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ミステリの祭典

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メルカトルさんの登録情報
平均点:6.04点 書評数:1979件

プロフィール| 書評

No.179 4点 チヨ子
宮部みゆき
(2011/09/06 23:48登録)
ホラー、ファンタジーの中短編集。
宮部女史の作品は久しぶりに読んだわけだが、正直期待はずれだった。
解説にもあるように、今まで未収録だった短編を集めた、いきなりの文庫本なので、その辺りに価値を見出すことは出来るかもしれない。しかし、作品の出来がどうにもスッキリしないものが多く、オチも捻りもいまひとつ。
少々退屈さすら感じる作品集となってしまっている。
最終話の『聖痕』はミステリかと期待させておいて、途中からテンションが落ちる残念な作品。


No.178 7点 キョウダイ
嶋戸悠祐
(2011/09/01 23:31登録)
序盤の平和な家族の日常と、それ以降の異常で不気味な雰囲気を漂わせた一家の物語との対比がなんとも名状しがたい魅力である。
全体としてはホラーともミステリとも言いがたいような、奇妙な作品であり、ドロドロした物語が好きな読者には堪らないであろう。
ミステリ的要素として、お馴染みの双子トリックもどきが用いられており、新味はないけれど、それなりに成功しているのではないだろうか。
今後が楽しみな新人の登場である。


No.177 5点 七人の中にいる
今邑彩
(2011/08/27 22:05登録)
私は本作にあまりミステリ性を見出せなかった。例えば伏線が少なすぎるとか、犯人を特定する材料に乏しいなど。
やはり作者本人が言っている様にサスペンスではないだろうか。
そうした目で見ると、かなりの良作であるのは間違いないと思うが、ミエミエの最終章は安易に過ぎるきらいがある。
サスペンスフルで中盤までは面白く読ませてもらったが、やや長すぎるのではという気がする。
もう少しコンパクトに纏めることはできなかっただろうか、と少々残念ではある。


No.176 5点 「死霊」殺人事件
今邑彩
(2011/08/19 23:48登録)
今邑女史の作品としては珍しく読み辛かった。
冒頭に魅力的な謎が提示されているが、残念ながらその解決が納得の行くものとは言いがたい。
タイトルをこれだけ大袈裟にしたのならば、それ相応の結末を期待するところだが、それは果たされていない。
また、主人公を含む登場人物に魅力が感じられないのもマイナス点であろう。


No.175 5点 九杯目には早すぎる
蒼井上鷹
(2011/08/10 21:29登録)
はっきり言ってどれもこれも取るに足らない、もっと言えば読んだその日に忘れてしまうような短編集。
その中で唯一『私はこうしてデビューした』が、折原一氏を髣髴とさせて面白かった。
ちょっとしつこい感じもするが、オチもキッチリついていてブラックな結末はなかなかのもの。
その他の作品は、サスペンスでもなければ本格でもない、どっちつかずの中途半端な出来映えである。


No.174 6点 エナメルを塗った魂の比重 鏡稜子ときせかえ密室
佐藤友哉
(2011/08/04 21:54登録)
どうでもいいが、なぜこんなに評価が割れるのか?どちらにしても不思議な作品ではある。
途中まではなかなか引き付けられる、なんだかよく解らない魅力を感じたが、謎解きに至って尻すぼみな感が否めない。
またキャラ萌えの要素もあり、ラノベのような作風でもある。
しかし、文体は非常に癖があり、好みが別れるところだと思う。


No.173 5点 もう一人の私
北川歩実
(2011/07/29 21:23登録)
派手な殺人事件が起こる訳でもなく、至って平凡な短編集だと思う。
私にとっては、驚きもなく、かと言って展開の妙も感じられない、全体的に低調な印象を受けた。
中には少しだけおっと思わせるものもあったが、それはほぼ例外であって、残りの短編はほとんど記憶にも残らないような作品ばかりであった。
もう少し、読者にあっと言わせるようなストーリーを書いてもらいたいものである。


No.172 6点 水霊
田中啓文
(2011/07/24 22:06登録)
飲料水の恐怖に神話を絡めたホラー大作。
宮崎県のとある村。
村の神社の遺跡から湧き出た水を、「おいしい水」として商品化しようとする村長。
ところがその水を飲んだ者が次々と異常な食欲を示した後衰弱し、死亡するという事件が起こる。
田中氏らしい脱力感は影を潜め、非常に生真面目に取り組まれた大変な力作となっている。
随所に見せ場があり、読み応えは十分、飽きの来ない作品に仕上がっている。


No.171 6点 儚い羊たちの祝宴
米澤穂信
(2011/07/15 21:31登録)
古き良き時代の怪奇小説や探偵小説を髣髴とさせる佳作。
平均して面白いが、特に『身内に不幸がありまして』が好み。
また、『玉野五十鈴の誉れ』のラスト一行には唸らされた。
取り敢えず、暗くて古風な雰囲気は今時のミステリにはない存在感を示しているのではないだろうか。


No.170 4点 4ページミステリー
蒼井上鷹
(2011/07/10 21:52登録)
全て4ページのショートショートが60篇収められた短編集。
必ずしもミステリと言う訳ではなく、むしろジャンル不明の単なる小説の方が多い。
全く捻りのないもの、オチのないもの、様々。
たった4ページのわりに読みづらく、結構苦痛であるし、そもそもこのページ数でミステリを詰め込むのは無理があるようだ。
ついでに、この人の文章は私には合わないかも知れない。


No.169 6点 「裏窓」殺人事件 tの密室
今邑彩
(2011/07/06 21:46登録)
密室状態からの飛び降り自殺?と女子大生連続殺人事件が有機的に繋がっていく様は、なかなかサスペンスフルで小気味良い。
車椅子の少女をめぐる人間関係と、刑事達の地道な捜査、女子大生殺人事件の謎など、様々な要素がバランスよく配置されて、読んでいて飽きが来ない。
意外な犯人と併せて、まさかの人物が予想外に事件に関わってくるのは、さすがに読めない展開だ。


No.168 6点 龍の寺の晒し首
小島正樹
(2011/07/02 21:55登録)
ボートを漕ぐ首なし死体、天に昇る竜など魅力的な謎がこれでもかと詰め込まれているが、その真相の多くが偶然に頼ったご都合主義的なトリックであり、拍子抜け。
唯一なるほどと思わされたのが、彩の首の隠し場所である。もっともこれも現実的には無理がありそう。
その重要と思われる生首を晒す理由にはほとんど触れられていない、私の読み落しかもしれないが、どちらにしても私には理解できなかった。
全体の雰囲気は横溝正史氏というより、島田荘司氏の御手洗シリーズを髣髴とさせるものがあり、ミステリとしては楽しめると思う。


No.167 5点 プリンセス・トヨトミ
万城目学
(2011/06/27 21:46登録)
日本国内に大阪国という独立国家が存在した、という荒唐無稽な設定で、グイグイ読者を引っ張っていく。
若干無駄と思えるものも含めて、様々なエピソードを経て物語は大阪全停止というクライマックスを迎える。
特に大阪に住む人は、お馴染みの地名が続々と出てきて、それだけで嬉しくなってしまうのではないだろうか。
しかし、プリンセスの正体は誰が考えても一瞬で分かってしまうし、これと言った謎の提示もないので、サスペンスとは呼べない。
いわゆるファンタジーだと思うが、正直『鴨川ホルモー』と比べると、その面白さは格段に落ちる。
全体的に冗長さは否めないし。


No.166 5点 少女Aの殺人
今邑彩
(2011/06/17 21:18登録)
なかなかよく練られたストーリーだとは思うが、インパクトに欠ける上、正直あまり面白くない。
それ程複雑なプロットでもないわりに、冗長な感が否めない。
タイトルはなるほどと思わせるが、登場人物が限られているので、比較的真犯人が分かりやすいのもマイナス点になるだろう。
まあ、凡作と言っても差し支えないと思う。


No.165 4点 押入れのちよ
荻原浩
(2011/06/12 21:30登録)
これは本当にホラーなのだろうか、と疑問に思わざるを得ない作品がずらりと並ぶ短編集。
特に印象深い作品もなく、どれもどこかで聞いたような、或いは読んだような物語ばかりで新味を感じない。
この人は今後このようなホラーもどきは書かないほうが賢明だろうと思う。
巷に溢れる全然怖くないホラーよりも更に怖くない、いかにも平々凡々とした作品集となっているのは残念な限りである。


No.164 6点 第三の時効
横山秀夫
(2011/06/08 21:31登録)
表題作は確かに面白かったし、ミステリ的な仕掛けも施されていて楽しめる。それ以外の短編は微妙だが、警察関係者のアクの強い個性豊かな人物が目白押しで、その意味では読者を惹きつけて離さない。
特に第二班の班長、楠見は非常にリアリティがあってよい。
だが、警察小説としてはよく出来ているとは思うが、本格志向の読者にはお薦めできない。
なぜなら、オチや捻りが今ひとつと感じられたから。


No.163 7点 水没ピアノ 鏡創士がひきもどす犯罪
佐藤友哉
(2011/06/03 21:46登録)
全く無関係に見える3つの物語が平行して一人称で語られる。
しかしそのストーリーがやがて・・・これ以上はネタバレになるので書けない。
独特の筆運びで最初は読みづらい印象を受けたが、読むにつれて気にならなくなり、次第にその世界観に引き込まれる。
少々長いが、最後まで読者を惹きつける手腕はなかなかのものではないだろうか。
しかしラストの鏡の残酷な仕打ちはちょっといただけない気もする。
またそれをまともに認識できない彼って一体。


No.162 5点 ミミズクとオリーブ
芦原すなお
(2011/05/30 21:27登録)
普通、一介の刑事が一般の民間人に事細かに殺人事件の概要を説明するだろうかとか、うら若き女性が初対面の男にそんなに馴れ馴れしい口調で話すだろうか、と言った突っ込みどころは見受けられる。
しかしまあ、奥さんの痒いところに手の届く、一本筋の通った性格はなかなかよく描かれているように感じるし、魅力的でもある。
ミステリとしてはいかにも弱く、素晴らしい出来とは決して言い難いが、雰囲気を楽しむべき作品なのだろう。
小難しいミステリに疲れた時などの息抜きにはもってこいの、ほっこりとした佳作である。


No.161 7点 よもつひらさか
今邑彩
(2011/05/26 21:48登録)
ホラーとミステリの境界線を危うい綱渡りをしながら、どちらにも傾かず上手く平衡を保っている稀有な短編集。
ホラーにも合理的な結末が用意されているものもあり、ミステリの要素を取り入れているのは今邑女史らしいところ。
しかもそれぞれの作品が一々面白く、まさに粒揃いと言ってよいであろう。
先の展開が読めたりもするのだが、更にもう一捻り加えられていたりして、工夫がなされているのも好感が持てる。
それぞれ余韻を残す佳作が並んでいるので、読んでいて飽きる事はない。


No.160 6点 落下する緑
田中啓文
(2011/05/22 21:39登録)
真面目に書いてるなあ、というのが第一印象。
駄洒落が遊び心程度に放り込まれているくらいで、勿論グロの要素も皆無だし、脱力系でもない。
いたって普通の連作短編集。
田中氏もやれば出来るじゃないか、と再認識させられる一冊でもある。
内容的には日常の謎を扱ったものだが、さして魅力的な謎が提示される訳でもないのに、結構没頭できる不思議な作品と言えるかもしれない。

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