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ミステリの祭典

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ミミズクとオリーブ
ミミズクとオリーブシリーズ

作家 芦原すなお
出版日1996年04月
平均点6.30点
書評数10人

No.10 6点 まさむね
(2012/04/30 22:21登録)
 ミステリとしては相当に弱いです。
 でも,楽しい。ひょうひょうとした主人公のキャラは勿論,奥さん,同級生刑事との軽妙な会話も良いですねぇ。とても羨ましくなる雰囲気。何というか,いいなぁ。
 これでミステリ度が上がれば申し分ないのですが…。続編もそのうち読んでみます。

No.9 6点 E-BANKER
(2012/04/15 12:42登録)
直木賞受賞作「青春デンデケデケデ」で有名な作者が描くミステリー。
恐らく作者がモデルと思われる主人公と、安楽椅子型探偵役の妻が織り成す、しみじみと味わいのある連作短編集。

①「ミミズクとオリーブ」=美人妻に逃げられた旧友を救うため、ひと肌脱ぐことになった主人公。ただし、実際に謎を解いたのは妻ということで、ここに人妻兼名探偵が新たに生まれることに。
②「紅い珊瑚の耳飾り」=今度はちゃんとした(?)殺人事件が舞台。主人公の友人で刑事の河田から情報を得るだけで、見事に謎を解く。本編だけではないが、女性独特の感性や見方が、事件解決の端緒になるというプロットが目立つ。
③「おとといのおとふ」=タイトルは犬や猫にとって「耳障りがいい」と感じる言葉なんだそうです。(「お」行が動物にとっては一番いいとのこと) 今回も殺人事件の謎を解くのだが、これくらいならいくら田舎の警察だって分かりそうなものだが・・・
④「梅見月」=本編は、主人公と妻が結婚する契機になった過去の事件。これもなぁ、実に何てことない真相。
⑤「姫鏡台」=これも女性独特の見方が事件解決のきっかけとなる。確かに、男性目線では気付きにくいのかもしれないが、女の勘は怖いってことだよね。
⑥「寿留女」=“スルメ”と読む。これも何てことない夫婦間のちょっとした揉め事を妻が見事に大岡裁きでケリを付けるというプロット。そんなことより、妻がつくる酒の肴の数々がおいしそうで・・・
⑦「ずずばな」=讃岐地方の方言で「ヒガンバナ(曼珠沙華)」のことらしい。同じマンションの部屋で夫は溺死、妻はフグの毒に当って死ぬという珍しい事件なのだが・・・あっさり解決。

以上7編。
何とも味わい深くて良い作品。
さすがに直木賞作家だけのことはあって、特になんてことない描写なのに、実に心地よく読者の心に染みてくる。
(出てくる妻の料理の数々も何ともおいしそうで・・・特に魚料理!)

殺人事件は出てくるが、作風としては「This is 日常の謎系」とでも言うべきもので、好き嫌いはあるでしょうが、本格物やサスペンス、ハードボイルドなど「硬い読み物」ばかり読んだ後、こういう作品に出合うとホッとさせられる。
誰にでもお勧めできる佳作という評価でよいのではないでしょうか。
(②がベストかな。後はどれも同レベル)

No.8 6点
(2011/07/13 09:40登録)
料理人系・安楽椅子探偵モノとしては、個人的には北森鴻の「香菜里屋シリーズ」よりも楽しめました。料理人といっても本書の場合、主人公の奥さん(主婦)なのですが。
謎解きレベルとしてはかなり低め(直感というのもありましたね)であることはたしかですが、むしろ登場人物の会話が読者を楽しませてくれます。主人公と妻、主人公と友人の河田、そして3人そろっての掛け合い、みな自然だし、漫才風でもあって笑えます。登場する料理も旨そうな家庭料理ばかりで、いい感じですね。
主人公夫婦の関係が、(サザエさんの)マスオさんとフネさんというのは当たっていますね。toukoさんに、座布団一枚!
とにもかくにも、これからも読んでいきたいなと思えるような作品集でした。満足しました。

No.7 5点 メルカトル
(2011/05/30 21:27登録)
普通、一介の刑事が一般の民間人に事細かに殺人事件の概要を説明するだろうかとか、うら若き女性が初対面の男にそんなに馴れ馴れしい口調で話すだろうか、と言った突っ込みどころは見受けられる。
しかしまあ、奥さんの痒いところに手の届く、一本筋の通った性格はなかなかよく描かれているように感じるし、魅力的でもある。
ミステリとしてはいかにも弱く、素晴らしい出来とは決して言い難いが、雰囲気を楽しむべき作品なのだろう。
小難しいミステリに疲れた時などの息抜きにはもってこいの、ほっこりとした佳作である。

No.6 6点 HORNET
(2011/05/05 16:50登録)
 このサイトでの評価から,どんなものか読んでみたいと思い読んだが,それぞれの方の評価に納得がいった。とにかく「面白い!」。主人公と奥さん,そして河田のとぼけた会話が最高。事件に対する奥さんの推理は,推測やときには勘に基づくものであるため,ミステリの書評サイトとして採点は抑え目にしたが,文句なく気に入った作品となった。同シリーズの他作品も必ず読みたい。

No.5 5点 touko
(2009/11/30 21:12登録)
男性にとっては理想的な伴侶像なのでしょうが、どうしても奥さんがサザエさんのフネさんでビジュアルが浮かんできてしまいました……でも天然ボケのダンナさんは波平氏ではなくマスオさんで浮かんでくる(笑)。
夫婦というより母子っぽい関係だからかな? 夫婦なら男性にとっては美化された理想なんだろうけど、こういう感じの母子ならば現実にもいそうだしなあ……それでも、あまりに浮世離れしているので、最初は猟奇的な設定での脳内奥さんの話? とか、絶対裏があるはず、騙されないぞ! なーんて構えてしまったくらいです(近年のミステリに毒されすぎですね;)
このノスタルジックでふんわりほっこりしつつも、どこか強烈なフェティシズムを感じさせる世界は、疲れている中高年男性のための萌え系ライトノベルってとこなんだろうなあ。

文庫本の解説にもあったけれど、男性はかくも女性のことを知らないというのにはびっくり。
そういう作者が書いているんだから仕方ないと言えば仕方ないんですが、ミステリに絡めて女性ならではの視点を提示する役でもあるはずの奥さんが女としてありえない言動が多々あるのはどうかと……たとえばファウンデーションは普通、下着のことを言うので、メーク用品ならファンデーションと言って欲しかったなあ(笑)。

No.4 7点 makomako
(2009/11/15 10:18登録)
 この作品をミステリーとして読むともうひとつであるが、洒落た会話やふんわりとした雰囲気は好きです。名前を覚えるのが苦手な小生にとってはほとんど名前が出てこない(主人公も探偵役の奥さんも名前が出ない)のもありがたい。
 それにしてもこの奥さん素敵だなあ。友人の奥さんがこんな人なら私も酒と肴を持って押しかけそう。

No.3 8点 E
(2009/05/26 23:57登録)
ミステリー度は低い。
でも、笑える!!三人の会話では笑い堪えるのが苦しくなってくる。三人のやり取りと、香ばしい日本料理に注目☆

No.2 8点 なの
(2007/11/17 12:07登録)
ミステリ的には並ですが、流石の筆力とユーモア。
とにかく読んでて楽しい作品。
私・奥さん・河田の3人の微笑ましさが堪らない一品。

No.1 6点 ぷねうま
(2007/11/17 06:15登録)
ミステリ部分よりも奥さんの作る料理や性格の部分の魅力の方が大きい。
正直主人公に嫉妬してしまう。こんな嫁さんがいたならば、それだけで「いい人生だった」で悔いなく死ねます。

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