home

ミステリの祭典

login
イノセント・ゲリラの祝祭
田口&白鳥シリーズ

作家 海堂尊
出版日2008年11月
平均点3.67点
書評数6人

No.6 5点 E-BANKER
(2012/07/08 20:41登録)
田口&白鳥シリーズの第4作目。
お馴染みのキャラクターが大暴れする人気シリーズの異色作。

~東城大学医学部付属病院・万年講師の田口公平はいつものように高階病院長に呼ばれ、無理難題を押し付けられようとしていた。厚生労働省で行われる会議への出席依頼だったが、差出人はあの白鳥圭輔だった! だが、そこで田口が目にしたのは、崩壊の一途を辿る医療行政に戦いを挑む、一人の男の姿だった~

もはやミステリーの範疇なんて超え、作者の医療行政のへの熱き思いが迸った作品。
海堂氏が声高に主張するのは「死因不明社会への警鐘」。
ミステリーの世界ではお馴染みの「監察医」だが、現実ではこの制度が適用されているのはごく一部の地域でしかなく、解剖も適切にされないまま「心不全」という不透明な死亡診断書が作成されている・・・
考えてみれば恐ろしい世界ではないか?
そして、この危機を回避するための救世主が「エーアイ」。
(これは「チーム・バチスタ」から作者の一貫した主張だよねぇ)

本作のハイライトは、終盤の委員会での「彦根医師の独断場」。
厚生労働省のエースや法律家のトップを敵に回して、ロジック切れキレのスピーチ。そして、最後にうまくまとめる白鳥・・・
いささかフィクションは混じっているにせよ、官僚という奴はこういう人種なんだろうなということは十分想像できる。
結局シオン医師については謎めいたままで終わってしまったのが唯一の心残り。

まぁ、海堂氏には今後とも医療行政の問題提起をし続けてもらいたいね。
ミステリーの評価としてはまぁこれ以上つけられないけど、そんなことはあまり関係ない作品。
(姫宮がそんなにスゴイ人物だなんて・・・どういうこと?)

No.5 6点 VOLKS
(2010/08/31 20:27登録)
登場人物達には十分に楽しませてもらえた作品(笑)
壮大なタイトル通り、日本の政治家を(ちょっとだけ)動かした、という点も評価。
ただ、ミステリーではないし(汗)ストーリーのインパクトはシリーズの中では低い。

No.4 2点 江守森江
(2010/05/06 00:04登録)
最早ミステリーの範疇外なシリーズ、いや作家になってしまったのでポリシー通り2点。
その一方で、私的に作者の主張・キャラ・作品世界にドップリ浸っているので、単なるエンタメ作品としては非常に楽しめた(一般小説なら6点レベル)
彦根のキャラを借り「よくぞここまで自分の主張に純化した作品を書いた」と褒めたい反面、普通の読者は辟易するだろう。
作者の主張に共鳴出来る読者のみ読めば良い作品と断言する。
それにしても白鳥が普通の官僚にしか感じられない位に彦根のキャラ立ちは凄い。
後半の討論場面は圧巻の一言。
※文庫版は上下巻分冊&作品途中のエピソードで「このミス」に掲載され不評だった短編も収録された。

No.3 2点 まさむね
(2010/02/06 18:01登録)
確かに「田口&白鳥シリーズ」なのですが,正直,作者のあまりにも直接的な主張が表に出すぎていて興醒めです。主張したい内容に反論はないのですが,読者から金と時間を奪ってやる話ではない。小説以外の別の場でも,十分に主張できるはず。
海堂ワールド(舞台やキャラの設定)は大好きなのですが…非常にもったいない気がしました。残念です。

No.2 3点 あるびれお
(2009/09/09 05:28登録)
このシリーズのInterludeということでしょうか。
次に期待します。

No.1 4点 白い風
(2009/07/28 12:53登録)
「チーム・バチスタの栄光」から始まった田口&白鳥シリーズですが、最早ミステリ色は無いですね。
海堂さんのライフワーク”エーアイ”と厚生労働省批判の論文ですね。
公務員改革を進める、選挙前に読むのはいいのかもしれないけど…。

6レコード表示中です 書評