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ミステリの祭典

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推理小説
刑事 雪平夏見

作家 秦建日子
出版日2004年12月
平均点3.43点
書評数7人

No.7 5点 メルカトル
(2023/01/10 22:38登録)
会社員、高校生、編集者…面識のない人々が相次いで惨殺された。事件をつなぐのは「アンフェアなのは、誰か」と書かれた本の栞のみ。そんな中、出版社に届けられた原稿には事件の詳細と殺人予告、そして「事件を防ぎたければ、この小説の続きを落札せよ」という要求が書かれていた…最注目作家、驚愕のデビュー作。
『BOOK』データベースより。

作中でフェアとかアンフェアとか叙述トリックだとか、ああでもないこうでもないと言及していて、ミステリを上から目線で弄んでいる様に思える事が、多くのミステリマニアの怒りを買っている気がします。どうせこんな感じで書いとけば良いんでしょ?みたいな不遜とも思える作者の姿勢が見え隠れしています。
作品としては大風呂敷を広げて、結局ショボい結末で終わってしまう典型的な竜頭蛇尾なものではないでしょうか。推理小説と言うより、安易なサイコ・サスペンスの様な感じです。

しかしながら、視点をコロコロ変え目先の面白さに拘り、犯人解明までの疾走感は評価出来ます。又、様々な工夫を凝らして読者を飽きさせない手法はアリだと思います。ただやはり、結末が貧弱。意外性もないし動機もうーんって感じでねえ。女刑事の雪平は魅力的。

No.6 5点 ミステリ初心者
(2019/05/14 05:41登録)
ネタバレをしています。

 ドラマ"アンフェア"の原作でしょうか? ドラマはほとんど知りませんが、1~2話みたことがあったような。"ユキヒラ"という名字が珍しいので、気が付きました。それでこの作品がドラマになったんだと知りました(もしくは逆?)。

 非常に魅力的なキャラクターが多く。すいすい読めました。また、叙述トリックについて説明されていて、普段ミステリを読まない人にも理解しやすいように書かれていて好感を持ちました。
 
 作中作の推理小説と同様の事件が起きていき、犯人から"続きを見たければ、小説を落札しろ"という要求がある物語の展開は魅力的でした。
 また、犯人自身が、雪平からの影響からか、これから起こす事件を変更することは面白いです。


 以下、好みではなかった部分。

 犯人の主観の文章に、たぶん嘘はなく、この小説内にある?叙述トリックのルールを破っていないとは思います。しかし、叙述トリックを使うのは、ほぼ=アリバイトリックや論理による犯人断定がない作品が多いです(例外あり)。叙述トリックを味付け程度に使い、メインに持ってこない作品はその限りではありませんが、この作品は叙述トリック一本釣りであり、また個性もいまいちありません。

 この小説の文章は、いつ・どこの・誰の主観か?が説明されてないことも多く、それでいてコロコロ場面が変わり混乱してしまう。さらに作中作文章も存在するため非常にややこしい…。ただ、それをわかりやすくしてしまうと、叙述トリックが成立しないので、仕方ない部分もありますが。叙述トリック自体が、ただ勘違いさせるだけの類なので(そうでないものもあるかもしれませんが(笑))


酷評されるほどでもないとは思います。かといって、心に残る名作でもなく、よくある叙述トリックものの一つでした。

No.5 1点 yoshi
(2014/03/14 02:20登録)
怒りすら覚える駄作。
冒頭近くで、登場人物の編集者がいまは良いものは売れない、
本の売れ行きは内容の深さに反比例するという一文があるが、
この作品が正にそれ。

No.4 4点 いけお
(2012/05/27 02:22登録)
中盤までの展開やキャラは良かったが、やはりラストの展開に不満。

No.3 2点
(2012/01/18 16:08登録)
犯人が書いたと思しき推理小説のストーリーに沿って、人が殺されていく。そして、その後の殺人が起こらないようにするために、その小説の続きを3000万円で落札せよとの犯人からの要求。犯人のねらいは、いったい何?
こんなとんでもない謎が示されるので、もしや新型の推理作家の登場かと思わせる感もあります。
しかし、場面と視点がころころ変わるのには辟易します。テンポがよいというよりは支離滅裂感のほうが強すぎて、ついていけません。シナリオ的ということなのでしょうか。しかも、肝心のラストにミステリー的に感動することはありません。
一言で云えば、映像化がすぐにでき、若い人を中心にノリだけで読ませるように書いたケイタイ小説的なミステリー。いいかえれば商業ベースでの成功だけを狙って書いた作品という感じです。
奇をてらいすぎという印象しか残らないから、真のミステリーファンはまず満足しないでしょう。下手クソなのを隠すためにこんな書き方をしたのでは、と勘ぐってしまいます。それに、下手なくせにミステリーへの造詣の深さを披露しようとする態度も感心しません。

シナリオ作家として一人立ちしているとしても、ミステリー作家として、小説家として、もうちょっと修行してから書いたほうがよかったのではと思います。あるいは、下手は下手なりに、新人作家らしく、本格などに絞り込んで真っ向勝負したほうがよかったのではという気もします。
「乱歩賞を狙ったわけじゃない、人の勝手だろ、ほっといてくれ!」と言われそうですね。
(全然関係ない作家さんの話ですが)
まさむねさんが早くも、そのデビュー作から3作目までを読破された横関大氏は、乱歩賞を獲るまでずいぶん時間がかかったようですが、それだけに小説修行も十分にされているようで、デビュー作「再会」はミステリー読者を満足させる文章、プロットになっているように思います。最近読んだ、文章経験が十分にある新人推理作家が書いたデビュー作品同士ということで比較すると(唐突に比較というのも変ですが)、ずいぶん差があるなぁという気がします。

以上、独善的に批評しましたが、もう1作ぐらいは読んでもいいかなという気にもなっています。

No.2 4点 白い風
(2010/06/06 23:28登録)
ドラマを見てから図書館で本を借りて読みました。
圧倒的にドラマの方がミステリアスさもあって面白かったですね。
本はドラマの途中まででしたから。
もしかして、ドラマを見てなかったらもう少し楽しめたのかな?

No.1 3点 江守森江
(2010/05/01 03:05登録)
作者は、名前が叙述トリックな作家の一人で〈はた たけひこ〉と読み男性、本業は脚本家。
フジテレビでスマッシュ・ヒットしたドラマ「アンフェア」のノベライズではなく原作!
ヒットドラマのノベライズは、ヒットに値する内容(要素)がそのまま小説化されるので本来の面白さを損なう事は少ないが、売れた原作の映像化作品は余計な改変で駄作に成り下がるケースも多い。
これは、ドラマが原作の宣伝になり売れた珍しいケースの作品。
しかし、ミステリーよりエンターテインメント寄りなドラマと違い淡々としている。
しかも、掴みだけOK的な「竜頭蛇尾」作品で、ドラマの面白さを期待するとガッカリ感が大きい。
唯一、ヒロインの女刑事キャラが良かったのか続編も(新聞広告の煽りでしか知らないが)売れている。

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