた作品集だと改めて感じた。
長編とは違って、大掛かりなトリックや破天荒なプロットはないが、何とも言えないサスペンス感や切れ味、男女の心の機微など、短編にあるべき要素がバランスよく配合されている上質な作品が並んでいる。

というわけで、短編集としては初めて最高の評価を捧げたい。
(ベストは間違いなく①だろう。もちろん③や②も良い。④⑥⑦も味わい深い)

No.5 5点 seiryuu
(2010/09/13 13:54登録)
「毒を売る女」の女性心理の描写がとてもよかった。
「糸ノコとジグザグ」はエッセイっぽい。
あとは小粒に思えた。

No.4 6点 マニア
(2009/01/14 00:31登録)
佳作ぞろいの短編集といった印象。

前半の2作「毒を売る女」と「乾いた都市」はキレのいいサスペンス。特に「毒を売る女」の大道寺靖子の狂気には戦慄させられた。
名作の誉れ高い「糸ノコとジグザグ」はラジオ番組のDJとスタッフ、リスナーが一丸となって自殺阻止に奮闘する様子がスリリング。ただ、真相は東京の地理や交通事情に詳しくないとイメージしにくいのが残念。でも、最後に明かされる「糸ノコとジグザグ」という題名に隠された思いには素直に感心出来た。

後半のショートショートでは、「ダイエット・コーラ」が奇妙で好き。「土の殺意」はバブルの時代を反映するような真相を鮮やかに描くのは流石だと思った。他は普通。

No.3 9点 Tetchy
(2007/12/06 18:11登録)
島田氏のショートショートが読めるという貴重な短編集。
中身もヴァリエーションが結構あって無視するには勿体無い。
名作「糸ノコとジグザグ」はこの短編集収録です。

No.2 9点 なおゆう
(2003/09/21 01:24登録)
「毒を売る女」
ちょっと昔の良質の一時間ものドラマ、または切れのあるショートショート、といった小作品集。これらは、島田荘司の初期の作品群なんでしょうか、どれもみずみずしく、創作の勢いに乗っているという印象です。

No.1 8点 みゅう
(2002/02/15 02:27登録)
8作品の短編集です。タイトルの「毒を売る女」は
ほんとにゾッとするお話です。その他の作品も
短いけど考えさせられる物が多く、
中でも「糸ノコとジグザグ」の意味不明な
しかし自殺予告ともとれる長文現代詩の
謎を生放送の番組中で解いていく話は
とても読み甲斐がありました。
ちなみにその話はちょこっと御手洗さんが
出てきます。

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