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ミステリの祭典

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江守森江さんの登録情報
平均点:5.00点 書評数:1256件

プロフィール| 書評

No.776 3点 このミステリーがすごい!’91年版
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/05/14 00:07登録)
基本的に年刊雑誌なので採点は一律の3点。
刊行された「このミス」を最初の号から見たくて図書館で蔵書検索したら’88年版・’89年版は近場に蔵書が無く、’90年版は出版されていなかった。
そして、この’91年版は対象期間が2年間と異例になっていた(※下に補記あり)
プロフィール通りに海外翻訳ミステリーへの興味が薄いので、当然ランキングも興味が無い。
国内ランキングをざっと見渡すと悲しいかなベスト10全てが未読で、これから読んでみようかな!と思う作品すら無かった。
さらには「何でもミステリーの範疇に含めるなよ!」と愚痴りたくなってしまった。
個人的に気になり読んでみたいのが13位の連城三紀彦「どこまでも殺されて」だけだった。
その他の個人的注目作品は「消失」「ロートレック荘〜」辺り。
※補記
私的に反省する為に敢えて間違いは訂正しません(興味の湧かない作品ばかりでざっと眺めただけにしても、もっと早く気付くべきでした)
発行と投票期間に関してはkanamoriさんの書評の通りですm(_ _)m


No.775 5点 CSI:科学捜査班~鮮血の絆
マックス・アラン・コリンズ
(2010/05/13 15:41登録)
海外ドラマ・CSI:科学捜査班シリーズのノベライズ第5弾。
ストーリーはノベライズ・オリジナル。
過去の未解決連続猟奇殺人に、ソックリな現在の連続殺人を絡めて並行捜査の過程を描いている。
作中で(グリッソムの意見として)作者が「あまりにも都合のいい巧妙な“手掛かり”の提示がある」とクイーンやクリスティーに疑問を投げかける場面には呆然とした。
些細な証拠(陰の伏線)や仮説からロジカルに犯人を導き出す巨匠達の作品とは対極にあり、先ずは証拠ありきな捜査小説なので仕方がないのかもしれないが・・・・。
その辺りでCSIはノベライズ向きではないと思える(ドラマの方が格段に面白いと再確認した)
それでも、キャラ自体はドラマ同様に描かれ楽しめるし、今回は逮捕後まで描かれ、その部分が読ませるので救いはあった。


No.774 3点 CSI:科学捜査班~コールド・バーン
マックス・アラン・コリンズ
(2010/05/13 15:21登録)
海外ドラマ・CSI:科学捜査班シリーズのノベライズ第3弾でオリジナル・ストーリー。
ドラマシリーズ同様な展開で、本来の舞台ラスベガスの全裸冷凍死体事件と出張先のニューヨークで雪に閉ざされた殺人の2つの事件を並行して描いている。
主人公であるグリッソムの信念「人間は嘘をつくが、証拠は嘘をつかない」をストーリーが体現しているので、基本的に物的証拠を集める捜査過程を楽しむシリーズで、残念ながらテンポ良いドラマの方が格段に面白い。
コード型本格の定番な雪で閉ざされた殺人ですら、限られた道具と人材で証拠集めして事件解決するのだから、本格ミステリでリアリティを追求し過ぎると面白くも何ともない代物が出来上がる事を如実に示している。
※ドラマ脚本をノベライズにしても上記の欠点は解消されないだろう。


No.773 5点 悪党どものお楽しみ
パーシヴァル・ワイルド
(2010/05/13 14:52登録)
イカサマ賭博を暴く事(例外有)を題材にミステリー的技巧を用いた賭博小説短編集。
全8話にエピローグ、翻訳版的オマケでゲームの簡易ルール解説も有。
もう1話シリーズ作があり「乱歩編・世界短編傑作集3」で読める模様。
賭博のイカサマ部分は主人公(私的な賭博レベルでは二流プロ)が三流プロ或いは素人のイカサマを逆手にとる展開で、日本の秀逸な賭博小説(阿佐田哲也等)や漫画(カイジ・アカギ等)を読み馴れた身には平凡としか言いようがない。
特に、賭博小説に求められる達人同士がしのぎを削り命をすり減らすようなヒリヒリする臨場感に乏しいのは致命的だろう(全話で達人領域な賭博師は「ビギナーズ・ラック」に1人登場するだけで実質対戦しない)
更に言うなら、カードやチェスやルーレットより、日本人には麻雀が一番で、次はパチンコ、対戦型では囲碁・将棋の方が格段に馴染む。
それでも、賭博部分をフックにした反転(特に「良心の問題」)と各話の道具立てはミステリとして上手い。
題材から賭博小説部分に期待して読んだのだが、反転ミステリとして拾い物だった。
※賭博小説なら3点レベルだが、作品の肝は反転やオチだろうと考え5点にした。


No.772 3点 ダ・ヴィンチ・コード
ダン・ブラウン
(2010/05/10 21:55登録)
先日地上波で映画の再放送があり録画視聴した。
そしてファジーなミステリー読書の実践として、古本屋の特売文庫棚にゴロゴロあったので購入(上中下3冊セットで二百円)し読んでみた。
冒頭のダ・ヴィンチ作品がらみな謎だけでお腹一杯な感じで、映画同様にキリスト教蘊蓄な話になるとゲンナリしてしまった(個人的には神の存在を信じていないし、葬式仏教徒なので宗教思想絡みは興味が沸かないし嫌悪感さえある)
スリラー部分のみを楽しむ読書では苦痛になる分量で、(原作に沿った作りなので)私的に不要と思う部分を早送り出来る映画の録画視聴が「一番楽チン」だろうと思えた。
宗教的関心が薄い日本人だが、流行物に弱い面が打ち勝ち世界的ベストセラーの評判に踊らされたのだな〜と溜め息が出た。
それでも日本人には、わざわざ所有する程の作品でない事は古本屋に掃いて捨てる程ある事が証明している(今では、古本屋のオヤジも引き取らないと言っていたし、資源ゴミにしかならない)


No.771 6点 トリックーTroisieme partieー
蒔田光治
(2010/05/10 05:59登録)
最近の個人的な「トリック・ノベライズ祭り」の最終回。
テレ朝「トリック」第3シーズン全十回放送(5エピソード)をノベライズにした作品。
エピソード一つで劇場版一つ程度の密度はある。
各エピソードそれぞれに、何処からか寄せ集めたトリックとプロットを下ネタ満載なギャグに絡めていて(オリジナリティの面では)本格ミステリとして褒め辛いが、楽しめるのは間違いない。
特に「死を呼ぶ駄洒落歌」は見立て殺人からフーダニットまで横溝パロディの集大成と云えるデキで素晴らしい。
更に、「言霊を操る男」での柴咲香&ガッツ石まっ虫の使い方も上手く。
「瞬間移動の女」でのスリット・スキャット・スリップのギャグも秀逸。
じっくり読めば面白さが浸透するのでノベライズの意義も充分にあった。


No.770 4点 トリックー劇場版2ー
蒔田光治
(2010/05/10 05:15登録)
先日の再放送を録画視聴し、更にノベライズを読んだ。
これまた、連続放送のドラマと違い映画なためミステリとしては非常に薄味で、わざわざノベライズする程ではない。
それにしても、使うトリックで「マジックのネタ割り」しまくってマジシャンからよく苦情が来ないものだと感心する。
反面、トリックに関してはその程度のものだと納得もできる。
ノベライズ部分だけなら3点だが、総括したオマケクイズと用語解説が意外と楽しめたので+1点。


No.769 2点 鴨川ホルモー
万城目学
(2010/05/10 04:58登録)
「鹿男~」よりハジケていて、好みによるが上回る面白さだとも思えるような、思えないような作品。
しかし「鹿男~」と違い、青春小説ではあるがミステリーの範疇には全く無い(よってポリシー通り2点)
ホルモーとは何ぞや?何故継続している?の部分を掘り下げればミステリーになっただろうが、作者の持ち味は殺される。
「鹿男~」と違い、中年以上の世代には細かな書評すら拒絶し呆れが先に来るかもしれず、読んで作者にのめり込める若い世代に向けた作品なのだろう。
私的には‘おとなしめ’の「鹿男~」の方が楽しめた。
一般小説としては採点不能で逃げたい。


No.768 4点 死の方程式
リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
(2010/05/10 04:43登録)
事件と捜査過程はいつも通りな感じだが、犯人が使った葉巻の箱の爆弾を利用して、ロープウェイで逃げ出せずタイムリミットが迫る状況で罠に掛け、爆弾処理させ落とす解決編は秀逸。
しかし、この作品の肝であるコロンボの心理的な揺さぶりを堪能するならドラマの方が断然良い。


No.767 5点 もうひとつの鍵
リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
(2010/05/10 04:33登録)
タイトル自体がそのまま作品の‘鍵’との掛詞になっている(駄)洒落た作品。
新聞・足跡・電球の汚れ等の些細な気付きから過失ではなく殺人と看過し、偶々居合わせた証人の新たな証言と犯人の証言の矛盾から落とす。
ドラマでは演技に魅入られ感じなかったが、じっくりノベライズで読むと裁判で犯人(が粘り通せば)を殺人で有罪に出来るのか?微妙に思えてしまった。


No.766 6点 偶像のレクイエム
リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
(2010/05/10 04:17登録)
倒叙物の王道ながら、本当に狙われたのは誰か?そして何故狙われたのか?と被害者側にも謎を広げ、噴水の水が何故出ないのか等の些細な気付きから犯人の狙いを察して落とし、過去の事件までも解決する構成は素晴らしい。
犯人の癖や行動を観察する描写はノベライズで読んでも楽しめる。


No.765 4点 自縛の紐
リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
(2010/05/10 04:03登録)
結末に至る過程でのコロンボの洞察力は毎度素晴らしい。
被害者が運動着に着替えていた事を知っている。
紐の結ばれ方からスニーカーは犯人に履かされた後に結ばれた。
二つの条件から三段論法で犯人を落とす。
執拗に犯人に迫る辺りは、ドラマで観ると実にコロンボらしい作品なのだが、ノベライズでは味気なく残念だった。


No.764 4点 パズル
蒔田光治
(2010/05/08 21:37登録)
横溝正史の世界に学園ミステリ、更に同じ脚本家の「トリック」をごちゃ混ぜにした作風のドラマのノベライズで、ドラマ自体はボロクソにこき下ろされた。
自己パクリとコメディが主体だと割り切って観ていたので結構楽しめたが再放送の期待が薄いのでノベライズを読んで復習してみた。
「トリック」に比べ学園物なので下ネタ寄りなギャグが少なく、笑いのツボも少ないのは残念。
各話それぞれバラエティーに富んだ謎とトリックなのだが「トリック」以上の既視感と寄せ集め感だった。
金田一少年や名探偵コナンの初期ネタ(トリック)パクリ作品を許し楽しめるなら、これも楽しめるだろうが、古典作品から読み進むミステリ読みの王道を往く方は接してはいけない作品。


No.763 2点 イノセント・ゲリラの祝祭
海堂尊
(2010/05/06 00:04登録)
最早ミステリーの範疇外なシリーズ、いや作家になってしまったのでポリシー通り2点。
その一方で、私的に作者の主張・キャラ・作品世界にドップリ浸っているので、単なるエンタメ作品としては非常に楽しめた(一般小説なら6点レベル)
彦根のキャラを借り「よくぞここまで自分の主張に純化した作品を書いた」と褒めたい反面、普通の読者は辟易するだろう。
作者の主張に共鳴出来る読者のみ読めば良い作品と断言する。
それにしても白鳥が普通の官僚にしか感じられない位に彦根のキャラ立ちは凄い。
後半の討論場面は圧巻の一言。
※文庫版は上下巻分冊&作品途中のエピソードで「このミス」に掲載され不評だった短編も収録された。


No.762 7点 ゴールデンスランバー
伊坂幸太郎
(2010/05/05 23:31登録)
伊坂版「逃亡者」と言った趣の作品。
トリックもロジックも解決も無いが、エンタメ作品としては何ら問題ない。
時制を巧みに操る構成と伏線の妙から紡がれるスピード感ある物語、更にその集大成なエピローグには唸らされる。
しかも抜群のリーダビリティで全く厚さを感じさせずに一気読みさせる。
今まで読んだ伊坂作品とは格段の違いで、人気と世評に見合った作品で面白かった。
但し、作品背景で政治や社会思想等を読まされる煩わしさと、投げっぱなしで収束しない事柄が多々あるのが残念。


No.761 6点 叫びと祈り
梓崎優
(2010/05/05 16:07登録)
「論理的かつ読ませる非常に優れた新人が登場した!」と絶賛されるのもやぶさかではないのだが・・・・・。
あくまで個人的な事だが、娯楽であるミステリで異郷の世界観(特に人生観&宗教観)を読まされ&考えたくない(翻訳ミステリが苦手な根本的原因)気持ちが先立ち国産ミステリなのに面白さが激減してしまった。
表題作は、生活&人生観の部分を醒めた感覚で読んだので、何故?な部分がミエミエで叙述トリックも小賢しく、下記(※)の疑問が解消しない御都合主義に‘諦めのため息’が出た。
バカミスの寄せ集め的推理合戦に、これまた小賢しい叙述トリックを絡め恋愛小説仕立てな「白い巨人」
気付きのミステリとしての素晴らしさを宗教色&ラストのホラーオチ(幻想的と褒める気はサラサラない)の挟み撃ちで帳消しにした「凍れるルーシー」
どうでもよい世界観が動機の根底にある為に真相その物すらどうでもよく感じる「叫び」
そして、継続を断ち切る「祈り」で完結する。
作品全般に流れる世界観を受容せずに読んだので、主人公の精神が世界観に耐えきれずに壊れる結末が、この作品集で一番納得する部分だった。
継続を断ち切る展開に賛否両論だが、主人公を超人的回復力の持ち主にするか、まだ語られていない物語としても継続は可能だろう。
但し、個人的には日本人世界での論理的ミステリを読んでみたい。
※ネタバレで最大の疑問点に言及しています。
長の死体を分割・有効利用すれば殺人は不要かもしれない。
それで不足なら砂漠の民達で結託し、生活に一番関係ない主人公のみ殺す。
2死体を2分割で4個になり、それにナイフを突き立て道標にするのが、砂漠の民にはベスト選択だと思うのだが!


No.760 6点 指輪の爪あと
リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
(2010/05/01 04:13登録)
コロンボでなくても、タイトルにもなっている気付きから(倒叙物でなかったとして)直ぐに犯人の目星は付く。
しかし、全く物的証拠の無い事件で、如何にして犯人の行動を予測しながら罠に掛けて落とすか、の部分は初期のコロンボ作品の中でも秀逸な部類だろう。
かなり以前の初読時、墓を掘り起こす描写で、アメリカでは日本と違い火葬が主流でない事が衝撃的だった。
ドラマがブームの頃、見逃すとビデオ化も無く再放送もされずノベライズで読むしかなかった事が思い出された。
※余談
図書館の蔵書検索で書庫にノベライズが大量にある事を発見したので順次読む(再読多数)予定。
なんだかんだ言ってコロンボや古畑や相棒(杉下右京)は面白い。


No.759 3点 ホリスター将軍のコレクション
リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
(2010/05/01 03:52登録)
凶器の隠し場所が、余りにも堂々と目に触れる為に盲点になる作品なのだが、大方の人がコロンボ同様に直ぐに気付いてしまうだろう凡作。
ただ、名誉や記念品等を含む全てのコレクターの気持ちだけは代弁していて頷ける。
「手にするのに懸けた労力に比例してコレクション(名誉等も)は手放せない」とシミジミ思う作品。


No.758 2点 ケインとアベル
ジェフリー・アーチャー
(2010/05/01 03:35登録)
大学生の頃、友人達と友人の下宿でドラマを観た、そして話題作だったので原作を回し読みした。
その後、ある友人が私と親友に向かって「お前らケインとアベルみたいだ」と言ったので「お前はオズボーンだな」と二人で言い返したら喧嘩別れになった思い出深い作品ではある。
当時、強度の翻訳アレルギーだった私が面白く読めた事だけでも傑作である事は伝わるだろう。
その意味で一般的小説サイトの採点なら満点で何ら異存は無い。
※以下ミステリーの範疇と、このサイトに対する私的な思い。
しかし、清水一行が得意とした一代記や山崎豊子作品(特に「女系家族」なんか強弁すればミステリーになる)がミステリーの範疇に無いのと同じでミステリーとして扱いたくない!
このまま書評が10件以上されたら作品ランキング1位もあり得そうで納得出来ないのでポリシー通り2点とし、敢えて採点を印す。


No.757 3点 推理小説
秦建日子
(2010/05/01 03:05登録)
作者は、名前が叙述トリックな作家の一人で〈はた たけひこ〉と読み男性、本業は脚本家。
フジテレビでスマッシュ・ヒットしたドラマ「アンフェア」のノベライズではなく原作!
ヒットドラマのノベライズは、ヒットに値する内容(要素)がそのまま小説化されるので本来の面白さを損なう事は少ないが、売れた原作の映像化作品は余計な改変で駄作に成り下がるケースも多い。
これは、ドラマが原作の宣伝になり売れた珍しいケースの作品。
しかし、ミステリーよりエンターテインメント寄りなドラマと違い淡々としている。
しかも、掴みだけOK的な「竜頭蛇尾」作品で、ドラマの面白さを期待するとガッカリ感が大きい。
唯一、ヒロインの女刑事キャラが良かったのか続編も(新聞広告の煽りでしか知らないが)売れている。

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